「全方位戦略」を唱えながらEVだけは拒絶するトヨタはオワコン?【陰謀論に全振り】
こんばんは、@kojisaitojpです。予想通り(?)日本のメディアでは全く報道されていませんが、このようなお寒い事実が明らかになりました。
選挙結果を覆そうとした共和党議員に対する寄付額は、ダントツでトヨタがトップです。これは共和党巨額献金者、チャールズ・コークのコーク・インダストリーよりも大きいです。 pic.twitter.com/UVHogNpZc3
— アメリカ政治 (@America_seiji) June 28, 2021
トヨタに関しては以前も記事にしたように「EVを優遇する政策を改めるようにロビー活動」を行っていましたがので私がこのニュースを聞いても全く驚きませんが、まさか「大統領選挙無効」を主張する勢力を支持していた、しかも献金は2021年1月6日のトランプ派による議会襲撃以降も続けていたという点が驚きです。
テスラ・フォルクスワーゲンと比べたトヨタのオワコン具合とは?【終わりの始まり・Prologue】
先日発表された「AYGO」がガソリン車であったことも衝撃でしたが、他にもトヨタはアメリカでEV化の流れを妨害するようなロビー活動や政府の補助金にハイブリッドも加えてもらうように圧力をかけているという情報が出てきました。EV化の流れに上手く乗ったテスラやフォルクスワーゲンとトヨタの間にはどのような差があるのか考察します。
「政治献金なんてどこの会社もやってるだろ!」と批判してくる人が現れるのは百も承知で取り上げています(笑)。
問題はそこではなくトヨタという企業が「SDGs」というものを理解しているのかという点です。
そこで今日はトヨタがアメリカで行っていたお寒い活動を確認した上で、このような行為がグローバルにどのくらい負の影響をもたらすのか考えてみます。
目次
トヨタがEV化を阻止するために民主主義を否定する勢力を支援することは適切なのか?
「政治の話なんかしないでEVの話をしろ」と言われる方もいるかもしれませんが、「こういう車は売ってもOK」「こういう車は売っちゃダメ」というのを決めるのは「法律」ですし、その法律を決めるのは「議会」です。
「こういう車は売っちゃダメ」と2025年から内燃機関車の販売を禁止するノルウェーにしろ、2030年から同じように禁止するイギリスにしても「法律」として制定されています。
昨日も言いましたが2035年からゼロエミッション車以外の販売を禁止する方向のカリフォルニア州の場合は、現在は「州知事の命令(州の中では大統領令並の権限ですが)」にとどまっていて、カリフォルニア州の法律としてはまだ制定されていません。
「法律」になってしまえば正式決定なのでそこへもって行くようにロビー活動を行う勢力と阻止しようとロビー活動をやる勢力がせめぎ合いになるのはどこの国でも見られる光景です。
そういう意味では各国政府(アメリカの場合は州政府にも)に働きかけを行うのは当然の企業活動です。
ですので「政治献金」自体が悪いとは私も全く思っていません。
内燃機関車(エンジン搭載車)」の販売の是非を巡ってEVを推進したい勢力とEV化を阻止したい勢力が政治家に献金して自社に都合の良い方向に持っていこうという活動自体は正当なものです。
ですが今回トヨタがお寒いのは、「1/6の議会襲撃事件以降会社イメージの悪化を恐れた多くのアメリカ企業が撤退して行く中で最後の最後まで『大統領選挙無効』を唱える勢力に加勢し続けていた」という点です。
金額そのものよりも議会で暴動が起きた後も「大統領選挙無効」を唱える勢力に献金し続けたことが問題。 https://t.co/JE3CKffREd
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 29, 2021
実際にトヨタ自身も別に「トランプ政権続投」に全振りしていたわけではなく、一応は民主党政権の誕生も想定して両方に献金していたこともわかっており、これ自体は何も悪いことではありません。
とはいえ「大統領選挙無効」のようなある種のトンデモ理論、陰謀論にアメリカのどの企業よりも献金していたという事実による会社イメージの大幅な悪化という面で世の中に与えるマイナスのイメージは計り知れないと思います。
これは結構アメリカで注目されていますが、日本で報道されたでしょうか?トヨタ自動車は1月6日の反乱を支持した議員に寄付したことが報道され、広く批判されています。 https://t.co/KcWa9V5DjI
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) June 29, 2021
引用した記事の中にもあるように2021年1月6日のトランプ支持者と思われる集団による米国議会襲撃以降は「大統領選挙無効」を主張する議員への献金をやめる企業が大半だったようです。
そんな中で最後の最後まで「大統領選挙無効」を唱える共和党勢力に献金を続けて、気がついたらアメリカのどの企業よりも献金額が膨れ上がったのがトヨタです。
「バイデン政権が誕生してアメリカがEV中心にシフトするのがそんなに怖かったのかな」という感想です(笑)。
EVだけを除外した「全方位戦略」がトヨタの本音?
