世界が「EV化」してないと勘違いするのは日本人だけ?【アメリカもヨーロッパもエンジン禁止へ】
こんばんは、@kojisaitojpです。ここのところも電気自動車(BEV)に対してマスコミや自動車ジャーナリストが猛烈に批判をするようになってきましたが、そんな日本の状況は無視して世界ではこのようになってきています。
【PSA】米国上院議員がバイデンにガソリン車販売の確固たる「終了日」を設定するよう圧力をかけています。
Exclusive: U.S. senators press Biden to set end date for gas-powered car sales https://t.co/YNCNstHVDh #EV #脱炭素— ガスフリング⚡️テスラ/EV/自動運転/水素/投資 × 🎬VYONDアニメ (@Gusfrin92486024) March 22, 2021
ヨーロッパでは既に各国が2025年のノルウェーを皮切りにZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)以外の新車販売を禁止するというのは既に何度も述べてきたことですが、アメリカではこれまではカリフォルニア州だけが2035年からのゼロエミッション車以外の新車販売を禁止することが決まっていましたが、連邦政府としての方針は決まっていません。
とはいえ地球温暖化に懐疑的だったトランプ前大統領から、就任初日にパリ協定に復帰し、公約に連邦政府の公用車を全車電気自動車化すること、全米に50万箇所の充電ステーションの設置を公約に大統領に当選したバイデン大統領が誕生し、流れが変わってきました。
上記のニュースはアメリカ上院で、一部の民主党議員がバイデン大統領に対し「カリフォルニア州同様の規制を連邦政府の方針として表明してほしい」という要望です。
菅首相 4月前半にも訪米し バイデン大統領と日米首脳会談へ | NHKニュース
【NHK】菅総理大臣は来月前半にもアメリカを訪れ、バイデン大統領と対面での日米首脳会談を行う方向となりました。実現すればバイデン大…
来月日本から菅総理が日米首脳会談で渡米する予定となっていますが、最初の会談から「脱炭素」について圧力をかけてくる可能性が非常に高いです。
今日はそんな風にゼロエミッション車としての電気自動車(BEV)へと舵を切っているアメリカやヨーロッパの「国家」レベルの流れと、自動車メーカー各社の流れに触れます。
目次
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」はEVの多様化のきっかけに?
先日の「Power Day」の内容から「当然その流れになるよな」という話ですが、フォルクスワーゲン社が方針を発表しました。
VW brand to halt combustion engine development – electrive.com
Following Audi’s lead, the Volkswagen brand VW no longer intends to develop new combustion engines. Further developments of the existing units would suffice, according to CEO Ralf Brandstätter, before VW is to become mostly electric.
エンジンの開発を2025年でストップし、2040年までには全車電気自動車(BEV)に切り替えを完了するという計画なのですが、先日の「Power Day」について述べた記事でも言ったようにフォルクスワーゲングループとしてはただの自動車の問題ではなく「バッテリーの自社生産」や「電力供給のネットワーク」の中に電気自動車を位置付けようという社会の仕組みそのものも変えようという計画でしたのでエンジンの開発をストップするというのは当然のことです。
具体的な「Power Day」での話については以前書いた記事をご参照ください。
「脱炭素」を追い風に再エネも活用するフォルクスワーゲンのEV以外の戦略とは?【トヨタは逆走】
先日の「Power Day」でフォルクスワーゲングループが提案したのはバッテリーの生産や充電インフラの整備という「電気自動車(BEV)」の側面だけではありません。「V2H」のシステムを利用してグリッドと双方向のやり取りを可能にする「電力供給の調整弁」として活用するという再生可能エネルギーの欠点を解消する壮大な計画です。
フォルクスワーゲン(VW)の驚異の電動化プランを検証【日本もトヨタもオワコン?】
フォルクスワーゲングループが「Power Day」において、大規模なバッテリー生産工場の設立とそこで生産される「Unified Cell」と呼ばれる新しいバッテリー技術、充電スポットの設置、V2Xを含めた再生可能エネルギーを有効に活用するための蓄電池として電気自動車(BEV)の活用など日本メーカーとは別次元の計画です。
この流れの中でフォルクスワーゲンでは過去にベストセラーとなった車種を電気自動車として復活させる方向で動いています。
その昔「ワーゲンバス」の愛称で親しまれた「フォルクスワーゲン・タイプ2」などもその一例です。
次の項目で紹介します。
結局どっちのデザインなのか不明の「ID.BUZZ」は2023年発売?
