テスラはEVは修理代が高いって本当?【修理とメンテナンスは違う】

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こんばんは、@kojisaitojpです。とりあえず「テスラ」に関することであれば何でも叩いてしまえ的な悪意を感じる報道が時々あります。

「テスラのモデルYが後退時に壁にぶつかって右側後ろが大きく陥没し、リアドアやテールランプなどが損傷している。テスラのアフターサービス担当者が保険会社に確認し修理費用は約20万元(約370万円)」とあり、テスラ車の修理にかなりの費用がかかったことを問題にしてます。

これだけならアルミボディで一体成型のテスラだけの話かな(これについては後述)と思うところですが、聞き捨てならないのは記事の中に「EVはメンテナンス費用が高い」と話をEV一般の話にしてるところが引っかかりました。

そこで今日は「EVのメンテナンス費用が高い」が本当なのか?について検討した上で、「修理とメンテナンスの違い」をわかってない例や「EVの特徴を知らずに意図的に故障させたのでは?と感じる例について解説します。

「メンテナンス」と「修理」の違いを無視した「EVはメンテナンス費用ガー」

テスラモバイルサービス
まず最初に「修理(repair)」と「メンテナンス(maintenance)」は全く別物であることを確認しておきます。

    破損や故障により物を直すことは修理(repair)といい、機能の保守や維持などをすることをメンテナンス(maintenance)といいます。

    冒頭のテスラの事故は「破損」に該当するので「修理」であってメンテナンスではありません。

    反対にガソリン車の時に必ず一定の距離走るたびに必須だった「オイル交換」や「プラグ交換」、「エンジンのフラッシング(クリーニング)」などは「メンテナンス」です。

    エンジンはどうしても除去しきれない油や燃焼したカーボンがこびりつくので定期的なメンテナンスが必須になりますが、EVの場合はこのような定期的なメンテナンスが必要な部位がありません。

    細かく言えばタイヤ交換やワイパー交換、ウォッシャー液の補充などのメンテナンスはありますが、それはガソリン車でも同様です。

このように「メンテナンス」の部分と「修理」の部分をごちゃ混ぜにすると「EVって燃料代が安くなってもメンテナンスに費用がかかるから結局高くつく」という偏見を強化するだけだと思います。

正確には、

  • メンテナンス費用はエンジンの整備が必須になるガソリン車・ディーゼル車の方が圧倒的に高い
  • ただし万が一事故などを起こした際の修理代はEV、特にテスラ車は高い

というのが現実です。

特に事故などを起こさなくても「オイル交換」や「プラグ交換」などの定期的なメンテナンス費用がかかるのはエンジン車(ガソリン車・ディーゼル車)です。

中でも外車に乗られてた方ならお分かりでしょうけど冷却系(ラジエターなど)もメンテナンスが必要ですし、他にもタイミングベルト・ウォーターポンプなどもメンテナンスが必須になります。

ジャガーXJ

個人的な話を混ぜると、以前ジャガーに乗ってた時に「ジャガーはシトロエンと違ってタイミングチェーンだからカネかからなくて助かる」と思ったことがあります(笑)。

ハイアットセントリック銀座とシトロエンC6

メンテナンスに費用がかかるのは圧倒的にエンジン車(ガソリン車・ディーゼル車)です。EVの場合は定期的に交換が求められるのはせいぜいタイヤやワイパー、ウォッシャー液などわずかな部分です。

充電器から移動したモデル3

つまり万が一の事故などの破損がなければ維持コスト(メンテナンスコスト)はEVの方が圧倒的にお得です。

となると話は非常に簡単で「万が一の事故の際の修理費用であれば自動車保険(車両保険)で賄えばOK」と言うことができます。

テスラ車の保険料は高いのか?

テスラストア・パリマドレーヌのモデルY
テスラオーナーの方々のつぶやきを見ていると保険料はこんな感じのようです。

私がシトロエンC3プルリエルを新車で購入した際の保険料も車両保険込みで年間10万前後(年齢は30歳前後だったかと思います)でしたから特に高いとは思いません。

シトロエン「C3プルリエル」

むしろ元々修理代が高額であるという事実を無視して事故という「万が一」に備えて車両保険をつけておかなかったオーナーに問題があると思うのは私だけでしょうか?

