元BMWの幹部を引き抜いた「AppleCar」への本気度とは?【バッテリーも自社生産】
おはようございます、@kojisaitojpです。2021年初頭のニュース以降音沙汰がなかったこの会社ですが、水面下で動いているようです。
元BMW、Canooの幹部引き抜きなら本気でやろうとしてるということ。
Apple Hires Former BMW i3 & i8 Exec For Electric Car Project https://t.co/p4uxvPw47P @insideevs.comより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 12, 2021
私のブログではかなり前から取り上げていますが、アメリカのEVスタートアップ企業「Canoo」は元BMWの幹部数人で設立した企業なのですが、その一人をAppleが引き抜いたという話です。
「Canoo」については以前書いた記事がありますので、よろしければご参照ください。
「Canoo」のPickupTruckや「サイバートラック」が提供するEVのワクワク感とは?【日本メーカーが失ったもの?】
斬新なデザインと多目的にアレンジ可能なワゴンやバン(BEV)を発表していたアメリカの新興企業「Canoo」が今度はピックアップトラックを発表しました。5メートルを切る小型のピックアップでありながら、BEDと呼ばれる拡張機能、キャンピングカーのようにアレンジも可能な魅力的なピックアップが2023年から発売予定です。
カヌー「MPDV」でハイエース・キャラバンもEV化しないとオワコン?
カヌー(Canoo)というアメリカの新興EVメーカーが「MPDV」というトヨタハイエースや日産キャラバンに対抗できる規模の商用バンを電気自動車でリリースします。カヌー社は他にもサブスクリプション式の車種を発表していたりと「CASE」という近年のトレンドを踏まえた斬新なビジネスモデルを提供しているので取り上げてみます。
AppleCarについてはヒュンダイとの提携の話がリーク(リークされたことでAppleで激怒して破談?)されて以来音沙汰がなかったのですが、最近いくつかの情報が出てきました。
そこで本日は「AppleCarは一体どうなる?」というテーマで最近のAppleの動きを紹介します。
目次
元BMW(現Canoo)の幹部引き抜きとバッテリー生産計画
今回の「Canoo」からの元BMW幹部のUlrich Kranz氏の引き抜き(「Canoo」は元BMWの幹部複数人で設立した企業です)はApple側も認めているので間違いないようです。
報道ではテスラとの争奪戦になったとの噂もありますが、最終的にAppleへの移籍を選んだようです。
ちなみに今回引き抜かれたUlrich Kranz氏はBMW時代にBEVのi3とPHEVのi8の開発にも携わっているようで、EV製造のスペシャリストが欲しいAppleにはうってつけの人材です。
AppleCarについては年明けのヒュンダイとの提携が破談に終わったと報じられて以来「本当に発売するの?」という目で見られていましたが、今回の幹部の引き抜きによって本気で開発する気だなというのが間違いないようです。
なお以前「AppleCar」について具体的に取り上げた記事はこちらになりますので、ご興味があれば合わせてご覧になることをお勧めします。
Appleでも電気自動車(EV)が作れる?【iCarなのか?AppleCarなのか?】
Appleが電気自動車の開発・販売に向けて動いているというニュースが飛び込んできました。実はAppleのみならずソニーも電気自動車のプロトタイプを公開してますし、ホンハイ(Foxconn)も電気自動車に参入する意向を表明しています。ハイテク機器メーカーの参入が可能な点がこれまでのエンジンのある車との大きな違いです。
またEVを販売するにあたっての最重要ポイントである「バッテリーの自社生産」についてもニュースがあります。
Apple Reportedly Wants CATL And BYD To Provide Batteries For Its EV
The tech giant is discussing with the two companies not only about supplying batteries, but building them on US soil too.
