ヒョンデ「IONIQ5」の事故・火災で大騒ぎするのは日本人だけ?
こんばんは、@kojisaitojpです。このニュースを取り扱うべきか悩むところですが、取り上げないと取り上げないで攻撃されるでしょうから取り上げます。
そちらではもう原因がわかってるのですね。
わざわざありがとうございます!— saito koji@クラファンの次はIONIQ5納車待ち (@kojisaitojp) June 14, 2022
私のYouTubeチャンネルにも早速IONIQ5を非難するクソコメがいくつも来てますが、韓国で「IONIQ5が事故を起こし炎上した」というニュースです。
いちいち返答する価値もない誹謗中傷だと判断しているので即削除・通報以上のことをしてませんが、一部で騒いでいる人々がいるようです。
そこで今日は韓国で起きた「IONIQ5」の事故について「事実を分析しながら」問題を探っていきたいと思います。
目次
韓国で起きたヒョンデ「IONIQ5」の事故原因・炎上の原因は?
事故から数日経ったので韓国のメディアでは既に事故原因についてある程度明らかになってますが、現時点で判明している事実は以下のような感じです。
- 時速100kmの速度でブレーキ操作なしで衝突
- 運転者と同乗者の両方ともシートベルト未着用(安全ベルト警告クリップ装着)
- 火災による死亡ではなく、衝突の衝撃で即死
事実を見ようともせず韓国メーカーだからと叩いている方々は見えてないでしょうが、この事故はドライバーにかなりの過失があります。
まず「時速100kmの速度でブレーキ操作なし」などという報道を見ると「その程度の速度で衝突して燃えるのか」と言われそうですが、これは高速道路の料金所付近、日本の高速道路であれば40キロ規制になるエリアでの話です。
しかも「ブレーキ操作なし」ということは「居眠り?」という可能性も浮上します。あるいは後で取り上げるテスラの事故同様に「自動運転に任せていて前方が見えてなかった」という可能性もあります。
その証拠に死因が「衝突の衝撃」となっています。死体を解剖した結果肺から煙が検出されなかったことから死因と火災は関係なかったようです。
「衝突から3秒で発火したから逃げられなかった」などと日本のネット上では言われていますが、衝突した時点で即死だったようです。
おそらく「シートベルト未着用」でも警告が鳴らないように細工したことで衝突時にエアバックが作動しなかったことで衝撃をまともに食らったのではと思われます。
私としてはこの時点で「ドライバーの過失だな、IONIQ5の責任ではないな」と思いました。
そして「バッテリーからの発火」ですがこれも「韓国のバッテリーだから」などという問題ではなさそうです。
高速道路上に設置されていた「衝撃吸収構造物」が運悪くバッテリーを突き抜けたことが発火の原因と報道されています。
「バッテリーが燃える」とEVの批判をするのは簡単なのですが、当然ですがバッテリーは車体の下で厳重に保護されています。それを突き破るような衝撃が加わる、というか突き破るようなものが飛んでくる方が例外です。
ただしバッテリーが発火しやすいことについては我々も注意が必要です。
「燃える」と叫びたければこれ見てから言えよと思うんだけど、そう奴らって見ようともしないんだよな。
Nail Penetration Test on NCM Battery and BYD Blade Battery https://t.co/Phk2EUj7De @YouTubeより— saito koji@クラファンの次はIONIQ5納車待ち (@kojisaitojp) May 11, 2022
確かにリチウムイオン電池には発火というリスクが伴います。
上記の動画は中国・BYDが「Bladeバッテリー」という正極材にレアメタル(コバルト)の代わりに鉄を使用したバッテリーの安全性を証明した動画なのですが、この動画でも通常EVで用いられるNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリーは発火しています。
今回の「IONIQ5」でも発火した原因も「高速道路上の衝撃吸収材がバッテリーを突き抜けた」ことが原因です。
ですがこの「発火のリスク」というのはガソリン車でも同じだということは忘れてはいけないと思います。衝突の衝撃でガソリンタンクが損傷すれば簡単に発火します。
EVだけを悪者にはできないと思うのは私だけでしょうか?「3秒じゃ逃げられないのはEVだけだ!」と叫んだどころでガソリンに引火した際も同じように即炎上します。
今回の事故のようにスピードの出し過ぎで衝突すればEVだろうがガソリン車だろうが当たりどころが悪ければ発火します。無茶苦茶な運転はしないに限ります。
このような事故の背景やバッテリー火災同様にガソリン車も火災は起きると言う事実を見ないで「韓国車だから」「ヒョンデだから」と叫ぶのはただの偏見です。
「IONIQ5」のバッテリーはLG製ではなくSK製?