テスラの「ギガキャスティング(一体成型)」が修理費を高くする?

一体成形のギガプレス
EVメーカー、特にテスラの場合は「最新の技術を使うことで可能な限りコストをカットする(人を使わないという意味で)」というのがあります。

先日オープンしたばかりのテスラの新工場「ギガファクトリー・ベルリン」について解説した際にも言いましたが、「一体成型」と「Structural Battery」が最新の技術として採用されています。

「テスラはボディのチリ合わせもできない三流メーカー」のように既存の自動車メーカーの関係者からはバカにされることが多いですが、この欠点を解消するために生み出されたのが「ギガキャスティング」という一体成型の技術です。

フロントとリヤのサブフレームをアルミダイキャスト(鋳造)で作ることによって部品点数の大幅な削減、具体的には従来の工法では70点以上の部品が必要だった(それゆえに高度なプレス技術が必要)ものを1点のパーツで作ってしまうというのがテスラの手法です。

1点の部品の「一体成型」なのもあり、事故などで破損した場合には部分的な板金や交換が困難、それゆえに全交換となって修理費用が高くなるのが欠点と言われがちですが、それが果たして欠点なのでしょうか?

「テスラのバッテリーが損傷した」は本人の自己責任?

山中湖へモデルSで行く
テスラに関しては特に多い(というのも世界で流通してるEV=多くがテスラ車という事実もあります)「修理代が高額」というのも「それ本当なの?」と思うことが非常に多いですがこの話がその典型例かと思います。

この「バッテリー交換に260万もかかる」という言葉だけが一人歩きして「EVはバッテリー交換が必要になるから結局高くつく」などというデマが拡散されていますが、冷静に考えると「ちょっと待て」と言いたくなります。

「ダイナマイトで爆破」というのがインパクトありまくりで衝撃に飲み込まれそうになりますが、よく見ると「2013年に購入したテスラ・モデルS」と「走行距離が1500kmを超えた辺りでエラーコードが出るようになった」という怪しげな記述があります。

何が言いたいかというと「この人EVの管理の仕方分かってなかったのでは?」という点です。

私の場合「自分が起業したい」というのもあり以前から業者オークションや中古車店でのテスラ車の動向をチェックしているのですが、よく「バッテリーを新品に交換済み」という表記を見かけます。

「いや、10万キロにも満たない走行距離でテスラのバッテリーが痛むはずないんだけど」と呟いていたらアドバイスをいただきましたが確かに「充電もしないで放置」されたことでバッテリーが損傷した可能性があります。

ですので上記のフィンランドでモデルSを爆破したという話も「2013年のモデルSの走行距離が1500キロ=ほとんど乗らないで放置してたんじゃないの?」という疑念が生じます。

となると「ロクに充電もしないで放置してたオーナーの責任」とも言えます。

こういう本人の過失、あるいは炎上狙いのパフォーマンスでは?と思う次第です。

ちなみにテスラのバッテリー保証は「8年または16万キロ」ですから2013年に購入して2021年の保証切れ直後です。

「保証切れるタイミング狙ってわざとやった炎上系YouTuberじゃないの?」とツッコミたくなります(笑)。

なんて言っても「そんなの信用できるか!」と発狂する方はいるでしょうから引用しておきますが、こちらはモデル3(ということは新車で購入してから数年)を10万キロ走らせたオーナーの方の調査でせいぜいバッテリーの消耗度は10%程度です。

リーフのバッテリー消耗率

繰り返し繰り返し引用してますが、テスラのような強制水冷機構を持たない日産「リーフ」でさえバッテリーの消耗率はこの程度です。

以前も触れたことがありますが、バッテリーの温度管理を含む「熱管理」に定評のあるテスラで日産「リーフ」以上にバッテリーを消耗することはあり得ないと思うのですが。。。

「修理代」と「メンテナンス代」を混同させて「テスラはメンテナンス費用にカネがかかる」と煽ることは適切ではないというのが私の見解です。

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