BMW が投入する「iX」「i4」が意外とハイスペック?【意外とやる気?】
こんばんは、@kojisaitojpです。今年の正月にテレビを見ていてこのことに気づいた方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
衝撃!箱根駅伝の「白バイ」がいつもと違う!? 先導白バイがホンダでなくナゼBMWに?
新年の幕開けを飾る日本の国民的なイベント「箱根駅伝」。今年の箱根駅伝では先導白バイがいつもと違いました。白バイといえばホンダのバイクでしたが、なんと今回はBMWの電動白バイ。箱根駅伝のような日本の国民的イベントで、なぜ日本メーカーではなく、BMWだったのでしょうか。
私は「あれ?日本メーカーはどこ行った?」と思ったんですよね。
結論を先に言うと箱根駅伝の先導ができるような長距離を走れる「電動バイク(原付を除く)」を製造している日本メーカーはありません。
冒頭から残念な事実が明らかになります(笑)。
さて先頭を走ってテレビに自社の電動バイクが映りまくるBMWからすれば「今年はEVで日本市場攻めるよ」という新春早々からのメッセージを伝えることになったかもしれません。
今日はそんなBMWが2021年後半にヨーロッパ市場及び日本市場に投入することを表明している電気自動車「i4」「iX」「iX3」について紹介します。
目次
案外本気だった?BMWのEV化戦略
私の中ではBMWはちょっと前までは「電動化に消極的な車メーカー」の一つでした。先日メルセデスについて取り上げた時にも「これで大丈夫なの?」という趣旨の記事を書きましたが、BMWにもそれに近い懸念は持っていました。
というのもBMWは電気自動車(BEV)への取り組みは案外早く2013年に「i3」という電気自動車を発売し、この時点では日産や三菱同様に電気自動車の量販化は早い方でしたが、その後はPHEV中心の販売が続いており、この「i3」も発電用のエンジンを搭載した「レンジエクステンダー」なるものを発売したりと、「電動化やる気なくしたの?」と見える状態でした。
それが昨年2020年になって急に電気自動車化を進める意向を表明し、2021年中にはヨーロッパ市場のみならず日本市場にも投入することを表明しています。
BMW、新型EVの3モデル「iX」「iX3」「i4」日本導入を予告 ヴィードマン社長が2021年の展望を語る新春記者会見レポート
ビー・エム・ダブリューは1月26日、同日オンライン開催した新春記者会見においてBMWの新型「M3」「M4」、BMW Motorrad初のMモデル「M 1000 RR」を発表。また、同会見において、同社代表取締役社長 クリスチャン・ヴィードマン氏が、2021年に新型EV(電気自動車)「iX」「iX3」「i4」を発表することを予告した。
以下の項目ではこのようにBMWが日本市場にも投入すると表明した電気自動車(BEV)の「i4」「iX」「iX3」のそれぞれについて紹介します。
BMWの本気のミッドサイズセダンEVの「i4」
まずはBMWが2021年夏にはワールドプレミアを行う予定であるミッドサイズセダンの「i4」について紹介します。
当初は2022年頃の投入の予定でしたが、テスラやフォルクスワーゲンの急速な電動化の流れに危機感を感じているのか、予定より大幅に早めてきました。
「搭載バッテリー容量80kWh、EPA航続距離が500キロ前後、最大充電出力150kWh」で0-100加速が4秒とスペック的にはほぼ同サイズとなるテスラのミッドサイズセダン「モデル3」への対抗意識をむき出しにしています。
まだワールドプレミアも実施されていませんので価格等の詳細は不明ですが、これ以外にもBMWのパフォーマンス仕様であるMシリーズにも投入することを表明していますので「iM4」のようなネーミングのハイスペックな電気自動車も投入されることでしょう。
日本メーカーにもこういう形でテスラに対抗して欲しいですよね。悪口ばかり言ってても何も進歩はありません。
あとは「i4」について一言言えば「フロントグリル」は必要ですかね?
