テスラのビジネスモデルが車業界を根本から変える?【営業不要・ディーラー不要・広告も不要】
こんばんは、@kojisaitojpです。テスラの株価が高騰していることから話題になっていますが、最近「テスラ」という存在を知った方が気づいていないことがあります。
これは良くある基本的な質問です。
簡単な答えは1.「テスラはディーラー・サービス・充電網を自社所有」なので、その分の資産が多いこと。2.ソフトウェア売上比率が車メーカー最大なこと。3.ソーラー、家庭用/産業用蓄電池を含むエナジー事業を持つ唯一の車メーカーであること。です。 ^安川 https://t.co/sDkm1dFMsy— evsmart (@evsmartnet) January 14, 2021
「ディーラーが存在しない(正確には全て直営店)」などと言われると違和感のある方がいることでしょう。「直営店とディーラーって違うの?」と思った方は従来の自動車販売のビジネスモデルを当たり前のものだと全く疑っていない人になります。
そういう方に「インポーターとディーラーの違いってわかる?」などと質問を投げかけると「???」となるかもしれませんね。
まぁモデル3でもモデルYでも車そのものについての解説であれば、私より専門的に知識がある方はたくさんいますので、今日は車そのものとは違う部分にスポットを当ててテスラの「ビジネスモデル」について解説します。
目次
「ディーラー不要・広告不要・オンライン販売」がテスラのビジネスモデル
ビジネスモデルから見たテスラの個性的な面は、以下の3点に集約されます。
- 「ディーラー・営業マン」が存在しない
- 「広告」を一切出さない
- 「自動車販売」だけの会社ではない
まずテスラのビジネスモデルが車業界で個性的なのは「ディーラー」が存在しないという点です。
トヨタでもホンダでもどこでもいいですが、基本的に車メーカーとディーラーは別の会社です。
きちんと定義しておくと、ディーラーとは車の販売とアフターサービスを専門的にする会社で、ほとんどの自動車メーカーにはそれぞれ、系列のディーラーがあります。
ディーラーによるセールス活動、つまり「営業」は当然必要なもので、ディーラーによる営業があるからこそ、車が売れる。それゆえ、ディーラーの営業マンたちは競い合うように営業技術を磨く。
というのがこれまでの車販売のビジネスモデルでした。
「ディーラーシステム」というのは、メーカーにとってはメリットがあり、メーカーが作った車はタイムロスなくディーラーが買い取ってくれるので、メーカーはすぐに資金の回収ができて、在庫を抱えることもないというメリットがありました。
あくまでも「ありました(過去形)」です。
落ち着いて考えればわかることですが、メーカーとユーザーの間にディーラーが入るということは、中間マージンを取られるということになり、それだけ車の価格は上がります。
またメーカーは販売促進のため、ディーラーに販売奨励金を支払うことも多いので、当然それも車の価格に反映されます。
つまり「ゆったりとしたソファーで、飲物などのサービスを受けながら、懇切丁寧な説明を聞き、試乗もできる」というディーラーの至れり尽くせりのサービスはユーザーに販売価格を上乗せすることで成り立っていたと言えます。
私のブログやTwitterをご覧の方であれば、この「中間マージン」こそ私の最も忌み嫌うものの一つであることはお分かりかと思います(笑)。
日本の従来型のディーラーなどで、もし私が「自分で登録に行くから納車準備費用とか要らないから」と言おうものなら露骨に嫌がられます。「中間マージン」と「手数料」が彼らの飯の種ですから(笑)。
イーロン・マスクはこのような「ディーラー」や「営業」に頼ったビジネスモデルを木っ端微塵に破壊しました。
全ての販売をネット販売に切り替えることで(現在日本にあるテスラのショールームやサービスステーションは全てテスラ直営です)、カットした価格をユーザーに還元する、つまり安くするということです。
イーロン・マスクは「車を買いやすい価格で提供するためには、小売部門の社員数を減らす以上の策はない」とも豪語しており、現在はネット販売のみのビジネスモデルに切り替えています。
私も先ほど遊んでましたが、スマホで見積もりを出すだけでなくそのまま注文し、クレジット決済で手付金を払えば納車まで行けます。
私が新しいビジネスモデルとして「車の無店舗型販売(ネット販売)」というのを提案した時は、経営コンサルタントとやらに「日本では無理ですね」と一蹴されましたけど(笑)。
この「普通は無理だよ」と言われるものをことごとく現実化していくのがイーロン・マスクの驚異的なところです。
またテスラ社は「広告」を出さないことでも有名です。
これまでのビジネスモデルであれば、自動車メーカーは大きな道路沿いの看板やテレビCMなどをバンバン打ち、スポーツの大会のスポンサーになったりもすることで露出を図るのが「常識」でした。
Jリーグにも実際に車メーカーが主要スポンサーであるチームが「浦和レッドダイヤモンズ(三菱)」「横浜Fマリノス(日産)」「名古屋グランパス(トヨタ)」「サンフレッチェ広島(マツダ)」と4チームもあります。
W杯などの国際大会になると「ヒュンダイ」とか「起亜」などの看板を見たこともあるかと思います。
テスラ社はこの手の活動を一切しないということです。
通常の車メーカーであれば膨大なコストがかかる「広告宣伝費」がゼロということです。
つまり車業界のみならず、広告代理店などからしてもテスラという会社は困った会社になるわけです(笑)。
あらゆる領域にある既得権益を破壊していきます。
最後の「自動車販売だけがテスラのビジネスじゃない」というのは以前の記事でパワーウォールや太陽光について触れたことがありますので、こちらを参照していただければと思います。
テスラの野望は車売ることではない?【トヨタもオワコン?】
