「テスラ・モデルS」試乗記【やっぱりトヨタはオワコン?】
こんばんは、@kojisaitojpです。最近トヨタの発言にイライラすることが多いのですが、またしても会話の噛み合わないレベルの低い議論を見せられてしまいました。
ひろゆき以外は既得権益維持という世界の流れに逆行する加齢臭ばかりのお寒い展開。
脱ガソリン社会】EV化で電力不足&失業者増加?トヨタ社長の苦言にひろゆき「世界はEVが主流。輸出メインの日本もそうならざるを得ない」自動車産業… https://t.co/8XZPgtdAjL @YouTubeより— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 19, 2020
ひろゆき氏が主張しているのは「世界の流れ=電気自動車化」であって(電気自動車の良し悪しには触れてない)、「このまま意地張って電気自動車にシフトしないと世界のシェア取れなくなって日本の自動車産業がオワコンだよ」ってことなのにも関わらず反論する側は「電気自動車になると雇用が失われる」とか「電気自動車はエコじゃない」とか関係のない話をするだけで噛み合わない議論に私はイライラしてしまいました。
相変わらずピントが外れた議論をやっているガラパゴス日本ですが、テスラに一回でも試乗したらそんなことは言えなくなるのではと思いました。
というわけで今日は私がテスラ・モデルSにカーシェアで試乗した感想などについて触れながら、自動車産業の未来についても考えたいと思います。
目次
最強スペックの「テスラ・モデルS」
今回試乗(カーシェア)で1泊2日借りたのは「テスラモデルS/P90D」というモデルで、90という数字は「90kWh」というバッテリー容量を意味します。Dというアルファベットは「デュアルモーター」という意味で、前後の車軸にひとつずつモーターが備わる4WD車であることを意味します。
走りについて触れる際に言うことですが電気自動車(EV)の場合、発進と同時に最大トルクに達するだけに、駆動を4輪に分散するのは理にかなっています。
実際「0-100km/h」に達する速度がたったの3秒です。超大型バッテリーを搭載しているゆえ2200キロを超える巨体が一瞬で加速する様子は、車が空を飛んでいるかのような感覚になります。
私が今乗ってる「ゴルフ5」もGTXという2000ccのターボなので加速には自信を持っていましたが、モデルS返却後に自分の車に戻った時には「あれ?加速が遅い」と思ってしまいました(笑)。
「全長 4970mm x 全幅 1964mm x 全高 1445 mm」で、ロングボディ仕様があるベンツのSクラスより若干長さはないもののほぼ同等の車幅、重さは今も言ったようにバッテリーを搭載する分ベンツSクラス以上です。
ちなみに今回1泊するために宿泊した「ACホテル東京銀座」の駐車場ではサイズはOKなものの、重さが機械式駐車場の規定オーバーのため隣にある系列の「コートヤードバイマリオット銀座」の駐車場を使う羽目になりました。
新しいホテルなのでサイズは現代の車に合った仕様になっているようですが、重量までは対応し損ねたようです。係員が「テスラ? すみません重量オーバーです」と車見た瞬間言われましたので。
可能ならこの辺りの対応と、宿泊中に充電できる設備を置いてくれれば電気自動車の普及に貢献できると思いますが。
この車両の場合ですと満充電で約480キロとカタログ上の航続距離としては書かれています。まぁ実際は400キロ行くか行かないくらいでしょうが。
今回はカーシェアの制限が1日200キロだったのもあり、150キロ位しか走っていません。
バッテリー容量については以前の記事でも説明していますので、よろしければご参照ください。
「全固体電池」という名のフェイクニュース【電気自動車への実用化は遠い】
「全固体電池」が電気自動車を変えるトヨタの切り札のように言われることが多いですが、まだまだ実用化・量産化には程遠いのが現実です。しかも技術的には可能になっても「急速充電はどうする?」という問題も残されていて、充電器の整備なしには普及しない技術でもありますが、あたかもすぐ実用化されるかのようなフェイクニュースが多いです。
さて、車に乗り込んでまず目を引くのがiPad二個分と言われる巨大なディスプレイですよね。次の項目で解説します。
また今回は以前の記事でも取り上げた埼玉県川口市にオープンした、日本で最速のテスラスーパーチャージャーも試してきましたが、これについては次回以降の記事で扱います。
電気自動車はバッテリーより充電スタンドの整備が重要?
