ジャガーが2025年に全車電気自動車化する衝撃とは?【XJブランド消滅?】
おはようございます、@kojisaitojpです。日本でどのくらいの人数の方が関心を持つのかはわかりませんが、私個人としてはとても衝撃的なニュースが飛び込んできました。
英ジャガー、EV専業ブランドに JLRが25年から :日本経済新聞 https://t.co/0pSMRFV36f
— Brownie (@browniejp) February 15, 2021
まぁジャガーの本国イギリス(親会社はインド・タタ自動車ですが)が「2030年以降の内燃機関車(エンジン搭載車)の新車販売禁止」という方針を打ち出していますので、結局こうなるだろうという予想はできていましたが、2025年からというのは予想より早いペースです。
ちなみに「個人的に衝撃」というのは、私の前の車がジャガーだったからです。
後で解説しますが、この「ジャガーXJ」という50年以上続いてきた、ジャガーのフラッグシップセダンの名前は消滅するようで、これが一番の衝撃でした。
今日はそんなジャガー車の電気自動車化戦略について、これまで発売されていた「i-Pace」の紹介も含めて解説します。
目次
現行のジャガーの電気自動車(BEV)は「i-pace」のみ
ジャガー社の電気自動車化はこれまでのところ「i-Pace」の1車種のみで、欧米の他の自動車メーカーと比べると決して早いペースとは言えませんでした。
現行モデル唯一の「Jaguar i-Pace」はこんな感じの車です。
実際に車としてのクオリティは「さすがはジャガー」という感じの外装と内装です。
ただし電気自動車としてのクオリティは「???」というレベルです。
「搭載バッテリー容量90kWh、航続距離377キロ(EPA)、最大充電出力104kW(日本では50kWh)」で、0-100キロの加速は4.8秒です。加速を求めるような車ではないのでこの辺は問題がないのですが、以前プジョーe-208について論じた際にも問題となった日本のガラパゴス充電規格「チャデモ」がこの車の魅力を失わせます。
ヨーロッパ内であれば最大104kWhで、40分もあればある程度充電できるので問題を感じないでしょうが、日本仕様は日本の急速充電規格である「チャデモ」に合わせて出力が50kWhに制限されてしまうので、これだと30分の急速充電で半分くらいしか充電できず、航続距離に不満が残ります。
もちろん新車で1000万を超える車であれば購買層は一戸建てに住む富裕層が多いでしょうから(実際想定されるジャガーユーザーはこの層でしょうし)、自宅で充電できれば問題ありませんが、同じ富裕層でも充電設備のないタワーマンションなどに住んでいる層には手を出しにくい車になっています。
ジャガーにふさわしいかっこよさと高級感を持つSUVなだけに、航続距離や充電出力が残念な仕様なのが惜しいです。
以前メルセデスも電気自動車化に苦戦しているという記事を書きましたが、ジャガーも同様かもしれません。
由緒あるブランドの「XJ」は消滅?
そして今回の「2025年から全車電気自動車化」という発表以上に衝撃を与えたのが、長年ジャガーのフラッグシップセダンだった「XJ」のブランドを廃止するという発表です。
「電気自動車化によって再創造するジャガーブランド旧来のXJの名前は相応しくないと判断した」というのが今回ジャガー社から出されたコメントですが、私からすると非常に残念です。
「XJ」はヨーロッパの高級車ブランドとしてメルセデスSクラスやBMW7シリーズなどに対抗、いや、正確にはジャガーの場合はメルセデスやBMWに「対抗」とは別の立場で君臨してきたのではないかと個人的に思っています。
もちろんXJが風格で負けることは絶対にないのですが、メルセデスやBMWが時々かもしだす「威圧感」のようなものはなく、「相手(周りの車)を威圧するのではなく、別次元の世界に君臨する」タイプの車であり、私が乗っていた時もそれが誇りでした。
とはいえ中古で走行距離8万キロくらいのXJを格安で買って、3年で10万キロくらい乗ったら最後は走行中に白煙を上げて走行不能になり、私がXJの「送り人」になってしまいましたが(笑)。
今後もメルセデスの「EQS」やBMW「i7」、テスラ「モデルS」などに対抗するEVとしてまた市場に出てくるものと期待していたので個人的には非常に残念です。
2019年段階ではこのようにテスト走行しているところを盗撮されていますので、ある程度の段階まで開発は進んでいたのですが、結局は断念となったようです。
代わりにジャガー社がどのようなフラッグシップセダンとなる電気自動車を出してくるのかは個人的には注目しています。
今後ジャガー専用のEVプラットフォームを使用して生産される新型EVがどのようなものになるか(ランドローバーとは別のプラットフォームになる模様)発表を待ちたいと思います。
PHEVなどの中途半端なことはしない「ジャガー」の決断
今回2025年からの完全電気自動車化と同時に「XJ」ブランドの廃止を発表したことは残念でしたが、それでもPHEVなどの中途半端なもの(ランドローバーではPHEVも出すようです)を出さずに電気自動車(BEV)に一本化するジャガー社の決断は支持したいと思います。
試しにボルボのPHEVとか見に行ってみたんだが、どうしてもエンジンの存在が無駄な気がして購買意欲はわかなかった(笑)
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) February 15, 2021
ボルボは個人的には魅力を感じるブランドではあったのですが、まだ完全電気自動車(BEV)が上陸しておらず現在国内のディーラーではPHEVモデルしか置かれていません。
でも実際に見てみると「エンジンなんて別に要らないのに」という感想しかわきませんでした。
EV走行で50キロ走れるとディーラーでは強調していましたが、エンジン取っ払って電池だけで500キロ走れるようになった方が便利じゃないの?という感想しかありませんでした。
ボルボでさえこの評価ですから、今回のジャガー社の決定の対局に立つようなあの会社が槍玉にあげられるか分かりますよね(笑)。
片や北米市場で「電気自動車(BEV)を2車種、PHEVを1車種」2021年中に販売すると発表しておいて、そのプレスリリースにおいて「でもPHEVの方がコスパも性能も良いからね」的な余計な一言をわざわざ付け加えて、「電気自動車(BEV)は形式だけでやる気なし、エンジン至上主義」を明確に打ち出してしまった残念なメーカーもいますが、それに比べればジャガーの決断は「英断」であるといえます。
「PHEVの方が性能いいからね」的な余計な一言を言わないで黙ってBEVを2車種、PHEVを1車種発売すると発表していれば私も「トヨタもようやく電気自動車に本腰」と肯定的なコメントをするつもりだったのですが、電気自動車(BEV)発売のリリースでオフィシャルホームページ(北米版)に余計な一言を書いてしまったことで肯定的な評価は引っ込めました。
もう「勝手に没落してくれ」というのが正直な感想です(笑)。
今回のジャガー社の発表は「全車電気自動車(BEV)にする」ことを明言しただけではなく、歴史あるブランドである「XJ」の名前を捨てるとまで宣言して新しい時代に向かっていこうという決意表明ですから、「痛みを伴う変革」を覚悟していることが伝わってきました。
当然ですがジャガー社のHPにもPHEVの発売も表明してる「ランドローバー社」のホームページにも「PHEVの方が優秀なのに」的な嫌味な言葉は見つかりません。
現状の「i-Pace」の電気自動車としての性能を考えるとテスラの「モデルS」や「モデル3」より優先する理由はないなと思っていますが、いずれジャガーのブランド名にふさわしいEVが出てくるようになれば私がジャガーに復帰することもあるかもしれません。
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