IONIQ5に続き「IONIQ6」「IONIQ3」投入のヒョンデから感じるやる気とは?
こんばんは、@kojisaitojpです。ここのところ集中的に取り上げている「ヒョンデ(ヒュンダイ)・起亜」の動向ですがこんなニュースもあります。
シンガポールからIONIQ5と更にコンパクトなIONIQ3をアジアに輸出する計画か。
Compact Hyundai ‘Ioniq 3’ to be produced in Singapore in 2025 [Update] https://t.co/bnvEpVHXIb— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) February 11, 2022
シンガポールに新しい工場を作って現在売り出し中の「IONIQ5」と更にコンパクトと言われる「IONIQ3」の生産を開始するとのニュースです。
ヒョンデ(ヒュンダイ)の日本市場への参戦についてはここのところ集中して取り上げていますが、海外でも新しい動きを見せています。
なおこの記事を書いた後に実際に「IONIQ5」の試乗に行ってますのでその時の記事もご参照いただければと思います。
ヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」に初日に試乗してきた話【テスラに対抗できる唯一のEV?】
ヒョンデ(ヒュンダイ)が原宿で開催するEVの「IONIQ5」とFCVの「NEXO」の試乗イベントに行ってきました。会員登録をすれば自由に使用できるラウンジがあり、車両を自由に触れるスペースなのでEVに興味があればぜひ行ってみることをおすすめします。テスラに対抗できる本格的なEVが日本メーカーより先に韓国から来ました。
そこで今日はヒョンデ(ヒュンダイ)が世界で展開しようとしている計画や日本市場で「IONIQ5」が発売される7月頃にはヨーロッパ・北米で「IONIQ6」を発売する
目次
シンガポールから「Baas」方式でIONIQシリーズを輸出?
まずは冒頭で紹介した記事にあるヒョンデ(ヒュンダイ)のシンガポールにおける計画を簡単にまとめると、
- 2022年末までに工場を稼働させ、まずはIONIQ5の生産スタート
- オープンから2-3年以内に更にコンパクトな「IONIQ3」の生産もスタート
- 「Baas(Battery as a service)」の導入(サブスク形式?)
年間30000台の生産が目標ですが、シンガポール自体は決して大きな市場ではありませんのでシンガポール国内での販売目標は年間5000-6000台と控えめです。
残りを東南アジア諸国を中心に輸出するというのが注目に値します。
以前私のブログでも取り上げましたが、タイやインドネシア、ベトナムなど東南アジアの新興国でEV化の波が既にたち始めています。
「テスラのインド市場参入」が持つ大きな意味とは?【インドネシアにも?】
テスラが中国と並ぶ約14億の人口を誇るインド市場への参入を表明しました。実はインドに進出するということはギガファクトリーが建設されるということを意味しますので、Googleやマイクロソフトなども拠点を置くハイテク大国インドにテスラが本格的に参入することになります。電気自動車に消極的なのは日本だけという状況が続きます。
ベトナム・トルコなどに見られる新興国発のEVが世界の流れを変える【実は先進国より本気?】
脱炭素の流れの中で新興国や発展途上国でも再エネ導入・EV化に取り組む国が増えてきてます。化石燃料依存・ガソリン車依存という輸入依存の体質を変えて自力でEVを生産する国も現れています。今日はトルコとベトナムという具体例も挙げながら「新興国や発展途上国こそ再エネシフト・EVシフト」を望んでいる背景についても解説します。
「タイが2035年から全車EV化」が与える衝撃とは?【新興国・発展途上国こそEV化したがる?】
タイが「2035年から新車販売はEVのみ(ハイブリッド・PHEVも不可)」という全面的に電気自動車化する計画を新興国・発展途上国で初めて出してきました。「できるわけないだろ?」と先進国目線では思いがちですが、燃料代が国家財政を圧迫する国が多い新興国・発展途上国では再エネとEVの普及を先進国以上に待ち望んでいます。
タイにしろインドネシアにしろベトナムにしろ日本車の牙城と言われる国ばかりですが、EVで日本車のシェアを奪いにきていることが明白です。
