トヨタのEV化計画から感じる疑念とは?【BYDの電池?合弁?】
こんばんは、@kojisaitojpです。実際に行ってから少し時間が経ちましたが、こんなところに行ってきました。
敵地到着(笑) (at @MEGAWEB_pr in 江東区, 東京都) https://t.co/kjetIKFN8R pic.twitter.com/6rNeyLFaNL
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) December 20, 2021
まぁ敵地でもないのですが(正直そんなに意識するほどトヨタに興味がないです)、ブログでトヨタを批判することを書いていると勝手にアンチトヨタだと思われてることでしょう(笑)。
しかしどうやら以前の私の発言がフラグとなって、フォルクスワーゲンを見にヴォルフスブルクへ行った1ヶ月後に回収することになったようです(笑)。
しかしID.3を見たくてヴォルフスブルクまで行くってのは日本でたとえるとプリウス見に豊田市へ行くのとやってること変わらないんだよな(笑) pic.twitter.com/7NeDRC5KIF
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) November 29, 2021
この時点では12月にトヨタが「16車種のEVを発表する」なんて予想できてませんからねぇ。
というわけで今日は先日「メガウェブ」に展示されているトヨタのEVを見てきた感想も含めて、先日発表されたトヨタのEV化計画について考えてみます。
目次
16車種のEVの投入を発表したトヨタのEV化計画
画像と比べて特に新情報はありませんが、動画も撮影してますのでよろしければご参照いただければと思います。
私が試験的に投稿している他の動画(ホテルや飛行機など)のPV数が一桁だったりする中でなぜかトヨタのEVを撮影してきた動画だけ300以上も再生されているのかは謎ですが。。。
この動画に今日の記事のリンクを貼った途端、以前の豊田社長に関する記事同様に次から次へと誹謗中傷が送りつけられるかもしれませんね(笑)。
さて今回のトヨタの発表で出てきた「今後のEV化計画」を簡単にまとめると、
- トヨタとレクサスから全16車種のEVを数年以内に発売する
- レクサスについては2030年以降は全車EV化(ヨーロッパ・北米・中国のみ)
- トヨタ・レクサスのディーラーに急速充電器を設置し、他社にも開放する
- 投資額はバッテリーに2兆円、車両開発に2兆円(2030年まで)
この中で「トヨタ・レクサスのディーラーに急速充電器を設置し、他社にも開放」については先日のe-MobilityPowerについての記事で解説したので今日は触れません。
「さすがはトヨタ、密かに準備してたな」などと日本の自動車メディアなどでは大絶賛してますが、実は2030年までに総額4兆円というのは販売台数で世界トップを争うのフォルクスワーゲンが2025年までに4兆円と言っているのと比べると少ないくらいです。
他にもGMやフォード、ダイムラーなどと比較しても特に驚く数字ではありません。
それに今回発表された内容の大半は4月に「bZ4X」が発表された時に出た内容とほとんど重複してます。
実は4月に書いた記事でトヨタが2022年に発売予定のEV「bZ4X」についても、背後にBYDがいること、2025年までに15車種のEVを発売することに既に触れており、今回の発表で特に新しい情報はなかったというのが正直なところです。
トヨタ「BZ4X」の発表から感じる疑問とは?【スペックは?充電インフラは?】
トヨタが上海モーターショーで新しいEVである「BZ4X」の発表をしましたが、コンセプトカーに留まり具体的な電気自動車としてのスペックなども非公表、発売時期も2022年半ば以降と肩透かしを食らうようなワールドプレミアでした。昨日のフォルクスワーゲンのような充電インフラの設置計画もなく「本気なの?」と思う内容です。
細かく見れば15車種が16車種になったとか、レクサスが全車EV化を表明したなどの材料がありますが、今回新たに加えられた情報はせいぜいその程度です。
「実車が公開されただろ!」と言われそうですが、実は既に発表されている「bZ4X」以外はスモークが貼ってあり、中の様子が全く見えません。
唯一中を確認できるのがこれだけで、他は全く見えません。
実際に「実はハリボテでは?」という噂も出ています。
>「急な発表となったため、展示されたEVの一部は大手広告代理店に発注して造らせたハリボテだった」
やっぱり🤣
「トヨタがEV巻き返しに動いた」祭りは、豊田社長に飛んできた大きなブーメラン – SAKISIRU(サキシル) https://t.co/AKigilKdXo
— takuya.82@日本人の島国根性に闇堕ち (@takuya8212) December 27, 2021
トヨタが想定してるより世界のEV化の流れが早いので大急ぎで体裁だけ整えたというのが実際の事情のようです。
「bZ4X」は実車でしょうが、確かにその他のEVは模型、もっと乱暴な言葉を使うと「ハリボテ」に見えますよね?
そして急ごしらえのEV化計画をよく見ると「BYD」の名前がチラッと見えてきます。
EVでは世界のトップを争うBYDが欲しいのは「トヨタの看板」だけ?
