「コロナ禍」のヨーロッパで電気自動車の普及率が上がったのはなぜ?【ノルウェーだけじゃない?】
こんばんは、@kojisaitojpです。最近「コロナ禍」が実は電気自動車の普及率アップに貢献しているような気がしてきました。
オンラインで対応と、わざわざディーラーまで来させてアップデートする他のメーカーとは違う。 https://t.co/7UgDEbT5bR
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) January 7, 2021
「マイナス25度以下でも対応」できるようになったら「寒さ」を理由に電気自動車を否定したい方々は木っ端微塵に吹っ飛びますね(笑)。
テスラがすごいのはそれだけではありません。
「ソフトウェアパッチを配布」ですので、常時オンラインにつながっているテスラ車であれば無線でソフトウェアをアップデートして完了です。
私は過去にシトロエンやジャガーの修理で、格安で修理に対応してくれる整備工場で整備した後に「ディーラーでコンピューターをリセットしてくるのでもう少々お待ちください」のように言われて更に数日待たされたことが何度もあります。
コンピューターをアップデートするためにわざわざディーラーに行かないといけないというのはよく考えると端的に「時間の無駄」です。
実はオンラインでソフトウェア(テスラの場合これが「走り」の部分までカバーします)をアップデートできるテスラのやり方は「コロナ禍」の状況で、なるべくなら対面でのコミュニケーションを避けたいと思うユーザーの心理にも上手に対応しています。
何かトラブルがあると常にディーラーに行くという行動を求められる従来の自動車業界では当たり前と思われていたモデルが、コロナ禍で崩壊を更に加速させています。
今日はノルウェーだけではなく、他のヨーロッパ諸国も例に挙げて、コロナ禍でいかに電気自動車化の流れが加速したかについて検証してみます。
目次
過去最高の電気自動車化率を達成しているヨーロッパ市場(まずはノルウェー)
今日は必要最低限にしかノルウェーの話はしません。
したところで「ノルウェーは日本と違うから」とかいう謎の反論にもならない反論が飛んでくるだけですし。
その反論に対して、
- 日本は寒いから電気自動車は無理→ノルウェーは北海道より北で寒いです
- ノルウェーは水力発電できるから日本と違う→日本も再生可能エネルギーが10%増えれば対応できます
このようなことを話したところで「でも雪に埋もれたらどうするんだよ?」と話を聞かないで自分の独断と偏見に凝り固まった人と会話すること自体時間の無駄ですので。
「何が違うのかよくわからないけど、とりあえず違うことにしておかないと都合が悪い」人が多いようです。
ちなみにノルウェー在住で、電気自動車の情報発信にかけては世界トップクラスのこの方も、最近は極寒の中で毎日YouTubeをアップしています。
「電気自動車は寒さに弱いのでぇ〜」と意味不明のことを言っているのは日本人だけです。もはや「世界の中の田舎者」状態かもしれません。
これは最新2020年12月のノルウェーの新車販売台数ですが、既に電気自動車が66.7%を占めているというのも驚異ですが、反対に見れば33%くらいの人は2025年に禁止される「内燃機関車(エンジン搭載車)」を買っているとも言えます。
サイクル的には4年後ですから、これらの人々のほとんどが次の買い替えでは電気自動車を購入することでしょう。
ヨーロッパは陸続きなので、他のヨーロッパの国で登録したガソリン車をノルウェーに持って来れば公道を走ることは可能でしょうが、その時にはガソリンスタンドがほとんど消滅していて、むしろガソリンスタンドを探すのに苦労するという今の日本とは逆の光景が見れることでしょう。
2020年12月「イギリスの電気自動車普及率」は?
ノルウェーだけだと納得しない方が多いので次はイギリスに行ってみましょう。イギリスは2035年からの「内燃機関車(エンジン搭載車)」の新車販売禁止にハイブリッドとプラグインハイブリッドを含めた国です。
ホンダがイギリス政府に猛烈な圧力をかけて阻止しようとして失敗した話は前にしましたが。
既にプラグインハイブリッドを含めない電気自動車の販売割合でも16.5%と過去最高水準です。
車種別の統計を見ても「テスラ・モデル3」がトップ、発売されたばかりのフォルクスワーゲン「ID.3」も4位と既にガソリン車・ディーゼル車も含めた統計でも当たり前のように上位を占めています。
新型コロナウイルスの変異種が発生し、再度ロックダウンになり経済活動がストップしている中でもこの数字を叩き出すのは驚異的です。
2020年12月「フランスの電気自動車普及率」は?