テスラの時価総額がトヨタを超えたと少し前に話題になりましたが、現時点では車の販売台数ではトヨタが圧倒的ですのでこれだけで「トヨタもオワコン」とは言えません。しかし電気自動車のみならず、そのための太陽光発電や蓄電池など、電気自動車だけではなくライフスタイルの構築にまで夢を提供してくれるテスラの魅力について語ってみます。
太陽光とパワーウォールでテスラ生活を更に充実?【売電から自給自足へ】
今日は電気自動車から少し話題をずらして「太陽光発電」について語ってみます。実はテスラはこの分野にも進出していて、日本でも「PowerWall」という蓄電池を激安で販売しており、自宅で発電した電力をそのまま車の充電に使ったり、家の電気として消費するライフスタイルも提案しています。テスラが提唱する未来の生活を紹介します。
変な投資話に騙された人が多いのか「太陽光」という単語聞いただけで嫌悪感を持つ方も日本にはいらっしゃるようですが、テスラのビジネスモデルは「電力事業」にも拡大しています。太陽光とパワーウォールを使って自給自足の生活という「ライフスタイル」を提案している会社だとも言えます。
「既得権益」が邪魔する高コスト体質の日本メーカー
いわゆる「日本型のエコシステム」とも言われる車メーカーを頂点とした、ディーラー・部品メーカーやその下請けや更に下請けまで含めたピラミッド構造を壊したくないというのが日本メーカーが電気自動車に消極的な原因の一つでしょう。
先日「BYD」について書いた際に「これからは覇権を握るのは車メーカーではなくバッテリーメーカー」だということを指摘しましたが、日本の車メーカーからすると自社がピラミッドの頂点として君臨できなくなる構造自体が嫌なのでしょう。
とはいえ「従来のピラミッド構造が壊れるから」とか「失業者が大量に出るから」という理由で現状維持を続けても、結局はアメリカ・ヨーロッパ・中国の電気自動車化の流れを止めることはできないわけで、結局は破壊される運命にあるわけですが、現在の自動車メーカーの経営者にはそれがわからないようです。
まぁわかっていて「俺が社長の間だけでも現状維持で」という自己保身かもしれませんが(笑)。
実際系列企業や下請けを一気に切り捨てたカルロス・ゴーン氏は一部では最悪の経営者だったようにも言われてますし。
でもゴーン氏が系列企業のピラミッド構造を整理し、ゴリ推しで電気自動車の開発を進めたことが「リーフ」と今年発売予定の「アリア」に反映されているわけで、結果として日産は日本メーカーの中では生き残れる可能性が高くなっていますが、そこについては誰も言わないのも謎です。
結果的には「リーフ」の開発が親会社ルノーの「Zoe」や系列のDacia「Spring Electric」などにも生かされているわけでグループを救ったとも言えます。
「中間搾取」と「整備」で儲ける日本の中古車店はオワコン?
例えば「修理のための部品」も車業界に寄生する悪い例の一つです。
ディーラーやその他の修理工場が提示する部品価格というのはほとんどの場合、我々がヤフーや楽天などの部品ショップからネットで購入するのに比べると高いです。
これが「中間搾取」というもので、いくつもの業者を経由するたびに値段が上乗せされていくという、ユーザーからすると困った構造になっています。
これについても「エンジンがブラックボックス(専門家じゃないと何もわからないという意味)」という業者にとってはメリット(要はぼったくりの温床)になっているので、修理に来た顧客に対してはいくらでも吹っかけられる構造になっていました。
ブラックボックスなので「こことあそこの修理が必須です。直さないと危ないです」と客を脅せたというわけです。
まぁ私のような客だと「で、そこを直すとどう変化があって、直さない場合はどうなるの?」とかなり意地悪にツッコむ上に、「その程度のトラブルなら我慢できるから修理不要」と言ってみたり、「部品はネットで買ってきます」というので「儲けの少ない嫌な客」だと思われていることでしょう(笑)。
電気自動車がメインになるとこのような不透明な請求が出来なくなるので、従来の中古車店や整備工場からすると「儲からない」と感じるかもしれません。
車業界(特に中古車店)=騙されやすい」のようなイメージを作ってしまったのは、業界の自業自得かもしれません。
従来のビジネスモデルをぶっ壊すテスラ社の脅威
このように従来の自動車業界では「当たり前」で、変える必要がない・買える理由がないと思われていたものを徹底的に破壊したのがテスラのビジネスモデルです。
今日は「電気自動車」というテスラの主力商品に一切触れずにテスラという会社の個性を説明してきましたが、まさに「コロナ禍」においても全く関係なく販売台数・売り上げを拡大し、株価も右肩上がりに上がる会社であることが理解できたかと思います。
偽トヨタ信者、車好きの特徴5選
・一番売れているからトヨタが1番だと思っている。
・実は車に詳しくない
・燃費が良くない車は、ダメな車だと思っている。
・1番売れてる車が一番良い車だと思っている。アクアなど
・他社の車を知らない。以上の特徴が実は車に詳しくない知ったかぶりの人です笑
— yasu278@YouTube登録3000人 (@yasu2781) January 14, 2021
まぁ特定の会社を攻撃する気はないのですが、「従来型の車メーカー」のモデルを崩す気もなく、電気自動車にも消極的なのですからどうしても槍玉に挙げることになってしまいます。
「自動車業界550万人の雇用を守る」とか「電気自動車化されると電力が10%足りなくなる」と従来のモデルを崩す気がない人がトップにいる会社とイーロン・マスクがあらゆる既得権益を破壊する会社のどちらに将来性があるかと投資家が考えた時に出る答えは一つしかないように思えます。
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