「カーシェア」が日本で普及しないのはなぜ?【「CASE」の「S(share)」です】
こんばんは、@kojisaitojpです。EVに直接関わる話ではありませんが、ようやく導入されたなというのが個人的な印象です。
昨日発表されましたAnyca(エニカ)の新保険「カーシェアプロテクト」の分析をしました。 pic.twitter.com/nuKni02Pee
— カーシェアマニア (@carsharemania) May 26, 2021
これまでもカーシェアを利用する際には保険への加入が義務付けられていましたが(カーシェアではレンタカーのように会社が入るのではなく個人で入るもの)、その内容が不十分だというのは前から指摘されていました。
私自身もテスラをカーシェアで何度も利用していますのでその度に「万が一何かあったら自分の保険の他車運転特約とか使う羽目になるかも」とは思っていました。
それが改正により現在より幅広い範囲が保険の対象になるようで、これまでだったらトラブルにもなっていたオーナーとユーザーの関係にも変化が訪れるかもしれません。
今日は保険の中身が改正される「Anyca」の「カーシェア」を中心にカーシェアがもたらす未来の可能性について考えてみたいと思います。
目次
「Anyca」の保険変更がもたらすメリットとは?
さて今回の「保険の契約内容の改正」は「Anyca」だけのものですが、様々な変更点の中で重要な部分をピックアップすると、
- 車両保険の限度額が300万→1000万に
- 追加料金で免責金額もゼロにできる
- 盗難なども保険の対象に
辺りがオーナーにもユーザーにもありがたい部分かと思います。
エニカと損保ジャパン、個人間カーシェア専用保険を開発 事故やトラブルの不安解消 | レスポンス(Response.jp)
DeNA SOMPOモビリティが運営するカーシェアサービス「Anyca(エニカ)」は、損保ジャパンと共同で個人間カーシェア専用保険「カーシェアプロテクト」を開発、7月21日(予定)より提供を開始する。
「トラブルがあっても会社が助けてくれない」と怒る人もいますが、例えば「Anyca」であればあくまで個人と個人のシェアをアプリを通して仲介するだけの存在です。
にもかかわらずトラブルの際のコールセンターも設けるというのはかなり譲歩した印象です。
カーシェアの場合原則上レンタカーのように会社が車を所有しているわけではないので立場上介入はできません。
とはいえ「Anyca」の場合は損保ジャパンとDENAが共同で出資した会社ですから「保険」という面で一定程度責任を負っていることを踏まえての今回の改正かと思われます。
ただしあくまで事故や盗難などは「加害者」「被害者」「警察」「保険会社」、必要であれば「弁護士」が関わるものですので個人間のカーシェアを仲介する会社にあれこれ言うのは筋違いです。
これは個人の自家用車で事故が起きた場合と同じように捉えるべきです。
人によって違いすぎる車に対する「常識」に注意
「自動車」は不思議なことにユーザーひとりひとり毎に本人の脳内にある「常識」がかなり食い違っています。
ある人にとっては高速道路で120キロで走るのも「怖い」と感じますがある人は150キロ出そうが180キロ出そうが何も感じなかったりします(違法かどうかの話はとりあえずパス)。
また運転のマナーなども人によって、あるいは住んでいる地域によっても微妙に違ったりします。
東京のような都会だとハイビームで走ることはまぶしくて明らかに周りに迷惑ですが、田舎に行けば行くほど街灯も少なくむしろハイビームじゃないと周りがよく見えないということもあります。
「停車中」の合図なども同様で、道路交通法で明確な定義がないのである人はハザードランプを点滅させる状態を「停車中」の合図に使いますが、ある人は左ウインカーを点滅させることを「停車」の合図だと思ってたりもします。
私の中の「常識」だと「左ウインカーじゃこれから左折しようとしてるのと区別がつかないから紛らわしい」と思いますが、別の人にハザードを点滅させることが意味不明だと言われたこともあります。
今の例は直接はカーシェアとは関係ない例ですが、運転の仕方・車に対する接し方は本当に人によって多種多様です。
「自分の中の常識が世の中全てに当てはまる」という勘違いは捨てるべきで、「最低限これだけは守って」というルール設定以上のことをガミガミ言い出すとキリがなくなります。
厳しいことを言えば「自分と全く同じように車を使う人」にしか貸したくないという価値観であればカーシェアなどやらない方が身のためでしょう。
ここがわからないがゆえに貸す相手にも自分と全く同じ運転スタイル・車への接し方を要求してしまいがちです。
私のように「他人の車なのだから駐車する時もなるべく周りに車のいないところに置こう(ドアパンチ防止のため)」とか「万が一ホイールこすったら大変なので端に寄せ過ぎないように停めよう」「ギリギリ通れるかどうか位の狭い道には入らないようにしよう」などを意識して乗ってますが、この位気を遣うユーザーは珍しいようです。
