EVの急速充電と普通充電の違いとは?【基本は自宅で普通充電】
おはようございます、@kojisaitojpです。電気自動車に対する誤解の一つとして「急速充電」に対する誤解があります。
完全な電気自動車はガソリンスタンドで燃料入れる時間並みに急速充電出来ないと普及しないでしょ
— かずみん🐈 (@JBL4344mk2audio) March 1, 2021
よく叩かれるのが「充電時間がかかりすぎる」的な言い方です。「ガソリン給油と同じくらいの時間で急速充電できないとEVなんか買ってられない」的な言い方を電気自動車を知らない人ほどよく言います。
先に結論を言ってしまうと「数分〜数十分で80%まで充電する(急速充電)」というのは例外的に用いられるものです。
ガソリンスタンドでの給油と全く同じ感覚で電気自動車の充電をとらえてしまうとこのような勘違いが起きやすいです。
日常この速度で充電するとバッテリーを痛めます。
今日は既に電気自動車に乗っている人であれば「常識」ですが、これから電気自動車を購入しようか考えている層が誤解しがちな「急速充電と普通充電の違い」と「どういう充電環境であれば電気自動車が使いやすいか?」について説明します。
目次
「急速充電」と「普通充電」の違いとは?
まずは「急速充電」と「普通充電」の定義の違いをはっきりさせておきます。
普通充電は、一般家庭で使用する100Vまたは200Vの単相交流電源を用います。クルマ側の車載充電器で単相の交流電源を400V以上の高圧の直流電圧に変換して、車載電池に充電します。200V電源での充電時間は、比較的小さな電池容量のPHEVで2~4時間、大きい電池容量が必要なEVで7~10時間かかります。100V充電の場合は、さらに200V充電の3倍程度時間がかかります。
急速充電は、充電スタンド側で3相200V電源を400V以上の直流電圧に変換し、車載電池と繋いで充電します。100A以上の大電流を流す(普通充電は10~20A程度)ので、電池容量にも依りますが20~30分程度の短時間で80%充電ができます。
(Cliccar「【自動車用語辞典:電動部品「充電システム」】EV充電の2つのスタイル、「普通充電」と「急速充電」の違いは?」より)
初心者向けに簡略化すると、要は普通充電の場合は100Vか200Vの電圧に30Aの電流だと3kWか6kWの出力で充電できます。後で説明しますが自宅で充電する場合はほとんどがこの電力で充電します。
これに対し急速充電の場合は、例えば400Vの電流に125Aの電圧だと50kWの出力で充電できます。日本の急速充電規格である「CHADEMO(チャデモ)」の場合この50kW前後の急速充電器が多いです。
ちなみにこれがテスラのスーパーチャージャーの場合だと150kWとか250kWと更に高速での充電が可能です(250kWのスーパーチャージャーは埼玉県川口市の1ヶ所のみ)。
日産や三菱などのディーラーに設置されている急速充電器はチャデモに合わせて50kWくらいのものが多いです。
チャデモにしろスーパーチャージャーにしろこの出力を家庭用の充電器で出すのは困難(できたとしてもめちゃくちゃコストがかかる)ですので、家庭に充電器を設置する場合は「普通充電」にするのが普通です。
公共施設やレストラン、ホテル、コンビニなどに設置されている充電器は場所によって急速充電の場合と普通充電の場合があります。
充電施設の場所やスペックについては「GOGOEV」や「EVsmart」などのサイトやアプリから検索できます。
「なるべく速度の速いところで充電しよう?」と思いましたか? これが初心者の陥りやすい失敗です。
急速充電を多用すると普通充電よりバッテリーが発熱する(これは同じリチウムイオン電池を使うスマホでも一緒ですよね)のでバッテリーが消耗しやすいという欠点があります。
初代初期型リーフ(2010〜2012)で電気自動車の特徴を知らないままにこれをやってしまったゆえにバッテリーの消耗(セグ欠け)が起きたのも電気自動車への偏見を生じさせる原因になったのでは?と個人的には思っています。
可能であれば「普通充電」で長い時間をかけて充電するのがバッテリーに余計な負担をかけないのでベストです。
「そんな長い時間待ってられねぇよ」と思いました?