これが今年4月にトヨタが「bZ4X」を2022年から市場に投入することを発表する際に出たサプライヤーですが、「BYD」の文字がしっかり掲載されています。
実際にトヨタとBYDは2020年に中国で合弁会社を設立し、BYDとの協業で中国向けのEVを製造するのは以前から決まっていました。
今回トヨタが表明した「2030年に世界で350万台のEVを販売」という目標を達成するためにはトヨタが自社で用意できるバッテリーだけではどう考えても足りないです。
ですので「中国以外で販売するEVもBYDのバッテリーを使うのでは? 下手をするとBYDからOEM供給?」というにおいもしてきます。
実はトヨタとBYDが協業することは「現時点では」両者に大きなメリットがあり、
- トヨタ側は開発が遅れているEVをBYDの力を借りて素早く市場に投入できる
- BYD側はトヨタという看板を通して「中国メーカー」へのネガティブイメージを払拭できる
現時点で両者の置かれている立場を考えると「win-win」の関係にも見えます。というかお互いにメリットがなければ合弁会社を設立したりはしないですよね。
しかし同時にBYDの幹部から強気の発言も飛び出しています。
> トヨタから学びたいことはない。欲しいのは『世界のトヨタ』の看板だけ
BYDの関係者発言だと、トヨタEVの一部は噂通りBYD製か🤔
京都はかなり前からBYDバス走ってたから、驚きはない。
京都の路線バスに中国製EV、圧倒的低価格で日本市場に殴り込み https://t.co/iqlXdSB9g5
— これはジュゴン (@7VnGcBbJt8x5Spl) December 25, 2021
中国らしいといえば中国らしいですが「トヨタから学びたいことはない。欲しいのは『世界のトヨタ』の看板だけ」という超強気な発言がBYDの幹部から発せられているようです。
EVのことをある程度知っていると「そりゃそうだよな」と思うところですが、おそらくそうじゃない人「何で中国メーカーがこんな威張るんだ」と思う人もいるでしょうから、BYDのEVに関する技術力と戦略の巧みさについて少し解説します。
「負けない戦略」でEVの覇権を握ろうとするBYD
まずはBYDの戦略の巧みさですが、こんな例もあります。
2017年10月8日、BYDランカスターにてバッテリー新工場竣工。
中国から輸出すれば日本車みたくボコボコに叩かれるので、米国製造し組合にも加入。
トラック組合、バス組合など一番煩さいところ(逆に連邦政府から守ってくれる)に販売するやり方は非常に上手い。
誰がコンサルしたのだろう。 pic.twitter.com/hodicaf1RO— 松野博 Hiroshi Matsuno (@stonecold2000) December 24, 2021
アメリカでは反発を招かないように全米自動車協会の労働組合に加盟(アメリカ人の雇用を守りますというメッセージ)し、日本では「トヨタ」にサプライヤーとして協力することでトヨタブランドを活用して日本人に売り込むという巧みな戦略です。
なんて話をすると必ず「中国のバッテリーなんて燃えるから危なくて使えない」とか「トヨタがそんな危ない会社と組むわけない」と怒る人がいるでしょうが、BYDの技術力知ってますか?
BYD自慢の技術である「Bladeバッテリー」については以前の記事でも紹介してますのでぜひご参照いただければと思います。
「Blade Battery(LFPバッテリー)」を持つBYDが最も怖い中国メーカー?【EVバスはとっくに日本上陸】
BYDが電気自動車(BEV)の輸出をジンバブエ・ケニアとアフリカ諸国に、年内にはオーストラリア・ニュージーランドへの輸出も予定しています。最大の魅力が「LFPバッテリー」と「Bladeバッテリー」という技術です。レアメタル不使用でコストを削減した安価なバッテリーが発展途上国を含む世界に受け入れられる可能性は高いです。
BYDの「Bladeバッテリー」はバッテリーに釘を刺しても発火しないという抜群の安全性を誇ります。
NCMバッテリーは大半のEVに採用されている「ニッケル(N)・コバルト(C)・マンガン(M)」を用いたバッテリーで、「三元系」と呼ばれるバッテリーです。
これに対してBYDが採用する「Bladeバッテリー」はLFPバッテリーと呼ばれる、レアメタル(コバルト)を使用しないバッテリーで、その分価格が安価で安全性に定評があるバッテリーです。
LFPバッテリーはテスラが上海製モデル3のスタンダードレンジプラスに採用し、フォルクスワーゲングループもコスト重視の大衆車EVに採用をすることを表明しているバッテリーですがエネルギー密度が低いのが欠点です。
BYDは「Blade(刃)形状」にすることで「搭載面積を大きくする→バッテリー搭載量を増やして航続距離を伸ばす」という手段で対応しています。
BYDの立場になって考えれば安価でかつ安全性も高いバッテリーを製造してるのに「中国メーカー」というだけで「燃える」とレッテルを貼られやすいのは悩みの種。
そこに「トヨタ」という看板をつけて販売すれば世界のユーザーが買ってくれるし、実際に使ってもらって発火事故などが起きなければBYDという会社の信頼性を高めることができる。
高度な技術力を背景にした恐ろしい戦略だと思いませんか?
