【ブラックなバイト】元予備校講師の目線で語る塾・予備校業界の闇
こんばんは、@kojisaitojpです。色々なテーマについて語る中で具体例として予備校講師時代の体験を活用させてもらってますが、この業界の裏側について語ったことはまだありませんでした。
まだ多少働いてるので全否定するのは心苦しいですが、実は塾・予備校という業界はかなりブラックな業界です。プロとして働くのはまだいいですが、大学生のバイトとしてはお世辞にもオススメできない業界です。
今日はそんな塾・予備校業界のブラックな部分を暴露します。
目次
学生にオススメできないブラックバイトが塾・予備校
大学生になってアルバイトをしようと思った時に、ある程度の偏差値があった大学生が真っ先に思いつくのが塾・予備校のバイトです。小規模な塾、小学生・中学生対象の塾であれば大学生でも講師として働けますし、予備校でも受付とか受験生のアドバイザーなどであれば生徒と距離の近い大学生をバイトとして採用します。
特に自分が生徒で通っていた塾や予備校から合格後に「ウチでバイトしない?」的に誘われることが多いですが、これが人生踏み外す第一歩になるかもしれません。
ちなみに私は自分が大学生の時にはこの業界でほとんどバイトしてません。元々大学受験以外教える気がなかったので、社会人になってからじゃないと仕事ないよなと思っていたので大学生の時は関わってませんでした。
なので本日語る目線はプロの講師として塾・予備校の学生バイトを見ていて感じたことです。当事者じゃない立場の方が色々闇が見えるというのはよくあることです。
この業界がブラックな部分は以下の3点に集約されます。
- 無償の時間外労働が多すぎる
- 市場が衰退している
- 経営者のレベルが低い
以下でそれぞれの項目について説明していきます。
無償の時間外労働が非常に多い
塾・予備校業界のブラックな側面で、働いたことのある人なら誰でも指摘するのが「時間外労働が多い」という点です。
この業界は基本的には授業時間のみしか報酬が出ません。授業前後のミーティングとか授業後の生徒からの質問対応、教材の予習や授業の準備などに報酬が一切出ません。
私の場合は自分の教材で授業をやってたりもしたので「教材作成費」こそはもらえましたが、授業後に生徒の質問で30分1時間と残業しても一切出ませんでした。
知識を教える科目ではない現代文はという科目は、自分の解答が間違っているということに納得できない生徒が多く、説明に時間がかかるので質問対応に時間がかかるので(以前の記事で「何でこの答えじゃねぇんだよ」とキレる生徒、反対に泣き出す生徒など様々なのが現れます)。
まぁこちらとしても生徒の頭の中、思考回路を確認するという意味では勉強になるので質問自体は悪いことではありませんが、サービス残業です。
無償の時間外労働でありながら、対応しないで帰ったりすると苦情が来たり、生徒の評判が落ちるのでやらざるを得ないという点でかなりブラックです。
学生のうちから「サービス残業が当たり前」という感覚が染み付いてしまうと、社会人になってからブラック企業に都合の良いように使われても疑問を持たない社会人になってしまうリスクがあります。
業界自体が「無償労働が当たり前」という感覚が浸透しているので、誰も異議を唱えたりできませんし、熱心な学生バイトなどはシフトが入っていない日にも生徒の面倒を見に来たりしてたので驚いたこともあります(もちろん無償労働)。
自分の頑張りで生徒が育っていくのを見るのは気持ちが良いもので、自分のメンタルにもプラスなことですが、結局は「やりがい搾取」になっているのが現実です。
市場が衰退している
誰もが言われれば納得するかもしれませんが、「生徒数の減少」、正確には「子供の数が減少」していることから来る市場の衰退というのが次に痛いところです。
衰退している産業は基本的に新しいことや変化をしようとしないので若者が学べるものが少ない。
大学生の将来を考えるとこれが最大の欠点かもしれません。
衰退している市場では、基本的にコストをカットすることばかり考えていて、新しいことにチャレンジしようとしない傾向があります。
