2021年8月のヨーロッパのEV化率から感じる「指数関数的上昇」とは?【ネタでMX-30にも注目?】
こんばんは、@kojisaitojpです。月初は世界各国の新車販売状況が統計として上がってくる時期なのですが、なかなか衝撃的な数字が出てきています。
2週間の販売で首位がモデルYか。IONIQ5も上位に来てる。
Tesla Model Y Bestseller In Norway – Plugin EV Share Hits Record High 88% https://t.co/TVb8GVCxnl @cleantechnicaより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) September 2, 2021
ノルウェー市場については今日の本題なので後の項目で解説しますが、テスラ「モデルY」がようやく上陸し(ヨーロッパで最初)、たったの2週間の売り上げで首位に立ってしまうほど爆発的に売れているようです。
OH TESLA !!!
Norway today . . . pic.twitter.com/W8TuhzgutC
— JPR007 (@jpr007) September 6, 2021
9月に入ってからもその勢いは止まることなく納車ラッシュが続いているようですので、本日出す8月の数字を超える驚異的な数字が来月の分析記事では出るかもしれません。
というわけで本日は月初め恒例のヨーロッパ各国の新車販売状況から、現時点でのEV化率について分析します。
目次
2021年8月ノルウェーのEV化率は?
ノルウェーが世界でトップのEV化率を誇ることはもう周知の事実かと多いますが、2021年8月はBEVガ71.9%、PHEVが15.8%で合計のEV化率が87.7%と過去最高のEV化率を記録しています。
反対にディーゼル車は3.2%、ガソリン車は4.6%と合計で経ったの7.8%といよいよ10%を割り込んできました。今年中に内燃機関車(ガソリン・ディーゼル)がほぼ消滅する可能性が高くなっています。
などという事実を指摘しても「ノルウェーは特殊な国だから日本とは違うんだよ!」とEV嫌いの方々が叫びそう(実際にノルウェーの特殊な側面はありますが、それは以前の記事をご参照ください)ですが、そのノルウェーでさえこの10年のEV化率の推移はこんな感じです。
2017年、つまりほんの4年くらい前までせいぜい20%位でした。これはこの後数字を挙げますが現在のドイツやイギリス、フランスなどのヨーロッパの主要国の現在の数字です。
ということはここから5年もすればドイツやフランス、イギリスなどでもこの位のEV化率になっていても何もおかしくはないということです。これが「指数関数的上昇」です。
そしてノルウェーが特徴的なのは、このEV化率なのもあり世界各国のメーカーが真っ先にEVを投入する市場だという点です。
テスラ「モデルY」がたった2週間の販売だけでランキングトップに躍り出たのは先日の記事でも解説しましたが、他にも以前も解説したようにフォード「マスタング・マックE」はノルウェーで安定した人気をキープしていますし、ヒュンダイ(ヒョンデ)の新しいEVである「IONIQ5」も早速トップ5に入っています。
また最新のEVがどんどん上陸するノルウェーでも日産「リーフ」が安定して上位に入っているのは相変わらずで、「早くアリアを出せばここに食い込めるのに」と発売遅延が残念である点は先日も述べた通りです。
「日産・アリア」から感じる「実はEVやる気ない?」という疑念とは?【発売はするものの…】
ヨーロッパ初となる日産アリアの予約がノルウェー市場で開始される発表がありましたが、納車時期が2022年夏以降となるようでテスラやヒョンデ、VWに加えてNIOやXpengなど中国勢も参戦する市場で致命的に不利になる可能性もあります。他にも日本市場でアリアに合う充電器を用意できないなどやる気を疑われる問題が発生してます。
他にもランキングには入ってませんが中国メーカーのNIOやXpeng、BYDなどもノルウェー市場への輸出を始めており、特にNIOは先日も取り上げましたが付帯サービスである「NIOハウス」や今やNIO以外の会社が諦めたバッテリー交換ステーションもノルウェーに構える予定で本気のヨーロッパ進出です。
今後はこのような中国メーカーがランキングに絡んでくるのかも注目です。
2021年8月フランスのEV化率は?
先月(2021年7月)の統計では今年に入って右肩上がりだったEV化率が若干下がったのもありアンチEVの方々からは「フランス人はEVの欠陥に気づき始めた」とはしゃぐ向きも見られたのですが、翌月である8月に倍返しを食らっています(笑)。
2021年8月のフランスではBEVが11.3%、PHEVが8.5%で合計のEV化率が19.8%と2021年8月の10.5%からほぼ2倍です。
反対に内燃機関車(ガソリン車・ディーゼル車)の比率は55.9%でこの数字は過去最低です。
先月若干下がった統計を見て「フランス人はEVの欠点がわかってきたからPHEVの方が売れてるんだ」とヤフコメなどで叫んでる方々がいましたが1ヶ月で再度BEVとの比率が逆転しました。
ちなみに若干比率が下がった7月の統計はフランスにおけるEVへの補助金の変化(実質減額)の影響だったと言われていますが、1ヶ月で盛り返してきました。もはやEVを買う買わないに補助金の影響力はそれほどないようです。
車種別の統計では8月にもかかわらずテスラ・モデル3が独走で1位と、これは先日の記事でも指摘しましたが中国・上海工場で生産したテスラ車が中国国内での販売ではなく輸出に振り向けられた結果(7月に輸出して8月にヨーロッパ到着で時間的にも整合性がある)です。
他にはコンパクトカーの好きなフランスらしく、ルノー「ZOE」やプジョー「e-208」、フィアット500eなどが上位にランクインしています。
2021年8月のイギリスのEV化率は?
