ピックアップトラックもスーパーカーもEV化する世界と逆走する日本【アメリカ・イタリアと比較】
おはようございます、@kojisaitojpです。この前取り上げたフォードの「F-150 Lightening」ですが、予約受付開始からの勢いが違います。
48時間で44500台の予約。やっぱりこういう車がEV化すると勢いが違う。
Ford F-150 Lightning Reservations Exceed 44,500 Within 48 Hours https://t.co/DE5vxe5cw2 @insideevs.comより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 22, 2021
48時間で既に44500台の予約と初年度の生産予定の5万台がもう埋まってしまう勢いです。
アメリカで40年以上売り上げ台数で1位に君臨し、近年でも毎年コンスタントに90万台〜100万台の売り上げ台数を誇る「絶対王者」がEV化した衝撃はそれだけのものだということです。
(一応言っておきますが、アメリカでは売り上げ台数的に圧倒的に「ピックアップ>セダンやミニバン」です。日本とは価値基準が違います)
年間の生産台数的制約から5万台で止まりそうですが、「F-150」の5%が一瞬にしてEVになってしまうところからアメリカのEV化が始まるようです。
先日も述べたバイデン政権の全面的な後押しもあり、少し前まで日本に近いくらい「電気自動車後進国」だったアメリカが一気にヨーロッパや中国を追いかける展開が予想されます。
と今日は少し前まではEV化後進国と思われていた「アメリカ」に最初に触れることになりましたが、他にも遅れていると見なされている「イタリア」「日本」のそれぞれの変化について解説します。
目次
「フィアット500e」がEV化へのきっかけとなったのがイタリア?
ヨーロッパが電気自動車に関しては最先端で突っ走っているというのは私のブログでも、他のEVをメインに取り扱うブロガーやYouTuberでも「常識」のようになっています。
EVが嫌いな方々からすると「ノルウェー」とか「イギリス」とか「フォルクスワーゲン」という単語は音を聞くだけでイライラするようになってるかもしれません(笑)。
そんな中でヨーロッパの中で以前よりは没落しているものの依然として所得で上位に入るイタリアだけはEV化の流れが遅れていました。
その流れに変化が見られるようになりました。
2021年4月(四半期末の翌月なので自動車が一番売れない月)の新車販売に占めるBEVの割合が3.3%で、これが前年同月比で何と10倍です。
PHEVの方が全体のうち4.6%ですので合計で7.9%になります。
先日「ノルウェー」だけでなく「ドイツ」や「フランス」などのEV化状況も紹介しましたが、イタリアもこれらのEV化で先行している国に急速に追いついて来ました。
イタリアが前年同月比で10倍以上にEVの販売台数を伸ばしてきたきっかけは「フィアット500e」の発売です。
このようにイタリア国内で売れているEVの中ではぶっちぎりの1位です。他にもイタリア車ではありませんが「Smart For Two」も入っておりコンパクトカーが好まれるイタリアらしいランキングです。
この数字から考えられることは「やはり自国のメーカーが売れ筋の車種をEV化すると急激に伸びるのかな?」ということです。「フィアット500」はイタリアの国民車と言ってもいいほどの歴史を誇る車です。
それがEV化したことで国内のEVそのものの販売台数が一気に伸びるということですが、これと同じことが冒頭で紹介したアメリカではフォードの「F-150 Lightening」で起きるかもしれません。
と推測すると現時点では日本と大差のないEV化率だったアメリカが来年の今頃にはいきなり10%近くまで上昇していても不思議ではないことになります。
自国のメーカー、それも国内でトップクラスの売り上げを誇る車種がEV化することで一気に流れが変わるということです。
ちなみにイタリアの話とは直接関係ありませんが、今でも「日産リーフ」がランキングに入っているのは本当に驚異です。同じことがノルウェーでもフランスでも起きていましたが、それだけヨーロッパで「LEAF」「NISSAN」がブランドになっている証拠でしょう。
となると先日日本では期待できないことを言ってしまいましたが、ヨーロッパ市場で「アリア」がどのくらい売れるのかは注目です。
ランボルギーニも全車EV化するというあり得ない展開
