国がEVで投資すべきなのは充電ステーション?【公共事業のあり方とは?】

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おはようございます、@kojisaitojpです。最初に結論を言ってしまうことになりますが、本日言いたいことはこれです。

日本の場合今も「電気自動車はエコじゃない?」とか「電力が足りなくなる」のような電気自動車後進国にふさわしい、ピントのズレた議論をまだやっていますが、重要なのはそこではなく「充電インフラ」の充実こそが日本で電気自動車を普及させる一番の近道になると思います。

いつでも気軽に充電できる環境ができれば「別に電気自動車でもいいか」となる人はどんどん増えてくると思います。

今日は意外な産業から充電インフラの整備など、電気自動車化の動きを見つけて驚いたので紹介してみます。

石油関連産業の方が車メーカーや「公共事業」より電気自動車に対応?

シンガポールのシェル充電ステーション
例えば従来の車産業のシステムに依存していたガソリンスタンドにはこのようなモデルが出てきています。

日本の車メーカーが「まだハイブリッドでいける」と油断している中でガソリンスタンドを運営する石油関連企業の方が新しい流れに素早く対応しようとしています。

小型のモビリティの発売とかガソリンスタンドの跡地に充電ステーションの設置、カーシェアや車両販売の拠点化など、電気自動車化する社会を見越して動いています。

シンガポールのシェル充電ステーション

元々ハイブリッド車の普及(要は車の燃費の向上)に合わせて、日本のガソリンスタンドの数は減っています。今後電気自動車が普及した場合はもちろん、HVやPHEVが生き残ったとしても燃費がどんどん向上していくので人々のガソリン消費量は減っていきます。

当然ですがガソリンスタンドの数は右肩下がりに減ります。

業界そのものが消滅するかもという危機感が、石油関連企業の動きが早くなっているのかもしれません。

となると以前取り上げたあのネタへの疑問符が再び湧いてきます。

「トヨタとパナソニックのバッテリー事業に国が投資する」という話です。

税金投入する公共事業は「バッテリー<充電インフラ」では?

日本の充電ステーション
確かにバッテリー開発もパナソニックはBYDやCATLなどの中国勢とLG化学などの韓国勢に押されていて、世界シェアが徐々に後退しているのは事実です。

でもトヨタだけを優遇するとこれまで10年以上電気自動車に注力してきた日産や三菱の立場はどうなるの?という話になります。

それよりは実質日産ディーラーに任せっきりの状態の充電インフラを国が充実させるべきではないのでしょうか?

今のままだと日本の電気自動車の充電インフラは実質日産が支えていることになります。

車両の開発だけではなく、充電インフラまでも一企業に任せるというのはいくら何でも負担が大きすぎます。

このような「インフラとして絶対必要なんだけど、収益という面では営利企業にはやりにくいもの」に対してこそ、国が税金を投入して支援するというのが望ましい姿ではないでしょうか?

少なくとも特定の企業に税金を投入して優遇するよりは公平で、かつ今後の電気自動車の普及を促進させるためのネックである「充電インフラ」の問題を解決できてプラスなことしかないと思うのは私だけでしょうか?

アメリカでバイデン政権が打ち出した50万には及びませんが、フランス政府は10万箇所の充電スポットを2021年中に整備することを表明しています。

フランスの充電ステーション

日本でも都心のパーキングメーターなどに充電設備をという声はあるものの(電気が来ているので普通充電なら簡単にできます)「道路交通法がぁ〜」「警察がぁ〜」などとこれまである法律や制度を盾に現状を変えようとしないという「電気自動車が存在しなかった時の法律」などを根拠に否定しようとするのだから話になりません。

