中古車輸出でも日本車はオワコン?【結局は世界中が電気自動車化】
おはようございます、@kojisaitojpです。TwitterやYouTubeを見ていてふと疑問を感じたことがります。
電気自動車発展途上国ではなく後進国だよ。だって発展させる気ないんだから(笑)
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) January 11, 2021
よく「電気自動車発展途上国の日本は」という言い方をする方がいて、それはおそらく「世界の流れから遅れている」という位の意味で言っているのでしょうが、正直「発展途上」」つまり「今まさに発展しようとしている」国でもないよなと思ってしまいました。
ですので私のブログやツイッターでは「電気自動車後進国」という言い方をします。
「逆噴射」でもいいですが(笑)。
「これから電気自動車を発展させよう!」とインフラ整備をしたり、開発をしようとしている「発展の途上」にある国に失礼です。
特に最近になって豪雪や電力不足などのニュースが出るたびに「ほら、だから日本には電気自動車は必要ないんだ」という謎の開き直りのようなコメントがヤフコメや2ちゃんねるなどに大量にわいてきて気持ち悪くなることがあります。
「またヨーロッパの話?」「それとも中国?」「次はアメリカか?」「もうアメリカとかヨーロッパの話聞き飽きたんだけど」などと野次られそうですが、今日のテーマは「アフリカ」です。
前回は「ジンバブエ」という国の例だけを挙げて説明しましたが、その後調べれば調べるほどアフリカの様々な国が「電気自動車」を欲しがっていることがわかってきました。
ですのでこれらの国を「電気自動車発展途上」にある国として紹介します。
目次
日本車の独壇場「だった(過去形?)」アフリカの中古車市場
自動車業界のことを知っている方であれば、日本の中古車の行き先がアフリカなどの発展途上国であることは知っているかと思います。
日本車の場合右ハンドルですので、輸出先は主に右ハンドル国になりますが、アフリカだけを見ても「ボツワナ、ケニア、レソト、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、セントヘレナ及びその附属諸島(英)、セーシェル、南アフリカ共和国、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ」があります。またコンゴ民主共和国、ルワンダは左ハンドル国(右車線)ですが右ハンドル車の輸入もOKです。
この中で南アフリカは経済水準が違いますし、そもそも中古車の輸入を認めていないので除外しますが、これ以外の国には毎年日本の中古車が大量に輸出されています。
よく広告などで「廃車無料!」とうたっている買取屋があったり、自分が車を購入した際にそれまで乗ってた車を中古車店やディーラーに引き取ってもらうことがあるかと思いますが、これらのプロセスで集められた車の中で、日本国内では売れないと判断されたものが輸出に回されることが多いです。
細かいことを言うと「廃車無料」と言って10万キロ20万キロ走った車を処分料なしで引き取ってもらえると「得した」と思うでしょうが、実は損してます。廃車にするにせよ、輸出に回すにせよ日本での自動車登録が抹消されますので、「自動車重量税」や「自動車税」「自賠責保険」は残りの月数分払い戻しされます。
それを返金したもらったことありますか? 大半の車屋は我々に払い戻しのことは教えないで自分のポケットに入れています。
昔、引き取ってもらう際に「重量税とか自賠責の払い戻しは?」と聞いたら何となく曖昧にごまかされましたが。多分ウザい客だと思われたでしょうね。
こういう部分も私が日本の車屋が大嫌いな理由でもあるのですが(笑)。
話を戻します。
国によって多少違いがあり「初年度登録から10年以内」「7年以内」「5年以内」などの違いはありますが、日本で売れない中古車を「故障が少ない」などの理由で喜んで買ってくれるのがアフリカやアジアの発展途上国なのです。
この中にも「ケニア」「タンザニア」「ウガンダ」「ナイジェリア」「モザンピーク」「ガーナ」とアフリカの国がたくさん入っていますし、前回も言ったように「アラブ首長国連邦」と「パキスタン」は現地経由で再輸出されますので、アフリカなどに流れている場合が多いです。
アフリカに先入観がある方は多いでしょうから「アフリカなんてロクに電気も通ってないから電気自動車なんて無理」と思ってしまいますよね。
実は電力「過剰国」のガーナに電気自動車の需要が
こんな記事を見つけました。
Ghana Pushes For Adoption Of EVs To Soak Up Excess Electricity Generation Capacity
We recently looked at why Kenya really needs to increase the penetration of EVs due to its excess electricity generation capacity. Kenya’s electricity generation mix is mostly green, with 93% of its installed capacity coming from renewable energy sources such as hydro, wind, utility-scale solar, and geothermal.