「フィアット500e」のようにイタリア全体のEV化の流れには影響を与えるとは思えませんが、イタリアのこの会社がEV化を表明するのも驚きです。
2023年からまずハイブリッド車を投入し、2024年末までにハイブリッド車も含めた意味での「電動化(electrified)」を達成するのが第一段階です(二酸化炭素削減量は50%)。
次の段階からが本格的なEV化で、2025年から2030年の間に先程のハイブリッド車を順次BEVに置き換えていき、2030年以降は全車EVにするという素早いEV化計画です。
「あのランボルギーニが?」と思うかもしれませんが、昨日の記事で「テスラ・ロードスター」を紹介したようにもはやEVがガソリン車のスーパーカーをスペック面で超えて来ているのが現実ですので、あえてガソリン車を残す必要がないと決断したのかもしれません。
また知らない人が案外多いのも驚きですが、先日取り上げたチェコの「シュコダ」もそうですし、このランボルギーニやベントレー、ブガッティなどの高級車ブランドも「フォルクスワーゲングループ」の一員です。アウディ・ポルシェはもう言うまでもないですけど。
「ID.3なんて全く売れてない」と昨年末の発売直後の数字を取り上げてフォルクスワーゲンを叩くことに必死になっている自動車ジャーナリストがいるようですが、フォルクスワーゲン以外のグループ会社も見た方がよろしいかと思います(笑)。
ちなみに余計なお世話ですが「ID.3」は売れてます。
これはドイツの「1月〜4月」の売り上げランキングと4月単独の売り上げランキングですが、どちらを見てもID.3が2位です。これでも「いや、実はディーラ〜が登録しただけで一般には売れてない」と言い張るようならいい加減誹謗中傷で訴えられますよと言ってあげたくなります。
確かに「e-UP!」やヒュンダイの「KONA EV」のように従来の内燃機関車をEV化したものが上位に入っているのは事実ですが、それをもって「EVなんて全然普及していない」とよく言えるなというのが私の個人的見解です。
EV化へ変化の見えるアメリカ・イタリアに対し相変わらずの日本
とアメリカやイタリアの話をしつつ最後が日本の話に脱線してしまいましたが、依然として変化の兆候すら見られないのが日本の残念な現実です。
相変わらずの「EVはエコではない」という主張を繰り返しています。「脱炭素にも多様性が必要」といつも言っていますがなぜかその「多様性」の中にBEVだけは仲間外れにしようという態度もいつもと一緒です。
このようにEVを否定する姿勢をトヨタ単独ではなく(それは別に勝手にやればいい話)日本自動車連合会という自動車業界の代表として言ってしまうのに対し、元からEVを世界中で売っている日産や2040年以降全車EV化の方針を先日表明したホンダなどはどう思うでしょうか?
この方がトヨタの経営方針として言うのなら私も批判する気はないのですが、日本の自動車業界の総意のような言い方をされると「勝手に自社の方針を業界全体の方針にしないでよ」と思ってしまいます。
本日取り上げたアメリカやイタリアの状況と比較して、ついこの間までは日本と同じくらいのEV化状況だった国がかなり先に行ってしまった印象です。
まぁとは言うものの「とりあえずはプリウスPHVのようにPHEVでもいいから電気で走ることを日本人一人一人が体験すべき」というのが私の持論ですので、いきなりBEVへ行くのがどうしても抵抗があるのであればプリウスPHV辺りを購入してみて「電気だけで何十キロも走れる」という状態を体験すればよいと思います。
一度「電気だけで走れる」ことや「自宅のコンセントで充電できる(時間かかりますが100Vでも可能)」ことを体験してしまうともうガソリンスタンドへ行くというこれまで当たり前だった行動をすることが徐々に嫌になってきますので。
「二酸化炭素の排出量ガー」と言っている人もそんな大きな話しなくてもいいので、身近な「ガソリン代かからなくなるよ」と自らの財布が楽になる状態を体験してみると考えが変わるかもしれません。
別に「エコだからEVを買う」などと言う必要はありません。「自分の財布が楽になるからEVを買う」でも十分正当な理由ですので。
「ガソリン代の数分の1の電気代で済む上に整備もほとんど必要のないEV」を選ぶか、「高いガソリン代と車検ごとに何十万という整備費用がかかるガソリン車」を選ぶかは(少なくとも2035年までは自由です)自分次第なのですが、私なら自分の財布が楽になる方を迷わず選びます。
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