エンジンもラジエターも存在しない電気自動車ですのでフロントグリルは車の機能としては不要ですが、飾りとしてつけることをBMWは選択しましたが、これかっこいいですかね?
私の個人的見解としては「ダサくなるので不要」だと思うのですが…、
「iX」と「iX3」も日本市場に投入
まず「iX3」ですが、これは2020年に発表したもので既にヨーロッパでは納車が始まっていますが、既存の内燃機関車である「X3」をベースに電気自動車に改良しただけのものですので、正直言ってイマイチです。
フォルクスワーゲンが「ゴルフ」を「e-ゴルフ」にしたのと同様で、既存の内燃期間車(エンジン搭載車)を電気自動車にしてもあまり上手くいかないのが通常です。
スペックについては「搭載バッテリー容量80kWh、EPA航続距離360キロ、10-80%の急速充電が34分」です。
テスラ「モデルY」が75kWhの搭載バッテリー容量でありながらEPA航続距離が500キロ近く行くの(モデルY・ロングレンジの場合)からすると明らかに劣ります。
「iX3」に関してはおそらくほぼ同価格帯になると予想されるのが「ジャガーi-Pace」や「メルセデスEQC」、「アウディe-Tron」、「テスラ・モデルY」辺りになるかと思われますが、
ジャガーが2025年に全車電気自動車化する衝撃とは?【XJブランド消滅?】
2030年からエンジンを搭載した車の販売を禁止するイギリスに本拠地を持つジャガーが2025年以降は全車電気自動車化すると発表をしました。ヨーロッパの状況を考えるとむしろ当然という判断なのですが、長年君臨してきた「XJ」の名前を捨てる発表もされました。ここに電気自動車に勝負をかけるジャガー社の決意の強さを感じます。
テスラ「モデルY(中国版)」が抜群のコスパ?【日本には来ない?】
元旦にリリースされた中国版のテスラ「モデルY」が日本でも話題になっているので紹介してみます。「ギガファクトリー上海」で生産された車両ゆえにアメリカ本国と大差のないリーズナブルな価格でリリースされたのもあり、既に10万件の予約が入り、中国で電気自動車が熱いことが証明されています。スペック面も含めて最新情報を紹介します。
私の個人的な趣味も反映されますが、自動車としてのデザインや風格であればジャガー「i-Pace」の方が上、電気自動車としての航続距離や急速充電時間などではテスラ「モデルY」には全然及ばないなというのが評価です。
それどころがコストパフォーマンスを考えると「日産アリア」の方が上かもしれませんね。
「ボルボXC40 Recharge」と「日産アリア」を徹底比較【2021年発売予定】
2021年に日産がいよいよ投入する「アリア」を同じミッドサイズSUVでスペック的にも競合することが予想されるボルボ初の電気自動車「XC40 Recharge」と比較してみます。PHEVに注力していたボルボがようやく電気自動車に全力投球してきましたが、早い時期から電気自動車を販売していた日産がどう迎え撃つか注目です。
で、さすがにこれではまずいと思ったBMWが電気自動車専用プラットフォームを引っさげて投入を表明したのが「iX」になります。
電気自動車としてのスペックが大幅に向上しており、「搭載バッテリー容量100kWh、EPA航続距離約480キロ、10-80%の急速充電が40分」です。
競合する車種はアウディ「e-Tron SUV」とテスラ「モデルX」辺りになると思いますが、EPA航続距離で600キロ近く走れるモデルXの方が電気自動車としては強いです。
とはいえ500キロ近い航続距離を確保できるのであれば日常生活で特に問題のない水準です。
気になるのは先程の「i4」と同様に「キドニーグリル」と呼ばれるフロントグリル(EVなのでもちろん飾りです)があり、この中にレーダーやセンサー、カメラが収納されているというのですが、デザイン的に「必要か?」と感じてしまうのは「i4」の時と同じことを感じます。
内装は六角形型の珍しいハンドル(視認性の向上)を使用し、12.3インチの大型ディスプレイが搭載され、テスラなどの最新の電気自動車の仕様になっており、それにBMWらしい高級感が備わり「iX3」と比較するとかなりグレードアップしています。
他には「5G搭載」というのがアピールされていますが、これがどのように活用されるのかは不明です。
ちなみにテスラの自動運転は内蔵のセンサーとカメラのみで行うことが可能になっています。
とはいえ1000万円級のSUVとしてかなりハイレベルな車に仕上がっており、テスラ・モデルXなどと比較しても航続距離以外の要素でアピールできる部分がありますので、これまでBMWを愛好していた層などを中心に売れる可能性は高いです。
BMW以外にも「競合が弱い日本市場=EVを売り込むチャンス」と捉える外資系メーカーも?