「じゃあなぜ人件費の高そうなシンガポール?」と思うところですが、どうやらヒョンデ(ヒュンダイ)側はAIやロボットなどの先端技術をフルに生かした工場にしたいのと、自国内で自動車の生産工場を立ち上げて外貨獲得に利用したいシンガポール政府と思惑が一致したようです。
そして東南アジアの新興国へもEVを売り込むためのアイディアとして出ているのが「IONIQ5」より更にコンパクトなEV「IONIQ3」を生産することと、「Baas(Battery as a service)」の導入で車両価格を下げることが挙げられています。
「Baas(Battery as a service)」は中国のNIOがやってることで有名になりましたが、文字通り「as a service」サービスの一環として提供する(例えばサブスクだったりバッテリー交換方式だったり)というやり方です。
- バッテリー抜きの車両価格になるので価格が下がる
- サブスク形式でいつでもフレッシュなバッテリーに交換可能
私個人の見解としてはこのサービスが広まるかは疑問なのですが(特にバッテリー交換は以前の記事でも欠点を指摘してます)、「バッテリー抜きの車両価格にすることでEVの価格を下げる」というサービス形態は特に新興国・発展途上国では広まる可能性があるのでは?と思います。
別にサブスク形式でレンタルしたバッテリーを搭載したEVを自宅で充電、急速充電器で充電して使ってもいいわけですから。
2025年からシンガポールで始まる「エンジン車」の販売禁止(最初はディーゼル車のみ禁止)の実現のためにシンガポール国内60000万基の充電インフラ設置(2030年までに)も行う予定になっています。
「IONIQ5」の日本市場での発売における唯一の問題点として私が指摘した「充電インフラ設置はしない」がありましたが、シンガポールではこの批判は当てはまらないようです。
「IONIQ6」の噂もあります
また日本ではようやく「IONIQ5」の発売が発表されたところですが、世界では既に次の「IONIQ6」の噂も出ています。
セダン派の俺としてはIONIQ6も魅力。
The New Electric Car-IONIQ6 in 2022 HYUNDAI #NYMammoth #Ioniq6 #Hyundai https://t.co/qlNfVxbnhs @YouTubeより— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 29, 2022
ヒョンデ(ヒュンダイ)がEV用に開発した専用プラットフォーム「E-GMP」はサイズの違う様々な車種の生産が可能なようで、既に「IONIQ5(SUVタイプ)」の次にセダンタイプの「IONIQ6」の準備を進めており、既に公道でのテスト走行などでスパイショットが撮られています。
ちなみに昨年「IONIQ6」の噂が出た時点で書いた記事はこちらになります。
IONIQ5に続いてIONIQ6を発表したヒュンダイの先進性とは?【EVのスペックも充電も】
まもなく「IONIQ5」の発売を開始する韓国のヒュンダイが2022年に今度はセダンタイプの「IONIQ6」を発売する予定との情報が出てきました。基本的なEVとしての性能はIONIQ5に近いですが、自動運転レベル3に対応、「V2X」にも対応し、EVからEVへの充電が可能となる「V2V」も搭載されるなど進化が見られます。
以前からコンセプトカーの画像は公開されていますが、さすがにここまでとんがったデザインではありませんが、リアのデザインなどには面影が残っています。
昨年書いたこの記事に少し訂正を加えてると、搭載バッテリー容量が77.4kWhになり、航続距離がアメリカのEPAサイクルより更に厳しい韓国の基準で515キロとIONI5の上を行く基本性能のようです。
この77.4kWhという搭載バッテリー容量はどうやらIONIQ5のバッテリー容量が72.6kWhから77.4kWhにアップグレードされたことと関係があるようです。
Europe: 2023 Hyundai Ioniq 5 Enhancements Announced
Hyundai officially announced that the 2023 model year Hyundai Ioniq 5 in Europe will get several major enhancements and specification changes.