見出しを見ただけで「BZ4Xも発売するんだからトヨタはEVもきちんとやるに決まってるだろ!」と怒る人もいることでしょう。
確かに私も先日「BZ4X」については取り上げたので、トヨタが曲がりなりにもEVを発売する気なのはわかっています。
トヨタ「BZ4X」の発表から感じる疑問とは?【スペックは?充電インフラは?】
トヨタが上海モーターショーで新しいEVである「BZ4X」の発表をしましたが、コンセプトカーに留まり具体的な電気自動車としてのスペックなども非公表、発売時期も2022年半ば以降と肩透かしを食らうようなワールドプレミアでした。昨日のフォルクスワーゲンのような充電インフラの設置計画もなく「本気なの?」と思う内容です。
ですが既に「BZ4X」に関しても問題点が指摘されており、
- EV専用と言われる「E-TNGAプラットフォーム」が2015年製
- 相変わらずトヨタのディーラーに充電器設置の動きがない
- バッテリーの調達も外部依存(CATLかBYDか)
プラットフォームが古すぎではないか?という指摘はこちらの記事でもされています。
Toyota Will Build More EVs If It Decides There Is Demand For Them
Toyota was once a leader of automotive electrification, with its excellent hybrids, but it is reticent to offer BEVs.
2015年というとテスラがようやく初代のモデルSの販売が軌道に乗り始めた頃、フォルクスワーゲンに至ってはディーゼル不正の真っ最中で最初のEVである「e-ゴルフ」を出すか出さないかくらいの時期です。
それから世界の各社が最新の技術を結集させてEVを開発している中で一時代前のプラットフォームで勝負できるの?という単純な疑問です。
また後者の2点に関しては以前から指摘していることですが、今も日本国内のトヨタディーラーを見る限り充電器が設置されているお店はごく一部です。しかも24時間対応の日産や三菱とは違い、18:00-19:00のディーラーが閉店する時間以降は使えませんので、ユーザーの利便性という意味では著しく劣るのが現実です。
バッテリーも同様でパナソニックと協業の「プライムプラネットエナジーソリューション」の増産こそ発表しているものの「2030年までに電動車800万台(うちEVは200万台程度)を賄うバッテリー供給量には程遠い状態です。
これについては以前解説した記事がありますのでよろしければご参照ください。パナソニックとの協業に税金が投入されても焼け石に水なことがわかります。
RAV4の発火案件とEVにおけるバッテリーの重要性【やっぱりトヨタはオワコン?】
アメリカでトヨタ「RAV4」のバッテリーから発火する事案が出て約190万台というリコールにつながる可能性が出てきました。しかもPHEV車の駆動用バッテリーではなく12Vの鉛蓄電池が原因のようで「トヨタ大丈夫か?」という雰囲気がします。今日はそんなトヨタの「バッテリー」に注目して今後の電気自動車化について考えてみます。
となるとやはり中国メーカーに頼らざるを得ないわけで、「BZ4X」のオフィシャルサプライヤーに「BYD」が名を連ねていることからもそれは予想できます。
このようにEVに関して「どこまでやる気あるの?」という疑念だらけの状態で冒頭に挙げたような「大統領選挙無効」「バイデン政権誕生阻止」を掲げる共和党勢力を最後の最後まで支援していたとなれば「ああやっぱりEVやりたくないからそういう行動してたのね」と予想できてしまいます。
本当に全方位戦略なのであればEVもやるけどハイブリッドもPHEVもやる、その上でFCEV(水素燃料電池車)もやるし水素エンジンの開発もやると各分野で戦える車種を用意すべきです。
ところがトヨタのEV戦略を見る限りとてもじゃないけどテスラやフォルクスワーゲンなどと戦える態勢が整っているようには見えません。
状況が不利なEVに極力シフトしたくないから、EV化を政策のトップに掲げるバイデン政権の誕生は阻止したかったんだろうなと考えるのが自然です。
トヨタの行動はEVや脱炭素にとどまらないSDGsとESG投資からオワコン扱い?