先日はアメリカの新興EVメーカー「Canoo」のピックアップトラックやバンタイプの電気自動車については紹介しましたが、ヨーロッパではフォルクスワーゲンが「ID.BUZZ」という名前で以前「ワーゲンバス」の愛称で親しまれた「フォルクスワーゲン・タイプ2」
とはいえこの「ID.BUZZ」については様々な情報が飛び交っていて、過去に発売された「T1」「T2」に近いおしゃれなタイプの車体で登場するとの説もありますが(コンセプトカーはこっちでした)違うという説もあります。
リークされた写真にもあるように「T5」に近いタイプの車体で登場するとの説もあり、どちらのタイプで実用化されるのかは不明確です。
私が個人的に「CANOO」やテスラ「サイバートラック」のデザインが好きなのもありますが、他社がこのように斬新なデザインで投入を予定している以上「T5」に近いような地味なデザインのバンを発売しても売れないのでは?と思ってしまいます。
やはり往年のワーゲンバスを彷彿とさせる「T1」「T2」に近いデザインでEV化してほしいと個人的には思います。
実用面でも最大8人乗りで、搭載バッテリー容量が100kWh以上、航続距離も300マイル(450キロ)以上と言われていますので、大人数の移動、キャンプなどのアウトドアで電源が使える、移動販売車としても実用的です。
現在ヨーロッパで発売中の「ID.3」がゴルフ、「ワーゲンバス」が「ID.BUZZ」ですからあとは「ビートル」のEVが登場すれば往年のフォルクスワーゲンの主力車種が全て電気自動車化することになりますので密かにここも期待しています。
アウディもエンジンの新車開発をストップし全車EV化へ
親会社のフォルクスワーゲングループが全車電気自動車に切り替えるというの方針ですので、当然ですが子会社にも方針は波及します。
Audi Gives Up On Combustion Engine Development — This Is Awesome
Audi is abandoning its development of combustion engines, Electrive reported. The article cited an interview that Audi’s CEO, Markus Duesmann held with Frankfurter Allgemeine Zeitung (FAZ), where he confirmed that Audi is no longer developing internal combustion engines. This is great news! In the interview, Duesmann said, “We will no longer develop a new combustion […]
アウディも新規でのエンジン(内燃機関)の開発をストップする(販売自体はまだ継続する)というアウディのCEOからのコメントになりますが、具体的にいつからエンジン搭載車の販売をストップするかは明言していないものの開発自体はストップすることを明言しました。
とはいえ2025年のノルウェーから始まり、2030年にイギリス・オランダ、国としては2040年予定ですが2030年からは首都のパリ市内へのエンジン搭載車(内燃機関車)の乗り入れを禁止する予定のフランスなど続々とヨーロッパ内で売れる市場がなくなるのですから当然の判断です。
まぁ既に「e-Tron」という電気自動車専門ラインを立ち上げて販売を日本市場でも開始していますので、今後徐々に電気自動車のみの販売に切り替えていくことは当然の流れでしょう。
それでも日本人にはEVを使わせたくないトヨタ?
この前の記事で「トヨタがアメリカ政府にハイブリッド車なども認めるように圧力をかけていた」ことに触れましたが、こういうことをやっているとトヨタという企業レベルの話ではなく、日米関係という国家間の関係も悪化する可能性があります。
テスラ・フォルクスワーゲンと比べたトヨタのオワコン具合とは?【終わりの始まり・Prologue】
先日発表された「AYGO」がガソリン車であったことも衝撃でしたが、他にもトヨタはアメリカでEV化の流れを妨害するようなロビー活動や政府の補助金にハイブリッドも加えてもらうように圧力をかけているという情報が出てきました。EV化の流れに上手く乗ったテスラやフォルクスワーゲンとトヨタの間にはどのような差があるのか考察します。
どうしても世界がEV化していることを認めたくない自動車メーカーやジャーナリストはこの現実を無視して「EV化してもエコじゃない」とか「EV化の流れ性急すぎる」などあたかもまだ世界の流れがEVへと進んでいないかのように言いますが、今日見てきたようにアメリカ・ヨーロッパは国家レベル・企業レベルで猛烈な勢いで電気自動車(BEV)へと進んでいます。
これに対して「EVはエコじゃない」と主張したところで「もう国家レベルで決まったルールだよ」と言われてしまって終わりです。
少なくとも自動車メーカーが何を文句を言ったところで何の意味もなく、「この車は売っていい、この車は販売禁止」と法律で決めるのは各国政府であることを忘れています。
ようやくトヨタも電気自動車(BEV)を4月19日から開幕する上海モーターショーで、EVの新型SUVをワールドプレミアを行い2021年中に発売するようですが、日本市場では意地でも売りたくないようです。
日本人には、なるべくHVを買ってほしいのでしょうか。メーカーとしては。
「ただ、トヨタ、スバルのEVは、アメリカ市場、中国市場をメインマーケットと想定しており、日本での発売はまだ明確になっていないのが実情です。」 https://t.co/vmdF5jYdl1
— Mont@ZE1 (@FLoE38961459) March 23, 2021
まぁ「日本市場で流通させたくない(日本人には世界で売れないハイブリッド押し付ければいい?)」のと以前から指摘しているバッテリーの供給が間に合わないという物理的な事情の両方が絡んでいるでしょうが、いずれにせよ日本国内で電気自動車(BEV)が流通するのは困るようです。
そのような企業の意向を受けた御用ジャーナリストなどもこのような荒唐無稽な理論とも言えない暴論をメディアに掲載し、EVの悪口を言っています。
水素・バイオ・e-fuelを語るならEVはあまり関係ない。バッテリーはこれらマルチエネルギー(原子力や化石由来含む)と相性はむしろよい。モビリティの動力源をどうするかは切り離すことが可能なのに、EVを論点に入れる意味がわからない。https://t.co/7UMRbIOBqU
— 中尾真二 (@bushdog) March 22, 2021
エネルギーの問題と電気自動車(BEV)の問題を無理矢理結びつけて「日本にはEVは向いてないんだ」と力説していますが、向いている向いていないに関係なくアメリカ・ヨーロッパ・中国という世界の巨大市場で売れなくなるハイブリッド車やPHEVを今後も売り続けること自体が現実的ではないと思うのですが。
もう販売禁止って法律が成立して決まってることなのに「EV化するとは限らない」とか言ってしまう自動車ジャーナリストって何なの?と思ってしまう(笑)
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) March 23, 2021
いよいよ、「日本の自動車メーカーがオワコン」へと突き進むような悪寒しかしません。
人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!