私も当時色々仕掛けました。現代文は英語や数学のように黙っていても生徒が受講してくれる科目ではないので、講師と塾・予備校側が協力して「受講するとこんな良いことがあるよ」という売り込みをやらないと生徒は増えません。
当時私が強調していたのは「日本語の文章も読めない奴が英語とか古文とか読めるわけないだろ?」という煽りです。煽りと言うよりは「母国語である日本語以上に英語力がつくことは絶対にない」のが客観的事実なのですが
衰退している予備校だと売り込むための提案すら無視します。「そんなことやっても無駄」「どうせ生徒なんか集まらないよ」などと何度も言われたことがあります。
経営者からすれば「現代文なんかに無駄なコストを払いたくない」というのが本音なのでしょうが、新しいことをやろうとしない会社・業界には未来がないです。
無能な経営者が多い
市場のパイが小さいだけではなく、実は毎年毎年の生徒獲得競争も激しいです。
平均すれば40%前後の生徒が受験を終えるといなくなってしまう。またそれ以外にも途中で退塾する生徒は必ず発生する。
あらゆる業種のなかでもトップクラスの顧客償却率になってしまう構造なのです。
「学習塾は会員制で月謝をいただける安定したビジネスで、社会的信用も高いです」などと某フランチャイズのパンフレットに書いてあり、苦笑してしまったことがあります。
「会員制で月謝をいただけてる安定したビジネス」は一見サブスクリプションにも見えますが、毎年毎年生徒獲得競争があります。
ですので小規模な塾では1年失敗しただけで終了のリスクもあります。毎年生徒が入れ替わるというのが通常のサブスクビジネスとは違う泣き所です。
その分だけ経営者の手腕が問われるところなのに大抵の経営者は一般企業より無能です。
生徒獲得のために広告を打つとなった時に真っ先にやるのが「新聞の折り込み広告」というレベルですから…。実はIT技術を活用した事業にはほど遠い世界です。
広告に新聞の折り込みチラシなどを活用してる時点で昭和マインド。ITとは無縁の人が多いです。パソコンと言ってもせいぜいWORDが使えればできてしまうので、スキルが低いのも痛いです。
顧客ニーズが顕在化している、受験を控えた生徒は毎年一定数発生する、その生徒も個別指導に近い感じで面倒を見て欲しいという生徒(小規模塾向き)、進学校の生徒などに多い「勉強は自分でやるから質の高い授業だけ受けたい(大手予備校向き)などのようにそれぞれの塾に応じたニーズがはっきりしているという点はビジネスのしやすい業界なのですが。
「これからは動画配信で十分だから塾もオワコン」と罵ってくるインフルエンサーがいそうですが、動画配信をyoutubeなどで受けるだけで学力が向上する生徒は案外少数です。人間が介在して直接指導ができないと伸びない生徒の方が圧倒的に多いです。自分で勉強ができた高学歴のインフルエンサーは理解できないでしょうけど。
ただしこの状況を変えようという革新的な経営者がいないのが残念なところです。
まとめ
大学生向けに塾・予備校業界でアルバイトをオススメしない理由を説明してきました。が、要は以下のようなデメリットがあるということです。
色々例を挙げて説明しましたが、基本的に「無償の時間外労働が当たり前」のブラック企業、市場衰退していて自分の頑張りが正当に評価されないような業界で頑張る意味がないです。
なので大学生のアルバイトとして決してオススメできる業種ではありません。元講師が断言するのだから説得力ありますよね?
生徒に教えて、その生徒が苦しみながらも成長して結果を出せるようになるプロセスを一緒に歩くのは、正直言って楽しいです。自分が人を育てたという実感はお金では買えない価値があるのは事実かと思います。
ところがこれが「やりがい搾取」につながるというのが落とし穴です。やりがいを感じるから職場がブラックでも頑張ろうと思ってしまうことがブラック企業で搾取される人生への第一歩です。
成長が見込める業界であればそれでも我慢して働くメリットがあるかもしれませんが、市場が衰退している業界でこのような体験は地獄です。
将来がある大学生は他のアルバイトで社会経験を積むべきです。
人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!