日産・三菱の軽自動車EVが日本のEV事情を変える?【2022年上半期に発売】
こんにちは、@kojisaitojpです。まだ8月が終わってないので統計が発表されたわけではありませんが、「テスラ・モデルY」が快進撃のようです。
ノルウェーって月1000台売れれば首位に立てる小さい市場なんだけどモデルYが2週間でもう900台だってさ。
Tesla Model Y Makes A Big Sales Splash In Norway https://t.co/hyvNGFE3d5 @insideevs.comより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) August 29, 2021
詳細は来月になって統計が発表されてから再度取り上げますが、繁忙期以外の月は1000台も売れれば首位に立てるほど市場が小さいノルウェーで「2週間(正確には(within ten days)」足らずの間に既に900台の登録」があるようです。
今月途中からの納車スタートなのでこの数字ですが、1ヶ月に直すと1800台とぶっちぎりで首位に立てるペースです。
などという話をしても「ノルウェーは特殊な市場だから」とか「EVでは日本では売れないんだ」とヤフコメ辺りでは沸騰しそうですが、我々の日本市場でも見逃せないEVの発売が発表されました。
日産と三菱自動車、新型軽EVを2022年度初頭発売へ…実質購入価格は約200万円から | レスポンス(Response.jp)
日産自動車と三菱自動車は8月27日、共同プロジェクトとしてNMKVで企画・開発を進めている新型の軽クラスの電気自動車(EV)を、2022年度初頭に日本国内で発売すると発表した。
こちらが今日の本題です。数日前ですが日産・三菱が共同開発している「軽自動車規格のEV(車名は「サクラ」ではないかという説もあり)」が2022年初頭(ということは1月〜3月?)と、以前言われていた2023年から大幅に早く発売することが発表されました。
そこで今日は新たに明らかになった日産・三菱の軽自動車規格EVの詳細と「どういう層に向いているのか?」について解説してみます。
目次
価格・発売時期・スペックが明らかになった日産・三菱の軽自動車EV
今回2022年初頭に発売が発表された日産・三菱の軽自動車EVの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
- 車体価格は補助金込みで200万円くらい
- 搭載バッテリー容量は20kWhで航続距離が150-200キロ
- V2Hも搭載で家庭で蓄電池代わりにもなる
車両価格が補助金込みで200万円くらいになれば軽自動車の上位グレードのものとほとんど大差がないレベルまで来ましたので「EVは高い」というイメージもいよいよ返上されるようになるなという印象です。
搭載バッテリー容量が20kWhですが、EVの中で最も高価なパーツはバッテリーですので、バッテリーの搭載容量が増えると価格が上がってしまいます。
軽自動車の一般的な価格である「200万円以下」に抑えるようにバッテリー容量も小さくしたと考えることができます。
日産・三菱が過去に発売したアイミーブ以上(10.5kWhと16kWh)で初代リーフ(24kWh)に少し及ばない程度ですが、軽自動車サイズ(全長3395mm、全幅1475mm、全高1655mm)であることを考えると目一杯搭載容量を増やしてきた、それでいて価格はアイミーブやリーフよりかなり安く設定してきましたので日産・三菱のコストダウンへの努力も伺えます。
航続距離に関してはJC08モードで200キロくらい、これを「高速道路を時速100キロでクーラーをつけても達成可能な」EPAサイクルに換算すると150キロくらいになります。
「短い」と思うかもしれませんが、今回のEVの主要なターゲットは「日常の買い物や通勤などで移動距離の短いユーザー」ですので問題になりません。
また「高速道路を時速100キロでクーラーをつけても達成可能、実用使いにおいて最も信頼に値するEPAサイクル」と言われますが、軽自動車で高速道路を毎日のように時速100キロで吹っ飛ぶというのは想定しにくい環境です。
日常の買い物や通勤などの「街乗り」であればおそらくEPAサイクルより多い距離を走ることができるはずです。
自宅が一軒家で自宅充電が可能な環境であれば、夜に帰ってきて充電プラグを挿しておけば翌朝には満充電で出発できますので全く問題なく運用できます。
