メルセデス「EQA」に漂う「大丈夫か?」という雰囲気はなぜ?【ポルシェ「タイカン」や日産「アリア」と比較】
こんばんは、@kojisaitojpです。電気自動車化の流れに遅れているように思えるドイツのあのメーカーがやっと電気自動車を投入(「EQC」は既に投入してますが)してきました。
メルセデスEVのエントリーモデル「EQA」、今年リリース。
価格は、600万円〜。
ドイツ補助金で、ガソリン車とトントンですかね。
ガソリン車のGLA購入を検討している方だと選択肢に入るでしょうね。
このサイズの他社EVから顧客を奪えるクルマではないと思います。#電気自動車 #メルセデス https://t.co/98A2481YXU
— たか@電気自動車情報を発信 (@tk415523) January 24, 2021
2021年から電気自動車に本格参入というのがメルセデスの方針ですので、この後出てくるSクラス相当の電気自動車まで見ないと評価はしにくいところですが、この車だけ見た感じだと「GLAの代わりにもなるか怪しい」という雰囲気が漂っています。
ちなみにドイツでは40000ユーロ以上の車には補助金が出ないルールですので、ユーザーはこの価格で買うことになります。
と考えると同価格帯の電気自動車と比べて「メルセデスEQAをあえて買うメリットはどのくらいあるのかな?」という比較の問題になります。
あ、もちろん「メルセデス・ベンツ」というブランドであれば無条件で買うという富裕層が一定数いるのは十分理解していますので。
今日はこの辺りをいくつかの電気自動車を並べながら比較してみます。
目次
メルセデス「EQA」のスペックとプラットフォーム上の欠点
簡単にスペックを話すと「搭載バッテリー容量79.8kWh、航続距離380キロ(EPA)、最大充電出力100kW」で、0-100キロの加速は8.9秒と案外平凡です。
特徴は搭載バッテリー容量が79.8kWhなのに対し、NET値(実際使われる容量)が66.5kWhとかなりマージンを取っている点です。
ここに余裕を持たせることで10%〜80%の充電が30分で可能(バッテリーも強制水冷式で熱くなりにくい)な点が最大の特徴で、先に発売しているフォルクスワーゲンやプジョーなどの電気自動車同様に航続距離はテスラには及ばなくても、急速充電の速度で補えるという設計です。
私が電気自動車を評価する時の一つの基準として「従来のプラットフォームの流用か、それとも電気自動車専用のプラットフォームなのか?」という基準があります。
例えばフォルクスワーゲンなら「e-ゴルフ」は不可、日本市場には2022年以降に投入予定の「ID.3」「ID.4」なら合格という感じです。
言うまでもなくテスラやNIOは最初から電気自動車専門ですので、この部分に関しては当然合格です。
ですので「GLA」のプラットフォームを流用した「EQA」は失格ということになります(笑)。
実際に車のサイズの割に、元の「GLA」と比較してもラゲッジスペースが340ℓとGLAと比べると小さくなり過ぎです。わかりやすい部分なのでここを強調しますが、結局元のガソリン車のプラットフォームを流用するとどこかに無理が出てしまい、それにユーザーが泣かされるということがよくあります。
まぁ「目をつぶってメルセデスだから買う」という富裕層であれば「でもSクラス相当のEQSはきっと本気で作ってくる」とまだ希望を持っていることでしょう。
実際フラッグシップセダンである「EQS」は根本から変えてくる可能性はあります。
でもその前に「EQA」の「充電出力」を見ればメルセデスの本気度がわかってしまいます。
また外車全般の懸念材料で「充電速度を本国と同じ100kWhで来るのかどうか?」もメルセデスの本気を測るバロメーターになると思います。ここを日本のチャデモに合わせて50kWhに制限してくるようだと「メルセデスもその程度か」と思ってしまいます。
ぜひメルセデスのプライドにかけてディーラーに100kWhの急速充電器を設置してもらいたいところです。
どうせ日本市場には本国ドイツの約600万をはるかに超える高い価格で上陸するのでしょうから、そのくらいのサービスは当然やるよね?と言いたいです。
この辺がテキトーだった場合は後に発表されるフラッグシップセダンの「EQS」への期待値も下がります。
片やEV専用プラットフォームのポルシェ「タイカン」
サイズも価格帯も違うことは承知の上でですが、同じドイツの高級車ブランドであるという意味で共通の「ポルシェ」との電気自動車に対する姿勢の違いには述べておくべきなので紹介します。
ポルシェ・タイカンは以前紹介してますので、よろしければこちらもご参照ください。
2021年日本国内で調達可能な電気自動車ならどれがいい?【個人的趣味です】
