2022年2月ヨーロッパ主要国のEV化率は?【今回は中国を含む世界バージョンも】

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こんばんは、@kojisaitojpです。毎月恒例ですが、このような統計が出てくるタイミングです。

毎月月初めには前月のヨーロッパでのEV化率や車種別ランキングについて取り上げていますが、今月もそのタイミングが来ました。

冒頭に引用したので既にお分かりでしょうが、想像を超えるくらい「ヒョンデ・起亜」がヨーロッパのどこの国でも強いです。

ですがもう少し視野を広げるとヨーロッパで勢力を拡大する「ヒョンデ・起亜」が全く歯が立たない市場もあります。

それが中国市場です。

この辺りにも触れたいので今日は毎月恒例のヨーロッパ主要国のEV化率に加えて、世界全体でEVがどの位売れているかについても触れたいと思います。

テスラ・VW以外はランク外・中国勢独占の世界EV販売ランキング

2022年1月世界のEVランキング

具体的なヨーロッパ諸国を見る前にまずは世界全体でのEVの売上について取り上げてみます。

世界全体の統計は1ヶ月遅れで2022年1月のものですが上位に「BYD」「テスラ」「SGMW」と並んでいます。

BYDについては私も何度も触れてますし、さすがに名前を知らない人はいないと思いますが、SGMWというのは「どこのメーカー?」と思うかもしれません。

ですが正式名称が上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling Automobile=SGMW)と書けばもう何者かお分かりですよね。

宏光MiniEV@名古屋大学

私のブログでも過去に何度も取り上げている「宏光MiniEV」を販売する上汽通用五菱汽車だと言われれば中国一国の売上台数でも世界ランキングの上位に入るのわかりますよね。

2022年1月世界のEVランキング

実際に2022年1月も売上台数が26682台と、中国一国だけの売上台数で世界全体に販売しているテスラ「モデルY」に肉薄する数字を叩き出すのですから驚異です。

よく「EVシフトはヨーロッパだけの話だ」などと強がりを言うアンチEVの方々がいますが、売上台数で見ると最もEVが売れているのは中国市場です。

2021年世界のメーカー別EVランキング

こちらは日経新聞の記事から拝借した2021年の世界全体でのEV販売台数ランキングですが、テスラやフォルクスワーゲン、「ルノー・日産・三菱連合」「ヒョンデ・起亜」などの常連に混じってBYDや上海汽車、長城汽車などの中国勢が混じっています。

長城汽車「Ora Cat」

長城汽車は「GreatWallMotors」が英語表記で、「Cat」の名前がつくEVを出してるメーカーと言えば正体がわかりますよね。

このように世界全体では中国勢を見逃せないことに触れた上で、次の項からはヨーロッパ主要国のEV化状況を紹介します。

2022年2月のノルウェーのEV化率は?

2022年2月ノルウェーのEV化率
まずは世界最高のEV化率を誇るノルウェーから行きます。

ここのEV化率が高いのはもう常識ですが、2022年12月もBEVが75.6%、PHEVが10.5%で合計のEV化率が86.1%と前月の90.5%からは少し下がっていますが、ほぼBEV一色である事実は変わりありません。

少し下がった原因は?と考えると真っ先に思いつくのが「テスラの納車がない月か?」なのですが、車種別の売上はこんな感じです。

2022年2月ノルウェーのEVランキング

ノルウェーで売上1位2位に入るテスラ「モデルY」「モデル3」の納車がない月なのもあり、首位に立ったのは何とヒョンデ(ヒュンダイ)「IONIQ5」が来ました。

ハイアット銀座とIONIQ5

「IONIQ5」のEVとしての性能については私のブログでも何度も取り上げていますし、最近開設したYouTubeチャンネルでも多くの動画を用意して語ってますのでぜひご参照いただければと思います。

ノルウェーは世界で最も早く「2025年からエンジン車(ハイブリッドやPHEVも含む)の新車販売を禁止」が決まっており、もはやガソリン車・ディーゼル車を買う人が少数派です。

二子玉川で展示のBMW「iX」

ノルウェーのランキングは「IONIQ5」以外に上位に入っているのがBMW「iX」やアウディ「Q4 e-tron」、隣国スウェーデンのPolestar社の「Polestar2」など他の国では上位に入らない多彩な車種がランクインするのが特徴です。

日産グローバル本社のリーフ

他にも既に古株となっている日産「リーフ」も相変わらず8位にランクインしていたりと、古いEVから新しいEVまで多種多様です。

2022年2月イギリスのEV化率は?

2022年2月イギリスのEV化率

次はイギリスですが、BEVが17.7%、PHEVが7.9%で合計が25.6%、先月の20.8%から大幅に増えています。PHEVが先月も7.9%だったのでBEVのみの増加です。

先月はテスラの納車がなかったのもあり少しBEVの割合が落ちましたが、2月は再びテスラが納車したのもあり増えています。

2022年2月イギリスのEVランキング(メーカー)

統計上はメーカー別のものしか発表されてなく個別の車種は不明ですが、テスラがぶっちぎりの首位に返り咲いたのとテスラが不在の1月に首位争いをしたヒョンデ・起亜がテスラに続いています。

テスラは通常であれば2月もお休みで3月に集中させる納車パターンでしたが、今回は「モデルY」が投入されたことによりぶっちぎりの首位に立てたようです。

「イギリスにモデルY?」となると当然「同じ右ハンドルの日本にも」という期待が高まってきて、先日の記事で触れたように「日本でモデルYが型式申請」という事実もあるので「早く日本に来い」と言いたくなるところですが、まだテスラからの発表はありません。

テスラ以外では以前から指摘してるように「起亜・NiroEVをロンドンでやたらと見かける」と指摘した通りヒョンデ・起亜が強いイギリス市場です。

2022年2月フランスのEV化率は?