「V2H(Vehicle to home)」の搭載についてはこれまでも「日産・リーフ」「三菱・アイミーブ」でも搭載されていましたので特に驚くところではありませんが、太陽光パネルを搭載した家庭では蓄電池代わりにこの軽自動車EVを活用できます。
搭載バッテリー容量が20kWhですので、蓄電池の中ではかなり大きめのテスラ・パワーウォール(13.5kWh)より大容量になります。万が一の災害で停電した際などは1週間くらいは耐えられる水準ですので全く問題なく活用できます。
実際に日本政府の方でも経済産業省の補助金(環境省のと違ってV2Hの搭載が条件なのでテスラ車などは除外対象)を増額させる動きもあるようで、「実質200万」と言われている価格が更に下がる可能性もあり期待できます。
EVの購入補助金を2倍へ 経産省、335億円を要求
経済産業省は電気自動車(EV)などの普及を促すため、購入者へ補助金を拡充する。2022年度予算の概算要求に335億円を盛り込む。155億円だった21年度予算の2倍に増やす方向で調整する。ガソリン車からの転換を後押しする。EVやプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の購入に充てる補助金枠を積み増す。EVやPHVの販売台数の増加が見込まれるため、大幅な増額を要求する。現行制度で
意味不明に飛び出すEVへの批判
不思議なのはこの手の用途が限定されたEVが発売されると「こんなもの買えるか!」と全否定する方々がヤフコメやツイッター上に現れるところです。
- 軽自動車はセカンドカーではなく自分はファーストカーだから使えない
- 暖房が必要な北国だとバッテリーが劣化して100キロも走れないだろ
- 毎日充電してたが電気代がアホみたいに高くなる
などの批判が現れることは容易に想像できるので全部否定してみましょう。
軽自動車をセカンドカーではなくファーストカーで使ってるからこのEVは無理だ」というのは正しいといえば正しいのですが、「それであればガソリン車かハイブリッド車にでも乗り続ければ?」という一言で終わりです。
今回の軽自動車規格EVは「一日の走行距離が100キロくらい」のユーザーが主なターゲットですので、「自分は毎日200キロくらい走るからこんな車じゃ無理だ」とか「毎週高速で長距離走るからこんな車じゃ無理だ」と思うのであれば買わなければいいだけの話です。
何度か取り上げていますが、「日本人の1日辺りの平均走行距離は100キロ未満」ですのでこの軽自動車規格のEVで大半のユーザーは何の問題もありません。
2022年発売予定の「日産・三菱の軽自動車EV」が日本のEV化を加速させる?【LFPバッテリー?】
以前も取り上げたことのある日産・三菱の共同開発の軽自動車サイズのEVの具体的な計画が出てきました。2022年から三菱で製造し、初年度から6万台の販売を見込む本気の計画です。軽自動車らしく街乗りに特化したスペックで、テスラ・モデル3でも用いられている「LFPバッテリー」を使用することでコストを抑えたのが特徴です。
などと言うと「週末は家族で長距離走るから」などと言ってきたりもするのですが、月1回程度の長距離ならレンタカーの方がコスパが良いのでは?と思うところです。
「バッテリーが劣化して云々」については以前から何度も取り上げてきたので割愛しますが、参考までに「日産リーフ」のバッテリー消耗率のグラフを再度引用しておきます。
三元系のバッテリーで自然空冷式(バッテリーマネージメント非搭載)のリーフでもこの程度のバッテリー消耗率なのですから耐久性抜群の「LFPバッテリーを搭載するかも?」と噂されている日産・三菱の軽自動車EVであればこれ以下の劣化率になることは間違いありません。
「EVのバッテリーが消耗するから交換が必要」って本当なの?【蓄電池として第二の人生もあり?】
EVのことをよく知らない人の抱く誤解の一つに「バッテリーが消耗・劣化する」というのがありますが、スマホのバッテリーと違いEVのバッテリーは電池が劣化しないように様々な工夫がされていることを日産リーフを例に説明します。また車としての使用が終わった後も「蓄電池」としてV2Hで活用し続けることができるのもEVのメリットです。
詳細は以前論じてますので上記の記事をご参照いただければと思います。
次に「電気代」ですが、これについては正確にシミュレーションしてみましょう。