AppleがAppleCarに使用するバッテリーの供給先として中国のCATLおよびBYDと協議を行っているというニュースです。
しかもただ供給を受けるための協議ではなく「アメリカ国内でバッテリーを製造する工場の設立」まで踏み込んだ話をしているようです。
これには先日も解説したバイデン政権による「アメリカ国内で製造したEVに補助金」という政策と関連があると思われます。
ガチでEV化を推進する気のアメリカと抵抗する日本メーカーの行く末とは?【勝ち負け見えてます】
バイデン政権が以前から公約としていたEV普及へ向けた補助金(税控除)の政策がようやく出てきました。アメリカ国内で生産されたEVのみ優遇するなど「アメリカ・ファースト」な政策にすることで悪化する米中関係への配慮や国内の自動車産業の雇用を守るという意図も感じられます。EVへの補助金に異を唱えたトヨタの社長と対照的です。
バイデン政権が提唱する「新車販売に占めるEV販売比率が50%を超えるまで10000ドルの税控除」の条件にある「アメリカ国内で製造」という条件を満たすためと思われますが、同時に米中関係の悪化によりバッテリー供給がストップするリスクも考慮していると思われます。
ただしCATLもBYDも中国企業ですので、アメリカ国内で生産したいというAppleの希望が進展するかは不明確です。
ニッケルとコバルト(要はレアメタル)を使用しないLFPバッテリーの開発で定評のある二つの会社ですので以前から安価なバッテリーでコストダウンを図ろうとしているアップルの要求に見合う企業ではあると思いますが。
「Lightening」充電で恨みを買うApple(笑)
私のブログをご覧になっている方々ならお気づきでしょうが「バッテリーの自社生産」と並ぶEVの重要ポイントは「EV専用プラットフォーム」と「充電インフラ」になります。
Appleの場合はおそらくEMS生産(ファブレス方式)でしょうからプラットフォームについては言及する必要ありませんが、「充電インフラ」についてはどう対応するか気になるところです。
と引っ張っておいて申し訳ないのですが、この項目はただのネタです(笑)。
Apple独自の充電規格である「Lightening」は根強く(?)恨みを買っているようです(笑)。
How to charge Apple Car 😁#computervillageonline #Apple #Applecar #cvo #cvodeals #shopsafeshopsmiling #computervillage #computervillageikeja #AppleNews #applemusic #SaturdayMorning pic.twitter.com/yHaAWWwuQv
— Computer Village Online (@computervillag2) January 9, 2021
AppleCarを巡ってはどれが本物かもわからないくらい予想された画像や動画がネット上に大量に投下されていますけど、私が最も爆笑したのはこれでした。
「やはりLighteningで無駄に世の中から恨みを買ってるな」と思った次第です(笑)。
まぁ既にiPadProに関してはUSB-TypeCに切り替えされていますので、全面的に変更になるのは時間の問題かなとは思うのですが、iPhoneだけはこの規格にしぶとくこだわっている状況は続いています。
秋にも発売と言われるiPhone13がどのような仕様で来るか非常に気になるところです。
ちなみにこういうイジられ方もしています。
Apple Carのバッテリーチャージ
いつかのマウスを彷彿とさせる…🖱pic.twitter.com/wpHrtygYCS
— Go Ando / THE GUILD (@goando) January 14, 2021
私辺りからすれば笑いのネタを提供してくれて面白い以外の感想はないのですが、世の中にはいちいちイキり立つ人々もいるようです。
AppleCarはバッテリーを自社生産するだけトヨタよりマシ?
特に旧来の自動車業界にはAppleCarをまだ発売もしていないのに叩こうと必死な方々がいます。
AAPL
え?選ぶか選ばないかは消費者が決めることで、製品提供者が考えることではないのでは?流石耄碌日本大企業だなhttps://t.co/LgeKepBeK2— 信太郎🏯投資に挑む天下人 (@nobutaro_mane) April 5, 2021
私も引用したTwitterと全く同意見で「売れる売れないは市場が判断するのに何を言ってるの?」と思ってしまいます。
Appleに対しては「スマホ感覚でできると思うなよ」的な偏見があるのか(それともAppleに市場を食われると恐れているのか?)まだ発売もしていない(それどころかコンセプトカーすら未発表)上記のような批判に満ちています。
ですが私の見解だと「バッテリーを自社で(それもアメリカ国内で)生産しようとしてるだけトヨタより本気じゃないの?」と思うところです。
日本国内の議論だけ見ているとEV用の駆動用バッテリーとガソリン車などにも用いられる12Vの鉛バッテリーの区別がついていないのか「バッテリーの自社生産なんて不要」のようなことを言っている自動車ジャーナリストもいたりして呆れるところですが、EVの最重要部品を自社で生産するのはテスラやフォルクスワーゲンなどを見てもわかるように世界のトレンドです。
VWグループ、EV増産に対応…電池メーカーに追加出資 | レスポンス(Response.jp)
フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)は6月9日、スウェーデンのバッテリーメーカーのノースボルト(Northvolt)に対して、6億2000万ドル(約678億1900万円)を追加出資すると発表した。
フォルクスワーゲンは電池メーカーに追加の出資を行いバッテリー生産を強化する動きを見せていますし、先日「F-150 Lightening」を紹介した際にも触れたようにフォードは韓国SKイノベーションと、GMはLGエナジーソリューションズと協業で自社のバッテリー工場を作ってEVの量産体制を整えています。
フォードが「F-150 」をEV化したことから感じる本気度とは?【バイデン大統領も全面支持】
フォードが「F-150 」をEV化した「F-150Lightening」を2022年から発売することを発表しましたが、ワールドプレミアに先立ってバイデン大統領が試乗し、フォードの工場で演説を行ったことからアメリカ政府もEV化を本気でバックアップするという姿勢が明確になりました。アメリカもいよいよ全面的にEV化します。
「2035年までに全車EV化」に邁進するGMとアメリカ政府に日本はどう映るのか?【ガラパゴスは許容しない?】
GMが2022年後半に発売を予定していたキャデラックのEV「Lyriq」を前倒しで2022年前半に発売すると発表してきました。脱炭素に前向きなバイデン政権同様に2035年までに全車電気自動車化を唱えるGMですが、LGと共同で設立したバッテリー工場が早くも2つ目で、本気で電気自動車にコミットしようというやる気を感じます。
Appleもこのようなヨーロッパ・アメリカの大手自動車メーカーと同様に自社でのバッテリー製造を計画しているというニュースを見て私は「Apple本気だな」と思いました。
決して「スマホと同じように簡単にできる」と勘違いしてないなと思うのは私だけでしょうか?
いずれにせよ「どのEVを選ぶか?」の決定権は消費者です。世界のユーザーがどんな判断を数年後にするのか非常に気になります。
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