「プラズマテレビ」のようにHVやPHEVも消え去るのか?【世界の流れに逆行する自動車業界】
こんにちは、@kojisaitojpです。電気自動車の話をしていると私がこの会社を嫌いなように思われるかもしれませんが、自分の中に好き嫌いの価値判断はありません。ただ発言があまりにもお粗末だと言いたいだけです。
苦言言ってないで、電気と自動運転に真剣に取り組めよと言いたい。既存事業がいきなり崩壊するわけでもないのだから次の優位性作るのに真剣に動かないのかな…とすれば未来は暗い/トヨタ社長「自動車のビジネスモデル崩壊」 政府の「脱ガソリン」に苦言 – 毎日新聞 https://t.co/zm6ZNlUdZb
— 木下斉/Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) December 17, 2020
いくら「苦言」とやらを呈してもフォルクスワーゲンを筆頭にヨーロッパ全体が、国策で電気自動車を強引に推進する中国、バイデン大統領の誕生により環境重視の民主党政権になり「電気自動車」を推してくることが確実のアメリカと四面楚歌です。
ヤフコメなどでこの発言に拍手喝采するコメントだらけで唖然としてしまいますが、それだけ世界の流れが見えていない日本人が多いようです。
トヨタ一社だけが意地を張って世界の流れを変える力があるなら頑張れば良いのですが、残念ながらそんな力はないでしょう。
グローバル化した世界で、世界のシェアを取れない車にいくらこだわっても、何の影響力もありません。
電気自動車にまだまだ未熟な面がある、ハイブリッド・プラグインハイブリッドには他の国に負けない技術力があるのは私も認めますが、それだと過去の歴史のように「技術が優れているのに負けた」という日本の負けパターンを繰り返すことになります。
この前も「上級国民」をネタにしましたが、私もトヨタの社長のような上級国民を批判すると消されますかね(笑)。
今日は「液晶テレビ」と「プラズマテレビ」の争いを例に出しながら、「技術が高くてもシェア取れないと負ける」ことについて語ります。
目次
「液晶テレビ」に負けた「プラズマテレビ」とPHEVが同じパターン?
同じように「技術はこっちが勝ってるのに競争に負けた」という例は世の中にたくさんあります。
私のブログだと「iPhone vs ガラケー」を例に挙げてスマートフォンの争いで日本のメーカーが負けた話をいつもしますが、「それしかないのか」ツッコまれそうなのでもう一個例を出します。
「プラズマテレビ」というのを覚えているでしょうか?
20代とかの若者でしたら存在自体知らないかもしれませんが、ブラウン管の次のテレビの規格争いで「プラズマ」と「液晶」が世界の覇権争いのようになりました。
どちらも日本の会社ですがプラズマを推したのがパナソニック、液晶を推したのがシャープです。
プラズマテレビは液晶よりも画面が綺麗で、激しい動きもなめらかに表示されるのが特徴で、アクション映画やスポーツなどの動きが速い映像もなめらかに表示されました。
ゲームなどをやっても快適に画面が動きます。
スマホでゲームをやる方であれば、ショボいスマホでゲームをやった時にイライラしますよね? 以前は液晶もその扱いでした。
それが液晶の技術が発展し、当初指摘された残像感などの欠点を克服し、生産コストも大幅に下げることに成功し、プラズマは破れ去りました。
コスト競争になってからは韓国・中国・台湾などのメーカーが格安で液晶テレビを販売するようになり、高コストの日本企業は液晶でも負けました。
認めたくない方は多いでしょうが、日本以外の世界の一流ホテルに泊まってもテレビは「サムソン」「LG」「ハイセンス」など。世界シェアではソニーも健闘していますが、まず見かけません。それが現実です。
そしてコストダウン競争に負け経営難に陥ったシャープは台湾のホンハイの傘下に入って生き残っている状態です。
日本の企業だからこそできる高いレベルの技術が発揮された「プラズマ」は世界のシェアを取れずに敗れ去ったわけです。
いくら技術レベルが高くても世界シェアを取れないと負け
もうお分かりですよね?