次はフランスを見てみましょう。
フランスの電気自動車の占有率は11.1%(PHEVを含めると19.2%)ですが、既にこの一年で6倍に増えています。
こちらはガソリン車・ディーゼル車も含めた2020年11月までの販売台数ですが、ルノー・プジョーの本国に相応しく「ルノー・ZOE」や「プジョーe-208」が上位に入っています。
他には「ヒュンダイ・コナ」や「キア・ニロ」などの韓国車も検討しているのが特徴です。日産リーフもランキングには入っていますが、既に抜かれています。
電気自動車では韓国車もあなどれないという話は前にしましたのでよろしければご参照ください。
ヒュンダイ「Ioniq5」が驚異のスペック?【電気自動車も韓国に負ける?】
ヒュンダイが2021年に販売予定の「Iconiq5」の情報がリークされましたが、航続距離、急速充電などスペック面でフォルクワーゲンや日産を凌駕するほどのハイスペックです。スマホにしろ液晶テレビにしろ韓国メーカーとの競争に負けた日本企業は電気自動車でも負けるのでしょうか?今のやる気のない状況を見ると否定できない危機です。
「フランスは原発をやってるから〜」と反発したい方々には「フランスはドイツから電気を買っているほど電力不足にあえいでいる」という事実を指摘しておきます。
ドイツは電力の輸出国だ | 自然エネルギー財団
欧州各国の電力の輸出入を正しく把握するためには、物理的な電力の流れと商業的な電力の流れに差があることを理解する必要がある。ドイツとフランスを例に詳しく説明したコラム。
2020年12月「スウェーデンの電気自動車普及率」は?
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スウェーデンは「ボルボ」の母国です。
他のヨーロッパ諸国と若干違うのは「ボルボ」の電気自動車化が昨年2020年からだという点です。
ボルボは先日紹介した「XC 40 Recharge」まではPHEVが中心だったゆえ、他のヨーロッパ諸国よりPHEVの比率がまだ高いという特徴があります。
ですがそれでも既に電気自動車も19.2%を占めており、隣国のノルウェーには及びませんが、ボルボの電気自動車化と共に急激に比率を上げてきています。
日本もトヨタやホンダなどが本気で電気自動車を開発すればすぐに比率は上がるのでしょうが、その気はないようです。
あくまで「日本だけは電気自動車に向かない特殊な国」ということにしておきたいようです。
電気自動車化する世界の流れから取り残される「世界の田舎者」が日本人?
どうもマスコミの報道やネット上の掲示板などの書き込みを見ていると、昨年の12月頃から猛烈な電気自動車バッシングが始まったような印象を受けます。
理由は簡単で、日本政府が2035年に「内燃機関(エンジン)車」の新車販売を禁止するという方針やトヨタ社長の例の「電気自動車批判」以降の話です。
この2つが出て以来ネット上にやたらと電気自動車の悪口が目立つようになってきました。
どっかの国の政府のようにランサーズなどで「電気自動車を批判する記事やコメント」を書くライターでも雇っているのか?と思うくらいです(笑)。
片やコロナ禍でロックダウンなど日本より厳しい行動制限が設けられて、昨年一年間経済活動がストップしていたヨーロッパで、これだけ電気自動車の普及率が大きく上がっています。
もう一方では「日本政府が2035年に「内燃機関(エンジン)車」の新車販売を禁止」と言っておきながらハイブリッドやプラグインハイブリッドもOKという、ノルウェーやイギリスでは却下されている例外を設けるという中途半端な対応しかできない日本。
「電気自動車化」の流れに乗ったヨーロッパ。
あくまでも「内燃機関(エンジン)」に固執する「世界の中の田舎者」のような状態の日本。
中国は元から電気自動車化を推進、ようやくバイデン次期大統領が確定し「グリーンニューディール」という政策のもとで電気自動車化に舵を切るアメリカと、世界を代表する巨大市場が電気自動車化する中で日本一国だけ意地を張っても「電気自動車ないんじゃ日本車イラネ」のようになってしまうのは目に見えています。
「ガラパゴス」「世界の中の田舎者」と見なされて、「昔は日本も良い車たくさん作ってたんだけどねぇ」と過去に敗れたスマホや液晶テレビのように言われてしまう暗い未来がチラチラ見えてくるようになりつつあります。
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