「テスラホーム」で実現する持続可能な生活【パワーウォール・ソーラールーフ】
こんばんは、@kojisaitojpです。EVの話ではありませんが、面白い記事を見つけました。
パワーウォール、ソーラールーフ完備のテスラ住宅か。欲しい。
Tesla signs deal with new home builder to outfit whole community with solar, Powerwall, and chargers – Electrek https://t.co/6KDggJJpCV— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 23, 2021
テスラがアメリカの「Alset EHome」社と提携して住宅事業に乗り出すという話です。
これだけ言われるとテスラのことをよく知らない人からすると「また何か胡散臭いビジネスやるのかよ」といかにもヤフコメ辺りで叩かれそうですが。
ですが今回出てきた住宅事業はテスラの目標である「持続可能な社会」の実現に不可欠な内容です。
なんていうと「車メーカーは車だけ作ってりゃいいんだよ!」的な野次も飛んできそうですが、そもそもテスラは車メーカーではありません。
正確に言えば「EVも販売するけど、それだけのために存在してる会社ではない」と言うべきでしょうか。
今日はその辺も含めてテスラがEVを通して実現しようとする社会について考えてみたいと思います。
目次
テスラはEVメーカーではなく再生可能エネルギーで「持続可能な社会」を作る会社
今回出てきたテスラの新しいプロジェクトは不動産業を営む「Alset EHome」社がテスラ社と共同で住宅を建設するという話です。
「Alset EHome」が建てる新しい住宅にテスラの商品である「パワーウォール(蓄電池)」と「ソーラールーフ(太陽光パネル)」を装備させて販売するという計画です。
蓄電池の「パワーウォール」については既に日本にも上陸してますのでご存知の方もいるかと思いますが、「ソーラールーフ」はまだ上陸してませんので補足しておきます。
太陽光パネルと屋根用タイルが一体化された「Solar Roof(ソーラールーフ)」は屋根と一帯がゆえに施工の工程と時間を短縮することが可能になったという新しいソーラーパネルです。
このように屋根と太陽光パネルが一体となっているので、従来の太陽光パネルにありがちな「屋根に何かついてる」という印象もなく元々の屋根のデザインを損なわないのが特徴です。
残念ながら現時点でテスラは日本市場には蓄電池の「パワーウォール」のみを投入している状態ですが、もしソーラールーフも上陸されれば「太陽光パネル・蓄電池・ウォールコネクター(EVの充電器)・テスラ車」と太陽光で発電した電力を蓄電またはEVに充電して自給自足で電力を賄う、一つのエコシステムが完成します。
「Alset EHome」社との共同事業では一つのコミュニティに20〜30戸同じようにテスラのソーラールーフとパワーウォールを装備した住宅を販売し、コミュニティ内で電力を融通し合うシステムを計画しているようです。
このコミュニティ単位でのエコシステムというのは既にテスラがオーストラリアで実現しているものであることは以前も紹介しました。
テスラが提供する「未来のライフスタイル」とは?【American way of lifeの次の世界】
今日はテスラの電気自動車以外の主力事業である「電力供給」について説明します。日本でも既にパワーウォールが発売されていますが、「電気自動車と蓄電池(パワーウォール)」を用いて電力は再生可能エネルギーで自給自足できるコミュニティを事件をオーストラリアでやっていますが、これを日本に導入することはできないでしょうか?
アメリカでは2021年に入ってからも異常気象が度々起こり、私も先日取り上げたように本来温暖なテキサス州に常識では考えられないような寒波が到来し、発電所などの施設が麻痺して大停電が起きたりしました。
寒さに強いのが「電気自動車」と「再生可能エネルギー」?【日本では逆走中】
2021年2月19日現在、テキサス州でこれまで想定しなかった寒波が襲来し、送電線が凍結するなどの理由で州の大部分が停電に見舞われています。そんな中でテスラの太陽光発電とパワーウォール(蓄電池)を装備した家庭では非常時の電源として機能し、寒さに凍えずに済んでいます。このことが示唆することを日本の文脈でも考えてみます。
この時も自宅に太陽光パネルとパワーウォールを装備した家庭では停電と無関係に電力が供給されましたし、保有する自動車がEVであれば問題なく移動手段も確保できました。
テスラ車には現時点では自宅に電力を供給する「V2H」やグリッドと双方向で電力のやりとりをする「V2G」、先日ヒュンダイ(ヒョンデ)の「IONIQ5」で紹介したような「V2L」の機能は搭載されていませんが、今後アップデートによって利用可能になるのでは?という噂もあります。
また2021年末くらいにはアメリカで納車が開始されると噂のサイバートラックでは、アウトドアなど外出先で電源供給を行っていると思われる画像が多数出ていますので搭載される可能性が高いです。
この「サイバートラックからの電力供給が可能になるかも」というのは以前の記事で書いていますのでご参照いただければと思います。
「Starlink」と「サイバートラック」が「持続可能な生活」をもたらす?【テスラが導く未来】
テスラ車と「スペースX」で火星に行くことばかりがイーロンマスクのプロジェクトとして強調されがちですが、実は「Starlink」という衛星を使ったインターネットも実用化目前の段階まで来ています。テスラが提唱する「持続可能な生活」というコンセプトにこのStarlinkとサイバートラックが貢献する可能性があるので解説してみます。
実はEVにはガソリン車のように単独の「移動手段」としての役割しかないのではなく、太陽光発電などで発電した余剰な電力を蓄えておく「蓄電池」という機能、住宅などの外部への電力供給も可能という「非常時の電源」としての側面もあります。
