「オペル・コルサe」がもたらすコンパクトEVへの期待とは?【日本市場復活】
こんにちは、@kojisaitojpです。以前から日本市場への復活が噂されていましたが、ようやく正式に日本市場への参入が発表されました。
EV投入だな。よし、記事にしよう。
オペル、「モッカ」「コルサ」「コルサ e」「GRANDLAND」日本導入を予告 日本公式Webサイトオープン – Car Watch https://t.co/gZvmazgTha— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) July 3, 2021
オフィシャルの日本語サイトもオープンしていますので、いよいよ「いつ?何月から?」というのが発表されるのを待つだけです。
OPEL ジャパンへようこそ | オペル公式サイト
ドイツ発の先進技術で、楽しく安心してお乗り頂けるモデルをラインナップし オペルの新型モデルを、より多くの日本のみなさまにお届けします。
私は個人的にいくつかの理由でこのブランドの日本市場への再上陸を楽しみにしていたのもあり、「復活が決まったら記事書こう」と予め内容も考えていたのですが(笑)。
というわけで本日は久々に日本市場への復活が表明された「オペル」と具体的に投入される車種(もちろんEVもあります)について紹介します。
目次
オペルのEVとして「コルサe」が投入予定
今回の日本市場への復活において当初販売する車種は既に発表されており、「モッカ」「コルサ」「コルサ e」「GRANDLAND」を発売予定としていますが、「コルサe」以外はガソリン車かPHEVですので私のブログでは扱いません。
2006年以前は日本で販売していたブランドですが、当時と状況が変化しているのでまずは簡単にオペルの歴史を説明します。
オペルは元々1929年から長年アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)の傘下でしたが、2009年のGM破綻の後は紆余曲折を経て、2017年8月にフランスの自動車会社グループPSA(プジョー・シトロエン)の一員になりました。
そして2021年1月にグループPSAがFCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)と統合した後、オペルと英国の姉妹ブランドであるボクスホールと共にステランティスグループの一員となっています。
プジョーやフィアットで取り上げたこともありますが、「ステランティス」はグループとして2025-2030年までに「内燃機関(エンジン)」の廃止を打ち出しているのは先日解説した通りです。
ホンダとフィアットの「全車EV化」から感じる期待感とは?【あえて日産・アリアの話題は避けます】
「日産・アリア」の予約がスタートしていますが、その陰でフィアットが「2025年〜2030年までに全車EV化」を出してきました。フィアットがやる以上ステランティスグループ全体に波及することは時間の問題ですので衝撃です。他にも全車EV化の方針を既に表明しているホンダがエンジンの工場を閉鎖するなど本気で動き出しています。
ですので2006年の日本市場から撤退した時とは状況が大きく異なっています。
撤退前はヤナセで販売していましたが、メルセデスやBMW、ボルボなどのヤナセが取り扱う輸入車と比べると格安ブランドで、1995年にコンパクトカー「ヴィータ(コルサ)」が発売され、エアバッグやABSなどを装備しながらも、輸入車としては低価格の150万円台から販売されて人気を得たこともありますが、高級車がそろうヤナセの中では存在感がいまいちのブランドでした。
ちなみに「ヴィータ(コルサ)」と表記しましたが、日本では「コルサ」という名称はトヨタとかぶってしまうので、「コルサ」を「ヴィータ」という名称で販売していました。
同じような例としてルノーの「クリオ」も日本では「ルーテシア」として販売された例もあります。
「コルサe」に関しては現時点ではオペルの日本語ページで「コルサ」と表記されていますが、今回も「ヴィータ」の名称で来るのかは不明です。
オペルのEV「コルサe」の具体的なスペックは?
