【アドラー心理学のツボ】失敗の原因を過去に求めてはいけない理由とは?
こんばんは、@kojisaitojpです。連日「ライスワーク」をテーマに「食うためだけに嫌々働くのって精神衛生上良くない」ということについて語って来ましたが、この手の話をするのにぴったりの教材を今更ながら見つけました。
凡人は1回目から確実に成功しようとして考え過ぎて動けない。一方、天才は101回目で結果が出ると知っていて、失敗を気にせず試行錯誤を繰り返す。私は天才じゃないけど考え方を学んだので、すぐに結果が出ずとも挑戦をやめなくなった。結果、残念だったキャリアが今の形となりました。行動量こそ正義!
— 浅井さん@4社の社長 (@asaitomohide) September 6, 2020
「何回失敗してもチャレンジすればいつかは成功する」というマインドは大半の日本人には受け入れがたいものかもしれません。
「この前失敗したから次も失敗する、だからやる気が…」というのが一般的ですよね。
これを解消するために「アドラー心理学」という名前を出すと、あぁどっかのYoutuberやインフルエンサーの受け売りかと誤解されそうですが…。
もしそう思ってしまうなら、前から私が指摘している「インフルエンサー=胡散臭い」というよろしくないイメージがアドラーのイメージまで悪くしてるかもしれません。
とはいえ私も最近までアドラーは読んだことがありませんでした。
私も大学生の時に現代思想の勉強としてフロイト・ユングは読みました。他にもラカンなどもかなり読みましたが、フロイト学派であるにもかかわらずアドラーには無縁でしたが、案外マインドセットに役に立つことがわかりました。
目次
案外面白かった「アドラー心理学 嫌われる勇気」
日本でアドラー心理学を有名にしたきっかけが、ベストセラーにもなった「アドラー心理学 嫌われる勇気」です。
まぁアドラーを紹介するYoutuberやインフルエンサーは多いので、「どの程度のこと言ってるんだ」「どうせ大したこといってないだろ?」と私もナメた感覚で読んでみましたが、確かに肯定できる側面はありました。
今日のテーマに結びつくのは「過去の事実が現在の自分ができた理由になるのか?」という部分です。
アドラーが取り上げる例は「幼少期に虐待を受けたから今の自分が引きこもりになった」という因果関係(原因:幼少期の虐待、結果:引きこもり)そのものが妥当ではないということです。
いわゆる「トラウマ」というものを否定します。
確かに「幼少期に虐待を受けたけど普通に社会生活を送っている人」もいますし、「幼少期に虐待を受けてないけど引きこもりになった」人も世の中にはたくさんいます。
今の自分を正当化するためにもっともらしい過去の事実を「原因」として捏造するということです。
別に虐待の話を持ち出さなくても、例えば日常生活に置き換えて「ウエイトレスがコーヒをこぼしたので激怒した」という場面を想像してみましょう。
「コーヒーをこぼしたから(原因)怒った(結果)」というともっともらしく聞こえますが、仮にウエイトレスがとんでもない美人だったら怒りますか?
私も怒れないかもしれません。好きな芸能人を思い浮かべればイメージしやすいですが(女性の場合はイケメンのウエイターを想像してください)。
「可愛いから許す」という別な因果関係が捏造されるかもしれません。
つまりウエイトレスに怒ってしまう時は「怒りたいという自分の欲求を正当化するために『コーヒーをこぼした』という事実を利用した」と言うこともできます。
ぶっちゃけた言い方をすると「元々抱えていたストレスを解消するためにウエイトレスのミスを利用した」ということです。
納得しにくいかもしれませんが、美人なら怒らないかもという時点でアドラー心理学が妥当であることを認めたことになります。
「過去の出来事」→「今の自分」と結びつけるのは間違い?