どんなに日本のレベルの高い技術を発揮したプラグインハイブリッドも、より低コストで簡単に生産できる「電気自動車」の前に破れ去る可能性が大いにあるということです。
テスラなどのイメージがあるので「電気自動車=高い」というイメージができてしまっていますが、既に中国では激安の電気自動車が売られています。
中国の「44万円EV」が農村市場で快走する背景 | 「財新」中国Biz&Tech
中国で農村市場をターゲットにした異色の電気自動車(EV)が快走している。低価格車を得意とする上海GM五菱汽車が開発した「宏光MINI EV」がそれで、2020年7月24日の発売から20日間で1万5000台を販売した。さらに5…
「どうせどっかの技術パクっただけだろ?」とか「どうせすぐ壊れるでしょ?」と言いたくなる気持ちはわかります。
多分そうでしょう(笑)。
ただテスラやフォルクスワーゲンなどができない低価格の電気自動車を中国国内にどんどん売り捌けば電気自動車のシェアがどんどん上がっていきます。
現時点では2035年以降に「ガソリン車の新車販売を禁止」と言っている中国の規制では、ハイブリッドやプラグインハイブリッドが禁止の対象には含まれていません。
ですがほとんどの中国国内の自動車メーカーが電気自動車専業なのに、トヨタなどに配慮してハイブリッド売らせてくれるでしょうか?
電気自動車がある程度普及した時点で突然「明日からハイブリッドも販売禁止」とか言いそうな政府ですよね(笑)。
その瞬間トヨタやホンダの中国でのシェアがゼロになります。実際は中国向けに電気自動車作ってますから本当にゼロにはならないでしょうが。
人口10数億人の国の市場を失った瞬間会社としては終わりです。
その頃には2025年のノルウェーを筆頭にヨーロッパの各国で「内燃機関(エンジン)を搭載した車の新車販売が禁止」になった後です。
ヨーロッパと中国という巨大市場をあっという間に失ったら「トヨタもオワコン」「ホンダもオワコン」となってしまいます。今フランスで最も売れている電気自動車であるルノー「ゾエ」が「リーフ」をベースに作られている日産だけは辛うじて生き残るかもしれませんが。
カルロス・ゴーンがゴリ推しで推進した「リーフ」に救われる日産というのもある意味滑稽ですが(笑)。
電気自動車やってもやらなくてもオワコン?
電気自動車に対する批判として「実はエコじゃない」という定番の批判以外に、「系列企業が崩壊する」というのがあります。
ある日突然「やっぱり電気自動車だ!」と大慌てで電気自動車に本腰を入れざるを得なくなっても、トヨタやホンダなどの技術レベル的には簡単に適応できるでしょうから、車メーカー本体が潰れるということは考えにくいです。
ですが、ガソリン車に比べて部品点数が3分の1以下になる電気自動車により、車メーカーの系列企業である部品会社、製造用工作機器メーカー、更にはその下請け・孫請けの中小企業まで合わせて大幅に削減されます。
「系列」はトヨタの場合約30000社と言われていますが、このネットワークが崩壊すると日本の経済自体に大打撃です。
元々「系列(keiretsu)」というのは英単語になるほど日本独自のネットワークを形成していましたが、この系列という関係自体消滅するかもしれません。
要は今電気自動車化に踏み切ってもたくさんの系列企業やディーラー・整備工場などのネットワークを整理する必要があるのは一緒です。
問題は今自分から進んで血を流して、損失を最小限に食い止めるのか、限界ギリギリまで耐えて強制的に崩壊させられるのかだけの違いです。
外からはまるでタイタニックを観ているような感じです。最高の船だから沈むことは無いという傲慢、「海氷が存在する」という警告を無視、危機を乗客になかなか知らせない船長、古い安全規制による救命ボートの不足、避難体制のずさんさ、客室のクラスによって助かるかどうか決まる。本気で変えないと。 https://t.co/kr3QIoloeB
— ᴮᴱ中林 香🇩🇪⁷ (@kaokou11) December 17, 2020
「やってもやらなくても沈むならギリギリまで現状維持で」という発想に行くのは高齢者、私がよく嫌味で使う表現では「加齢臭」の典型です。
自分たちは老人となって余生を過ごすだけだからいいかもしれませんが、残された若い世代はどうなるのでしょう?
トヨタやホンダなどがテスラや中国企業に買収され、奴隷のように使われる日本でいいのですか?と思ってしまいます。
まぁ私もいわゆる「氷河期世代」ですのでバブル崩壊のツケを押し付けられた世代ですが、下の世代に同じような体験はさせたくないです。
「自分が会社にいる間だけ会社が生き残ればいいや」的な「加齢臭」な発想では衰退するだけです。
人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!