電気自動車の充電設備を充実させる秘策とは?【Voltaの広告方式もあり?】
こんにちは、@kojisaitojpです。バイデン政権が発足し、目玉政策の一つである「グリーンニューディール」がありますが、その中にこんなアイディアがあります。
米国も欧州を追う。環境対策に消極的だったトランプ政権から一転、バイデン次期大統領はグリーン刺激策に2兆ドルを投じる計画を表明した。50万カ所に充電施設を設け政府の公用車300万台を電気自動車などにする方針だ。 pic.twitter.com/OhpERSbvp0
— 🌷はなまるき🌷888 (@jdIn3BJbNAVOz6p) January 17, 2021
エンジンを搭載した車に比べて部品点数が少ない電気自動車が普及すると従来の車業界の雇用が失われることははっきりしています。これに対してバイデン大統領が提唱しているのが「全米50万箇所に充電ステーションを設置する」という対応策です。
しかも全米の至るところに充電ステーションができれば、誰でも必要な時に気軽に充電できるようになり、電気自動車の普及にも貢献できると全ての人々にとってwin-winの制作です。
片や日本ではEV化によって車業界の雇用(500万人でしたっけ?)が失われる、だから反対だと倒錯したことを言っている某有名車メーカーの社長がいますが(笑)。
朽ち果てるまで既得権益にしがみつこうとするくらいなら、新しい雇用を生み出す方法を考えてさっさと業態転換した方が傷も浅く済みます。
それは今日の本題ではないのでこの程度にしておきます。
今日のテーマは「充電ステーションの普及」です。日本の場合アメリカ以上に「充電設備が足りない」という不満(電気自動車を買いたくない人の口実?)を言う人が多いですが、日本で不便を感じないで充電ステーションを整備するには何が必要か?について考えてみます。
目次
「Volta社」の広告を用いたGoogle方式の充電ステーション
「Volta社」は食料品店や銀行、病院周辺の駐車場に設置された電気自動車の充電ステーションのネットワークを構築し、運営している会社です。
百聞は一見にしかずなので画像を見た方が理解が早いかと思いますが、このように55インチのデジタルディスプレイを備えた充電ステーションを、米国23州の200都市に設置しています。
重要なポイントは車の所有者は無料で充電でき、EVユーザーにリーチしたい小売店や消費財メーカーの広告がディスプレイに表示されるということです。
つまり「広告」を表示させることで、地上波のテレビと同じようにユーザーは無料で充電できるというビジネスモデルです。
じゃあどんな会社が広告を出すの?という話になりますが、少なくとも広告を出さない方針のテスラ社は出さないでしょうし、電気自動車に対し後ろ向きなトヨタやマツダなどの日本の自動車メーカーもここに広告を出すことは考えにくいかもしれません。
アメリカでは現在のところGMやHulu、Nestlé、Polestar、Porsche、Unileverなどの広告が表示されるようです。GMやポルシェ、ボルボの電気自動車部門のポールスターなどは広告を出しているようです。
私も先日カーシェアで借りたテスラを川口のスーパーチャージャーで充電してみましたが、ガソリン車と違い充電時間の30分は暖房をつけたり、音楽を聴いたりもできますので車内で過ごすことが多いですが、この時に巨大なディスプレイに広告が表示されれば見ることになるかと思います。
こちらの記事でも「Google方式」と紹介されています。
Volta Charging Raises $125 Million
Almost all EV charging station companies have one thing in common — either a company hosting the chargers has to pay for them or EV drivers who use them have to pay for them. Volta does things differently. It uses the Google method, or the cable TV method — the station is free to use,
なおVolta社は約130億円の資金調達にも成功しており、市場でも今後の成長が見込まれる企業として期待されているようです。
実際にアメリカでは22の州でVolta社の充電ステーションが既に普及しているようで、最初に引用したバイデン政権による「充電ステーションの普及」がどのような形態で実行されるのかはまだ不明ですが、Volta社のような広告を用いたモデルで設置されるのであれば、設置に関する経費や土地の所有者に対する地代なども賄えますので、爆発的に普及させるきっかけになる可能性もあります。
このやり方はGoogleやFacebookの運営と同じ方式です。
皆さんも様々なホームページを開いた際にGoogleから広告が表示されるのを見たことがあると思いますが、実はGoogleの主たる収入源はこの「広告」です。
個人のブログなどでも申請して承認されればGoogleアドセンスの広告が表示され、読者がクリックすると一回いくらという感じで広告収入が発生します。アフィリエイトに比べると金額は少なく、これで食っていくというのは不可能に近いですが、私も以前なら月に数千円くらいでああれば収益がありました。
あ、私のブログも以前はGoogleアドセンスが表示されたのですが、私がドメインを移行した際にミスってしまい、しばらくは表示されない状態が続きます(笑)。
日本では「イーモビリティパワー」が急速充電器を整備中
さて日本では充電ステーションの普及はどのように行われているのでしょうか?