「因果関係」というのは論理学や自然科学の基本になるので「何となく正しい」と思ってしまいがちですが、
『心理学』(116)
『人間行動を因果律で考えない』
近代技術等は自然科学の因果律を土台に成立しているので人間に関しても因果律で考えがち。つまり原因を考える。アドラー心理学では目的で考え怒っている人はその人の目的を達成するために怒る行動をとっているとする。— K's Dee(ケイズ・ディー)????歌うロボット工学者・SSWで空想大学『京都観光文化短期大学』配信 (@Ks_Dee_info) September 6, 2020
となると冒頭のTweetにあったように「過去に失敗したから今回も失敗する」という因果関係は成り立たないということになります。
これに気付いてどんどんチャレンジする人が結局は物事を成功させる人と言っても過言ではありませんが、確かに、
「貧乏マインド」について述べた際にも言いましたが、通常は「失敗してもいいからトライしてみよう」ではなく「失敗しそうだから止めておこう」になりがちです。
でも落ち着いて考えてみると「過去に失敗した」という事実と「今自分が新しいことをやろうとしている事実」には何の関連もないですよね。
先ほどの例でいうと「幼少期に虐待を受けたから対人恐怖症になった」人もいれば「幼少期に虐待を受けたけど対人恐怖症になってない」人もいるわけですから。
「この前失敗したから今回も失敗するだろう。だから止めておこう」という思考回路は何も論理的ではありません。
むしろアドラーの言い方を借りると「今新しいことをやりたくない」から「過去に失敗した事実」と無理矢理結び付けて、新しいことをやろうとしない自分を正当化していると言うことすらできてしまいます。
予備校でも「原因」は捏造されていました
予備校時代にもこの手の「結果から逆向きに原因を捏造」する場面を何度も見てきました。
他の科目の講師や学生バイトが生徒に向かって「お前本読まないから現代文できないんだよ」的なことを言っている場面を何度となく見たことがあります。
「本を読まない」という過去の事実が、「現代文の点数が取れない」という現在の事実と結び付けられているわけです。
これ、現代文教えてる講師からすれば立派な営業妨害ですよ。
他の講師だろうが、学生バイトだろうが本気でブチ切れてもよかったのかなと今更ながら思います。
そもそも「本を読まない」という過去の事実を、受験生(高校3年か浪人)になって言われても今更解決のしようがないですよね。
今更どうにもならない過去の事実を原因として無理矢理結び付けて「だからできないんだよ」と言われると、言われた生徒の側のモチベーションが落ちます。
つまりその発言を発してる当の本人が、現代文という科目のことをど〜でもいいと思っているから(成績を向上させようと思わないから)「本読まない」という、受験生になってから埋められないような「過去の原因」を捏造してもっともらしい理由にしていると言うこともできます。
(実際は読書経験がなくても訓練を積めば、大学入試の問題を解く程度の読解力であれば簡単に身につきます。それを教えられない講師はプロとは言えないです。)
繰り返しますが、これは現代文を教えている私に対する立派な営業妨害です。「お前の仕事価値ないよ」と私を挑発しているように思えます。
もし私が同じノリで生徒に「お前英語できないのは留学してないからだよ、諦めな」みたいなこと言ったら激怒する英語の講師とかたくさんいそうですし、それに加勢する予備校の職員とか学生バイトもたくさん現れそうです。
「現代文はテキトーでいいけど、英語はしっかりやれ」みたいな受験業界を支配する空気が、私が講師やるモチベーションが下がる一因だったと今更ながら思いますが。
このようにして「わけのわからない過去の原因を持ち出すことで、上手くいかない現状を正当化しようとする人間」が日々生み出されているわけです。
もっとカンタンにアドラー心理学を
「そうは言われても難しい本読んでる時間ないからなぁ…」などと自分を変えようという気のない人は「忙しい」という理由を捏造してアドラー心理学には手を出さないかもしれません。
時間をかけないでカンタンにアドラー心理学の本質を学ぶ方法もあります。
正直最初はこの程度の本でもいいと思います。アドラー心理学を猫の行動と結びつけた本で、アドラー博士ならぬニャドラー博士が「猫の生き方を人間が学ぶと強くなれる」と解説してくれます。
などと言うとクソ真面目な人ほど、「こっちは真面目に悩んでるんだよ!」と怒り出すのでしょうが、そのような「心に余裕のない状態」が様々な不要なトラブルにつながります。
下手な「自己啓発本」を読んで洗脳されるより、「ネコ啓発」でも読んで、たくさん笑ってリラックスした方が人生にプラスになると密かに思ってたりします。
「難しい学術書だから得るものがある」とか「ネコの話されても人生の役に立たない」というのも勝手に理由を捏造した決めつけの可能性もあります。
私も文学部だったので、学生の時に大学院生などと一緒に勉強会をしたこともありますが、こういうカンタンな本を参考文献に使って発表したりすると「そんな本使うな」と怒られたことがよくありましたが、そういうことを言う大学院生に限ってトンチンカンな発表をしていたりしました。
「カンタン=内容もいい加減」「難しい=内容もしっかりしている」という決めつけ自体に根拠がないです。
私が大学院に行こうと思わなかったのは、このような感じで思想の迷宮に入って人生棒に振りたくないなと思ったのが大きいです。
当時私をボロクソに批判した大学院生などが、それから20年位経っても誰も大学教授や研究者として名前が出てこないわけですし。
ニャドラー博士の話はkindle版でしたらタダで読めますし、字数も少なくて時間もかからない本なので試しに読んでみたらいかがでしょうか?
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