現在ヒョンデ(ヒュンダイ)の日本法人のホームページで確認できる情報だと72.6kWhと掲載されているので、日本に上陸するバージョンは「72.6kWh」と記載があるので2021年までに生産された車両の可能性が高いです。
どうやらヒョンデ(ヒュンダイ)が誇る電気自動車専用プラットフォーム「E-GMPプラットフォーム」では2パターンのバッテリー搭載容量(58kWhと今回72.6kWhから変更の77.4kWh)が可能なようでIONIQ5のみならずIONI6やその後予定されているIONIQ7も共通のバッテリー容量になる見込みです。
ですので先ほど述べた更にコンパクトなIONIQ3ではプラットフォームを改良して小型のバッテリーが搭載できるようにするようです。
必死でEV化を推進するヒョンデ(ヒュンダイ)が昔の日本メーカーの姿?
とこの数日のように立て続けにヒョンデ(ヒュンダイ)の話ばかりしてると「お前が何を言っても日本では売れないんだよ!」とか「嫌いなものは嫌いなんだ」と誹謗中傷も飛んできます。
私も当然ですが興味のない人に興味持て、買えなどというつもりはありません。
Galaxyがお化けスマホなのわかっててもiPhoneから変更する予定はないので、同じようにテスラユーザーがIONIQ5に変える気がないってのも気持ちとしてはわかる。
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) February 11, 2022
たまたまサムソンのGalaxyが新作の「S22」を発表したニュースを見たのですが、長年iPhoneを使ってきた私から見るとあり得ないような超ハイスペックでした。
Galaxyがお化けスマホなのわかっててもiPhoneから変更する予定はないので、同じようにテスラユーザーがIONIQ5に変える気がないってのも気持ちとしてはわかる。
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) February 11, 2022
IONIQ5に対する態度もこれでいいと思うんですよね。例えばテスラに乗ってる人でしたら「テスラと同等以上のポテンシャルがあるのはわかる。でも買い替えはしない」で。
しっかり価値を認めた上で買う買わないは個人の趣味・嗜好の問題ですから。
私が結局iPhoneより優れてると思ってもGalaxyに手を出さなかったのも個人の趣味・嗜好の問題でしたから。
ちなみに「Galaxy S22」の実力についてはこちらのサイトで詳しく解説されています。
ペン内蔵で実質Noteシリーズな「Galaxy S22 Ultra」をサムスンが投入した背景(山根博士) – Engadget 日本版
サムスンが発表した「Galaxy S22 Ultra」「Galaxy S22+」「Galaxy S22」の3機種は同社の2022年以降のスマートフォン戦略を明確にしたモデルと感じられます。中でも最も注目すべきは製品は最上位モデルの、Galaxy S22 Ultraでしょう。これまでGalaxy Noteシリーズの特徴的な機能だったスタイラス「Sペン」が内蔵され、Galaxy Sシリーズとの融合が図られたのです。
しかし相手の実力すら認めない、リスペクトもないのでは何も生まれません。
既にこの展開が始まってるな。 https://t.co/nYEXskUs0v
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) February 11, 2022
「走りの質が上」「うちのEVは燃えない」という強がりの例が挙げられていますが、相手の実力も認めないでナメた態度を取っている限り進歩はないと思います。
IONIQ5と同じ2022年に発売が予想されている日本のEVでIONIQ5と同等以上の性能がありそうなのは日産「アリア」位しかありません。
ですがアリアも価格面ではIONIQ5よりかなり高いですし(IONIQ5は大衆車、アリアは高級車です)、高級車であるプレミア感から一定の支持を集めることは予想できますが、大衆車で世界を席巻しているテスラ「モデル3」や「IONIQ5」より売れる可能性は全く感じません(日本市場ではなく世界レベルの話)。
本来であればIONIQ5やモデル3の性能と価格を見て「この位のものが作れないと世界で負ける」と危機感を持たなければならないのですが。
その昔日本人はアメリカの「T型フォード」をはじめとする世界でトップを走る自動車を徹底的に研究して、それらを超える自動車を生産して世界を席巻しました。ところが今の日本人、日本社会からそんな気迫を感じません。
むしろテスラやフォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェなどのドイツ勢が推し進めるEV化競争に必死についていこうという、昔の日本人や日本企業が持っていたであろうやる気を日本メーカーではなくヒョンデ(ヒュンダイ)から感じます。
そこが私がまだ試乗もしてないのにヒョンデ(ヒュンダイ)を高く評価する理由です。
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