【指導者失格?】インフルエンサーの「勉強しろ」「本を読め」は無視?
こんばんは、@kojisaitojpです。釣りかな?と思うところもあるのですが、目に留まったツイートがあったので、まず最初に引用します。
自分は早稲田を卒業後、将来有望な三菱UFJフィナンシャルグループで働いていた。
そのまま働いていれば年収1000万コースだったのに、マナブやイケハヤと言ったインフルエンサーにそそのかされ会社を辞めてしまった。
もう二度と元のレールには戻れない。自分の人生を返してほしい
— ツチヤミ@高学歴貧困層からの逆襲 (@tsuchiyami_blog) September 20, 2020
イケハヤさんとかマナブさんの名前はこういうネタでよく出てきます。確かに「会社なんかにいてもいいことは無い」「さっさと会社を辞めて独立・起業しよう」という趣旨のことを毎日のように言っているので、煽られて会社を辞める人というのはいるかもしれません。
ただし失敗したからと言って彼らのせいにするのは筋違いです。失敗には様々な原因があり、彼らが日々語っていることと別のところに原因がある場合もあります。
そもそも三菱東京UFJ自体が将来有望な企業なのかという疑問もありますが、本題では無いのでそこには触れません。
失敗した人間から恨みを買うことが多い、いわゆるビジネス系Youtuberですが、私が動画などを見ていると共通して聞こえてくる不快なフレーズがあることが気になります。
それが「勉強しろ」「本を読め」というフレーズなのですが、予備校講師の目線ではこの発言が人のやる気を奪うことがあるということについて説明したいと思います。
目次
初心者に「勉強しろ」「本を読め」という説教をしたら指導者失格
この手のフレーズを日々口にする人間は「人に指導する立場」、つまり講師やコンサルタントをやるべきではないと思います。
- 「勉強しないから成功しないんだ」
- 「本を読まないから成功しないんだ」
この二つのフレーズを濫用するのは、アドバイスを受ける人間、これから何かをやりたいと思っている人間には逆効果の場合が多いのを、私は予備校講師として実際に生徒と接していて感じたことでした。
別にこういうフレーズを口にするインフルエンサーやYoutuberを批判したいわけではないです。先ほど引用したイケハヤさんもマナブさんもどうやら相当稼いでいることは間違い無いですし、ご本人な人並外れた努力をした結果、今の地位にあるということはリスペクトしています。
しかし問題は「勉強しろ」「本を読め」というフレーズをどういう視聴者に向けて発信しているの?という部分です。
単純な疑問ですが、
ガキの頃から親とか先生に「勉強しろ!」と怒られて勉強する気になった人、それ以後人が変わったように勉強するようになった人はいます?
多分ほとんどいないですよね。
むしろ頭に来てその科目を勉強する意欲がなくなったりしませんか?
元予備校講師として主張したかったのはこの点です。
受験勉強でも、既にある程度の偏差値のある生徒、いわゆる勉強が出来る生徒に対する説教としてはやる気を奮い立たせるという効果がありますが、偏差値の低い生徒、いわゆる勉強の出来ない生徒にこのような説教をして勉強するようになることはまずあり得ないです。
まだ勉強時間が足りない生徒は自分が勉強が出来ないことは百も承知で塾や予備校に来ています。そこに傷口に塩を塗るかのように「勉強しろ、勉強しろ」と説教をしてしまうと、その科目と関わること自体に嫌気がさして、更に勉強しなくなる傾向が強いです。
それは社会人になってからでも同様ではないでしょうか?
「できる人目線」でしか語らないインフルエンサー
そのような経験があるので私は、インフルエンサーやYoutuberのこのようなモノの言い方にイライラします。
「誰のためのアドバイスにもならないな:と。
元予備校講師の立場から見ると、成功体験がない(偏差値の低い)生徒に「勉強しないからお前は出来ないんだ」と説教をすることは百害あって一利なしです。
だって「勉強しろと怒られても、何をどこから手をつけていいかわかんねぇんだよ」「勉強しなきゃマズいことくらいわかってるよ」という気持ちになりますよね?
