日産グローバル本社で「アリア」を見てきた話【懸念材料は日産の急速充電器?】
こんばんは、@kojisaitojpです。Perfumeのライブとホテル修行を兼ねて横浜ベイシェラトンホテルアンドタワーズに宿泊したことは昨日記事にしましたが、ライブの翌日に思いつきでこれを見てきました。
11月はフォルクスワーゲン 、12月はトヨタ、1月は日産の本拠地に乗り込むことになるとは(笑) pic.twitter.com/Fb6BMTnLC4
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 13, 2022
思いつきでというと「EVのブログやってるくせに」と言われそうですが、「よく考えたら日産のグローバル本社目の前にあるぞ」と当日になって気づいたのは事実です(笑)。
結果的に以前の記事でも触れたように11月はフォルクスワーゲンのアウトシュタットへ行って「ID.3」「ID.4」を見てきましたし、12月にはお台場のメガウェブに展示されていたトヨタの「bz4X」を始めとする多数のEV(ハリボテ説もありますが)を見てきたことになり、そして1月は日産のグローバル本社へ赴いて「アリア」を見てきたと3ヶ月連続で自動車メーカーの本拠地(かそれに近い場所)へ乗り込んだことになります。
かなり前にワールドプレミアを行ったにもかかわらずなかなかアリアの発売まで進まない日産を批判したことはありますが、それでも期待のEVであることに変わりはありません。
先に結論を言うと「アリアのEVとして、車としてのクオリティは素晴らしい。でも…」というのが私の主張です。
というわけで本日は横浜の日産グローバル本社で「アリア」を見てきた話を中心に、「アリア」から感じる日産への懸念についても解説します。
目次
日産グローバル本社で展示中の「アリア」のクオリティの高さに驚く
さて当日になって急に「よく考えたら横浜ベイシェラトンから日産グローバル本社は目と鼻の先」であることに気づいて行ってみたわけですが、グローバル本社ギャラリーの最も目立つところにアリアが展示されています。
近いうちに(アリア発売後?)ここでアリアの試乗も可能になるようです。
ちなみに私は日産のグローバル本社を訪れるのは初めてです。本社前の多くのEVユーザーが使用したことのある高性能な充電器も初めてみます。
中に入ると中央の目立つところにアリアが堂々と展示されており、その横においてあるアリアは自由に触ったり中に入ったりできます。
実は私がアリアの実物を見るのは初めてですが、ここのところフォルクスワーゲンのIDシリーズやトヨタの「bz4X」、シトロエン「E-C4」、更にはテスラ「モデルY」など立て続けに実物を見ており、しかもこれらがSUVタイプで似ているのもあり、いくつか違いに気づくことができました。
ちなみにアリアの実際のEVとしてのスペックについては以前の記事で取り上げているので今日は取り上げません。こちらをご参照いただければと思います。
「日産・アリア」から感じる「実はEVやる気ない?」という疑念とは?【発売はするものの…】
ヨーロッパ初となる日産アリアの予約がノルウェー市場で開始される発表がありましたが、納車時期が2022年夏以降となるようでテスラやヒョンデ、VWに加えてNIOやXpengなど中国勢も参戦する市場で致命的に不利になる可能性もあります。他にも日本市場でアリアに合う充電器を用意できないなどやる気を疑われる問題が発生してます。
実物を見た最初の感想は「フォルクスワーゲンやトヨタより質が高そう」ということです(テスラは比較する物差しが違うので除外)。
高級車扱いになるアリアを大衆車扱いとなる「ID.4」や「bz4X」と比較するのはナンセンスかもしれませんが、私のような人間が見ても質の違いは一目瞭然です。
個人的にはこの木目調を意識した内装にデザイン性の高さと高級感を感じます。
テスラ辺りが極力物理ボタンを排除するのとは設計思想が違いますが、「従来の車というカテゴリーでアリアを見ると質が高いのがわかる」というのが私の感想です。
また「細かいところに気がつく日本人らしいな」と思ったのはUSB端子のところでUSB TYPE-Cにも対応してるのはさすがというところです(先日のシトロエンにはもちろんありません)。
今日は触れませんがEVとしてのスペックも航続距離が500キロ前後、急速充電も130kWまで対応と、これまでのリーフとは次元の違うEVになっていることは間違いありません。
実は問題山積みの日産「アリア」?
ですがそれゆえに「これだけ立派なものを作ったのに日産が生かせるの?」という疑問も生じました。
「クラブアリアへのご登録はお済みですか?」などと聞かれると「登録してもポエムしか来ないんだろ?」とかつい言いそうになる(笑) pic.twitter.com/EYp8iPM853
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 13, 2022
これは半分お笑いで言ってますが、実はこの「クラブアリア」に登録すると本来なら送られてくるはずの発売時期や急速充電器の話よりこんな話が送られてくるようです。
うるさいな。もうポエム記事はいい加減しつこいよ。
聞きたいのは、残りのグレードの発売時期や価格、または150kW充電器の整備計画だよ。 pic.twitter.com/a4OCvbEAfY
— Brownie (@browniejp) December 17, 2021
このツイートでも言われていますが実は、
- B6LimitedとB6以外のグレードの発売時期が不明
- 130kWの急速充電に対応できる日産ディーラーがない
特にB6以外のグレードの発売日がはっきりしないというのは以前から予約しているユーザーの怒りを招いています。当初の予定であれば既に納車されていて当然だったのにこのままだとかなり遅れて発表されたトヨタ「bz4X」と同時期か下手したら遅れそうな状況です。
もちろん「半導体不足」などの外的な要因はあるでしょうが、日産側から具体的なアナウンスがないことにお怒りのファンは結構います。
そしてアリアを購入することはほぼ考えてない私の目線でも疑問を感じる材料がありました。
「アリア」の隣は「e-Power」なの?