待つ必要ないですよ。自宅に帰ってからガレージのコンセントを引っ張ってくれば朝には満充電で出発できますよ。
自宅充電は「普通充電」
夕方〜夜に家に帰ると翌朝まで車を使うことは通常はないはずです。この時間にコンセントに繋いで充電するだけで翌朝には満充電になってます。
6kW対応の普通充電器を付けるなら、デルタなんかの普通充電器を付けるより、Wallconnector+J1772変換アダプターの方が安かったりします。
Gen3だと、Wi-fi対応で、最大16台までの負荷分散機能付きなので、かなりコスパ高いです。
— mania3bb (@mania3bb2007) March 14, 2021
私も(実現するかは別として)「戸建てに太陽光・パワーウォール・ウォールコネクター(テスラの充電器)をフル装備で設置して、再生可能エネルギー100%の環境でテスラを充電する生活」を夢見ていますので、「ウォールコネクター」について調べていたのですが、10万以下で調達できます。
ちなみにテスラを新車で購入するとウォールコネクター(かチャデモアダプター)が無料ですので、わずかな工事費だけで設置できます。
テスラ以外のパナソニックなどの充電器であればもう少し安く調達することもできます。
5万〜10万もあれば自宅に充電器を設置できます。現在であれば自治体などの補助金を利用すればこの費用の大半を取り戻すことも可能です。
その上で太陽光までやらなくても深夜電力の電気代が安い時間帯に充電すればガソリン代の何分の1の電気代で済みます。
面倒臭いと思いました?
私からすれば「ガソリンスタンドに出かける」方が全然面倒臭いと思いますが。わざわざガソリンスタンドを探す必要もなく、自宅に帰ったらコンセントを繋いで朝まで放置すれば毎日満充電(ガソリン車で言えば満タン)で出発できます。
しかもガソリンスタンドの数自体がEVの普及とは関係なく年々減少しています。
実は1998年のトヨタ・プリウスの発売以降、燃費の良いガソリン車が増えたのもあって年々ガソリンスタンドが減少しています。
過疎地になればなるほど「ガソリンスタンド探すより自宅でコンセントに繋ぐ方が楽」という日がすぐ目の前に来ています。
自宅で充電する際にかかる手間は「スマホの充電」と同じくらいです。
満タンの状態で出発すれば例えばテスラのモデル3スタンダードレンジモデルであればEPA航続距離で400キロ以上、日産リーフ40kWhだと243キロ、62kWhだと346〜364キロ走れます。
毎日これ以上の距離走る方はほぼいませんよね? そうです、外出中に充電が不要なまま家に帰ってこれるのです。
自宅同様に駐車したまま長時間滞在するホテルの駐車場の場合も「普通充電」で全く問題ありません。
仮に6kWだとしても12時間滞在すれば72kWh、現在日本で走っているEVの中でバッテリー容量が大きい車種である「テスラ・モデル3」のスタンダードレンジプラスが60kWh、ロングレンジが82kWhですのでほぼ満充電できます。
モデルSは?モデルXは?と言う人もいるでしょうが、72kWh充電できれば十分ですよね。もう少し長い時間滞在すれば満充電にすることも可能ですし。
むしろ充電に時間をかけても問題のない環境なのに急速充電をしてしまうことはバッテリーの劣化にもつながるのでメリットよりもデメリットの方が大きいです。
「急速充電」は長距離移動などの「非常用」です
では急速充電はどこで必要になるか?