そしてBYD自体の評価が上がったらどうするか?
その時はBYDにEVの製造やバッテリーの供給を依存しているトヨタを切って「BYD」の名前で堂々と販売すればいい。
いかにも中国メーカーがたくらみそうなことですよね?
BYDとトヨタの合弁事業にはそのようなリスクがあることも忘れてはいけません。
トヨタがEVのネガティブキャンペーンをやってきた痕跡は残ります
とはいえこれまで「EVやる気あるの?」とやる気すら疑われる姿勢だったトヨタがようやくEV化へ向けてスタートラインについたことは評価すべきでしょう。
しかしトヨタという会社あるいは豊田社長がこれまで様々な場所で発してきたEVへのネガティブなメッセージが消えるモノではありません。
トヨタは当方が知っているだけでかれこれ16年に渡ってアンチEV活動を続けてきたのだから、同じ年数をもって…今からですと2037年まで延々とEV推進活動ならびにEV全力販売を続けなければ割に合いません。
ただしトヨタ全社新車販売100%EVになった時点で、この罰は終了しても良いかもしれません。
— タツ (@ritten_JBN) December 21, 2021
実際に豊田社長がEVに対して否定的な発言をしたことは一度や二度ではなく、例えばこのEV発表会の数日前に出た週刊文春のインタビューでも「日本で全部EVにすると原発が10基必要になる」などという根拠のない暴言を吐いており、それについては強く批判しました。
「EVシフトは原発が必須」とデマを流す日本トップの企業?【豊田社長ご乱心?】
ヨーロッパ旅行の記事を書いている途中ですが、日本を代表する大企業であるトヨタのトップである豊田章男社長がトンデモ発言をしたので取り上げます。「EV化したら原発が10基必要になる」と再エネを活用することが全く視野に入らないお寒い発言は、日本人の原発アレルギーを利用したEV化を妨害する悪意を感じるので取り上げてみます。
まぁこの記事を書いた直後は私のブログで過去最高のPV数を叩き出したのですが、その分トヨタや豊田社長を擁護する勢力からの誹謗中傷のようなメッセージも多数届きましたけど(笑)。
「原発が10基必要になる」というのは東日本大震災の際の東京電力福島第一原子力発電所での事故以降「原発」という単語にナーバスになっている日本人には「じゃあEVなんてやめておこう」とネガティブな印象を与えるのに十分なインパクトがありますし、先日取り上げたように世界各国でEVのネガティブキャンペーンのようなロビー活動をやっていたことが明らかにされています。
「全方位戦略」を唱えながらEVだけは拒絶するトヨタはオワコン?【陰謀論に全振り】
アメリカ大統領選挙の無効を主張する勢力にトヨタが政治献金をしていた事実が発覚しました。企業活動として政治献金をすること自体は問題がないのですが、EVの普及を阻止したいからといって議会を襲撃する民主主義を破壊する勢力を支援するのは「SDGs」の観点から問題となります。日本のマスコミが黙殺するであろう重要な問題を論じます。
特にアメリカ大統領選挙の際に「EV推進」を公約に掲げるバイデン現大統領の誕生を阻止すべくトランプ前大統領を支持する勢力の中で「大統領選挙の無効」と唱える勢力に献金をしていたという事実も消えるものではありません。
もちろんロビー活動として自社に都合の良い政策を採用してもらおうと活動することは違法でも何でもない政治活動です。
ですが記事でも述べましたが「トランプ派の過激派がアメリカの連邦議会を襲撃する事件」を起こした後も、献金を続けていたという恥ずかしい過去があります。
日本だと意識しないかもしれませんが、このような「議会制民主主義を破壊しようとする勢力」を支持することはアメリカ・ヨーロッパでは厳禁で、会社自体の信頼を失墜させるものです。
今日はこの程度にしておきますが、他にもいくつも「アンチEV」の活動をしていた痕跡が見られます。
これだけのネガティブキャンペーンをやっておいて「今までのトヨタのEVに興味はないが、これからのトヨタのEVには興味がある」と言われても「何を今更?」という印象をもってしまいます。
ですのでうがった見方をすると「EVなんてBYDに全部やらせておけばいいんだ」的な姿勢が見えなくもないと言うことができます。
とはいえ日本最大の自動車メーカーがようやく本格的にEV化を進めていくことは充電環境の充実や、法改正などの法整備が必要な時への日本政府への働きかけなど日本のEV化を加速するきっかけになることは間違い無いです。
私個人の評価としては「まだまだEV化のスタートライン、今後も要観察」です。
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