EV化へ本気で突き進むアメリカと逆行する日本【テスラ・GMハマー】

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こんばんは、@kojisaitojpです。毎度毎度「株価と実態が乖離してる」とお決まりの批判を浴びせられるテスラが実態を伴った売上台数を出してきました。

2021年第1四半期の売り上げ台数が18万4000台で、2020年の同時期から約2倍の売り上げ台数です。

通常最も売り上げ台数の少ないはずの第1四半期でこの数字ですから、2021年トータルでは100万台近い売り上げ台数を叩き出す可能性が高くなってきました。

テスラの販売推移

100万台という売り上げ台数は世界で18位、国内メーカーではスバルと同等、次のマツダが146万台ですからすぐ目の前に迫っている状態です。

アメリカのEV販売台数

しかもテスラファン以外は見てもいないでしょうが、この売り上げには現在モデルチェンジ前で発売していない「モデルX」と「モデルS」抜きの数字(正確には在庫車が2000台程度は反映)です。

実質モデル3とモデルY(中国・アメリカでは販売中)だけで叩き出した数字なのですから本当に驚異です。

今日はそんなアメリカのテスラ以外の状況、具体的には「連邦政府の公用車EV化計画」とようやく全貌が明らかになった「ハマーEV」を中心に解説します。

バイデン政権が本気の「連邦政府の公用車のEV化」

EV化を訴えるバイデン大統領
バイデン政権誕生後即日でパリ協定に復帰し、「全米50万箇所に充電ステーションの設置」「連邦政府の公用車を全てEV化」という公約を唱えています。

この記事においても「ではどうやって連邦政府の公用車全614000台をEV化しようとしてるのか?」について現実的な視点からアプローチしています。

「Worksite-vehicle」や「patrol-vehicle」、つまり公共のバスや郵便配達の車のように常に決められたルートを決められたスケジュールで走る車はすぐにでもEV化が可能、公園などの整備に使うトラックのように季節限定で用いるものも即EV化可能と分析しています。

次に「Complex needs」、つまり複雑な用途に用いられる車両についても例えば「全部で60台用意して、30台稼働30台充電」のようにローテーションを組むことによって24時間365日運用可能と冷静に分析しています。

そして全車EV化が可能になるのはピックアップトラックなどの電気自動車(BEV)が揃う2026年頃になると現実的な分析をしています。

かなり多くの方にご賛同いただいたので引用しますが、日本ではこのように「ガソリン車だって山奥でガソリン切れにならないようにガソリン残量に注意して運転する」ことがあたかも電気自動車ではできないかのようなレベルの低い議論が続いています。

こういう方々に特徴的なのは「条件を設定する際にわざと電気自動車だけ現実的に起こり得ない過酷なコンディションを設定する」ようなパターンです。

そして「だから電気自動車は使えないんだ。ガソリン車とハイブリッド車最強」という方向に持っていく、まるでどっかの大企業の受け売りのようなワンパターンの攻撃なのでいい加減行動が読めてしまいます。

その名前を出すのも嫌になる某大企業は「パーティーに遅刻してきたからって、パーティーを台無しにしようとするトヨタ」とアメリカのメディアでは辛辣に批判されていますが。

甘やかす記事しか書けない日本のメディアと違って海外のメディアは忖度なしに遠慮なく批判します。

私のところにも「そんな厳しいことばかり言うな」とか「実は水面下で一発逆転を狙ってるんだ」というようなことを言ってくる人がいますが、それが「希望的憶測」ではなく「客観的事実」として出てくるまで遠慮する気は全くありません。

ヨーロッパ市場で売れなくなるというのはもう決定事項ですが、アメリカ市場においても連邦政府の公用車からは外され(EVがないのだから当然)カリフォルニア州のように電気自動車(BEV)以外の販売が禁止になる州も徐々に増えており、北米市場を失うことになります。

ついに「ハマーEV」の全貌が明らかに

GM「ハマーEV」
さて前の項で「ピックアップトラックのEV化が完了する2026年頃に連邦政府の公用車が全車EV化」と言いましたが、以前も一度紹介した「ハマーEV」のファーストエディションの全貌がついに明らかになってきました。

上記の記事の内容に加えて、「ハマーEV」はGMが開発した電気自動車専用プラットホームの「Ultiumプラットホーム」を用いること、バッテリーはLG化学と共同開発のアルティウムバッテリーを用いることが決まっていますがそのバッテリー容量が何と200kWhと300kWhです。

GM「ハマーEV

この巨大な車が最初に発売するエディションワンでも480キロ(300マイル)の航続距離が可能、充電に関しても最大出力350kWのおばけスペックで大容量バッテリーも急速充電可能な仕様に仕上がるようです。

GM「ハマーEV」

他には「Crab Walk」、つまり「カニ歩き」という横移動ができる、当然外部出力も可能とアウトドアにも対応、GMが開発した「スーパークルーズ」というハンズフリー運転(というかもう実質自動運転)がアメリカ・カナダの高速道路上では可能とテスラの「サイバートラック」と甲乙つけがたい驚異のスペックで2023年の発売予定です。

現在の各社の構想を見ていると大体の自動車メーカーが2022年〜2023年には主力車種のEV化が達成できるようで、この頃にEV化できていない自動車メーカーは相当苦戦することはほぼ間違いないようです。

「株価」に実態が追いついていくのがテスラの驚異

戦うイーロンマスク
思えばFacebookが上場した2012年頃にも「虚業だ」「実態を反映しない株価」などとボロクソに言われていました。

それが今や「GAFA(マイクロソフトも加えるとGAFAM)」の一員です。

上場した頃の株価は40ドル前後だったのが今や300ドル、時価総額で95〜100兆円で世界6位です。

テスラも既に時価総額で約70兆円(トヨタは約27兆円)ですが、広告が売り上げの98%ほどを占めるフェイスブックと違いEVの販売や太陽光パネル、蓄電池の販売などやっていることはいわゆる「実業」であり、根拠のないものではありません。

まぁこれを言い出すと「時価総額という企業の評価方法がおかしい」などと文句を言い出す人もいるのですが、そのような企業の会計基準に関する世界標準を決める際にも日本の基準はグローバルタンダードになれず負けたことを忘れていますよね。

EVの前にも日本は多くの分野で世界標準を決めるバトルに負け続けています。

本題ではないので話を戻しますが、テスラは実際に2020年の48万台の売り上げ台数が今年は100万台も見える水準であり、いよいよ「虚業」とは言えないレベルに来ています。

そして時価総額が企業価値を表す指標となっている現在だと時価総額が高ければ高いほどいくらでも資金調達ができるのが今の資本主義です。

ギガ上海に「モデル2」専用のファクトリーを建設中という噂もありますし、まもなくギガベルリンもオープン、それ以外にもインドにギガファクトリー建設の動きもありますが、このようにいくらでも設備投資ができる状態につながっているのが今の世界8位の時価総額から来ています。

つまり時価総額にふさわしい設備投資が可能になるほどの資金調達ができるわけで、実態が株価にふさわしいレベルに追いつくのはもう時間の問題です。

先ほども100万台に到達すると日本メーカーではスバルと同等位の台数になりますが、その時も日本のマスコミなどは「テスラなんて車がほとんど売れていない」とバカにするのでしょうか?

それをやるとスバルも侮辱することになるのでおそらくできないでしょうね(笑)。

日本でも「テスラ車なんて全く走ってない」とテスラを罵るような発言をして物議を醸したYouTuberがいましたが、月2000台ペースで販売されるようになってもそのような「寝言」を言い続けるのでしょうか?

日本が世界の流れからどんどん取り残されていく残念な状況が続きます。

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