ガソリン車の時代は日本市場というのは「日本メーカーが圧倒的に強い=輸入車は不利」というイメージがありました。いや、イメージでもなく現実に日本市場に投入されて全く売れないまま去っていく輸入車がたくさんありました。
ところが電気自動車(BEV)となると話は別です。
現時点で実質日産以外はマトモな電気自動車を作れていない状況(昨日取り上げた「MX-30」も電気自動車としては論外です)だと外資系のメーカーからすると「日本市場に攻め込むチャンス」に見えるかもしれません。
実際に一足先に「バス」の分野では中国のBYDが日本市場に続々と電動バスを投入(日本のガラパゴス規格であるチャデモ対応にしてくる辺りにやる気を感じます)しているのは、先日取り上げた通りです。
「BYD」の電動バスが世界中でシェア拡大中?【バスも日本オワコン?】
乗用車のみならずバスの分野でも電気自動車化は進んでおり、実は中国の「BYD」の電動バスが世界中でシェア拡大しており、日本のバス会社にも導入されています。路線バスだと運行する区間も決まっており、バスを電動化することは乗用車よりも簡単ですし、整備や燃料代がかからなくなることから今後どんどん普及する可能性が高いです。
そして最近明らかになったBMWの戦略もBYDと同じように「やる気を感じる」ものです。
BMW Japan は EVの整備態勢を大幅に拡充するそうです。
テスラジャパンさんは爪の垢を煎じて飲むように!BMW、日本に部品拠点新設 EVバッテリー在庫拡充:日本経済新聞 https://t.co/vWKMcs2dVJ
— Brownie (@browniejp) February 25, 2021
バッテリーの供給をこのくらい本気で準備してくることにBMW社の「本気」を感じます。千葉県印西市という立地も成田空港からすぐ近くであり、ジャストインタイムに在庫を供給しようという姿勢を感じます。
これまでであれば一部の富裕層のステータスとして売れれば位の姿勢をBMWやメルセデスから感じましたが、現在のように日本の自動車メーカーが電気自動車に対し全くやる気を見せない状況であれば、これまでよりも幅広い層に車が売れるポテンシャルを外資系の企業が感じても不思議はありません。
実際にフィアットは「フィアット500EV」を2021年に投入することを既に表明していますし、フォルクスワーゲン社も2022年以降には「ID.3」「ID.4」の日本市場への投入を表明していますし、他にも先日日本市場への再参入を表明したヒュンダイの「Ioniq5」も2022年には上陸します。
「電動化すると自動車業界550万人の雇用が失われる」とか「電気自動車がエコとは限らない」などと世界の電動化の流れを無視して電気自動車の開発に消極的な日本メーカーの隙をついて外資系メーカーが日本市場を草刈り場にしてしまう可能性も出てきたと思います。
テスラの悪口を言って溜飲を下げている間に世界各国の自動車メーカーが日本市場を虎視眈々と狙っています。
とりあえずこれからはブログでも「電気自動車衰退国の日本」って言い方することにしたわ(笑)。
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) February 26, 2021
正直私のこのような軽口を黙らせるような奮起を日本企業に期待したいのですが、自動車の世界基準のルール設定に失敗した日本企業が生き残るために残された時間は少ないです。
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