電気自動車に対する批判として「バッテリー」の限界から来る走行距離の短さを指摘する声は多いです。ですが仮に急速充電が普及し、高速道路のSAなどで食事をしている間に十分に充電できれば誰も悩むことなく電気自動車を利用できます。また走行距離が短いことが本当に不便なのかについてもあえて航続距離の短いEVを例に検証して見ます。
スマホのようにソフトウェアが充実のテスラ・モデルS
日本の自動車メーカーのイメージだと「ただの大きなナビ?」と思ってしまいますが、テスラの場合ただのナビで終わる存在ではありません。
iPhoneを3Gから保有していて、iPhone発売前はノキアの携帯を使っていた、ガジェットマニアの私にはここが最も注目に値しました。
17インチの静電式タッチスクリーンは、Googleマップへの利用以外に、車両設定(車高調整、自動運転の設定など)が全てこれでできてしまいますし、カーオーディオおよびエアコンの操作、ヘッドライトのオン/オフ、サンルーフの開閉なども、この画面を通じて行います。
またモデルSのカギはこの車の形をした物体で、一応はトランクの開閉、ドアのロックなどはキーレスで操作できますが、モデルSの場合、このキーレスを持っている人間が車に近づくだけで、ドアロックが解除されます。
通常時はドアノブが引っ込んでいますが、私が近づくとこのようにドアノブが出てきて、カギを操作することなく乗り込めます。
乗り込んでからもブレーキを踏めば自動的に走行モードになり動き始めますし、止まる時もブレーキを強く踏んで止まれば自動的にサイドブレーキがかかるので、サイドブレーキの操作は不要、アイドリング中もブレーキペダルから足を離しても動きません。
サイドブレーキを手動でかけたい時はタッチパネルで操作する必要があるというのも驚きました。
また私はオーナーではないのでできませんが、スマホのアプリから操作することも可能です。
さて、このソフトウェアですが、先ほどGoogleマップと言ったように車自体が常に4G回線に接続していて(接続料は無料)、リアルタイムの交通情報が入るだけではなく、車自体の操作に関わる「ソフトウェア」のアップデートが勝手にされます。
これまでの自動車であれば、ディーラーなどに行ってソフトウェアの書き換えを行わないとできなかったアップデートが、自宅で駐車場に停めている間に4G回線を通して勝手にやってくれるという、まるで寝ている間にiPhoneのOSがアップデートされるような感覚でできてしまいます。
原則オンライン販売で、「ディーラー」という存在がない(試乗や整備用のショールームのみ存在)というテスラの新しいビジネスモデルに合わせた「リモート」でのアップデートになります。
今回はお借りした車なので試していませんが「サモン」と呼ばれる、「リモート駐車」つまり駐車場から自動運転で自分のいる場所まで迎えに来てくれるという機能も近年のアップデートで装備されました。
おそらく5G(が無理ならその次の6G)の回線が整備された頃には、今のように高速道路上などの限定された環境ではなく、ほぼ全ての道路で自動運転が現実になるかと思いますが、今既にテスラのオーナーである方々にもその時は自動更新で完全自動運転ができるようになるようです。
日本のメーカーにありがちな「新しい機能はモデルチェンジ後の新車で」という、定期的に買い替えを促すようなケチ臭いビジネスモデルではありません。
私のブログでも繰り返し言っていますが、今の電気自動車vsガソリン車の状況は、10数年前に私がiPhone3Gを購入して周りからバカにされた頃の「iPhonevsガラケー」の状況にそっくりです。
OSのアップデートもそうですが、従来のように車を買う、整備する、車検を通すなど事あるごとにディーラーへ行くことが当たり前になっていた従来のビジネスモデルをぶっ壊していて、私のような人間からすると好感が持てます。
「ディーラーや整備工場の仕事が減る」と従来のビジネスモデルにしがみついている方々には不満でしょうが、いずれ消えていく存在です。
都合の悪い事実は無視するエンジン擁護派
私は自動車ジャーナリストでも何でもない素人ですので、運転の細かいことは分かりませんが、少なくとも1泊2日で移動するくらいであれば充電も不要ですし(実験のためにスーパーチャージャーは使いましたが)、走りもその辺の高級車を軽く超える加速、先日乗った日産リーフと比較するとかなり強めにかかる回生ブレーキにより、フットブレーキはほとんど不要(実際信号待ちの時にはクリープしないのでブレーキペダルから足を離してOK)
まぁあえて言えばテスラはシンプルでデザイン性が高いですが、従来の高級車のような威圧感はないです。
それもあって、首都高速を走っているとベンツやアウディ、ワンボックスなどによく挑まれるのが面倒でしたが、ちょっとアクセルを踏むと空を飛ぶように加速して置き去りにできます(笑)。