ですのでホテルの駐車場などで一台だけ離れたところにわざと停めたのに翌朝隣に車がいたりすると焦りますけど(笑)。
「シェア」という概念を理解できない、「所有」に縛られる日本人
貸す側は「自分以外の他人が運転する」ことを、借りる側は「他人の車を運転させてもらう」ということを理解できていな人が多いのがカーシェアにまつわるトラブルの原因になっているようです。
レンタカーのように所有者がレンタカー会社ではなく個人間だというのがトラブルの原因なのでしょうが、おかげでレンタカーと比較して格安で借りれることも忘れてはいけません。
口で言うのは簡単ですがここが理解できないと「シェア」は成り立ちません。
確かに借りる側にも非常識な人はいるようで、私がテスラを借りたオーナーの話を聞いていても、
- 距離無制限にしたら2泊3日で1500キロ以上走ってきた
- 車内にゴミが放置されていた
- 走行情報を監視してたら時速200キロ近いスピードで走っていた
など色々聞きます。
ただしカーシェアはオーナーとユーザーが相互評価しますので、相手が過去にどんな評価を受けているのかをしっかり見て貸す貸さないの判断をすれば良いだけだとも思いますが。
借りる側もオーナーの評価や長文で細かい条件をたくさん並べているようなオーナーは「面倒臭そうな人だな」とわかるので借りなければ良い話です。
たまに「走行情報を見てますので」のような警告(テスラ車だと可能)を書いているオーナーも見かけますが、走行情報を監視してないと気が済まないのであれば最初からカーシェアで儲けようなどとは考えない方が精神衛生上良いのではと思いますけど。
盗難・行方不明の場合は事が起きてから調べれば良い話です。
テスラ車の場合万が一事故があっても全て録画されています(設定が必要)し、改正された保険の限度額ならよほどの事故でもない限り全額カバーされるでしょう。
私の場合はカーシェアは自分が構想するビジネスの一部門として考えてますのでいずれやることにはなりますが、「無事に帰ってくればいいや」位に捉えてます。
もちろんホイールやボディに傷などがあった場合は請求しますけど運転の仕方とかにケチをつける気はありません。
そのくらいに捉えておかないとカーシェアで稼ぐというのはやめた方が良いと思います。
「CASE」のSは「シェア(Share)」です
新時代の自動車を表す言葉として「CASE」という言葉がありますが、「E(Electric)」と同様になぜか日本では叩かれやすいようです。
CASEのEだけではなくSも否定してきやがるのか。
日本でも海外でもカーシェアは縮小中」話題のCASEにダマされてはいけない 「100年に一度の大変革」はまだ先 #POL https://t.co/RxQddsE5gh— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 27, 2021
「E(Electric)」を叩くついでに「S(Share)」も叩いてしまえ的な雰囲気の漂う記事ですが、日本ではまだ「S(Share)」が一般的になっているとは言えない状態な事がわかります。
カーシェアもそうですし、ライドシェアに至っては白タク営業で違法とされたまま解禁すらされていません(コロナ前まで「Crew」だけが存続していましたが)。
本日取り上げた「カーシェア」自分が自動車を所有するのではなく必要な期間だけ借りて不要になったら返すというのもこれまでにはなかった自動車の所有形態です。
この部分が広まることによってこれまで車を所有することが困難だった人、日常は要らないが必要な時にだけ「カーシェア」や今日は長くなったので後日取り上げますが「サブスク」を通して車に触れる機会が増えることでしょう。
特にEVの場合は「興味はあるけど試す機会がない」「興味はあるけど買うのは何となく怖い」という人が日本ではまだまだ多いでしょうから、カーシェアやサブスクを通してEVを体験することが購入につながるのではと思っています。
ある統計資料によると「自家用車の平均稼働率が4%」ですから残りの96%の時間をカーシェアで貸すとかEVであれば「V2H」「V2G」としてつまり蓄電池として活用するなど他の用途に活用するというのは合理的な判断です。
都心などでありがちな「乗るのは土日だけで平日は自宅に飾っておくだけ」の存在だった自動車がカーシェアでお金を稼いできてくれる、あるいは蓄電池として働いてくれるというこれまでとは違った活用法が現在では可能になっています。
もちろん車は自分の所有物ですので、カーシェアや自動運転が導入された後は「ロボタクシー」として稼いできてもらうのも、「他人には指一本触れさせたくない」と自宅に置いたままでも自由ではありますが、これまでとは違った選択肢も出てきていることまで否定すべきではありません。
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