「EQE」「EQG」「マイバッハ」と矢継ぎ早のメルセデスのEV化攻勢の勝算は?

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こんばんは、@kojisaitojpです。ヨーロッパや中国のメーカーが続々と新しいEVを発表しているミュンヘン・モーターショーですが、当然メルセデスも複数のEVを投入してきました。

今年年明けの「EQA」が発売された辺りだとまだ旧来のガソリン車をEVに変えただけのものが目立ち、「本当にEVやる気あるのかな?」と私も指摘したメルセデスですが、4月にフラッグシップの「EQS(ガソリン車でいうSクラス相当」をきっかけにテスラをもしのぐようなEVを矢継ぎ早に発表し、「やっぱり本気だったんだ」と思うようになりました。

「EQA」と「EQS」については以前の記事で取り上げてますので、こちらをご参照ください。

当時「EQSが発表されたらメルセデスの本気度がわかる」的に半信半疑な物言いをしましたが、「EQS」の登場により「参りました」と私はメルセデスのやる気に度肝を抜かれました。

今日はその辺りのEVではなく、ミュンヘン・モーターショーに合わせて発表された「EQE(従来のEクラス相当)」と「EQG(従来のGクラス相当)」の紹介と、いよいよ「マイバッハ」にもEVを投入することを表明したメルセデスの最近のEV化戦略について解説します。

「EQS」に続くメルセデスの本格EVセダン「EQE」

メルセデス「EQE」
従来の「Eクラス」を受け継ぐEVとなる「EQE」の外見は先にEV化した「EQS」と同形状の流線型のボディになっています。

ホイールベースが3.12メートルと「EQS」の3.21メートルには若干及ばないものの高級車にふさわしいゆとりのある後部座席が確保されています。

現在公表されいるスペックだと「EQE 350」というベースグレードのものですが「バッテリー容量90.6kWh、航続距離が660キロ(WLTP基準)」です。

メルセデス「EQE」

充電に関しては110kWの急速充電に対応し、10-80%までの充電時間が31分です。自宅での普通充電も最大7.7kWと3kW6kWが主流の日本のものより高性能で10-100%までの充電時間が9時間30分です。

なんて言うと「満充電に9時間もかかるんじゃ使えない」と文句を言う層が日本だと現れるのですが、先日の記事でも紹介したように私が「ウエスティン仙台」のテスラ用充電器を使った際にも充電時間は9時間ちょっとで、ホテルに滞在している間に充電が完了しているという条件は簡単に満たします。

ちなみに「EQE」のグレードについては「EQE 450」や「EQE 580 4Matic」というグレードも投入が表明されていて、こちらの詳細は明らかにはなってませんが航続距離770キロ以上をうたっているので「EQE 350」の90.6kWh以上の大容量バッテリーが搭載されるものと思われます。

メルセデス「EQE」の内装

また特徴的なのは「EQS」同様にフロント全面をタッチスクリーンとして使用した56インチの巨大スクリーン(3つに分割)で、4ドア全てが自動で開放できた「EQS」にはかないませんがフロントのドア2つは同様に自動で開閉します。

他にも「EQS」にも搭載されていた「HEPAフィルター」が「EQE」にも搭載されており、花粉や外の排気ガスのみならず生物化学兵器すらも通さない鉄壁のフィルターが乗員に快適な空気を提供します。

メルセデス「EQE」の内装

なお「EQE」に関してはもう実車が完成しており、ミュンヘンモーターショーで公開されています。

「Sクラス」に続き「Eクラス」のEV化も始まった、つまりメルセデスの主力車種がEVに切り替わるということはメルセデスがいかにEVに対して本気なのかが伝わってきます。

メルセデスがテスラ「モデルS」やポルシェ「タイカン」、アウディ「e-TronGT」などの対抗車と位置付ける本気のEVが「EQE」です。

GクラスがEV化した「EQG」も登場

メルセデス「EQG」
これまで「Gクラス」という名称で販売されていた車種に該当するEVとして「EQG」のワールドプレミアも今回のミュンヘンモーターショーで開催されています。

こちらは2024年の発売予定とまだ先なのもあり、搭載バッテリー容量や航続距離などの具体的なEVとしてのスペックは明らかになっていませんが、「条件が整えば2030年には全車EV化」と表明しているメルセデスらしく従来のガソリン車・ディーゼル車の各モデルをEVに置き換えていっています。

