「EV化は間違い」と世界の流れに逆行する日本の自動車業界はオワコン?【家電・スマホと同じく衰退?】
こんばんは、@kojisaitojpです。この「会社」と言うべきか「業界」と言うべきか悩ましいところですが、いずれにせよ「オワコン」であることが明らかになってしまいました。
世界EVデーに反EVを展開する自工会と豊田章男氏。
✅HVを含むガラパゴスな電動化率を自慢
✅理論的に脱炭酸が困難な内燃機関に固執
✅世界のほとんどの国で採用される内燃機関の規制を欧州限定と誤解
✅EVや蓄電の低コスト化、DRを無視した再エネコスト試算https://t.co/QLNWG1E4z5— 🌸八重 さくら🌸 (@yaesakura2019) September 9, 2021
「会社」なのか「業界」なのか悩ましいのはこの方の発言が自工会会長としてのものですので、自動車業界全体の利害を代表するものと捉えれば「日本の自動車業界」全体がおしまい、自らが社長を務めるトヨタ社長としての発言であればトヨタという会社自体が「オワコン」ということになります。
この方の場合自動車業界全体の代表として意見を述べているように見えて実はこっそり自社の利害を反映させていることがあるので判断がつきかねるところですが、いずれにせよ終わってます。
それも9/9の「世界EVデー」にぶつけて「EV化は間違いである」などと言ってしまったわけですから、いずれ世界のメディアから強烈に批判されることになると思います。
などというと烈火の如く怒り出して私のTwitterなどで罵ってくる人が必ず現れるかと思いますが、発言内容があまりにも世界の流れからかけ離れていて「これが日本の自動車業界の総意だったら日本の自動車業界終わるよ」という話を(過去にも何度も書いていますけど)今日も再度解説したいと思います。
目次
「EV化は間違い」と言うとEVの欠点を克服するトヨタの技術すら否定することになる?
EVを持ち上げる記事を書くと「お前はトヨタが嫌いだから言ってるんだろ!」のように罵倒されることが多いのですが、EV化に消極的であることを批判しているだけで会社そのものが嫌いということはありません。
私のブログでは何度も言っていることですが「EV化に消極的だと内燃機関(エンジン)が禁止されるとハイブリッドOKの日本以外で売る市場なくなるよ」ということが言いたいだけです。
「HVの方がエコ」と言ってくるアンチを1発で黙らせる資料を、他でもないトヨタが提供してくれましたね🤣
「EVはHVより3倍エコ」w pic.twitter.com/WF9fHtaXxR— Brownie (@browniejp) September 11, 2021
「再生可能エネルギーがこれから普及する地域」には日本も当然含まれているでしょうが、現時点の電力が再エネ中心に切り替わっていない国でも「HV(ハイブリッド)3台=BEV1台」の二酸化炭素削減効果があるとトヨタ自らが認めてしまっています。
同じ二酸化炭素の量を減らすのにハイブリッドだと3台生産する必要があるのがBEVだと1台で済んでしまうということです。
トヨタという会社の発表でこの数字が出ていても「EV化は間違いである」と言ってしまうのですから私から見えれば「支離滅裂な思考・発言」に見えてしまいます。
それに加えて「全部をEVにしようとする一部の政治家」のような言い方をしていますが、現時点で日本の政治家で全てをEVにしようという政策を打ち出している政治家を見たことがありませんが。。。
過度な被害妄想を持つようになっているのであれば冗談抜きで一度精神科を受診することをお勧めしますと言ってしまいたくなるところです。
などというと「会長に失礼だろ!」という批判が殺到するのですが、言っていることが支離滅裂だという事実は事実です。
また「航続距離」にケチがつけられがちなEVの欠点もトヨタ系列で克服する動きが出ています。