一般に言われる日産リーフや三菱アイミーブの電費が6-8km/kWh(1kWh辺りで走れる距離)ですので月に1000キロ走る人であれば125kWh〜166kWhの電力使用料になります。
この電力量を自宅で充電した場合、例えば「東京電力・従量電灯B」だと120kWhまでが1kWh辺り19.88円、120kWh〜300kWhまでが1kWh辺り26.48円ですので、月の使用量が125kWhの場合は2000円くらい、166kWhの場合は3000円位になります。月の走行距離が2000キロ、3000キロと多い場合も計算すればすぐにわかります。
これは高めの電力プランですので、同じ東京電力でも深夜電力にしたり、大手以外の電力会社に契約を切り替えると更に安くなります。
毎月のガソリン代と比較してどのくらい安いかお分かりでしょうか? 毎月の走行距離が多ければ多いほど素早くガソリン車との価格差を埋められます。
しかもいちゃもんをつけられないようにあえて「東京電力の従量電灯B」という高めの料金プラン、リーフやアイミーブの電費も私が実際に乗って感じた電費よりわざと低めに設定してますので、上記の電気代より安くなることはあっても高くなることはありません。
記事を書きかけで止まってますが、先日私がテスラをカーシェアして「東京⇄仙台」を往復した際には仙台のホテルでのディスティネーションチャージ(目的地充電)だけで済みましたので往復の燃料代はゼロでした(往路はオーナー様が充電済の状態でシェア)。
ざっくりとした肌感覚ですが「東京⇄仙台」を私の古いゴルフで往復すると10000円以上のガソリン代がかかった記憶があります(古い上にターボ車なので燃費は悪いです)。これをEVの電気代に換算すると1000-1500円くらいになります。
「EVにすると電気代が跳ね上がる」というのも乗ったことのない人の抱く偏見ではないでしょうか?
用途が合うなら「絶対に買い」と推奨できる日産・三菱の軽自動車EV
このように理屈でEVの優位性を説明していると「理屈が正論だから余計にイラつくんだよ」とクソリプを飛ばしてきたアンチEVがいましたけど(笑)。
それ以外にも「不要なお節介だ」とか「押し付けがましい」と批判されるわけですけど懲りずにやります(笑)。
というか私のポリシーとして「EVに興味がない人」や「ガソリンエンジンを愛している人」にアドバイスなんかする気は一切ないのですが。
あくまでも「EVに買い替えたいけどわからないことが多くて」とか「何となくEVに不安を感じる」という感じのEVに興味を持っている層に正しい情報を発信することしか考えてませんけどと思うところです。
別にEVに興味がない、可能な限りガソリン車に乗り続けたいのであれば私のブログやTwitterを見ているとストレスが溜まるだけでしょうから見なければいいのにと思うところです。
私の側のマナーとして「自分からEV嫌いやガソリンエンジン愛好家のところに乗り込んでいってEVの優位性を主張するようなことはしない」というのを守っているので、他人の領域に土足で上がり込んで批判してくるのは理解に苦しむところです。
そもそもEVは自宅でほとんど充電するので、1年間のトータルで「ガソリン車がガソリンスタンドに滞在している時間」と「EVが急速充電ステーションに滞在している時間」を比較すると、大抵のケースで後者の方が短くなります。
— Brownie (@browniejp) August 29, 2021
「ガソリン車ならガソリンスタンドでいつでも充電できる」だとか「ガソリンは2分で給油できるけど充電は30分かかるから待ってられない」のような批判を浴びせてくる人が必ずいますが、現実はこうです。
今回発表された日産・三菱の軽規格EVのように20kWhと比較的小さい容量のバッテリーの場合は自宅での充電が主になるでしょうから家に帰ってプラグを挿すだけで翌朝には満充電で出発できます。
これまでであれば週に1回とかガソリンスタンドに行っていた時間がそっくりそのまま節約できますけど何か?というのが私の見解です。
ですので今回の日産・三菱の軽規格EVに関しても「日常の走行距離が100キロ未満」「一軒家で自宅で充電できる」などの環境の人には「ついにEVを購入すべき時が来た」と絶賛してオススメしますが、この条件に当てはまらない人であれば今回は見送りでいいのでは?と思うところです。
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