Ghana is another country that has recently found
実はガーナには先進国の援助により太陽光発電と蓄電池が導入されており、送電網がオフグリッド(大手電力会社の電力網に繋がっていない自給自足の電力網)のエリアにも、再生可能エネルギーのマイクログリッド(小規模な送電網)が整備され、昔と比べると電力網が充実しています。
記事にもありますが「1kWhの電気代が0.1ドル」というのは驚異的な水準です。
それどころか上記の記事にあるように「Excess Electricity Generation Capacity」、つまり供給過剰な状態です。実は再生可能エネルギーの充実により、アフリカには「電力が供給過剰」の状態にある国がいくつもあります。
Kenya Meets Renewable Energy Generation Target, Should Now Shift Focus To Accelerating EV Adoption To Soak Up Excess Electricity
Growing up in the 80s, we were privileged to enjoy some outstanding TV shows. One of the favorites was of course the A Team. A favorite line for many viewers was Hannibal Smith’s famous “I love it when a plan comes together.” Now would be a good time to use that line with respect to
これはケニアの例ですが、「高いカネ払ってガソリンを輸入するくらいなら、自国で余っている電力を使って電気自動車に切り替えた方がいい」という流れになるのは極めて自然です。
再生可能エネルギーの地域送電網を構築、Energicityは未来のアフリカの電力会社になるか
2014年当時の米国では、再生可能エネルギーの運動はまだ反対勢力が強かった。しかしポインデクスター氏には、再生可能エネルギーの恩恵をアフリカに持ち込む機会だと考えていた。
送電網がまだしっかり整備されていないので、充電設備の問題などは残っていますが、少なくとも「電気自動車」と「再生可能エネルギー」への熱意では日本のはるか上を行っているように見えます。
気がついたら「ヒュンダイ」が進出のエチオピアとナイジェリア
日本の自動車メーカーが手をこまねいている間に、そもそも日本国内で売れた電気自動車があまりにも少ないので輸出に充てる車がない間に、アフリカ諸国に入り込んで電気自動車を生産・販売しているメーカーがあります。
Hyundai Appears To Be Very Serious About Africa, As Ghana Gets The Hyundai Kona EV
Africa has not always been top of mind for a lot of OEMs. This could partly be due to the low levels of motorization on the continent. In 2019, before Covid-19, just under 100 million new vehicles were sold worldwide. However, just over 1 million brand new vehicles were sold in Africa. That’s about one-hundredth
それが「ヒュンダイ」です。正確にはヒュンダイだけではなく、中国の新興EVメーカーも入り込んでいます。
「またヒュンダイかよ」と思うかもしれませんが、日本が入り損ねている市場に韓国や中国のメーカーが入り込んで、日本のシェアを奪っていくというのはスマホの時も液晶テレビの時もそうでした。
正直これまでであればアフリカは南アフリカ共和国以外には新車を購入する購買力がないため、南アフリカ以外には(さすがに南アフリカには日本メーカーの工場もあります)自動車工場がない状態が続いていました。
ですがここに来てヒュンダイがナイジェリアやエチオピアで現地企業との合弁会社などの形式で現地生産を始めています。
製造する車種はもちろん今最もニーズのある「電気自動車」です。
これまでであれば国内に輸入される自動車(ほとんど中古車)の中に日本車の占める割合が50%を超えたような国にヒュンダイの工場が、しかも日本メーカーが手も足も出ない電気自動車の工場が作られています。
私から見るとスマホや液晶テレビなどの「歴史が繰り返されている」だけのようにも見えます。
これらの国に日本から中古の電気自動車を輸出すれば売れそうなのにと思いますが、そもそも日本国内に流通する電気自動車が少なすぎるという壁にぶつかります。
これまでは中古車の輸出で日本の独壇場だったアフリカ諸国にも電気自動車化の波が押し寄せ、日本のシェアを食おうとヒュンダイなどが虎視淡々の状況です。
もう昔のイメージで車業界を語れない?