これは2021年3月時点のイギリスの新車販売ランキングですが、イギリスでは元々オペルの子会社であるボクスホール(Vauxhall)ブランドで販売される「Corsa」が首位です。
ということはもうお分かりでしょうが右ハンドル車は既に大量生産されていることになります。あとは日本の充電規格であるチャデモに対応させればすぐにでも日本市場で売れる状態になりますが、既に同じグループで同じプラットフォームの「プジョー・e-208」がチャデモに対応してますので簡単にできることでしょう。
ちなみにPSA製(プジョー・シトロエン)のコモン・モジュラー・プラットフォーム(CMP)はEV専用のプラットフォームです。
ということは床がフラットで居住空間が広い、ガソリン車を無理矢理EVにしたものではないので収納スペースも広く取られています。
私が以前から「コルサe」に関して注目していたのは、「全長4060mm、全幅1765mm、全高1433mm(欧州仕様値なので日本仕様は違う可能性あり)」というコンパクトなサイズが一番の魅力であるという点です。
このサイズで50kWhのバッテリーが搭載されていればWLTPモードで337キロと表記されていますが、走り方次第・エアコンやヒーターの使い方次第ではカタログ値以上に走れるのでは?と個人的には期待しています。
日常使いで300-400キロ走れるEVが300万円以下で手に入るのであればかなりお得感のある価格帯に入ってくるというのは、先日テスラ「モデル2(仮)」について触れた際にも言いました。
充電に関しては「プジョー・e-208」同様にヨーロッパでは100kWの急速充電に対応(なので30分もあればほぼ充電完了)していますが、ここは日本仕様になればe-208同様に50kWの制限がかかることでしょう。
となるとヨーロッパであれば30分でほぼ満充電にできたところが日本だと1時間近くかかることになり、不利な点の一つではあります。
このように日本独自の充電規格であるチャデモが日本市場への投入のネックになる点は、自前でスーパーチャージャーを持つテスラ以外と同様に「急速充電の速度」に制限がかかってしまう点です。
とはいえこのサイズのEVであれば自宅で充電できる環境の人であれば航続距離はさほど問題にならないと思います。
3kWの普通充電器だと約14時間、6kWの普通充電器だと8-9時間で満充電可能です。
「EVなら日本市場を攻略できるかも」と虎視眈々の海外メーカー
今日のメインテーマはオペルの日本市場再参入ですが、他にも日本市場への復活へ向けて虎視眈々と準備している海外メーカーがあります。
こんな堂々とIONIQ5止まってるの! https://t.co/AHBEdq61Li
— Takamasa Wada (@wady) July 1, 2021
以前から私がいくつも記事を書いて「これは間違いなく日本でも売れる」と自信を持っていえるヒュンダイ(ヒョンデ)の「IONIQ5」が東京や神奈川の至る所で目撃情報が出てきます。
過去に書いた「IONIQ5」の紹介記事はこちらをご参照ください。
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おそらく走行テストと充電テストを兼ねて走っているのでしょうが、既に右ハンドル化された上にチャデモにも対応(じゃないと日本の充電ステーションは使えません)しているので日本市場への再参入はほぼ確定です。
本日のオペル「コルサe」とは違い車体はかなり大きい(テスラのモデル3やモデルYより大きいとの噂)ので、競合にはなりませんが、「日産・アリア」「テスラ・モデルY」や「フォルクスワーゲン・ID.4」とガチンコで勝負になるEVですので私は個人的にとても期待しています。
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なんてブログの記事を書いたりツイートをたくさんしていると「IONIQって読めねぇんだよ!」とか「ホンダをパクったようなロゴが気にいらねぇ」とか「それは私に対してではなくヒュンダイ・ジャパンや韓国の本社に言うべきでは?」と思うような誹謗中傷がいくつか来ていますけど(笑)。
Twitter上でも言ってますが、見ず知らずの人がいきなり攻撃的で(多くの場合タメ口)上から目線の自論を吹っ掛けてくるようなツイートやDMには一切答える気はありませんし、ツイッターの場合は即ブロックの対象にしますのでご理解をお願いします。
個人的には会ったこともなければネット上でコミュニケーションも取ったことのない見ず知らずの人間にいきなりタメ口で文句言ってくるような人間はそもそも人としてどうよ?と思うところですが、なぜかEVや再エネの話、しかもそれが韓国メーカーや中国メーカーが絡む話だと必ず現れるのが謎です。
もちろん内容的に建設的な議論ができると判断できる方に対しては私と反対の意見でもきちんと返信いたします。
起業してEVのビジネスを始めた際にもこのような態度で来る方はお客様とは看做さず然るべき対応を取るつもりです。
プジョーやフィアットのディーラー網を活用できる今回の日本市場復活はオペルにもチャンスが?
さて最後に話を再度オペルの「コルサe」に戻しますが、現時点の日本市場でサイズ的にライバルになるのが、同じステランティスに所属するフィアット「500e」やプジョー「e-208」位です。
コンパクトカーサイズのEVがまだほとんど発売されていない(三菱アイミーブを競合にすることは可能ですが既に新車販売は終了しています)日本の文脈では「チャンス」に写るからこその日本上陸なのかもしれません。
現時点ではコンパクトサイズのEVに関しては先日も紹介した日産・三菱の共同開発の軽自動車規格のEVが2023年、ホンダの軽自動車規格のEVが2024年に予定されていますが、先ほども言ったように既に右ハンドル車が完成しているオペルが日本メーカーより一足先に日本市場に投入できるメリットがあります。
前回日本で販売した際にはGMブランドでいすゞ(当時はGM傘下)の販売店やヤナセなどで販売していましたが、今季は自社で販売店を設ける意向を表明しています。
すぐに日本国内の広い範囲に拠点があるわけではないのでゼロから再構築となりますが、考えられるシナリオとしては東京などの大都市にはオペル専用の販売店・整備工場を用意する一方でプジョーやフィアットのディーラーでも買えるようにするという作戦が妥当に思えます。
2021年に統合された「ステランティス」のネットワークを活用できるのが前回販売時のヤナセに頼りきりの状況と比較して間違いないところです。
対抗馬となる日本メーカーでこのサイズのEVを販売したメーカーはありませんので、先ほどのヒュンダイ(ヒョンデ)と同様に「今なら日本市場でシェアが取れる」と計算しての海外勢の行動に思えるのは私だけでしょうか?
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