ルノー「メガーヌ E-vision」と本気のEV化計画とは?【もちろん日産・三菱も貢献】

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こんばんは、@kojisaitojpです。ヨーロッパの自動車メーカーの中ではEV化が遅れているように見えたこの会社もようやく動き出します。

「ルノー・日産・三菱アライアンス」ですので当然日産や三菱の技術提供・共通のプラットフォームを活用できるので動けるのですが、なぜかルノーは唯一のEVである「ZOE」を発売して以降は新型のEVを投入せず(日産も「アリア」発表まで実質「リーフ」だけで止まってましたが)、その間にフォルクスワーゲンなどのドイツ勢は一気にEV化へ転換し、世界で最初に本格的にEVを市販したグループでありながら先行者利益を生かしてないなという印象でした。

そんな中で先日出たように日産が「アリア」の予約をようやくスタートし、ルノーも「メガーヌ E-vision」というアリアと共通のプラットフォームを活用した新しいEVを2022年に発売すると発表しました。

そこで今日はルノーが発表した「メガーヌ E-vision」とルノーの今後のEV化戦略について解説し、先日ノルウェーやフランスなどの2021年5月の新車販売状況を紹介した際にデータが出ていなかったドイツとイギリスの販売状況についても紹介します。

2022年発売のルノー「メガーヌ E-vision」と年間40万台のEV生産計画

ルノー「メガーヌE-vison」その4
昨年10月にルノーでは「メガーヌ E-vision」というこれまでも販売してきた「メガーヌ」をEV化するコンセプトを発表していましたが、今回その具体的なプランが出てきました。

先日予約がスタートした「日産・アリア」と共通の「CMF-EV-platform」を用いて生産される本格的なEVとなります。

ルノー「メガーヌE-vison」

なお日産の関係者が以前「プラットフォームの開発にものすごく費用がかかった」旨のことを公式に発言していますので、今後このプラットフォームを「ルノー・日産・三菱アライアンス」の各社で共用で使っていくものと思われます。

同じプラットフォームを使用しますが、「メガーヌ E-vision」の場合はアリアのような87kWhの巨大バッテリーを搭載するモデルは用意する方向にはなく(ただしあくまで「未定」というだけです)、「搭載バッテリー容量60kWh、航続距離450キロ(WLTP)、最大充電出力130kW」のモデルをベースに考えているようです。

となると高級車路線だったアリアとは違い、いわゆる大衆車価格で投入してくるのでは?と予想ができます(価格は未発表)。

基本はシングルモーターのRWDですが、デュアルモーター仕様のAWDもオプションで用意することをほのめかす発言もありますので、多彩なラインナップになるかもしれません。

ルノー「メガーヌE-vison」

デザインはこれまでのガソリン車のメガーヌの路線を踏襲したものですが、インフォテイメントシステムはセンターコンソールが全面タッチスクリーンの斬新なもので、物理ボタンを可能な限り取り除いた構成になるようです。

ルノー「メガーヌE-vison」

今回公表されたモデルもまだ市販モデルではありませんので、今後2022年中頃予定の発売までに更に変化があるかもしれません。

またルノーは「メガーヌ E-vision」の発表とほぼ同時にEV化を推進するための新法人の設立も表明しています。

私からするとメガーヌの話よりもこのように「EV専門の新法人」を設立するというニュースの方にルノーのEV化へのやる気を感じます。

ルノーの母国フランスはドイツやイギリス、ノルウェーなどと比較するとEV化への流れが少し遅れていますが、それでも「2030年以降パリ市内への内燃機関車の乗り入れ禁止」は決まっており、国内で内燃機関車の新車販売を禁止するのは2040年頃と言われていますが、他のヨーロッパ諸国の流れを見て前倒しする可能性は十分にあります。

今回設立する新法人ではフランス国内3箇所にEV専用の工場を設立し、2025年までには年間40万台のEVを生産する計画です。

ルノー側は「新法人設立によってルノーが開発する新規のEVプラットフォーム(Bセグメント)を開発し、バッテリーの自社生産も始める」意向ですので、私の「本気でEVやろうとしているか?」の基準でもある「EV専用プラットフォーム」と「バッテリーの自社生産」をクリアしました。