低温でも使える車載ヒートポンプは、デンソー&豊田自動織機が2017年に開発してます。https://t.co/vkgMisqpeN
”EVは低温で凍え死ぬ”等とおっしゃる方々は、日本企業の商機を、みすみす潰そうとしておられるものと存じます。— Keiichiro SAKURAI (@kei_sakurai) September 10, 2021
EVに対する定番の批判として「寒い冬は航続距離が短くなって使えない」というものですが、これは「暖房に排熱を利用するエンジン車と違いEVは電力を食う=航続距離が短くなる」という理由から来るものですが、これをトヨタ系列のデンソーと豊田自動織機が開発するヒートポンプが克服しているという話です。
ちなみに同じようによく言われる「大雪で立ち往生したら凍死する」などの批判は全く的外れ、むしろエンジン車の方が一酸化炭素中毒の危険があって危ないということは以前解説しましたのでご参照いただければと思います。
電気自動車(BEV)は本当に寒さに弱いのか?【寒さ対策あり】
雪で身動きが取れなくなるような災害が起きると「電気自動車じゃ凍え死ぬ」ような批判を持ち出してくる人がいますが、実は電気自動車でも長い時間暖まりながら耐えることは可能です。世界で最も電気自動車化が進んでいるノルウェーは日本より北にあり、北海道・東北のような気候でも電気自動車化に成功してるという事実を忘れてはいけません。
EVに対して浴びせられる批判のほとんどを既に技術革新によって乗り越えているという事実を見ないでEVを批判する人が多いのには本当に呆れてしまいます。
ヨーロッパだけでなく「中国」「アメリカ」もEV化へ
ヨーロッパがかなり強硬なEV化政策を導入し、ハイブリッド車やPHEV車まで排除の方針であることは認知されてきましたが、ここしか見えていないと「所詮ヨーロッパだけの規制だ」「元々日本車はヨーロッパで売れないから合わせる必要なし」のような言い方をTwitterやヤフコメなどで毎日のように見かけます。
ですが現実はヨーロッパと同等以上の巨大マーケットである「中国」も「北米(アメリカ・カナダ)」もヨーロッパに近い規制を導入する予定です。
まず中国の規制ですが、中国が「新エネルギー車」としてBEV、FCV、PHEVを入れて、それに準ずる「低燃費車」というガソリン車・ディーゼル車とは別カテゴリーにハイブリッド車を入れてます。
実はこの規制は先程のトヨタが発表した資料に近いものを感じます。
中国の規制については以前解説した記事がありますのでこちらをご覧ください。
「世界がEV化」の「世界」にはヨーロッパ・中国・アメリカ全部含まれる?【ノルウェーだけじゃない】
EV化というとノルウェーなどのヨーロッパがまず連想されますが、気がつけば中国もアメリカもEVが有利な制度に変更されたり、政府がEV化へシフトするための大型のインフラ投資をするなどのバックアップ体制も整ってきました。今回はEV化最先端のヨーロッパの状況に加えて、最近のアメリカや中国のEVへの動向も合わせて紹介します。
詳細は上記の記事で詳しく解説していますが、通常の伝統能源車(ガソリン車、ディーゼル車)の生産では1台ごとに「マイナス1」というペナルティクレジットが与えられますが、低燃費車(ハイブリッド)だとこれが0.5倍、つまり0.5台=2分の2台分のペナルティとして計算されます。
ペナルティが半分になるというだけでペナルティの対象であること変わりません。これがBEV、FCV、PHEVであればペナルティがゼロなのですから中国が国としてどっちを重視しているのかは一目瞭然です。
ヨーロッパのように明確に「ハイブリッドは禁止」と言ってないので一見認めているようにも見えますが、中国政府も決して推奨してはいないという事実に1日も早く気づくべきだと思うのは私だけでしょうか?