最も必要となるのは自分の電気自動車の航続距離を超える移動、つまり高速道路などで長距離移動する際に最も必要になります。
現在でも高速道路の大半のSAやPAには急速充電器が設置されてはいます。ですがSAに一個しかなくて充電渋滞ができてしまうSAなどもあり(だいたいの渋滞は日本で最も売れている日産リーフの航続距離ごとに発生するようです)、更なる増設は不可欠な状況です。
ところがこれに関しても「ショッピングセンターにも設置しろ」などとあそこにもここにも設置しろ的な声が様々な方向から不満の声が来ます。
ですが設置できる充電器の数には限りがあり、どっちを優先すべきかといえば「高速道路のSAとPA」です。これははっきり断言できます。
ですので最優先で高速道路のSAとPAに急速充電器を増設すべきです。
というのも本来は「自宅で3kWか6kWでのんびり普通充電。たまに長距離乗った際に高速道路のSAなどで急速充電して長距離を走るのに必要な電力を補給する」というのが正しい電気自動車の充電方法です。
急速充電はあくまで出先で充電が足りなくなった時に使うもの、「非常用」と言ってもいいかもしれません。
などというと今度は「マンションで充電器ないんだけど」という不満が来ますよね。それについては後で説明します。私が言っている「基本は自宅充電で、長距離を走った時だけ高速道路のSAやPAで急速充電」というのはあくまでもモデルケースです。
先ほど日産リーフが発売された直後に「急速充電をやりすぎてバッテリーを消耗させる」というオーナーが続出した話をしましたが、同時期に発売された三菱の「i-MiEV」だけは例外で、特にMグレードに搭載されている東芝製のSCiBバッテリーは耐久性抜群で、極端に言えば毎日急速充電していても消耗しない驚異のバッテリーです。
しかも搭載バッテリー容量が10.5kWhととても小さいので航続距離こそ100キロくらいと短いものの、急速充電も一瞬で終わる(例えば三菱のディーラーにある50kWの急速充電器ならたったの15分で終わり)というメリットもありました。
ですので私個人も現在はマンション暮らしですので、ウォールコネクターを設置できる戸建てかマンション住まいならテスラ・スーパーチャージャーの近所に引っ越すまではテスラを我慢して「i-MiEV」の中古でEV生活をスタートしてもいいかなと思ってたりもします(自宅から車で5分のところに三菱ディーラーがありますので)。
以前から言っていますが、この車の価値が日本では不当に低く評価されているようで非常に不可解です。
「電気自動車=高い」はフェイクニュース?【三菱i-MiEVとHongGuang mini EVを比較】
「電気自動車=高い」という偏見を破壊すべく中国のメーカーであるWolingが「HongGuang mini EV」という約45万円で買える激安の電気自動車を発売して、現在中国国内で爆発的に売れています。しかし日本にも三菱i-MiEVという軽自動車の手頃な電気自動車があることを忘れてはいけませんので同時に紹介します。
世界一の激安EVとして話題の「HongGuang mini EV」に近い価格で今ならi-MiEVの中古が買えるのですがねぇ。。。
まぁ今の自宅からも川口のスーパーチャージャーまで20分くらいで行けますのでテスラ生活できないこともないのですが。テスラならモデル3でもモデルSでも一回充電すれば数日は持ちますし。
電気自動車(BEV)では「普通充電」と「急速充電」を正しく使い分けましょう
などと充電の話をすると必ず「集合住宅ガー」「マンションガー」と一生懸命電気自動車のメリットを否定しようとする人が出てくることはわかってますよ(笑)。
まぁ冗談ではなくこの「集合住宅への充電器の設置」は今後電気自動車の普及にあたって必要不可欠なものだと思っています。
個人的にはEV関係で起業した場合には「正しい充電の仕方」というのもブログやYouTubeなどを活用してきちんと情報発信していく必要があると思っています。
自宅に設置可能な環境(戸建て)であれば積極的に普通充電器の設置をすすめる、マンションなど集合住宅に住んでいて簡単には設置できない人に対してもマンションの管理会社や管理組合などと交渉して設置できる余地はないか探るなどのサービスを充電器設置工事を行う業者と協力してやっていく必要があると思っています。
まぁ一番ベストなのは「集合住宅に充電器設置するとマンションに付加価値が生じるよ」というのをアピールすることです。この流れを広めるとことが日本における電気自動車の普及の重要ポイントになると思いますので。
そのためには国や自治体からの補助金や税控除などマンションのオーナーが「設置したら得だ」と思う仕組みにするか、既にイギリスで導入されているような「居住者から設置希望の要望があったらオーナーは拒否できない」ような制度作りをするなどの政策面での協力を仰ぐことも必要になります。
なんてことを熱く語ったら経営コンサルタントに鼻で笑われてバカにされましたが(笑)。
「電気自動車に対する正しい情報の発信と普及活動」というのに対し「お前一人がそんなことやっても無駄だよ」とでも言いたげでしたね。
まぁそんなことを言って電気自動車の普及を妨害していると、日本が世界の流れから取り残されていくだけなのですが(笑)。
私自身も誰に何を言われようが諦めることなく前進していきたいと思います。
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