2021年5月のフランスのEV統計でも強いルノー「ZOE」ではありますが


先日の記事でも少し擦れましたが、こちらがそんなフランスの2021年5月のEV化率と新車販売台数です。

BEVが8.2%、PHEVが9.1%で合計の電動化率が17.3%で、この数字は2020年5月から2倍以上と順調に増えています。

2021年フランスのEVランキング

前回紹介した電動化率に加えて今回は車種別・メーカー別のランキングも明らかになっており、首位は相変わらずの(という表現が適切でしょうか?)ルノー「ZOE」で、他にはプジョー「e-2008」やフィアット「500e」が上位に入っているのがコンパクトカーを好むフランスらしいランキングです。

2021年フランスのEVランキング

メーカー別だとプジョーとフィアットが所属する「ステランティス」が圧倒的で、「ルノー・日産・三菱アライアンス」が続きます。

最近はテスラが「納車を毎年4半期末に集中(今のタームだと6月)させる」ということを知らないで「テスラの売り上げ台数が落ちてる」と自らの無知をさらけ出すような発言をドヤ顔で言っている人も増えていますが、本来であれば納車が少ない、テスラのやる気がない月でも8%の売り上げを占めているという見方もできます。

ルノー「ZOE」

しかし首位が依然としてルノー「ZOE」なところから新しいEVが待望されているような雰囲気を感じます。

ルノー「ZOE」は発売が2012年と他のヨーロッパメーカーより早く、2010年発売の日産「リーフ」と共にヨーロッパのEVを先導してきた車種です。

ルノー「ZOE」

サイズが「全長4084mm,全幅1730mm、全高1562mm」と非常にコンパクトなサイズでありながら近年のモデルでは52kWhのバッテリーを搭載し、WLTC基準で390キロまで走れるという、「こんなコンパクトカーのEVが日本に投入されていれば」と言いたくなるような優秀な車種でしたが、アライアンスの日産や三菱との関係があるからなのか日本には投入されませんでした。

今後ルノーが投入すると表明している先程のメガーヌ「E-Vision」やカングーEVであれば、ガソリン車のモデルが日本市場に投入されていることから考えても発売される可能性が高いように思えますが。

サミット(先進国首脳会談)でも話題のEV化と内燃機関車への規制

バイデン大統領
現在イギリスでサミット(先進国首脳会談)が開催されています。中国などの世界への影響力が増している現在の状況だと以前ほどサミットの影響力はないかもしれませんが、当然このテーマについても話がされているようです。

現時点で既に先進国で電動化を表明していない国はありませんが、「内燃機関車(ガソリン車、ディーゼル車)」をいつ廃止するかについてはまだ統一した意見がありません。

最も規制が早いイギリスが2030年(ハイブリッド車は2035年)から内燃機関車の新車販売を禁止する意向ですが、アメリカはまだカリフォルニア州など一部の州を除いて内燃機関車の扱いをどうするか決まっていません。

とはいえバイデン大統領が先日「自動車の未来は電気である」という演説を行い、「電動化率が50%を超えるまで補助金(税控除)を続ける」「全米50万箇所に充電インフラを設置」など本気でEV化に取り組む方針ですので、もう時間の問題だと思いますが。

ちなみに私も以前取り上げたフォードのピックアップトラックEV「F-150 Lightening」はついに予約台数が10万台を超えたようです。

以前の記事でも述べたようにフォード「F-150」の年間売り上げ台数が約100万台ですから、もうEV10%を占める勢いです。

日本といい勝負、先進国のEV化率で最下位を争ってきたアメリカが一気に電動化率を上げる可能性が濃厚になってきましたが、日本はどうするのでしょうか?

2035年からの規制はあくまでガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止するだけでハイブリッド車はOKと、まだ内燃機関を維持しようとしているのが日本政府の方針ですが、これでは世界の流れから取り残される一方です。

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