カヌー「MPDV」でハイエース・キャラバンもEV化しないとオワコン?
こんにちは、@kojisaitojpです。日本国内で日本語でしか通じない電気自動車の悪口が蔓延している中で、世界はそんなものは無視してどんどん電気自動車化しています。
アメリカの電気自動車会社CANOOの電気デリバリーバンですが、デザインが印象的ですね。https://t.co/IJJEzLuGnU pic.twitter.com/qCWnY0pM84
— 哲也(テツヤ) (@Tetsuya_Car) December 20, 2020
百聞は一見に如かずですので実際に「Canoo」社の公開している動画を見てみましょう。英語がわからない人でも映像だけ見れば凄さがわかります。
会社を設立したのが元BMWのメンバーなのですが、さすがBMWだなと思わせるカッコいいプロモーション映像です。
日本で商用バンというと「ハイエース」とか「キャラバン」などが真っ先に浮かんでくると思いますが(実際は日本だけではなく、アジアやアフリカの発展途上国でもハイエースは大人気)、この分野にも電気自動車が進出してきています。
しかもこのジャンルに電気自動車を投入してくるのが日本メーカーではなく、海外のメーカーという残念な事実。
今日はこのカヌーという2017年に設立したばかりの新興EVメーカーが2022年から発売する「MPDV(MULTI-PURPOSE DELIVERY VEHICLE)」について触れてみます。
目次
元BMWのメンバーが設立した新興EVメーカーの「Canoo」
新興EVメーカーの「Canoo」とは2017年にアメリカで設立された新しい会社で、BMW出身の3名が設立し、10億ドルの資金を調達したEV(電気自動車)企業として注目を浴びたことでも有名です。
日本人が気づかない間にアメリカや中国にはこのような新興の電気自動車専門のメーカーが多数誕生しています。
今回発表した「MPDV(MULTI-PURPOSE DELIVERY VEHICLE)」は、2022年に発売予定の新型商用バンで、価格は33000ドルから。独自に開発したスケートボード型のプラットフォームをベースにしており、EPAサイクルで最大370kmの航続距離を実現すると予想されています。
昨日取り上げたテスラのサイバートラックもそうですが、新しい電気自動車はデザインからして未来を連想させるスタイリッシュなデザインです。
日本では「商用バン=仕事用=地味」という路線ですが、デザイン面でも斬新なものを投入してきました。
ちなみに33000ドルは「MPDV1」というエントリーモデルなので、バッテリー容量も最小の40kWhのもの(最大容量の80kWhのモデルはもっと高い)ではありますが、それでも驚異のプライスです。
カヌー社の位置づけでは「ラストワンマイル用」とのことですので、営業所から配送先への輸送を想定しているがゆえのバッテリーサイズです。
テスラを見ての通りで、バッテリーを更に大きくして航続距離を伸ばすと車両価格も大幅に上がりますし、何より商用バンで最重要の荷物搭載スペースが小さくなってしまいます。
航続距離が物足りなくても、営業所に戻って荷物の積み下ろしをしながら急速充電をすれば十分実用的です。
この価格でハイエース級の商用バンを発売できればハイエースやキャラバンなどの強大なライバルになる可能性が高いです。
カスタマイズも自由で、先ほどの映像を見てもキッチンカーになっていたり、移動販売車になっていたりと多様な用途に対応するようです。
電気自動車ですので、電源さえ取れる構造であればキッチンカーなどには最適だというのも実は電気自動車の隠れたメリットです。
航続距離的にどうなの?という疑問はありますが、EPAサイクルで400キロ以上行けるのであれば、充電設備次第で何とかなるレベルです。
商用バンのみならず自動車の常識を覆す「サブスク」モデル
カヌーのビジネスモデルは電気自動車であるというだけではなく、販売の仕方も独特です。
最初に発売される予定の会社名と同じ名前の「Canoo(カヌー)」という車種は「サブスクリプション」で提供するということです。
車両は「スケートボード」と呼ばれる構造により、室内スペースが最大化され、それぞれの車両は新たなライフスタイルの追求や、ライドシェア、デリバリーや通勤に最適化できる自由な構造になっています。
車のデザインも強烈な個性がありますが、後方部が湾曲したソファになっている乗用車という部分だけでも衝撃です。
「Canoo」の次の車種が「MULTI-PURPOSE DELIVERY VEHICLE」という名前なのですから、まさに「多目的」です。
使用目的に合った車をサブスクリプションで使うという「所有」という概念にすら挑戦する新しいビジネスモデルです。
カヌー社が新たに掲げるゴールは「消費者を大手自動車メーカーが支配する、車の所有というライフスタイルから解放すること」という壮大なプランをぶちあげてますが、これこそまさに私が前日述べた「CASE」という新しいビジネスモデルに合致したものです。
先日は「カーシェア」という視点から記事を書きましたので、よろしければ一緒にご参照ください。
カーシェアが2021年以降のトレンドになる?【アフターコロナの自動車の未来】
日産リーフとテスラモデルSと続けて試乗しましたが、「カーシェア」を利用しています。実は電気自動車こそが、故障が少ないゆえにカーシェアに向いていると言えます。他にも自動運転に繋がるネット接続など「CASE」という未来のトレンドと結びつく試みだと言えます。アフターコロナの2021年以降爆発的に普及する可能性があります。
「カーシェアリング」と「自動運転」がリンクするのが「CASE」?【シェアによる未来の車社会】