「どうせ韓国車なんて壊れるし、バッテリー爆発したりしたんだろ?」と嘲笑するのでしょうが、ヒュンダイの新車販売における世界シェアは5位です。
1位がフォルクスワーゲン、2位がトヨタ、3位が「ルノー・日産・三菱連合」、4位がGMです。ホンダは7位で負けてますし、日産や三菱もグループでは勝っていても自社単独の台数ならおそらくヒュンダイに負けています。
ちなみに6位がフォード、9位がプジョーシトロエン、10位がダイムラーですので、これらのヨーロッパ・アメリカの有名メーカーも既にヒュンダイ以下の世界シェアです。
昨日の記事で「今の売り上げ台数、特に電気自動車の売り上げ台数を見ていると、Appleがパートナーとして日本のメーカーではなくヒュンダイを選んでも何も不思議はない」と言った意味がお分かりかと思います。
前回の記事に付け加えるとヨーロッパやアメリカなど先進国の市場のみならず、日本車の独壇場だったアフリカ市場でさえ日本のシェアを奪いにきているわけですし。
内燃機関(エンジン)車でも世界シェアですぐ近くにヒュンダイが迫っている、電気自動車でははるかに先を先行されているというのがわかっておらず「韓国車になんか負けるわけないよ」とナメた態度を取る状況は、10数年前にスマホや液晶テレビで「日本の品質が世界一なんだからサムソンやLGに負けるわけがない」と余裕をぶっこいていた時とそっくりです。
「脱石油」という意味では当たり前の電気自動車化するアフリカ
このようにアフリカ諸国が「電気自動車」を欲しがる理由が「脱石油」に集約されているのが特徴でした。
一部の産油国を除けばアフリカの大半の国では自動車の燃料としてガソリンを輸入しています。「ナイジェリアは産油国だろ?」と思うでしょうし、それは事実なのですが、原油を精製する能力がないので、原油を輸出してガソリンなどの燃料を輸入しています。
日本でさえ「ガソリンが高い」「冬場の灯油代が高い」と愚痴りたくなるのですから、アフリカ諸国の経済力を考えるとガソリン代というのはとてつもない負担です。
その負担を解消したい、自国の自然を生かした電力を使って「電気自動車」を走らせた方が合理的というのは「日本もそうじゃないの?」と思ってしまいました。
にもかかわらず日本では相変わらず「ガソリン車が最強だ!」と噴き上がり、「日本の発電は火力なのでぇ〜」と再生可能エネルギーにすら否定的で、化石燃料に依存する体質を変える気が感じられません。
実際試算では日本の再生可能エネルギーが10%増えるくらいで電気自動車に必要な電力は賄えると言われていますが、その程度の努力すら放棄するのでしょうか?
化石燃料に依存しない国というのがオイルショック以来の日本の目標だったはずなのにどこへ行ってしまったのでしょう。
原子力発電が挫折したくらいで化石燃料脱却を諦めたのでしょうか?
私が冒頭で「電気自動車が発展途上の国に失礼だから後進国」だと言った意味がわかるかと思います。電気自動車化への意欲がアフリカ諸国以下に見えてしまいます。
人気記事電気自動車専門のカーシェア・サブスク・EV販売店立ち上げのためのクラウドファンディングを始めます!