商用車(運送業)の電気自動車化は更にガラパゴス?【中国の足音が】
こんにちは、@kojisaitojpです。日本の自動車業界が世界の電気自動車化の流れに乗らないで意地を張っている間に、このようなトラックが日本の街中を走ることになるようです。
いつまで経ってもEVやる気ないとこういうのにつけこまれるわけで。
なぜ日本に中国製EV導入? 小型EVトラックは物流業界に革命を起こすのか | くるまのニュース https://t.co/I2JeFVabUi— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 25, 2020
このニュースのヤフコメなどを見ていると相変わらず「電気自動車はエコじゃない」という定番の書き込みだったり、「どうせ中国の車なんて壊れる」「アフターサービスがないんじゃ不安」などなど批判的な意見のオンパレードでした。
「内燃機関(エンジン)」が存在しないことから故障が少なく、メンテナンスも簡単であることがEV(電気自動車)の魅力の一つであるのに、それすら知らないでモノを言っているのかと思ってしまいますが。
ちなみに私もシーシャとか自分の趣味で使うものを個人輸入していますが、中国メーカーは何か不具合があると異議申し立てをすれば、該当する部品や必要なら全交換に簡単に応じてくれます。
必要な部品は交換してやるから後は自分で修理してくれというのが中国スタイルです。
自動車整備振興会との連携でサポート拠点を全国で2万箇所以上を用意することで整備に対応する(ディーラーは設けない)という「電気自動車」に合ったスタイルで日本上陸です。
これまでは乗用車を中心に電気自動車について語ってきましたが、今日は乗用車以上に車がないと死活問題で、今後電気自動車化を迫られる「商用車」について考えてみます。
目次
実は商用車は電気自動車に向いている?
「乗用車より走行距離多いんだから商用車こそ電気自動車にはできない」
そんな風にアンチ電気自動車の方々はドヤ顔で語ることでしょう。多分商用車の使われ方を知らない人ですね(笑)
長距離を走るトラックやバスのような大型車になると別の話になりますが、そのパターンについては後日語ります。
先程の中国製の小型EVトラックはHWエレクトロ社の「エレモ」と言いますが、中国では現在国策として電気自動車が進められていますので、次から次へと電気自動車を開発する会社が増えています。
先程のニュースで「エレモ」の航続距離は約200キロと言われていますが、この後紹介する三菱の「ミニキャブミーブ」とほぼ同等、初代型の日産「e-NV200」より上です。
例によって「短いからとても使えない」と待ってましたと批判をする人はいるでしょうが、「商用車」という位置付けであれば問題ありません。
しかも繰り返し言っているように「内燃機関(エンジン)」がないことから部品点数が普通車の3分の1、オイル交換もなく、
営業の拠点となる営業所などに充電設備を装備しておけば、営業所と近所の配送先という短距離の移動にはぴったりの航続距離です。
ですが現在乗用車も普及率が1%以下とひどいですが、商用車の方も電気自動車を会社の営業車に導入するという動きがほとんど見えません(例外は後述)。
NZが気候非常事態宣言、公的部門で25年までに温室ガス実質ゼロへ (2020年12月2日) – エキサイトニュース
[ウェリントン2日ロイター]-ニュージーランド政府は2日、脱炭素社会の早期実現に向け「気候非常事態」を宣言し、合わせて公的部門で温室効果ガス排出実質ゼロの「カーボンニュートラル」を2025年までに達成…
コロナ対応も評価され、総選挙で信任されたアーダーン首相ですが、電気自動車化の面でも強いリーダーシップを発揮して、2025年にカーボンニュートラルを達成すべく電気自動車化を推進していくようです。
片や国民に対して「食事中もマスク」とか「会食は少人数」などと言っておきながら、自分は大人数で忘年会をやっていたりする総理大臣もいるわけで、コロナ対策はもちろんのこと、2035年と宣言しているガソリン車の新車販売禁止(ハイブリッドOKという緩い規制ですが)も実行できるか怪しくなってきます。
三菱「ミニキャブミーブ」という隠れた名機
最近の電気自動車を叩くコメントを見ていると「軽の電気自動車でも発売されないと高くて買えない」的なことを言う人は多いのですが、三菱が「アイミーブ」「ミニキャブミーブ」と軽の乗用車も商用車も発売していた(アイミーブは生産終了)ことすら知らない人が多いようです。
今も商用車の「ミニキャブミーブ」は現役ですし、見た目もビッグサイズの荷室も、ロングセラーの「ミニキャブ」と何ら変わらない充実度です。
しかも初速から最大トルクが出る電気自動車であれば、加速が鈍いという軽自動車の欠点を補ってくれるベストの軽ワゴンにも思えます。
軽自動車規格なので、搭載できるバッテリーには限界があり、16kWhと現在発売されている電気自動車の中では最も小さい方に入るバッテリー容量ですが、それでもJC08モードで150キロですから実走行でも100キロくらいは期待できます。
配達などで近所を走り回るだけなら十分な航続距離です。
日本郵便、配送用EV「ミニキャブ・ミーブ バン」を1200台導入。「ぽすくま」を描いた新デザイン公開
日本郵便は11月13日、郵便物や荷物の配送時に使用する新デザインのEV(電気自動車)を公開した。車両は三菱自動車工業の「ミニキャブ・ミーブ バン」で、2020年度末までに東京都を中心とした近距離エリアに1200台を導入。1200台の導入後は、都内における配送に使用する軽四輪車の3割が電動化される。