イギリスの充電ステーション

だったら法律を変えればいいだけの話です。政治家や国の決断一つできます。

実際にロンドンやパリなどの大都市ではパーキングメーターに充電設備が設置されていて、パーキングメーターに停めている間に充電もできるようになっています。

仮に普通充電だとしても1時間充電できれば数十キロの航続距離を増やすことができます。

コンセントがある環境にいる時にスマホを充電するのと同じ感覚で気軽に充電できれば、バッテリー容量や航続距離をあまり気にせず電気自動車に乗れます。

マンションなどの集合住宅の駐車場に設置するのも同じです。「管理組合が反対するのでぇ〜」というのであれば「設置したら税控除になる」「設置したら補助金を出す」とか「住民から設置の要望が出たら管理組合は拒否できない」ような法律を作ればいいだけの話です。

まぁこれを言うと「何で電気自動車だけをそこまで優遇しなきゃいけねぇんだよ!」と怒る人はいるのでしょうが、それは世界の流れが全く見えていない人です。

下手をするとこれから10年20年で日本以外の国でガソリン車(ハイブリッド・プラグインも含む)を走らせることができなくなる可能性が高くなっているわけで、日本だけ独自のルールでと言うわけには行かないと言うのはこれまで様々な記事で語ってきた通りです。

私が頭に来たのは電気自動車の販売リリースにおいて「PHEVの方が本当は良いのに」的な嫌味な一言を書いてしまったところです。

雇用を創出する洋上風力発電も国が主導すべき?

洋上風力発電
「収益という意味では営利企業にはやりにくい」のはこれも一緒です。

見出しにも出ていますが、「経済波及効果」と「雇用創出効果」を考えれば絶対にやるべき産業です。

現在アメリカでバイデン政権が唱える「グリーンエコノミー政策」も全米に50万箇所の充電ステーションを連邦政府が主導で設置するという政策によって雇用を生み出す効果があることを強調していますが、同じようなことは日本でも可能です。

再生可能エネルギー

充電ステーションの整備と洋上風力発電に投資することで一体何万人、何十万人の雇用が生まれるでしょうか?

新しい雇用が生まれれば現在自動車メーカーが不満を言っている「電気自動車化が進めば自動車業界550万人の雇用が失われる」という問題の吸収先として十分です。

まぁ再生可能エネルギーというだけで嫌な顔をする人が多いのも日本の奇妙なところですが。

日本で電気自動車を叩きたい人々の特徴で、なぜか原発と電気自動車を結びつけて「電気自動車が発達したら原発が必要になるから反対」的なことを言いたがります。

不思議と「再生可能エネルギーをもっと充実させて電力を増やす」という方向には行きたがりません。それどころか「再生可能エネルギーは日本には向いていない」とこれまた日本が特別であるかのような物言いで誤魔化そうとします。

あ、日本最大の自動車メーカーのトップの方も「電気自動車が普及したら原発が10基必要」と再生可能エネルギーには一切触れない発言をしましたので同レベルですね(笑)。

まぁ電気自動車(BEV)の発売を発表するプレスリリースで「PHEVの方が性能が良いけどね」と余計なことを言う会社ですからもう知らないよというのが私の素直な感想ですが。

なんて私が自動車業界にいて発言したら業界から消されるんでしょうね(笑)。

何が何でも某メーカーに忖度しなければならないという車業界の雰囲気は本当に謎です。

国も自動車メーカーにも足りない「危機感」

テスラの充電シーン
面白い発言を見つけたので最後に引用します。

私が先日言ったことそのままなのですが、私なんかが言うよりこういう風に社会的地位のある方が言った方が皆さん納得しますよね。

私が言っても「専門家でもないくせに」と叩かれるのが、社会的地位のある人が言うと聞いてもらえるというのは非常に不快ではありますが(笑)、自分が言っていることが見当違いのものではないなと安心したりもします。

昨日も言ったように世界の自動車販売台数1位の中国と3位の日本がハイブリッドもOKだからまだまだハイブリッドで行けるという勘違いが、「危機感」の足りないところにつながっているのかなというのは私が日々感じることです。

「ハイブリッド」や「エンジン」という細かい技術が必要なものに日本人の個性が発揮されて一時代の栄光を築いたことは間違いのない事実で、「高度経済成長」により一気に世界のトップレベルの経済力にのぼりつめたのは事実ですが、もう終わりが目前だという危機感が必要です。

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