明けましておめでとうございます。早速新年一発目の更新になりますが、新年にふさわしく2021年に日本国内で調達が可能な電気自動車の中から私が欲しいと思ったものを独断と偏見で紹介します。分析すると急速充電が50kWに制限されたものが多く、充電設備もガラパゴスな日本市場で電気自動車を売ることは大変だということがわかります。
昨年発売されたポルシェ「タイカン」はポルシェブランド初の電気自動車でパッと見派「パナメーラ?」という感じもしますが、ポルシェ社はパナメーラのプラットフォームを流用することなく専用のプラットフォームを用意してきました。
親会社のフォルクスワーゲンが「ID.3」「ID.4」と電気自動車専用プラットフォームで生産を開始していることがポルシェにも反映されています。
以前ポルシェ・タイカンを取り上げた際にも言いましたが、やはりポルシェが電気自動車を作ると「俺たちはその辺のメーカーとは違うんだ」的なプライドを感じるしっかりした車を作ってくるというイメージ通りの車です。
また日本に輸入される際の懸念材料である「充電出力」も本国ドイツと同じ150kWhで、現在日本各地のポルシェセンターに急ピッチで充電器を整備している点もさすがはポルシェというメリットです。
メルセデスはどうするのでしょうか?まさか日本のチャデモに合わせて出力を50kWhに制限してくるとは思いたくないですが。
あえて難癖(?)をつけると、このメーカーは日本市場に投入する時だけはやたらと高い値段で投入してくるという点くらいでしょうか(笑)。実際タイカンも北米市場の価格の2倍近い価格で発売してますし。
まぁ「ポルシェ」というブランドイメージを守るためなのでしょうが。
同じ位のグレードなら日産「アリア」と比較
さて車としての性能を比較するなら日産「アリア」がスペック的にも価格的にも最も近いと思いますので比較します。
細かいスペックについては以前書いた記事がありますので、こちらをご覧ください。
「ボルボXC40 Recharge」と「日産アリア」を徹底比較【2021年発売予定】
2021年に日産がいよいよ投入する「アリア」を同じミッドサイズSUVでスペック的にも競合することが予想されるボルボ初の電気自動車「XC40 Recharge」と比較してみます。PHEVに注力していたボルボがようやく電気自動車に全力投球してきましたが、早い時期から電気自動車を販売していた日産がどう迎え撃つか注目です。
メルセデス「EQA」との比較で目立つ点だけ取り出すと(価格が近いステンダードレンジにします)、「搭載バッテリー容量65kWh、航続距離348キロ(EPA)、最大充電出力130kW」です。
搭載バッテリー容量が小さいようにも見えますが「EQA」と違いNET値が63kWhとマージン分を除けばほぼ同サイズです。
航続距離ではやや劣るものの、急速充電が「EQS」を超える130kWhで10%〜90%の急速充電が30分で可能なのでどうにか追いついています。
リーフにはBMS(バッテリーマネージメントシステム)がなく、急速充電時にバッテリーが熱を持ってしまい速度が落ちるという多くのユーザーから不満として挙げられた点は強制水冷式のシステムを導入したことで欠点を解消しています。
価格はスタンダードレンジの場合は約565万円とこの点でもメルセデス「EQA」とほぼ互角です。
ラゲッジスペースは電気自動車専用プラットフォームゆえ466ℓと「EQA」よりかなり余裕があります。
メルセデス「EQS」とどっちが良い?という話になると好みもありますし、「メルセデス」というブランドにこだわる方もいるでしょうから意見が分かれるかと思いますが、正直互角かラゲッジスペースを重視するなら日産アリアの方がオススメです。
メルセデスでさえ「?」なのに日産以外の日本メーカーは?
昨日も引用しましたが、トヨタが渾身の力を込めて作成した電気自動車がこれです。
ホンダはこれです。
まぁこの辺と比べればメルセデスの「EQA」はマシではありますが、同じドイツでフォルクスワーゲングループがフォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェで専用プラットフォームで生産された電気自動車を続々と投入するのに比べると「メルセデスは大丈夫なのか?」という気がしてきます。
もちろんメルセデスの場合は「メルセデスだから買う」的に発売されると目をつぶって買うような富裕層が世界中にいますのですぐに会社がどうこうなることはないでしょうけど。
反対にいうと今後発売される予定のメルセデスSクラス相当の「EQS」がコケたらメルセデスといえども安泰ではないかもしれません。
以前紹介した電気自動車であればこの水準の高級車市場に「NIO ET7」とか「Lucid Air」辺りが割り込んでシェアを食うようになる可能性はそれなりにあります。
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