一番有名なのはテスラのスーパーチャージャーですが、これはテスラ社が自ら出資して日本各地に設置していますが数は多くありません。
日本で多いのは「イーモビリティパワー」が設置した充電ステーションです。
イーモビリティパワー(e-MobilityPower)は東京電力と中部電力が共同出資で設立した会社で、EV充電設備の設置などEV普及のために作られた会社です。
この会社が高速道路や公共施設など、充電インフラを充実されることが必須のエリアを中心に充電器を設置しています。
このイーモビリティパワーがカインズホームと提携して充電設備を設置する計画を始めています。
東電と中部電、EV充電器設置でカインズと連携
東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資する「e-Mobility Power(イーモビリティパワー)」(東京・港)は2日、電気自動車(EV)の充電インフラ整備でカインズと提携すると発表した。カインズが運営するホームセンターにEVの充電器を設置していく。EVの普及を後押しすることで、新たな電力需要の開拓につなげる。充電時間が短い「急速充電器」を店舗に設置し、買い物中の顧客にEVを充電しても
現在イーモビリティパワーが用意している急速充電器は最大出力120kWhと、従来のチャデモの50kWhに比べると格段にパワーのある充電器です。
充電空白エリアを減らすためにカインズホームというショッピングセンターを利用するのは確かに一つの方法ではあります。
しかし限られた台数の急速充電器を急いで設置するのはそこなのか?という疑問は残ります。
例えば家で充電する習慣のある人であれば、わざわざ近所のショッピングセンターでわざわざ充電する必要もなく家には帰れるでしょう。
となると急いで設置すべきなのは「長距離移動で充電が必須になる」高速道路のSAなどの方が適切ではないでしょうか?
急速充電が不要な場所に150kWhの高出力の充電器を設置すると宝の持ち腐れになる可能性もあります。
「原則家で充電、遠出した時に公共の充電設備」が電気自動車を普及させるベストの方法?
充電の話をすると「高速道路だけじゃなく、ショッピングセンターなどにも設置しろ」「コンビニの駐車場にも設置しろ」「ホテルにも設置しろ」などとあそこに設置しろ、ここにも設置しろと無限に要求が出てきますが、当然ですが全てを同時に対処することはできません。
ですのでまずは優先順位をつけて、例えば「長距離移動で必須なのでまずは高速道路のSAから優先的に設置していく」ように必要度に応じて設置していくしか方法はありません。
実際にパワーウォールのある家の画像を貼ってみたりしましたが、テスラ社の提唱する電気自動車の使い方は「家で太陽光発電でパワーウォールに蓄電した電力で充電し、長距離ドライブに出た際にテスラ社のスーパーチャージャーで急速充電する」というモデルです。
日本ではまだスーパーチャージャーの数が少ないですが、アメリカではこのモデルで十分生活していけるようです。
太陽光とパワーウォールでテスラ生活を更に充実?【売電から自給自足へ】
今日は電気自動車から少し話題をずらして「太陽光発電」について語ってみます。実はテスラはこの分野にも進出していて、日本でも「PowerWall」という蓄電池を激安で販売しており、自宅で発電した電力をそのまま車の充電に使ったり、家の電気として消費するライフスタイルも提案しています。テスラが提唱する未来の生活を紹介します。
「自宅で満充電」にして毎日出発できれば、ショッピングセンターやコンビニなどへの設置は後回しでも日常生活を送るには支障はありません。
またテスラ車は蓄電池の機能がありませんが(パワーウォールとかぶるから?)、日産リーフや三菱i-MiEVであれば蓄電池としていざという時に活用できる「V2h」も可能です。
「Vehicle to Home」で災害時・停電時も安心?【日産リーフ・三菱アイミーブの別の用途】
「Vehicle to Home(V2h)」という言葉を知ってますでしょうか? 電気自動車は「蓄電池」として活用することが可能であり、災害時・停電時も車から電気の供給を受けて日常生活を送れるという隠れたメリットがあります。航続距離が少ない初期型のリーフや軽自動車の三菱アイミーブの隠れた活用法を今日は紹介します。
反対に高速道路のSAなどは長距離移動では必須なので最優先で設置するようにすればインフラとして機能します。
「一軒家じゃなくてマンション住まいなんだからそれじゃ困る」という人が出ることはわかっています。これに対しては、集合住宅の駐車場に充電施設を設置すればマンションのオーナーに補助金を支給したり、税控除などを認めれば普及は進みます。
会社の駐車場なども同様で、設置した会社には税控除などを認めれば会社は喜んで設置するでしょう。充電設備を設置して通勤を電気自動車に切り替えさせれば通勤用のガソリン代を支給する必要もなくなり社員も会社もwin-winです。
電気自動車にとってベストなのは「家や会社で普通充電で満充電にできる」ということで、家や会社から満充電で出発できれば街中での充電はあまり必要ではありません(高速道路のSAで必要なのは同じ)。
街中の至るところに充電設備を設置し、電気自動車を不自由を感じることなく使えるようになるには、政府や自治体の協力は不可欠です。
「設置に費用がかかり過ぎる」と難色を示すようであれば本日紹介したVolta社のように「広告付きの充電器ならユーザーは無料、場所を提供した側は広告料ももらえる」だとwin-winの関係になって誰も損をしない方法もあります。
日本ではまだVolta社のような会社がないですが、このようなサービスをするベンチャー企業が現れれば一発当たる可能性を秘めているかもしれません。
冒頭に紹介したように、確かに電気自動車の普及により車メーカーとその関連企業などの雇用が失われる可能性は高いですが、それに代わる産業が生まれれば失業者を吸収することができて雇用の問題も解決します。
「自動車業界550万人の雇用を守る」と既得権益にしがみつくことだけが雇用対策ではありません。
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