少し大袈裟な言い方をすればEVは「電力供給の安定化に寄与するインフラ」と言うこともできます。
この辺からイーロンマスクが考えるただの車メーカーではない、「持続可能な社会を作る」ことが目的でありEVはあくまでもそのための手段でしかないというテスラの姿が見えてきます。
「テスラ車=車輪が4つ付いたスマホ・蓄電池」というと怒る日本人のメンタリティ
このように見てくると、以前も主張したことですがテスラは車を売ることが主目的のメーカーではないということになります。
過去に書いた「テスラは車メーカーだと思うと色々間違えるよ」という記事はこちらをご参照ください。
そもそもテスラって何の会社なの?【トヨタと同様の車メーカーと思ったら情弱?】
テスラとトヨタが業務提携というネタが降ってきましたが、常識的に考えてあり得ない話なのでガセネタだというのが私の印象です。というのも「持続可能な社会を作る」というテスラの理念、そして持続可能な社会を作るための再生可能エネルギーと電気自動車(BEV)というテスラの戦略とトヨタの戦略はもはや水と油の関係だからです。
世の中に出ているものを見るとどうしても「テスラ=EVの会社」のように見えてしまいますが、むしろEVそのものが中心というよりもあるいは太陽光で発電した電力を蓄える「蓄電池」としてEVを考えているというのが本当の姿なのかもしれません。
EVを販売することは目的ではなく「持続可能な社会」を実現するための手段に過ぎないということです。
要は「車輪をつけて走行することもできる蓄電池」というのがテスラの考えるEVの姿のようにも思えます。
そしてこれを言うと必ず定番の批判が飛んできます。
「スマホに車輪4つ付けただけ」とか言うと例によって例のごとく「車は人の命ガー(ry」の定番の展開が始まるんだけど(笑)
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 22, 2021
「車はスマホと違って人の命がかかってるんだ!」「安全性を軽視するテスラに車を作る資格はない」的に罵ってくる人が必ず現れます。
でも落ち着いて考えて欲しいのは「テスラは安全性軽視してますか?」という話です。
こちらのサイトではテスラ車の事故率を「ドライバーが運転する場合」と「オートパイロットも使用した場合」に分けて、何万キロに一見の割合で事故が起きたかのデータが詳細に掲載されています。
テスラが2020年7〜9月の車両火災データを公開!火災発生率は一般的な車の9分の1であることが判明!
テスラは2018年の10月から「事故1件あたりの走行距離」を3ヶ月ごとに公開しています。また、車両火災データも一年おきに公開しており、バッテリー火災や事故による出火だけでなく、放火や飛び火したものまで含めたデータとなっています。今まで公開し
どの数字を見てもテスラは平均よりもはるかに低い事故率です。ついでに言えば車両火災発生率もガソリン車より低いです(火災については引火しやすいガソリン車より低いのは当然)。
というデータを見せても「数字じゃなくて気持ちの問題だ!人の命を軽視する姿勢の会社の作った車なんか乗れるか!」のように私も罵られたことがあります(笑)。
まぁ別にテスラじゃなくても他のメーカーが作るEVにでも乗ってくれれば、仮にテスラ車の売り上げ台数が減ったとしても「持続可能な社会」の実現に近づくのでイーロンマスク的にはニンマリだと思いますけど。
当然ですが日産の「リーフ」や「アリア」、三菱の「アイミーブ」などを購入したとしても「V2H」の機能を生かせば蓄電池としての運用はできますので。
「EV化・再生可能エネルギー化」という産業革命に挑むのがテスラの姿
当たり前のことなのですが技術革新によって、より便利で快適に使える新しい商品が出てくると古いものは淘汰されていくのが歴史の必然です。
しかし、ソニーがカセットウォークマンを廃止しても誰も騒がなかったのに、自動車メーカーがガソリン車廃止するって言うと、まるで親の仇みたいに激怒する奴が続出するのは何でなんですかね😅
— Brownie (@browniejp) June 23, 2021
これは先日も取り上げたホンダの「2040年までに全車EVとFCV」の話を指しているのですが、なぜか日本ではガソリン車、もっと正確に言うと「内燃機関(エンジン)」に過剰な思い入れのある人が一定数いるようです。
まぁ一般のユーザーでそこまでガソリンエンジンに思い入れがあるのは一部の車マニアで、ヤフコメや5chなどにEVの悪口を書きまくっている人の大半は自動車業界内部の人間かなというのが私の予想ではありますが。
しかしどんな産業にも終わりは必ず来ます。
電化が本格化した後の蒸気機関車、薄型テレビの優勢が明らかになったあとのブラウン管。これらの技術ノウハウを「全方位だから」という理由で守ってはいませんよね。
新しい技術である水素にしても、総合効率でEVの半分以下という差は今後も埋まらないので、再エネ電力がタダになるまで傍流の運命….
— テスラ・ギガ・テキサス; Tesla Giga Texas ! (@horiaustin) June 23, 2021
とても重要な指摘で過去に一時期は栄華を極めたものの次の世代のものに交代させられたものなんて「蒸気機関車」「ブラウン管のテレビ」「ガラケー」など挙げるとキリがないくらい出てきます。
今になって「電車なんてダメだ、蒸気機関車を復活させろ!」と叫んだら笑われますよね?
これらの過去の遺物とガソリンエンジンに何か違いがあるのでしょうか? 「人の命ガー」と騒ぎたくても「電車と蒸気機関車も人の命かかってるよ」で終わりです。
ましてやEVの場合は従来のガソリン車のようにただの「移動手段」ではありません。太陽光などで発電した再生可能エネルギーを蓄える「蓄電池」としての側面、いわば生活のインフラのような側面もあります。
テスラのことを「車メーカー」だと決めつけるような態度もそうですが、EVをただの移動手段としてしか考えられないような態度も改める時期に来ているのではないでしょうか?
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