バイデン政権の誕生で電気自動車に本腰を入れるアメリカ【逆走する日本】

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こんばんは、@kojisaitojpです。とりあえず日本国内でいくらギャーギャー騒ごうとも世界の電気自動車化と再生可能エネルギー化の流れは加速していきます。

既に決まっていたことですが、バイデン政権の発足によって、現在はわずか2%(それでも1%にも満たない日本よりマシ)の普及率に過ぎないアメリカの電気自動車の普及率も大幅に上がっていくことが予想されます。

今日はバイデン大統領の誕生によってアメリカが再び環境重視、電気自動車化を具体的にどのように進めていくかについて説明しながら、そんな世界の流れとは真逆の方向に逆走することをまたしてもやらかした日本の現状について触れます。

バイデン政権で予想される「電気自動車化」「再生エネルギーへの転換」とは?

バイデン大統領
さて様々な紆余曲折を経ながらもついにアメリカ第46代大統領に就任し、正式にバイデン政権が発足したアメリカですが、先ほども引用したように早速環境重視・電気自動車優遇の政策を打ち出しています。

伝統的に民主党政権は環境重視の方向に政策を進めますので、予想通りの内容ではありますが、

  • 電気自動車の税控除の対象拡大(現在はテスラもGMも除外)
  • 充電インフラの大幅な拡充
  • パリ協定への復帰により再生可能エネルギーの推進

それぞれ順番に説明していきます。

グリーンニューディール

まぁ基本的に環境政策についてはトランプ政権が取っていた世界の流れに逆行する政策を、再びオバマ時代の世界の流れに沿った政策に戻すというのが正確な言い方かもしれません。

まずは「税控除の対象拡大」ですが、トランプ政権でも電気自動車の購入者に対し7500ドルの税控除はありました。

しかし「電気自動車を20万台以上販売したメーカーの車は除外」という謎ルールがあり、おかげでアメリカのメーカーであるにもかかわらずテスラとGM(シボレーのボルトEVが売れました)が除外されていました。

バイデン政権の発足によりこれらのルールは見直され、テスラやGMも7500ドル(増額の可能性もあり)の対象に入る可能性が高いです。

すると例えばアメリカ本国でテスラ・モデル3のスタンダードレンジがなんと30490ドル、300万ちょっとで購入可能になります。

こうなるとアメリカ市場で日産やフォルクスワーゲンの電気自動車は壊滅的な打撃を受けるかもしれません。

それどころかガソリン車がメインのトヨタなどは実質終了かもしれません。電気自動車化が進む中国市場、ヨーロッパ市場に続きアメリカ市場も失うきっかけになる可能性があります。

それに対し全く危機感がない、それどころか「環境利権だ」的にバイデン政権への攻撃を始めているコメントやツイートなどを既に数多く見かけるのですから恐ろしいです。

仮に「環境利権」、環境を旗印に金儲けをしようという動きだとしても(実はアメリカの民主党政権は以前からそういう傾向はあります)、この流れにヨーロッパも中国も乗っかるのが今の流れです。

他にも昨日説明したようにインドなどの新興国、あるいは日本人目線で「貧乏だから無理」と下に見ているアフリカ諸国でも「原油の輸入が国の財政を圧迫している」という理由から電気自動車化の流れ、原油依存から再生可能エネルギーへと舵を切ろうとしているのはこのブログでも述べてきた通りです。

もはや産油国以外では日本が「脱化石燃料」の世界の流れに対する最大の「抵抗勢力」かもしれません。

個人的には人口がたった1億ちょっとの国だけが抵抗しても…と思うのですが、日本語しか通じないメディアやツイッター、ヤフコメなどでは電気自動車や再生可能エネルギーへの悪口がガンガン書き込まれています。