と状況証拠を元にトヨタの政治献金の意図を探ってみましたが、確かに一企業の行動(自社が不利なEVで勝負したくない)としては理にかなっているとは言えるでしょう。
しかし先ほども言ったように問題は「2021年1月6日のトランプ派による議会襲撃」の後も「大統領選挙の無効」を主張する勢力を支援したという点です。
SDGSという単語が流行する前から「企業の社会的責任(CSR)」という意味で「企業=金儲けのためなら何やってもいい」ではなく「企業が公共性に与える影響」を考えた上で行動することが求められていました。
いつもにも増して加齢臭がするヤフコメ(笑)
脱炭素、実現できる? ガソリン車の販売禁止も選択肢(NIKKEI STYLE)#Yahooニュースhttps://t.co/eJx7RHfjNE— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 29, 2021
ツイッター上などでは日々言ってますが、私が定義する「加齢臭」という単語は別に実年齢の問題ではなく「とっくに時代遅れになった価値観を今も通用すると信じてる頭の凝り固まった人」という意味です。
不思議なことに「脱炭素」とか「EV化」を猛烈に批判する人ほど「SDGs」で唱えられているような「ジェンダー平等を実現しよう」とか「人や国の不平等をなくそう」のような価値観にも猛反発している傾向が強いです。
以前も扱いましたが「夫婦別姓なんてけしからん」とか「職場に女がいるとスムーズに仕事ができない」のような時代錯誤な価値観丸出しの経営者や役員のいる企業というのも「持続可能ではない会社」とみなされます。
「選択的夫婦別姓」の何がマズいの?【実は歴史が浅い】
たまたまニュースを見ていて「選択的夫婦別姓」の議論が目についたのでちょっと語ってみます。実は夫婦が同姓でなければならないと法律で規定されているのは世界でも日本位しかないこと、夫婦が同姓であることを「日本の伝統」のように語る人がいますが、実は伝統でも何でもないこと、同姓を強制されることのデメリットも解説します。
「女性差別」と口にするのは時代遅れ?【アメリカとは違う】
「フェミニズム」とか「女性差別」という言葉を口にするだけで「時代遅れだ」的に野次られることもありますが、日本の場合先日の「選択的夫婦別姓」に見られるように女性であるというだけで差別される、損をする構図はまだまだ至る所にあります。先進国で最低レベルの女性の社会進出などの例をあげて前回に続いて語ります。
「何で女性の役員なんか増やす必要があるんだ?」「男が育児休暇?ふざけるな!」とか言ってる会社の上司とか日本だと結構普通に見かけますが、この時点でもう論外です。
と手厳しく批判していると「脱炭素とか男女平等を金儲けに利用してる」と反発してくるパターンはもう見慣れた光景ですが、「金儲けして何が悪いの?」というのが私の見解です。
世界の価値観がESG投資・SDGsへと向いているわけですから素直にそれに合わせることで投資マネーを呼び込むことが経済成長につながるというのが以前も解説した通りです。
「ESG投資」「SDGs」で世界から見放される日本?【EVがハイブリッド?・再エネが原発?】
今日は「ESG投資」とその指標でもある「SDGs」について説明します。環境や人権などに配慮した適切な企業運営ができているか世界から厳しい目に晒されるので「ハイブリッドもEVだ」とか「二酸化炭素出ないから原発推進」のような頓珍漢なことを言っていると世界の投資マネーが逃げていき、日本が世界から見放されることにつながります。
話はトランプ氏の話やトヨタの話からは脱線しましたが、議会を襲撃するような「議会制民主主義を破壊するような勢力」を支持する共和党の議員へ政治献金をしていたという事実は、売り上げのかなりの割合を占める北米市場で計り知れないほどのイメージダウンにつながることでしょう。
なんていうと「綺麗事だ」と批判されるかもしれませんが、「トヨタってそういう会社なんだ」というイメージを北米市場の消費者や世界の投資マネーに与えてしまったことは後々響いてくると私は予想しています。
大昔もアメリカでトヨタの不買運動が起きたことがありますが、あの時は「品質の良いトヨタ車への僻み」が原因でしたが今回は性質が違います。
日本国内に関してはマスコミを抑えていますので騒ぎになる可能性は低いかと思いますが、日本人と世界の認識のギャップを広げるだけの結果になると思います。
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