アリアだけに注目して日産グローバル本社の様子を解説してきましたが、ちょっと遠巻きから撮影すると「???」と思うことがいくつか出てきます。
意味わかります? アリアと並んで中央に展示してるのが「オーラ」なんですよね。。。
あれ? e-Powerなの?と思ってしまいます(多くの方はご存知でしょうが、e-Powerはハイブリッド車扱いです)。
アリアの横にリーフが並んでいれば「おぉ、日産も本気でEVやろうとしてるな」と感心したところですが、残念ながらアリアの横がオーラでした。
「いや、リーフはモデル末期だから中央に展示しなくても」と思うかもしれませんが、果たしてそれだけでしょうか?
ちなみにリーフは存在しないわけではありませんが、隅っこにポツンと置かれていました。
もちろんよく知っている車種なので新発見と言っても「アリア同様にUSBがTYPE-Cにも対応してる」という点位ではありますが、隅っこに置かれたリーフを見ると「EV化にどこまで本気なんだろう?」と思うところです。
これが私が昨年行ったフォルクスワーゲンのアウトシュタットの場合は「ID.3」「ID.4」に加えてIonityの急速充電器やフォルクスワーゲンの普通充電器も展示されたおり、EV一色のフロアになっていました。
まぁ日産は以前と違って充電器の自社開発も止めてますのでフォルクスワーゲンとは同列には扱えないとはいえ「どこまで本気なんだろう?」と思ったのは確かです。
などと私が言うと日産リーフなどに乗られているEVユーザーの方も気分を悪くするかもしれませんが、事実は事実なので指摘しておきます。
そして次の項目で触れますが、この「充電器」問題は更に深刻です。
アリアのスペックに合う充電器用意しないと日産もオワコン?
確かにアリアの実車を見ると「さすがは日産、クオリティの高いものを出してきたな」と思うところなのですが、「急速充電器は?」という部分が実は最大の懸念材料です。
予想通り来たか。
VWグループ、国内ディーラー250店に急速充電器: 日本経済新聞 https://t.co/aBKk8cXYm2— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 14, 2022
以前私のブログでも「アウディとフォルクスワーゲンが日本でも共同で充電器設置したら日本メーカーやe-MobilityPowerが窮地に」という話をしましたが、予想通りフォルクスワーゲンとアウディが日本国内でも充電器を共用にする計画を出してきました。
これによりフォルクスワーゲンとアウディのディーラー合計約250店舗に90kW〜150kW級の急速充電器が設置されます。しかも報道によると「フォルクスワーゲンとアウディのユーザー専用」です。
日本法人レベルでも合併した(ドイツでは元から「フォルクスワーゲングループ」で一つの会社)ので当然と言えば当然ですが。
ただし日本法人レベルではまだ別会社のポルシェジャパンはここには含まれないようです。やはり「ポルシェは別格にしてユーザーに差別化」ということでしょうか。
やはりピンチなのは日産か。 https://t.co/gyATb6KtRa
— saito koji@2022はぴあアリーナ→バルセロナへ (@kojisaitojp) January 14, 2022
とはいえこれによって窮地に陥るのは日本メーカーの中でもトヨタではなく日産です。ディーラーの数的にトヨタが全ディーラーにbz4Xの150kW級の充電に堪える急速充電器を設置すれば十分対抗できますが、ディーラーの数で負ける日産の方が不利になると思います。
しかも本来なら「130kWの急速充電に対応」とうたっているアリアが日本国内ではCHAdeMOの制約を受けてせいぜい90kW、遅いと先日取り上げた大黒PAの急速充電器のように「10kW」なんて笑える数字が出てしまうとせっかくのアリアが宝の持ち腐れになるリスクがあります。
ヨーロッパ(またはアメリカ)でしか性能をフルに発揮できないアリアを日本で販売することはユーザーの信頼を損なう行為になります(もちろんそれはトヨタにも当てはめることでbz4Xの性能に合った充電器を設置できなければユーザーの信頼を失います)。
昨日グローバル本社で日産「アリア」の実車を見た感想として「これならテスラにも対抗できる本格的なEVかも」とは思いましたが、充電インフラで負けてしまっては話になりません。
現在であれば150kWを超える急速充電器を設置しているのはテスラのスーパーチャージャーだけですが、ここにフォルクスワーゲンとアウディが加わってくれば既に発売されているアウディ「e-Tron」や今年中に日本市場に投入が予定されているフォルクスワーゲンの「ID.3」や「ID.4」に対し「車のクオリティでは勝ってるのに充電インフラで負ける日産アリア」という可能性が濃厚になります。
もちろんEVの基本は自宅充電ですので自宅に充電環境が用意できる一軒家のユーザーであれば500キロ近い航続距離を誇るアリアを問題なく運用できるでしょうが(長距離移動の際もホテルなどで普通充電できれば問題なし)。
実物を見て思った以上のクオリティだったがゆえに「このEVの性能をフルに生かせない日本=終わってる」と感じるのは私だけでしょうか?
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