ハマーでさえ電気自動車化して復活?【アメリカもEV化】
こんにちは、@kojisaitojpです。関越道で車が立ち往生して以来、根拠不明確な電気自動車への攻撃が勢いを増しています。
冬の北海道ではアイドリング状態になると水温計がここまで下がる🥶
これがワイが電気自動車が雪国で使えないと思う理由です。
暖房に必要な熱量を蓄電池から引き出すのはそもそも無理があると思う。 pic.twitter.com/TgMhBiRNj1
— ココナ少佐 (@lcdr_coconut) December 26, 2020
「Ev smart」という電気自動車関係では超有名ブログの方にあっさり否定されていますが、このような電気自動車を使ったこともないのに憶測で批判する方が増えています。
日本政府の2035年以降ガソリン車の販売禁止の方針が明らかになり、それに対してトヨタの社長が電気自動車に対する批判をして以来、ネット上では何でもいいから材料を見つけて電気自動車を叩こうという雰囲気になっていて正直気持ち悪いです。
「日本だけ独自の路線でいいんだ」的な開き直りは、国際的な競争力をなくして、日本の衰退に繋がるだけだと思うのですが。。。
昨日は商用車を例に「電気自動車に向いてないというのは嘘」だという話をしましたが、今日は商用車以上に一般的には電気自動車に向いてないと思われがちなピックアップトラックの電気自動車化について語ります。
目次
「ハマーEV」と「サイバートラック」がアメリカで激突?
日本にいると想像しにくいところですが、アメリカ市場においてピックアップトラックはとても重要な役割を果たす車です。
ハマー、10年ぶりにEVで復活…1000馬力の高性能ピックアップトラックに[動画] | レスポンス(Response.jp)
◆0~96km/h加速はおよそ3秒 ◆1回の充電での航続は最大563km ◆「カニ歩き」で移動できる4輪ステアリングシステム
「ハマー」という車を覚えているでしょうか?
1992年にアメリカの自動車メーカー・AMゼネラルが発売した、軍用四輪駆動車・ハンヴィーの民間仕様、及びAMゼネラルから権利を購入したゼネラルモーターズ(GM)が1999年から展開したSUVブランド。
GMは2009年の破産後に中国の四川騰中重工機械にブランド売却を打診していたが、破談となり2010年に販売を終了。
(Wikipedia「ハマー」より)
元々は軍用車だったものを改良した車で、アーノルド・シュワルツェネッガーなどが愛用していたことでも有名ですが、日本でも10数年前は夜の銀座や六本木、西麻布などを走っているハマーを見かけることが多く、実際に芸能人やスポーツ選手、IT系の社長などに人気の車でした。
それがリーマンショック後の2010年に販売を終了し、最近では見かけることも少なくなっていましたが、電気自動車の時代になって復活しました。
「ピックアップトラック」というジャンルは、アメリカではとてつもない人気のジャンルですが「大きい・重い」という欠点もあり、電気自動車化するのは難しいと思われていましたが、GMが最新の技術を駆使して電気自動車として復活させました。
以前のハマーであれば「リッター3〜5キロ」と言われる驚異的に燃費が悪い車の一つでしたが、大転換を経て復活します。
発売は2021年〜2024年にかけてグレードごとに発売する予定ですが、既にアメリカでは1万台の予約が入っているそうです。
このサイズの電気自動車はテスラが「サイバートラック」と呼ばれるピックアップトラックを開発しており、アメリカで最も人気のあるジャンルでGMという伝統あるメーカーと新興のテスラが激突します。
旧式のハマーを見たことのある人であればお分かりかと思いますが、ピックアップトラックと電気自動車という「エコ」という意味では水と油のような存在がアメリカでは受け入れられそうな雰囲気です。
このブログでも繰り返し言っていますが、バイデン政権の誕生により「グリーンニューディール」という二酸化炭素の排出量ゼロを目指す政策に転換し、トランプ政権時代に温室効果ガスによる気候変動を「科学的根拠がない」と否定的だったのと真逆の政策に転換します。
当然電気自動車の普及にも今まで以上に力を入れることは明白で、「中国だけ」とか「ヨーロッパだけ」と言われている電気自動車への転換にアメリカという巨大市場も舵を切ることになります。
日本一国だけが「ウチは独自の基準でハイブリッドをやる」と主張したところで誰にも相手にされなくなる日が近づいています。
その象徴がハマーのような巨大なピックアップトラックの電気自動車化かもしれません。
ハマーEVの特徴は?