次は「北米」ですがカナダについては明確に「2035年以降内燃機関車(エンジン車)の販売禁止」を法制化しています。
カナダ、2035年までにゼロエミッション車の販売を義務付け(カナダ) | ビジネス短信
アメリカではバイデン政権誕生以来「EV化」を政策の根幹に据えていることは何度も解説しましたが、州レベルでも具体的な動きが出てきました。
ニューヨークでもガソリン車販売禁止の流れに https://t.co/n13w5yK0KT
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) September 9, 2021
このほかヨーロッパでは2035年までの化石燃料を使う乗用車の販売禁止規制をECが提案、加盟国の調整が続いている。この世界地図は、今年6月時点でのガソリン車販売禁止に関する世界の動き。ヨーロッパと北米の一部は2035年前後に新車販売をEVに転換する見込み。https://t.co/5iJdQ7LYPo pic.twitter.com/AVUDIapgpA
— Kenji Shiraishi (@Knjshiraishi) September 10, 2021
これまで州レベルで規制を導入しているのはカリフォルニア州だけでしたが(2035年からゼロエミッション車のみ)、これにニューヨーク州が続くことを表明しました。
こうなるとニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなどアメリカを代表する巨大都市で軒並みゼロエミッション車(EVかFCVのみ)しか販売できなくなる影響はとてつもなく大きいです。
もちろん一軒家が中心のアメリカでも例えばニューヨーク市などは集合住宅も多く、「自宅で充電」というわけにはいかないので州政府もケア策を考えています。
ニューヨーク市、2030年までに4万の普通充電器と6千の急速充電器を整備。
市営駐車場の駐車枠の40%に加えて街灯などの既存インフラも活用し、路上でも充電が可能になるそうです🧐
New York City Plans Major Expansion Of EV Charging Stations – https://t.co/OrYVZyo3E9
— 🌸八重 さくら🌸 (@yaesakura2019) September 11, 2021
「集合住宅だとEVが充電できない」という不満は日本でもよく言われることですが、政府や自治体が主体的に充電器を設置すればできないことはないということです。
日本の家電・スマホ同様に自動車業界もオワコンへ?
以前であれば私のように日本メーカーに批判的な記事が多い人間でさえ「日本メーカーの奮起を期待したい」とか「日本メーカーの賢明な判断を期待したい」とそれでもなお「何とか世界の流れに気付いて正しい方向に向かってくれないかな」と思うコメントは付けていました。
ですが今後は期待しても無駄ということがはっきりわかりました。
特に今回の豊田会長の発言が問題なのは自工会という自動車業界全体の利害を代表する団体の会長としての発言であるという点です。
これを言われてしまうと2010年のリーフの発売以降日本のEV化のトップを走ってきた日産や「2040年までに全車EV化」を表明しているホンダの立場はどうなるの?という話です。
業界団体の総意としてEV化に反対するというのであれば日産やホンダも会長の方針に従うという風に読めてしまいます。
であるならば日本の自動車メーカーは日本以外の主要マーケット(アメリカ・中国・ヨーロッパ)で内燃機関車(エンジン車)を販売できなくなるならば詰んでしまうのは明らかです。
ヤフコメやツイッターなどで「どうせヨーロッパもアメリカもEV化に失敗してエンジンに戻ってくる」のような批判がよく見られますが、ヨーロッパ、中国、アメリカの自動車メーカーがそろってEV中心にシフトしており、本日も解説したようにヨーロッパ・中国・アメリカで内燃機関車の販売を禁止する法整備が進んでいる中で逆張りして成功する可能性はほぼないのではと思うところです。
などというと「全部EVというのを批判してるだけでEV自体は否定してない」と猛烈な批判が飛んでくるのでしょうか。
別に「EVも作る」と言ったところで冒頭のような発言を続けていると「トヨタを筆頭に日本メーカーはEV化に消極的」というイメージが世界に拡散されるだけです。
だからこそ「日本メーカーも1日も早く奮起して欲しい」のような発言を続けてきましたが、この豊田会長の発言を見て「もう期待するだけ無駄かな」と思う次第です。
家電やスマホで世界のシェアを奪われた悲劇が自動車でも起こるのが濃厚に思えてきました。
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