「韓国製のバッテリーなんか」と叫ぶ方々も同様です。
以前ヒョンデ・起亜が炎上事故を頻繁に起こしていたのはLGエネジーソリューション製のバッテリーで、その責任の所在で揉めた結果ヒョンデは「IONIQ5」からはSKイノベーション製のバッテリーに切り替えています。
SK Innovation aims to change the corporate identity “from carbon to green” by investing a total of 30 trillion won in 5 years
■ Officially declaring at the Financial Story briefing session attended by all the company executives including SK Innovation CEO & President Kim Jun – Unveiling “Innovation Completion” p…
そしてこのSKイノベーションが重大な発火事故を起こしたことがないのは以前の記事で触れてますのでご参照いただければと思います。
バッテリー火災を巡る韓国メーカーの対立を日本が生かせてない?【ヒュンダイ・LG・SK】
バッテリー火災を巡るヒュンダイ・LG・SKの対立が泥沼化しており、LGのバッテリーとヒュンダイのBMSのどちらに問題があるのかがはっきりしないままリコール対応を発表したという事実が明らかになりました。対立を漁夫の利として日本メーカーが生かせていないように見えるのは残念なことですが、反撃の可能性があるのかも考えてみます。
この事実の前に「どうせ韓国メーカーなんだから事故起こすに決まってる」のように自分の主観であれこれ言うべきではないと思います。
Twitterのヒョンデジャパンのオフィシャルアカウントにこのような暴言を吐いているアカウントを毎日のように見かけますが、名誉毀損で民事訴訟でも起こされたらどうするんでしょうね?
ネット上で暴言を吐く前に「アカウントの向こう側に生身の人間がいる」ことくらい気づくべきだと思います。
テスラのオートパイロットも叩かれましたが
実は同じような事故は昨年テスラでも起きてましたが、これもドライバーの過失でした。
確かに何かでハンドル抑えれば運転席にいなくてもオートパイロットできるんだけど、それでテスラを叩くわけ?
テスラの「Autopilot」は運転席が無人でも簡単に作動できる–実験動画が公開(CNET Japan)#Yahooニュースhttps://t.co/p6IbNOGQ2z— saito koji@クラファンの次はIONIQ5納車待ち (@kojisaitojp) April 23, 2021
テスラのオートパイロットは「自動運転」ではない、正確には「自動運転レベル2(常にハンドルを握る義務・事故の全責任はドライバー)」です。
自動運転の定義やこの事故が起きた際の分析については以前触れた記事がありますので、こちらもご参照いただければと思います。
テスラの「オートパイロット」は「自動運転」ではない?【事故は100%ドライバーの責任?】
最近アメリカでの交通事故をきっかけにテスラの自動運転機能が叩かれているようですが、そもそもテスラの「オートパイロット」は自動運転レベル2という全責任がドライバーにあるものです。これでテスラが叩かれる意味がわかりませんが、新しい技術を叩きたい、何とかして足を引っ張りたいという意識は日本でもアメリカでも一定数いるようです。
こちらの記事で述べたテスラの事故の場合は「ドライバーが重りを使ってハンドルを握らなくてもオートパイロットが作動するように細工した」ことが問題でした。
つまりドライバーに過失があるという意味では今回の「シートベルト警告音を出さないように細工したIONIQ5」と同じ匂いがします。
なんてことを言うと「ドライバーがおかしなことをしても平気なように対策しろ」だとか「日本メーカーはこんなことは絶対に起きない」と怒り狂う方々がわいてくるのですが、そもそも「違法な運転をするドライバーへの配慮」なんて必要なのでしょうか?
「安全性とユーザーの利便性」のバランスを取るのがEVに求められること?
なんて言うと「お前は安全性を軽視するヒョンデやテスラの肩を持つのか!」と怒る人がいることでしょう。
ですがそもそも「安全性最優先で性能は犠牲」と「安全性軽視して性能を引き出す」のように「安全性か性能か?」のような二者択一、ゼロサムにしたがるのか謎です。
過剰にやり過ぎた典型例がbZ4Xになりそうですね。
— saito koji@クラファンの次はIONIQ5納車待ち (@kojisaitojp) June 19, 2022
確かに日産が「リーフ」を発売して以来12年近くにわたってバッテリーの発火事故を起こしていないことは素晴らしいことです。
これがあるから既に新車販売に占めるEVの比率が90%近くになっている成熟したノルウェー市場でさえ今でもそこそこ売れると言うのはあるでしょう。
ですが安全性を重視しすぎることがユーザーの利便性やUXを損なう可能性もあり得るんだということもテスラやヒョンデが教えてくれてるのでは?と思うところです。
燃える燃える発狂してる奴はこれ見てから言えよな。
Hyundai IONIQ 5 – 2021 – Crash test Euro NCAP https://t.co/O3oNUivuaJ @YouTubeより— saito koji@クラファンの次はIONIQ5納車待ち (@kojisaitojp) June 17, 2022
これはNCAP(ヨーロッパ)の衝突安全テストの動画です。ヒョンデ「IONIQ5」はここで5つ星(最高評価)を獲得しています。
決して安全性を軽視したメーカーではないと思うのは私だけでしょうか?
このテストでもかなり強烈な衝突をテストしてますがバッテリーが発火してません。
「韓国メーカー=安全性軽視」「日本メーカー=安全性重視」というステレオタイプな見方自体改めるべきではないでしょうか?
まぁいずれにせよ今回のヒョンデ「IONIQ5」の事故については今後出てくる情報を見た上で「EVが中心になる時代にドライバーがわきまえるべきことは何か?」について考える必要はあると思います。
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