箱根駅伝でトヨタ「bz4X」が披露されたのを見て感じた疑問とは?

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こんばんは、@kojisaitojpです。毎年恒例ですが、正月になるとこのネタを取り上げることになります。

昨年の箱根駅伝では「BMWの電動バイク」が先導の白バイで使われており(警視庁しか保有してないので警視庁が担当の1区と10区だけ)、記事で取り上げたことがあります。

今年はトヨタが以前から2022年中の発売を予定している「bz4X」が大会運営車として使用されたことが話題となっています。

そこで今日は今年の箱根駅伝で投入した「bz4X」について眺めながら感じた疑問について解説したいと思います。

箱根駅伝で大会運営車として登場したトヨタ「bz4X」ですが…

トヨタbZ4X
今回の箱根駅伝でトヨタの「bz4X」は最もテレビに映るであろう先頭の選手の後ろを走る大会運営車として登場しています。

実際に動いてる様子もTwitter上で拡散されています。

2022年に発売が予定されている最新のEVを大会運営車として提供するトヨタの姿勢は評価したいと思います。

しかも先日「今後16車種のEVを市場に投入」を発表した直後ですので、「今年はEVを出すよ」というアピールとしては悪くないと思います。

しかし同時に感じた違和感もあります。

ネット上では「bz4X」に対して絶賛の嵐ですが、実はこのEVは搭載バッテリー容量や航続距離、最大充電出力と充電時間などの肝心のEVとしてのスペックが全く明らかになっていないので「ba4X」は評価しにくいということは私も以前の記事で書きました

ですのでEVについてあれこれ論じる私のブログでもbz4Xに対する評価は「評価のしようがない」というのが正直なところで、それは最初に発表された昨年4月の時点でも現時点でも変わっていません。

新しい情報といえばイギリスでの販売価格が出たくらいで、イギリスで630万円なら日本では500万円台で売るのかな?という予想ができる程度です。

テスラストア・パリマドレーヌのモデルY

競合車種となるテスラ「モデルY」などと比較すると若干安いですが、「そもそもEVとしての性能はどうなの?」「OTAアップデート(オンライン)はどの程度のレベルまで可能なの?」という点が明らかにならないとモデルYや同じように同価格帯のフォルクスワーゲン「ID.4」や日産「アリア」と比較することすらできません。

テスラストア・パリマドレーヌのモデルY

そして今回の箱根駅伝を見ていて感じた最大の疑問は「1台しか走ってなかった」という点です。

「bz4X」以外はアルファード(ガソリン車)がトヨタの姿勢?

トヨタbZ4X
トヨタがメインスポンサーの大会で今年中に発売が予定されている「bz4X」を実際に走らせてアピールしたこと自体は「トヨタもようやくEVを本気でやる」という姿勢が見えるので評価していいと思うのですが、問題は「bz4Xしかなかった」ことです。

私も自分の母校を応援する目的で1区〜10区までずっと見てましたが、基本的にbz4Xは他の大会運営車であるアルファードに囲まれてよく見えないシーンが多かったです。

これに対してネット上では「わざとチラ見せすることで興味を持たせる作戦だ」などとなぜかトヨタのやることは何でも好意的に解釈しようとする人々がいますが、「この大会が駅伝だということ忘れてないか?」と言ってやりたいところです。

「駅伝」、つまり学生が「走ることを競う競技」が駅伝です。走るランナーにとっては当然ですが「排気ガスなんかない方がいい」のは自明だと思うのですが、そういう視点で駅伝を見れないのでしょうか?

東京オリンピックのマラソンでは並走車として電気自動車(BEV)の「LQ」と水素燃料電池車の「Mirai」を使っていたわけで、現行のトヨタのラインナップでできないはずがないです。

オリンピックで使用した車両も今回の「bz4X」同様にナンバーを取得していましたので、既に公道を走れるように国土交通省の認可は得ていたはずです。

「排気ガスのない車両を使う選手に優しい大会」であることをアピールできる上に、実際に走っている選手の健康にもプラスだったはずです。

今回の箱根駅伝も「LQ」や「Mirai」も投入すれば「大会に提供する車両は全てゼロエミッション」と宣伝することもできたわけで「何でやれるのにやらないの?」という疑問だけが残ります。

選手にもプラスですし、「企業の宣伝」という観点でもプラスになりwin-winだったと思うのですが。

そこに排気ガスが普通に出るアルファードを大量に走らせるようでは「トヨタって本気でゼロエミッションに取り組む気あるの?」と疑問を持つのは私だけではないはずです。

まぁこのようなことを言ったどころで「オリンピックではできるけど駅伝ではできないんだよ」とあたかもトヨタ内部の人間であるかのようなしたり顔でできない理由を並べてくる輩が大量に現れそうですが。。。

むしろ「本気でEVやゼロエミッションやる気あるの?」と思った箱根駅伝

トヨタのEV発表会のレクサス

トヨタが先日発表した16車種にも及ぶEV発売計画については私も先日記事にしましたが、忘れてはいけないのはまだ発表しただけで、発売すらしていないということです。

私は「まだスタートラインに立っただけの段階で勝ち誇るな」と言おうとしたのですが、冷静に考えると「スタートラインに立つ=発売開始」ですよね。。。

bz4Xはまだ発売すらしてない(2022年のどこかとは言ってますが)のだから「スタートライン」にすら立ってない状態というのが適切、「前日にメンバー表を出しただけ」と言うべきかもしれません。

テスラや中国メーカーが日本メーカーとは次元の違うEVを次から次へと投入してる「EV競走」に参戦することを表明しただけで「勝った」とドヤ顔をすることがいかに寒いのかということになります。

などというと「EVなんてバッテリーとモーターしかないんだから簡単に作れるだろ!」と怒り出す人はテスラが「4680セル」、BYDが「Bladeバッテリー」と各社独自の技術を発展させようと日々努力してることについては何度も解説してますので、こちらの記事を読んでから反論してください。

まぁこの記事を書いた後にテスラの4680セルについてはパナソニックもまだ採用の芽があるのがわかったので若干内容を修正する必要がありますが、テスラがこれまでのEVでは考えられない品質のバッテリーを開発してるのは事実です。

BYDのLFPバッテリー「Bladeバッテリー」については、今後協業関係にあるトヨタのEVに搭載される可能性があるのは先日解説しました。

BYDのバッテリーを流用という手段を用いればトヨタも世界で戦えるレベルのバッテリーを装備してEV競走に殴り込みを…と言うことは可能ですが、EVの根幹部品であるバッテリーをBYDという中国メーカーに握られた状態になります。

内燃機関車でエンジンに相当する部品を他社依存でEV競走に参戦するという時点で「本気でやる気あるの?」という以前からの私の疑問は解消されていません。

その状態で今回のように「bz4Xを1台見せただけで、後はアルファードなどのガソリン車だらけ」なのを見せられると「排気ガスゼロが選手にプラスになるし、企業の姿勢をアピールすることで企業価値の向上にもつながると東京オリンピックで学習しなかったの?」という疑問が深まる結果となってしまいました。

私の中ではトヨタのEV化計画はまだまだ「要観察」で、手放しで喜べる内容ではないという警戒感は解けていません。今回の箱根駅伝での姿勢を見てその認識が更に強化されたかもしれません。

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