メルセデス「EQG」

この辺りの「条件が整えば」という語句を都合の良いように解釈して「条件が整わないからメルセデスもエンジン車続ける」などと楽観的なことを言っているアンチEVをヤフコメやツイッターなどでは多く見かけますが、仮に日本市場の条件が整わなくてもヨーロッパ・アメリカ・中国で整えばメルセデスもEV専門になると思えないところが理解に苦しむところです。

一応噂レベルですが「EQG」に関してはEQS同様の107.8kWhの巨大バッテリーを搭載するのではと言われています。従来のGクラスの代わりですから当然オフロード走行にも耐えられる仕様であることは必須になりますので、「屋外でも電力供給をする」ことを前提にした大容量のバッテリーを搭載してくる可能性は高いです。

マイバッハもEV化へ

マイバッハEV
「まだあるのかよ」と思うかもしれませんが、実は今回のミュンヘンモーターショーで「マイバッハ」のEV化にも触れられています。

マイバッハEV

こちらもまだコンセプトが示されただけですが、ティーサー映像を見る限りマイバッハ初のEVは、メルセデス『GLS』に相当するEVである「EQS SUV」をベースに開発が進められているようです。

高級車ブランドとして世界で最も長い歴史を誇るマイバッハがどんなEVに生まれ変わるのかは注目ですが、車内映像を見る限りだと従来のマイバッハ同様のラグジュアリーな車内空間はしっかり再現されています。

マイバッハEV

内装は「ヨット」からインスピレーションを得たゴージャスな空間で、後部座席にも12.3インチのモニターが搭載されており、環境保護のためレザーはフェイクレザーになっていますがこれまでのマイバッハと変わらないEVが出てくる可能性が高そうです。

EVにも世界の流れにも背を向ける日本メーカー

メルセデスEQE
先日は日本自動車工業会の豊田会長が「EV化は間違っている」と発言したことを取り上げて「なぜそこまでEV化に対して後ろ向きなのか?」を語りましたが、今回のミュンヘンモーターショーに「新型コロナウイルス」という理由があるにせよ日本メーカーは不参加

それどころかヤフコメなどでは「EVしか注目してくれないヨーロッパのモーターショーに参加する必要はない」的な逆ギレ・開き直りのようなコメントだらけで呆れてしまうところです。

私のブログやTwitterでは日々主張してることですが、「EVに後ろ向きだとヨーロッパ・アメリカ・中国で売れる車がなくなる」「会社の利益の大半を海外市場で叩き出している日本の自動車メーカーはみんなオワコンになる」という事実をなぜ無視するのかが本当に謎です。

ヨーロッパ・アメリカ・中国での規制の具体的内容についてはこちらの記事をご覧ください。

「このままじゃ日本車を売れる市場が日本以外になくなる」と危機感を持つどころか「どうせヨーロッパはEV化に失敗してエンジンに戻ってくる」など世界各国の政府が全力をあげて取り組んでいるEV化・脱炭素の動きが失敗すると楽観してたりするので呆れます。

「どうせ失敗する」と主張する方々に聞きたいのは「じゃあ失敗しなかったら日本メーカーはどうなるの?」というところなのですが、こちらからアンチEVの方々に問いかけても無視されるのが現実です。

メルセデスEQE

「都合の悪い事実は視界に入れなければなかったことになる」と言わんばかりに中途半端な対策ばかり立てていつまで経っても新型コロナウイルスから日常を取り戻せないのと同じように、はっと気がついたら日本以外にエンジン車(ハイブリッド・PHEVも含む)を売れる市場が無くなったら終わりなのですが。

まぁこういう指摘をし続けていても先日の豊田会長のような発言が飛び出すわけで「もう日本メーカーに変わることを期待しても無駄なのかな」と思うようになりましたけど。

スマホや白物家電で日本メーカーが衰退していったのと同様に自動車業界も衰退していく可能性がかなり高くなってきたと思うだけです。

ここで何の根拠もなく「世界のトヨタですからきっと素晴らしいEVを作ってテスラやメルセデスにも負けないはずです」とノー天気なことを言うのは私のキャラには合わないので言わないことにします。

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