世界から取り残される一方です。

トランプ政権下でも「再エネ」が推進されていたアメリカ

再生可能エネルギーの具体例
パリ協定からの離脱など環境問題への取り組みに無関心のように思われていたトランプ政権ですが、実はこんなデータもあります。

アメリカの電力推移

何と発電における石炭の使用量が大幅に低下していて、もう再生可能エネルギーに抜かれているという事実があります。

言ってることとやってることが違うトランプ

個人的にはこの人は「言ってることとやってることがかなり食い違っている」というのを確信犯でやってた人だと深読みしています(笑)。

彼が表面的に言っていることを真に受けすぎたのはアメリカ人よりも一部の日本人かもしれません。

先ほど説明した電気自動車に対する税控除も、不完全な制度とはいえ7500ドルと高額でしたし、実は案外環境にも配慮した政策が取られていたという側面があります。

再生可能エネルギー

当然ですがバイデン政権下ではこの「再生可能エネルギー」へのシフトは更に進みますし、同時に「電気自動車の充電インフラへの大規模な投資も打ち出しており、50万基以上の充電インフラの増設も打ち出しています。

むしろ2016年以降(偶然ですがトランプ政権発足後)に充電インフラが全然増えていないのは日本だったりします。

日本の急速充電器普及状況

このグラフは日本の急速充電器の設置数で2017年までのものですが、実はこの後も大して増えていません。

それでも日本では「電気自動車化潰し」の動きが

テスラの看板
片や日本ではこの有様です。

テスラ社の取締役である水野氏が経済産業省の参与に就任していたことを「利益誘導」だと叩く記事が週刊新潮に掲載されたようですが、これも謎です。

というのも水野氏が本当にテスラ社の利益のことしか考えていないのであれば、日本のEVシフトのためのアドバイスを政府にするというのは日本の自動車メーカーを強化(電気自動車化)することにつながるのでテスラ社側から「利益相反」と言われるリスクがあります。

私がもしテスラ社の利益のために行動するのであれば、むしろ日本の電気自動車化を邪魔して、日本の自動車メーカーの競争力を無くすように行動しますけどね(笑)。

そのようにテスラ社の方から「利益相反」と言われるリスクを承知でわざわざ日本のために経済産業省に来てくれた方に対して真逆の「テスラ社への利益誘導だ」と叩かれるという摩訶不思議な状態が今の日本です。

これではせっかく日本のためにと思って行動してくれる人物がどんどんいなくなってしまいます。

「世界の中の田舎者」として取り残される日本の将来

日本オワコン
アメリカ、中国、ヨーロッパの電気自動車化、再エネ化の流れを見ていると日本だけが取り残されているように見えます。

むしろ日本メーカーの電気自動車化を阻害する流れは、先ほども言ったように日本メーカーの電気自動車が競合にならない、テスラなどの外資系のメーカーが売りたい放題になるので外資系を利する結果になります。

先日の記事でも「実はフィアット500EVこそが日本で必要とされる電気自動車では?」的なことを述べましたが、本来このようなコンパクトな軽自動車級のサイズの電気自動車こそ日本メーカーが得意とする分野だったはずです。

ところが現状三菱アイミーブ以外にこのサイズの電気自動車が存在しない(PHEVはありますが)という「本来得意だったはずの市場まで手放そうとしている」のが残念な現実です。

別に先程の水野氏がテスラ社に「利益誘導」をしなくても、自然とテスラ社が勝ちやすいように流れができてしまっています。

水野氏を叩いている方々はこのことを知らないようです。もし水野氏がテスラ社の手先で、テスラ社の利益のために行動するなら日本のようにハイブリッドとプラグインハイブリッドもOKにするという「手ぬるい」優遇策は取らないで、電気自動車一択のみを推進する方がテスラ社の利益につながるのでは?と思います。

私から見ると「どんな言いかがりでも誹謗中傷でもいいから攻撃しろ」という悪意すら感じます。

かくして「わざわざ世界の流れに逆行して負ける道を選んでいる日本メーカー」のように見えてしまいます。

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