2022年2月フランスのEV化率
次はフランスです。

2022年2月のフランスではBEVが11.7%、PHEVが8.4%の合計20.1%で、BEVが9.9.6%、PHEVが7.7%で合計が17.6%と少し停滞した1月の数字から元に戻っています。

そしてここにもテスラの影響が見られ、これまでであれば納車がなかった2月に「モデル3」が納車されていることからもそれはわかります。

2022年2月フランスのEVランキング

先日の記事でフィアット「500e」を取り上げながら、「コンパクトカーEVがフランスでは強い」ことに触れましたが、このランキングを見てもお分かりのようにテスラの「モデル3」「モデルY」だけは例外で割り込んでくる強さです。

フィアットはイタリアのメーカーですが、ラインナップに並べるEVが「500e」とミニバンの「E-Ulysse」です。

なぜか日本メーカーより先に日本人が最も欲しがるコンパクトカーとミニバンを並べたのがフィアットという事実を見ると「日本メーカーは何をやってるの?」といつもの愚痴が出てしまいます。

2022年2月のドイツのEV化率は?

2022年2月ドイツのEV化率

そして最後はヨーロッパトップの販売台数を誇る自動車大国であり、私も昨年フォルクスワーゲンの「アウトシュタット」を訪れた際にも触れたドイツです。

1月はBEVが11.3%、PHEVが10.3%で合計21.6%と少し下がりましたが、2月はBEVが14.1%、PHEVが10.8%で合計が24.9%と昨年の水準に1ヶ月で戻りました。

その最大の原因はテスラです。

2022年2月ドイツのEVランキング

「モデル3」「モデルY」の販売台数がぶっちぎりで上位なのが一目瞭然です。

いよいよテスラのギガベルリンもオープンができるようで、今後この数字は更に伸びていくことは間違い無いでしょう。

3/22に最初の納車イベントをやるようで、今度はギガベルリンからヨーロッパ中に現在の「モデル3」「モデルY」より安くなって(現在は上海から輸送する分だけコストがかかる)販売されます。

現在でもヨーロッパ各国のEV化率の上下に大きな影響を与えるテスラがヨーロッパで常時納車できるようになったらどうなるのでしょうか?

他には先月のヨーロッパ各国のEV化状況に触れた記事同様に、ドイツでもヒョンデの「IONIQ5」や「KonaEV」がランクインしています。

以前だとヒョンデや起亜には付け入る隙がなかったドイツでも売上台数を伸ばしていることがわかります。

テスラ・ヒョンデに加えてフォルクスワーゲン・アウディ・メルセデス・BMWなどのドイツ勢もEV化競争に加わるわけですから、EV化率が右肩上がりに増えるのも当然です。

個人的にはロシア・ウクライナの紛争が「化石燃料への依存を止めよう」という方向に加速度をつける出来事になるのでは?と予想してます。

ロシア・ウクライナの紛争がEVシフト・再エネシフトを推進する?

再生可能エネルギー
2月はロシアがウクライナに侵略し、紛争が始まってしまいましたが、日本ではなぜか「これで再エネもEVも終わりだな」のような言い方をする人が多いのが謎です。

ドイツを筆頭にヨーロッパの多くの国はこれまでロシアからの天然ガスや原油に依存するエネルギー政策でしたが、ロシアに依存することのリスクを認識したのが今回の紛争なのではないでしょうか?

となると普通に考えると「これからはロシアに依存しないエネルギー政策を推進しよう」という方向に行くことが当然なわけで、必然的にこれまで以上に再エネシフトが進むはずです。

再エネシフトが進むということは「余剰電力(昼間に過剰に発言してしなう太陽光がわかりやすい例)を蓄える蓄電池やEVに充電」が必要になってきます。

「脱ロシア依存」が進めば進むほど再エネとEVへのシフトが進むのは必然です。

本日取り上げた2022年2月のEV化率だとこれまでと同程度の水準でしか推移してませんが、今後紛争の長期化やロシアへの経済制裁などが強化されれば「化石燃料に頼れない」という意識がヨーロッパ諸国で広がってますますEV化率が向上していくのでは?と私は予想しています。

片や平和ボケ(?)してる日本では今になっても「EVが普及するか?」などというヨーロッパや中国などではとっくに結論が出ている話をいつまでも続けている残念な状況です。

仮に日本がロシア並に天然資源のある産油国なら「EVなんか不要だ」という意見が出てくるのも理解できますが、原油・天然ガスなどの燃料をほぼ100%輸入してる国がEVシフト・再エネシフトに抵抗するのが正直意味不明です。

エネルギも食糧も輸入に依存、収入もインバウンドが帰ってくるの待ちで海外に依存という国でいいの?」というのが私の問題意識の根底にあり、その一つの例としてEVと再エネを取り上げているということをご理解いただければと思います。

などと言っても「口だけで何も日本の役に立ってないぞ」などという意地の悪い野次が飛んでくるでしょうが、自分としてもコミットする方策は考えてます。

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