イギリスではBEVが10.9%、PHEVが7.4%で合計のEV化率が18.3%で、2020年8月の9.76%から2倍です。
早い段階からノルウェーに次いで「2030年から内燃機関車の販売禁止(ハイブリッド車は2035年から禁止)」という厳しい規制を打ち出しているのもあり、順調にEV化率が伸びています。
ちなみにガソリン車とディーゼル車を合わせた比率が50.75%というのは過去最低の比率のようです。
車種別の売り上げについては詳細な数字がまだ公表されておらず、メーカー別の数字のみになりますが、フォルクスワーゲンがシェア15.4%でダントツのトップ、これに続くのが起亜、アウディ、テスラ、ヒュンダイ(ヒョンデ)となっています。
「同じものが日本市場に入ってくるのでは?」と思われる右ハンドル仕様のヒュンダイ(ヒョンデ)「IONIQ5」も既にイギリスに上陸しているようで、どの位売り上げを伸ばしてくるのかが気になるところです。
「イギリス市場の売り上げ=右ハンドル」ということを考えると「イギリスで売れた→次は日本にも投入してみよう」という流れになるのはこれまでのガソリン車でも普通にあったことなので要注目です。
2021年8月のドイツのEV化率は?
ドイツではBEVが14.9%、PHEVが12.7%で合計のEV化率が27.6%と過去最高の数字を叩き出しています。
ここもフランス同様に先月若干EV化率が下がった際にアンチEVの方々が「ドイツ人はEVの限界に気づき始めた」とヤフコメなどではしゃいでいたのですが、1ヶ月で倍返しです(笑)。
反対にガソリン車・ディーゼル車を合わせた内燃機関車の比率が53.2%なのは過去最低の数字です。
「それでもまだ半分はガソリン車(ディーゼル車)じゃねぇか!」といきり立つ方はいると思うのですが、「指数関数的上昇」という言葉を学習すべきだというのは先ほどのノルウェーと一緒です。
ドイツでは車種別の売り上げがまだ出ていませんが、ドイツに上陸したテスラ・モデル3の台数などから予想すると「テスラ・モデル3」「フォルクスワーゲン・ID.3」「フォルクスワーゲン・e-UP!」などが上位に入っているのが濃厚のようです。
うまくいけば来月にもEV化率が30%を突破し、本格的な上昇カーブに入りそうな気配です。
番外編は2021年8月のスウェーデンのEV化率
最後は半分ネタなのですがスウェーデンを取り上げます。
BEVが24.1%、PHEVが22.9%で合計のEV化率が47.1%で、元々PHEVに注力していたボルボの本国なのもありPHEVの方が比率が高かったスウェーデンでもいよいよBEVの比率が逆転し、合計のEV化率では50%が見えてきました。
ちなみに前年同月は29.0%ですので、この一年でどれほどEV化が進んでいるのかは一目瞭然です。
EVの補助金のルールが変わり、以前よりお得感がなくなったスウェーデンでも勢いが止まりません。
そして何より衝撃(?)なのは車種別のランキングです。
なんと私もブログやTwitterで散々ネタとしてこき下ろしていたマツダ「MX-30」が156台でランキング9位です。
しかも引用元の「CleanTechnica」でもはっきり言われていますが「ノルウェーと違いスウェーデンにはまだごくわずかしか到着してない」テスラ・モデルYの152台を超えています。
まぁおそらくテスラ・モデルYに勝つのはこれが最初で最後のバグみたいなものでしょうけど(笑)。
ちなみに日本での最新の売り上げはこの有り様です。
HONDA Honda e:53台
MAZDA MX-30 EV:3台
NISSAN リーフ :1282台
TOYOTA UX300e :56台
輸入車 :761台
TESLA :526台(JAIA Other)https://t.co/TgKniTJ5WZ— mania3bb (@mania3bb2007) September 7, 2021
先月(7月)は8台だったのですが、8月は3台と来月の発表ではいよいよゼロが見えてきています(笑)。
まぁここまで酷いのはメーカーに売る気がないという証拠でしょうが、反対にマツダの根強いファンがいるヨーロッパでは性能に難があってどう見ても欠陥EVのMX-30でさえテキトーに売れるわけで「せっかくヨーロッパで欲しい人がいるならもう少しEVを頑張ってみれば」と思うところですが。。。
にもかかわらずEV化真っ只中で日本メーカーはこの有り様です。
>ダイムラーのオラ・ケレニウス社長は、「EVファーストからEVオンリーへと、取り組みを加速している」と述べた
>日本の大手メーカーは出展を見送った。コロナ禍の影響で(略)、宣伝効果が費用に見合わないと判断したとみられる。この差が情けないhttps://t.co/92vOO2fRhh
— おじさん (@ojisan4648) September 6, 2021
ドイツ・ミュンヘンで開催されるモーターショーに日本メーカーは不参加だそうです。
今日は取り上げませんが、このモーターショーでフォルクスワーゲンやメルセデス、ルノーなどヨーロッパ各社が新しいEVの発表を行なっており、今後のEV化の流れが加速することが改めて証明される展開になっていますが、そこに日本メーカーは参加しない(理由は表向きは「コロナ」ということにしてますが)のではますまず存在感がなくなるだけだと思うのは私だけでしょうか?
別にFCV(水素燃料電池車)でも水素エンジンでも本格展開したいなら公開すればいいと思うのですが、国内では「EV化は間違っている」と叫んでいても海外では行動に移さないようです。
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