次世代の車社会についてよく使われる「CASE」ではカーシェアリングが「自動運転」や「電気自動車」「常時ネット接続」と結びついて新しい車社会を作り出します。個人がを保有する必要性も薄くなり、いつでもどこでもAIが制御する自動運転の車を呼び出して移動するというシェアが一般的な、これまでとは違う車社会が目の前に来ています。
近未来すぎて想像がつかないと思ってしまいがちですが、「自動車」を巡る世界、ビジネスモデルが大きく転換する時代はもう目の前かもしれません。
しかし一定の年齢以上の世代になると「俺が生きてる間だけは変わらないでくれ」と思って既得権益にしがみつくのもこれまたよくある話で、最近のマスコミや自動車ジャーナリストによる電気自動車への攻撃やそれに触発されたSNS上に跋扈する電気自動車への悪口を見る度に「日本語でしか通じないコミュニケーション空間で勝手なこと言ってると世界の流れから取り残されるぞ」と私が思うようになったわけです。
保有してる間に定期的にオイル交換が必要になるわ、必ずどこかが壊れて高額の整備費用取られる仕組みになってるガソリンエンジンに寄生して生きてる奴らはぶっ潰したいな(笑)
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 27, 2020
私くらいの年代だとおそらく新しい流れに乗る人間と「俺が生きている間だけは現状維持で」という人間が半々に分かれるでしょう。余命が30-40年なので上記のような近未来が実現するかしないか位の時期でしょうから意見は分かれるでしょう。
もう少し上の年代だと「俺はもうすぐ死ぬからそれまでは持ってくれ」が多数派になりますが。
でもそれは自分より下の世代に対して巨大な負債を残すだけだと思うのですが。自分に残された余命が10-20年しかない世代は生きている間だけでも誤魔化せれば困らないでしょうが、例えば今の20代だと余命が60年以上あるわけです。
自分の子供や孫の世代を困らせるようなことをして心が痛まないのか?と思ってしまいます。
トヨタもコソッとEVバンを作ってますが…
とは言え日本メーカーも何もしていないわけではありません。
商用のEVバンを作らないの?と思うところですが、実はコソッと作っています(笑)
日本じゃ買えないトヨタ車、プロエース・シティ・ヴァーソについに純EV仕様が登場!!|Motor-Fan[モーターファン]
日本で買えないトヨタのミニバン、トヨタ・プロエース・シティ・ヴァーソに2021年3月、純EV仕様が登場する。さて、その内容は…?
元々ヨーロッパのトヨタとPSA(プジョーシトロエン)は提携関係にあり、2013年の半ばから、プジョー『エキスパート』とシトロエン『ジャンピー』をベースにした商用バンを、PSAグループがトヨタに『プロエース』として、OEM供給していた経緯があります。
私もその昔プジョー・シトロエン・トヨタが合弁事業で作った共通のプラットフォームのシトロエン「C1」プジョー「107」トヨタ「アイゴ(AYGO)」がヨーロッパで発売された時には「トヨタAYGOなら唯一乗ってみたいトヨタ車だな」と思った記憶があります。
これらのモデルが日本未発売なのが非常に残念でしたが。
なので昔撮った写真を見直すと、私がヨーロッパに行った際に街で見かけたこれらの車種の写真がたくさん残っています。
2016年以降は「プロエース・バーソ」という名前で、プロエースの乗用版に位置付けられるミニバンが発売され、欧州市場では大型サイズのMPVカテゴリーに属し、最大で9名が乗車と日本でいうハイエースのような仕様です。
バッテリーの容量は50kWhと75kWhの2種類があり、1回の充電での航続は、50kWhバッテリー搭載車が230km、75kWhバッテリー搭載車が330km(いずれもWLTP基準)と航続距離は少々物足りないところですが。
でも仮にこの車を日本市場に投入して日本全国津々浦々にあるトヨタディーラーに充電設備を用意すれば、充電の問題も簡単に解決できそうな気がします。
トヨタも中国やヨーロッパ市場でこのようにコソッと(日本人が気づかないだけですが)電気自動車を販売しているところを見ると、やはりやってできないというわけではないんだなと思ってしまいます。
じゃあなぜ日本では作らないのか?
EV化することは可能なのに日本市場だけガラパゴスに?
ここから先は私の腹黒い読みですが、
電気自動車化すると従来のディーラー網、「系列(英語でも「keiretsu」です)」と呼ばれる部品メーカーやその下請け、更にその下請けなどを含めた合計3万社と言われる巨大なネットワークの再編が必要になります。
「再編」と言いましたが、実質は大幅な縮小、つまり「系列企業の切り捨て」になります。
先日の社長の発言を見ての通り、できることなら電気自動車化したくはない。
じゃあ「電気自動車化しないと生き残れない国だけ電気自動車化しよう。日本? 電気自動車嫌いが多いから可能な限り現状維持で」くらいの腹黒い計画があってもおかしくはないです。
でマスコミや自動車ジャーナリストに圧力をかけて日本国内にアンチ電気自動車が増えるように情報操作しようと。
かなり陰謀論的な読みになりますが、こう考えると最近マスコミや自動車ジャーナリスト、しまいにはTwitterなどのSNS上で妙に電気自動車の悪口を言う人が増えているのに納得が行ってしまいます。
だから先日の関越道で車が雪で立ち往生したような事故が起きると「それ見たことか」的に一斉に電気自動車を攻撃する。
で、日本国内だけでも電気自動車化を阻止できれば、日本市場だけはハイブリッドやプラグインハイブリッドの天下にできると。
まぁ「日本語しかできない日本人なら世界の流れわからないから騙せる」とナメられているいうことです。
普通の会社がこのようなダブルスタンダードな戦略は取れないし利益も出ないでしょうが、トヨタくらいの規模の会社であればできなくもないなと思ってしまいます。
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