ハマーを販売するGM(ゼネラルモーターズ)が電気自動車に本気なのは新型ハマーのスペックを見れば一目瞭然です。
スペック表自体は出ていませんが、公表されている情報だとGM肝いりのグローバルEVプラットフォームと独自開発のバッテリー「Ultium(アルティウム)」を搭載します。
最初に発売予定の「エディション1」では0-100キロの加速が3秒以下、航続距離は600キロ以上と言われています(後で述べるサイバートラックは800キロ以上の噂)。
この位の電池容量であればシートヒーターなどを用いれば数日は平気なスペックで、「電気自動車じゃ雪で立ち往生したら凍え死ぬ」と揶揄している人が黙りそうなスペックです。
仮に実現すれば現行のテスラ・モデルSレベルの航続距離に、フェラーリやランボルギーニ級の驚異の加速力のお化けスペックです。
充電も最大350kwの超急速充電にも対応し、100マイル(160キロ)分を10分でチャージできるそうです。
いよいよ充電速度もガソリンスタンドでの給油と大差のないレベルが見えてきています。
旧型のハマーを道路で見かけた時も「追突されたら自分が間違いなく死ぬな(笑)」と思ってましたが、ガソリン車時代のハマーと比べても更に進化しての登場のようです。
また電気自動車化した際のお約束で、先進運転支援機構「スーパークルーズ」の最新バージョンが搭載され、アメリカとカナダの高速道路であれば20万マイル(約32万キロ)の範囲で「手放し運転OK」となるレベルの自動運転機能も搭載されます。
テスラのような、iPadを彷彿とさせる巨大ディスプレイで車に関する全てのことを調整できる仕様になるようです。
例えばエアサスは路面に合わせて最大15センチ車高が変化しますし、「Underbody Armour(ボディ下装甲)」と戦車のような強固なスチールパネルを装着し、どんな悪路でもバッテリーが損傷しないように万全の備えもされているようです。
面白いところだと「カニ歩き」と言われる斜め方向への移動も可能になると言われています。まだ映像が公開されていないのでどのような仕様になるかはわかりませんが、間違いなくあらゆる面で旧型のハマーからグレードアップしています。
つまり旧型のハマーにバッテリーを搭載しただけのような「やっつけ仕事」的な電気自動車ではなく、全く新しい車体をゼロから設計した本気のEVになります。
この流れは他のメーカーでも出ていて、例えば世界最大の自動車販売台数を誇るフォルクスワーゲンでも「e-ゴルフ」というこれまでのゴルフの車体にバッテリーを搭載しただけの電気自動車から「Idシリーズ」では電気自動車専用のプラットフォームに変更するなど、本気で電気自動車を作るという会社の方針が見えます。
先日紹介したヒュンダイの「Ioniqシリーズ」も同様で、世界の自動車メーカーが電気自動車専用のプラットフォームを開発し、生産に入るという「本気モード」に入っています。
ライバルはテスラの「サイバートラック」?
電気自動車化した新型ハマーの最大のライバルは以前からリリースが発表されているテスラのピックアップトラックである「サイバートラック」でしょう。
このデザインで本当に販売するの?と思うところですが、展示されているプロトタイプなどもありますので、これに近い状態で商品化するようです。
スペック面でも先程のハマーと同じように万全の装備で、究極の耐久性と乗員保護を実現するエクステリアシェルを採用しており、貫通するのはほとんど不可能なエクソスケルトンをはじめ、「ウルトラハード 30X コールドロール」 「ステンレススチール構造のスキン」、「テスラ アーマーガラス」まで、さまざまな部品は優れた強度と耐久性を実現するそうです。
「戦車みたい」という意味でもハマーに対抗するピックアップトラックになりそうです。
バッテリーという面では世界のトップを走るテスラに相応しく、航続距離800キロ以上とも言われ、先程のハマー同様に大型車でも長距離走行が可能な電気自動車がもうすぐ実現しそうです。
ここまで来ると後は「バス」や「トラック」で実現するかになりますが、実現する日は近いでしょう。
「アメリカも電気自動車化」=日本だけが孤立するガラパゴスに
GMがハマーの電気自動車を開発しているのは、環境重視の政策を取ることが濃厚なバイデン政権の誕生以前からのことですが、このように車格もトラックやバスに近いような大型車すら電気自動車に転換しようとしています。
このままバッテリー技術が進化すれば、電動かの最大の課題と言われるバスや長距離用のトラックの電気自動車もあと少しのところに来たような印象です。
以前であれば「電気自動車? 俺は燃費なんか気にするほど貧乏じゃねぇ」的に開き直るような層が日本でハマーを好む層の大半でしたが、電気自動車化したハマーを購入するのでしょうか?
昔の話ですが、トヨタが世界で初のハイブリッド車を発売した際にハリウッドのスターなどが購入し(実際に運転したのかは不明)、世界に広まるきっかけとなりましたが、この新型ハマーも世界のセレブが購入すれば富裕層にも電気自動車が一気に広まるきっかけになるかもしれません。
世界がこのように電気自動車化する流れの中でいくら電気自動車にケチをつけて「日本には合わない」とか「日本は独自路線でいい」と意地を張っていると世界のどこの国からも相手にされなくなる、つまり日本人以外誰も日本車を買わなくなる日が来るかもしれません。
そうなってしまってからでは遅いので私のブログでも「世界の流れが電気自動車化しているのに逆らうの?」とエコとは無関係に電気自動車を推しているのです。
既にアメリカでは1万人が新型ハマーを予約していると先ほど言いましたが、果たして10数年前に日本でハマーに乗っていた層が日本市場に投入が決まった際に購入するかはある意味注目です。
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