ですので日本郵便が、郵便局からの配達などに「ミニキャブミーブ」を導入したのは、郵便局の近隣のみを走って戻ってきたら充電という理にかなった電気自動車の使い方であると言えます。
導入コストは普通の「ミニキャブ」を導入するより高くつきますが、燃料代がかからない上に三菱の電気自動車に使われている東芝製のバッテリーは電気自動車マニアの中でも「バッテリーが劣化しない」と評判ですので、長期で使えば必ず黒字になります。
「バッテリーが劣化するので北海道・東北への導入は…」と渋っていますが、東芝製のバッテリーなら何の問題もないので導入しましょうよと言ってあげたくなります。
日本郵便のように資金力のある会社が先陣を切ってやってくれれば、体力のない中小企業も「ウチもやってみようかな」という気になってくれますので、商用車の電気自動車の旗振り役として頑張って欲しいところです。
日産「e-NV200」もありました(過去形)
昨年限りで日本での新車販売終了(ヨーロッパでは継続)してしまいましたが、日産「e-NV200」は商用車(バンとワゴンの2種類あり)として日産が出した初の電気自動車でした。
床下にバッテリーが搭載されるのですが、平たくコンパクトにパッケージングされたリチウムイオン電池(360V)は室内スペースをまったく犠牲にしていないのでミニバンとして、あるいは商用車としてスペースもたっぷりある使い勝手の良い車両でした。
難点は航続距離でしたが、2018年以降のモデルではバッテリー容量が40kWhにグレードアップし、JC08モードで400キロ(なので実走行距離は300キロ弱?)位は走れるようになりました。
「商用車」の役割を知らない人は気付きませんが、定まったルートを巡回して荷物を配送する営業車などで電気自動車のメリットを最大限に発揮できます。先程のミニキャブミーブと同じで会社(営業所)に充電設備を設けて、1日の走行距離を管理すれば、問題なく使えます。
しかもエンジン音を出さないので住宅街などでも優しいと印象までアップします。
リーフとほぼ同時期に日産が出した世界戦略車なのもあり、日本で発売終了したものの、ヨーロッパを始め、マレーシア、インド、インドネシア、南アフリカなど、アジアやアフリカでも販売されています。
日本人が「距離走れないから要らねぇ〜」と工夫もせずに手放した初期型の日産リーフなども、実は中古車市場で外国人バイヤーが喜んで仕入れたがる人気車種なことは案外知られていません。
「e-NV200」も日本以外での販売状況からして、電気自動車を適切に使いこなせる国では歓迎されているのですが。日本でも会社(営業所)に充電設備を置く位の気遣いが出来れば有効に活用されたかと思うと残念です。
電気自動車に適応できない「加齢臭」な企業・経営者は退場?
このように一般の乗用車以上に商用車は電気自動車が使いやすい環境にあるのが現実です。
実際に先程の記事にもあるように日本郵便やヤマト運輸は、拠点(郵便局や営業所)と配送先という短距離の移動に電気自動車を導入することに成功しています。
しかし世の中の大半の企業は相変わらず電気自動車化には及び腰です。
「走行距離が短い」とか「充電設備を設けるとカネがかかる」とか色々理由を持ち出しますが、私から見れば「やらなくて済む理由を探している」ようにも見えます。
航続可能距離については先ほども説明した通りで、拠点の営業所と配送先のような短距離であれば全く問題ありません。近所を回って営業所に戻れば充電できるのですから。
「充電設備にカネがかかる」というのも馬鹿馬鹿しい話で、確かに設置に費用がかかってもこれまで払っていたガソリン代がなくなるわけでトータルでプラスになればいい話です。
しかも今であれば充電設備の設置には補助金なども出ますのでかなり格安でできます。
ですがそのように「合理的な」損得勘定が出来る経営者は案外少ないです。新車価格が高いのだけを見て「電気自動車なんか買えるか!」と拒絶を決め込んだり。
先ほどもアップしたように電気自動車は中古車になると案外安いですが、そういう事実は見ようともしない。
電気自動車ではありませんが、私が過去に見てきた経営者で一番呆れたのは、会社の営業車にETCをつけない会社でした。毎日社員が何回も高速に乗るのであればETCを設置すれば、(ETCだと距離制で300円〜1320円、現金だとどんな短距離でも定額1320円の首都高だと尚更)間違いなくプラスになるのにその費用をケチるわけです。
車載器なんて今や一台数千円、会社に領収書を印刷するETCプリンターが数万円という投資すらケチる会社、わざわざ割高の現金で高速道路を使わせる会社は見ていて謎でした。
「この方が得するよ」と言われても耳を貸さない層は一定数いるのですが、これが私がいくつかの記事で定義した「加齢臭(年齢関係なし)」です(笑)。頭が凝り固まっていて冷静な判断ができないという意味では若い加齢臭もいますし、お年寄りでも柔軟な思考の方はいます。
まぁ、コロナ以降の経済対策などで「体力のない中小企業を切り捨てるな」的な弱者救済を訴える議論は、そうすべき理由も分からなくはないのですが、「変わる気のない会社なら潰した方がいいんじゃないの?」と思うことも多いです。
もしかすると「電気自動車化」の流れが、そういう頭が凝り固まった加齢臭のような企業を退場させるいい機会になるかもしれません。
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