正直これだけの機能を電気自動車で作り出せるのであれば、ガソリン車は不要になるなと思いました。
ですが、ガソリン車(エンジン)を何がなんでも擁護したい方々は時に荒唐無稽なことをやってきます。
こういう災害もアンチ電気自動車に都合よく利用されるけど案外バッテリーは持つはず。 https://t.co/HmVRtNVspJ
— saito koji@次の海外旅行はいつ? (@kojisaitojp) December 19, 2020
災害のような不幸な出来事までガソリン車(要はエンジンのある車)の擁護に利用しようという姿勢にも呆れますが、そもそも「この積雪でエンジンかけっぱなしだとマフラーが雪に埋れて一酸化炭素中毒とかならないの?」と思ってしまいました。
そういう自分たちに都合の悪い事実は無視して電気自動車の悪口を言うのがガソリン車擁護派の行動パターンのような気がします。
しかもこの指摘は間違っていて、
横から失礼いたします。電気自動車だとバッテリーの残量にもよりますが、暖房でおおよそ1-2日、電気毛布だけなら恐らく1週間くらいは、一酸化炭素中毒のリスクなく車内で安全に過ごせます。
エンジン掛けたままだと暖まれるけど、降雪時はマフラー除雪で眠れないです。 ^安川— evsmart (@evsmartnet) December 19, 2020
なぜか電気自動車のバッテリーがすぐに持たなくなると根拠なく確信しているようで呆れます。
このように指摘されるとダンマリなところが更に呆れます。
おそらくこのような大雪の状況に直面しても、巨大バッテリーを搭載するテスラ・モデルSであれば全く問題なく車内で過ごすことができたでしょう。
この位のスペックの電気自動車を日本のメーカーもすぐに作れるはずなのに、一向に作ろうとしないのは本当に謎です。
実際にテスラ・モデルSに1日乗ってみて、余計にそう思いました。
自らオワコン・ガラパゴスへと突き進む日本の自動車産業
最後はテスラ・モデルSの話ではなく、私が電気自動車を巡る議論でイライラする理由についてですが、それは「世界の流れ」を無視していること以外にも、電気自動車のデメリットを一生懸命説く自動車評論家や経済評論家が「日本語で日本のメディアにしか発信しない」という点です。
世界の流れとなっている電気自動車化に異議がある、間違った流れだと思うのであれば、最低でも日本語ではなく英語で発信しない限りは(可能なら中国語でも)世界の流れを変えることは絶対にできないということです。
日本語で言いたい放題言える日本のメディアという狭い世界の中で電気自動車の悪口を言いまくっても、世界の流れには何の影響も与えません。
日本人という身内で勝手に愚痴愚痴言って、身内で勝手に「やっぱ電気自動車はダメだ!」と勝手に盛り上がっているだけのお寒い状況です。
この状況を本気で変えたいなら、トヨタなどの自動車メーカーだけではなく政治家や日本政府も巻き込んで「電気自動車ではなくハイブリッドこそが優れている」と世界各国に圧力をかけまくる外交努力も必要になります。
そのような努力もせず身内で勝手に盛り上がってるだけなら、日本の主張が世界で相手にされる日は永久に来ません。
そもそも「日本のマスコミが電気自動車ばかり推している」とアンチ電気自動車の方々は勝手に被害妄想を抱いているようですが、実際はテレビ局や新聞社に広告を出すことで実質巨大なスポンサーになっているトヨタなど日本の自動車メーカーに都合の悪い記事は書けません。
自動車ジャーナリストも発売前にトヨタなどの新車の試乗をさせてもらうなど、メーカーから便宜を計ってもらう存在なので、基本的にはトヨタなどに都合の悪い記事は書きません。
この辺りの仕組みは以前の記事で書いていますので、よろしければご参照ください。電気自動車を意地でも認めたくない方々は読まないでしょうけど(笑)。
電気自動車(EV)が世界のトレンド?【日本車はガラパゴス化?】
日本にいるとなかなか自覚しにくいですが、電気自動車(EV)が世界のトレンドとなっていることを解説します。ヨーロッパ、アメリカ、中国と世界の流れが電気自動車に向いている中で、日本だけハイブリッド車やら水素自動車やらの独自の規格で勝負しようとしていますが、ガラケーやSuicaなどと同じガラパゴス規格になる可能性が高いです。
「じゃあお前はどうなんだ?」と私も言われそうですが、もうしばらくしたらこのブログも日本語・英語の二ヶ国語対応にしようかと真剣に考えています。
「世界」という視点で物事を見れないようではビジネスについては語れないと思うからです。
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