世の中を見ていると不思議なことに成功した人ほど平気でこの手の発言をする傾向があります。
私は「勉強しろ」「本を読め」的な説教をする人間を見ると、いつも「ビジネスの成功者(受験生で言うと勉強ができる人)の目線でしか物事が見えない人」で、勉強が出来ない人間の頭の中が想像できない人間なんだなと思ってしまいます。
「できる人目線・できる人基準」で出来ない人間に説教をしてもほとんど効果がないのですが、不思議なことに人間は自分が成長して、知識やスキルを身につけた後、社会的地位が高くなった後には「自分も昔は何をやっていいかすらわからない初心者だったこと」を忘れてしまいがちです。
ちなみに私の個人的な都合を出してしまうと、前も現代文の講師特有の悩みについて話したことがありますが、「本を読め」という説教には生理的にアレルギーがあります。
本を読むという習慣がない生徒が受験生になっていきなり「君は本を読まないから現代文が出来ないんだ」と言われたら「今になってそんなこと言われても…」という話になります。小学生に言うのならまだまだ読書を習慣にすることも可能ですが、受験まであと1年とかの受験生に言っても無駄です。
だから結果「自分は本を読んでないから現代文はできないんだ」と出来ないことを正当化する理由を与えることになり、他の科目ばかり勉強するようになります。
すると結局日本語の文章を読む力が向上しないので、英語など他の科目も伸びないというお寒い結果になるのはこの前お話しした通りです。
勉強しなくても「詐欺」くらい見抜けます
私も「起業」とか「副業」という言葉を自分のブログやツイッターで使うようになるとよく詐欺師が現れるようになりました。
典型例は、
- 実家は貧しくて子供の頃は虐待されたか、学校ではいじめられっ子
- 勉強もできず、入った大学はFラン大学
- 卒業後入社した会社はブラック企業で、月に何十時間残業しても手取り14万円
「そんな私でも1日15分作業をするだけで月収50万円やら月収100万稼げるようになった」という長い自己紹介文がネット上ではテンプレのように多く見られます。
このような自己紹介が大量にあるのを見ると、まるで不幸な人生送ってきた人間じゃないと成功しないかのような印象を受けてしまいます。
どうも怪しげな情報商材の類はこのような「不幸自慢」を並べ立てて、そんな「不幸街道真っしぐらの自分が楽して儲ける方法を見つけた、その方法を特別に伝授します的な書き方」がウケるようです。
私辺りがそういうキャッチコピーを見ると詐欺以外の何ものにも見えないので即サイトから離脱しますが。
でもこういうキャッチコピーを見て「楽して儲かるならやってみようかな」と思う人っています?
「1日30分の作業・スマホ1台で月100万」て情報商材のキャッチコピー良く見るけど、俺1日16時間働けるしデュアルモニターのモンスターPC使って作業効率5倍に出来るから、自分がやったら月1億6千万稼げるのか。年収換算で19億2千万円www 後から5億払うんで、やり方本気で教えてほしい!あるならね大笑
— 浅井さん@4社の社長 (@asaitomohide) September 18, 2020
言われてみると当たり前のことですよね? 1日30分の作業で月収100万なら私でも1日12時間くらい働いてみたいと思うでしょうね。すると月収2400万、年収だと2億8800万になりますね。
この時点で「嘘だろ」と思うのに勉強することも、本を読むことも不要ですよね。一般常識のレベルで判断できると思います。
まとめ
「勉強しろ」という単語は勉強が出来ない人間の自尊心を傷つけてしまい、問題を解決する方向には向かないということを元予備校講師の目線で述べてみました。
社会的に成功した人がよく口にする、「限界を超えて頑張る」とか「睡眠時間を削って頑張る」のような行動は、子供の頃から受験勉強などを通して同じような経験をしたことがないと実はできないものなのです。
世の中で成功した(成功したと言われている)インフルエンサーや有名Youtuberなどは、持って生まれたものか受験生までに身につけた習慣が当たり前になっているので「勉強しろ」「本を読め」のような毒にも薬にもならない説教をすることが多いです。
もし自分が働いている会社の上司や社長がこのタイプだった場合には、本人が意識しないうちに自分と同じ量の努力を求める傾向があります。早めに環境を変えることをオススメします。
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