2021年5月ノルウェーの驚異の電動化率とフォードのEV化【首位はマスタング・マックE】
こんばんは、@kojisaitojpです。いつもであれば正面から取り上げないテーマなのですが、今回は電動化率以外に取り上げたいことがあるので取り上げます。
ID.3ではないけどID.4が首位争い。
Norway's Plugin EV Transition Continues: 83.3% Share In May With Ford Mustang Mach-E Overall Bestseller https://t.co/DK9GAN6wHb @cleantechnicaより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 3, 2021
ノルウェーの電動化率の凄まじさを取り上げてもアンチEVの方々からノルウェーは水力発電の事情などを持ち出していかに日本と違って再エネが向いてるのかについて言われて上で「ノルウェーと一緒にするな」と猛烈に叩かれるのが目に見えているので毎月の統計が出ても正面から取り上げることはしませんでした。
後で詳しく説明しますが、今回はもはや恒例となりつつある驚異の電動化率に加えてフォード・マスタングマックE」のヨーロッパ投入の影響も出ているのが今回取り上げる理由です。
そのようなノルウェーの2021年5月の販売台数やフォード「マスタング・マックE」について説明しながら、フランスやスウェーデンの電動化率にも触れてみます。
目次
2021年5月ノルウェーの電動化率とフォード「マスタング・マックE」
まず最初は意地でもEVを認めたくない方々が見たくもないであろう電動化率ですが、BEVが60.4%、PHEVが22.9%で合計83.3%と先月に続き80%超えです。
とはいえこの驚異的な電動化率を誇るノルウェーでも2020年5月の電動化率は65.6%ですから、この一年で急激に伸びていることも事実です。
何よりディーゼル車が4.1%、ガソリン車が4.8%と合計でも10%に満たないというのは日本のユーザーからすると想像が出来ないかもしれませんが。
そして車種別の売り上げが特徴的で、何と今回首位に立ったのは納車が始まったばかりのフォード「マスタング・マックE」です。
他にも先日オランダの統計を見ながら紹介したシュコダ「エンヤック」が3位だったり、もうEVの世界では「古豪」に入るであろう日産「リーフ」もランクインしてたりとラインナップが新旧入り乱れており多彩なのはEV先進国らしい結果です。
シュコダのエンヤックについてはこちらの記事をご覧ください。
シュコダ(Skoda)「エンヤック」から感じる「EVのコモディティ化」とは?【兄弟車VW「ID.4」のGTXも紹介】
「意外」というと失礼かもしれませんがオランダの2021年4月の新車販売で電動化率が20%を超えているのも驚異でしたがランキング2位にチェコの「シュコダ(Skoda)」の「Enyaq(エンヤック)」が入りました。フォルクスワーゲンと共通のEV専用プラットフォームを使い「ID.4」とほぼ同等のスペックに仕上がっています。
さて今日注目したいのはノルウェーで首位に立ったフォード「マスタング・マックE」で、私のブログでは解説したことがないので簡単に紹介します。
フォード「マスタング」は1964年からフォードが発売を続ける歴史のある車種で、現在7代目ですが初代から一貫してハイパフォーマンス仕様車が用意されており、フォードのみならずアメリカを代表するスポーツカーとして有名です。
先日はピックアップトラックの「F-150」がEV化された「F-150 lightening」が大人気だと紹介しましたが、実は「F-150」より一足先に「マスタング」をEV化した「マスタング・マックE」を昨年末からアメリカで販売し、2021年4月頃からヨーロッパでの納車をスタートさせています。
フォードが「F-150 」をEV化したことから感じる本気度とは?【バイデン大統領も全面支持】
フォードが「F-150 」をEV化した「F-150Lightening」を2022年から発売することを発表しましたが、ワールドプレミアに先立ってバイデン大統領が試乗し、フォードの工場で演説を行ったことからアメリカ政府もEV化を本気でバックアップするという姿勢が明確になりました。アメリカもいよいよ全面的にEV化します。
ヨーロッパでのフォードはEV化に対して以前から本気で、2030年を目処にヨーロッパで販売する車種は全てEV化することを既に発表します。
先日のバイデン大統領が「未来の自動車は電気だ」という演説を「F-150 Lightening」の試乗を行った後にフォードの工場で行ったことからアメリカ国内の自動車販売も全車EV化の発表がいずれ行われることでしょう。
「マスタング・マックE」のスペックですが、搭載バッテリー容量が75.7kWh(スタンダードレンジ)と98.8kWh(エクステンディッドレンジとGT)、航続距離が338キロから483キロ、充電出力が115kWと150kW」とバッテリー容量の割に航続距離が出ないのがネックですが、
ただし価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)から、AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、これはアメリカの税控除が入る前の金額ですから税控除が入るとかなりお得感があります。
価格面でのアドバンテージがあるので同サイズのSUVであるフォルクスワーゲンID.4やテスラ・モデルY、日産・アリア、ヒュンダイ・IONIQ5などと勝負になるのではと思います。
またアメリカ国内の話になりますが、フォードは自社のEVに対応する充電ステーションを、全米1万2500カ所に設置すると発表していたり、全米2100のディーラーにEV整備士を3500人配属することを明かしており、EVを本格的に展開するためのインフラ整備をしっかりと行っているのはテスラなどには出来ない旧来の自動車メーカーとしてのアドバンテージもあります。
2021年5月のフランスの電動化率と売れ筋のEVは?
現時点でドイツなどの統計が出ていないので主要国ではフランスを取り上げます。
BEVが8.2%、PHEVが9.1%で合計の電動化率が17.3%と2020年5月の7.45%、2019年5月の2.5%から右肩上がりに伸びています。
ガソリン車とディーゼル車の「内燃機関車」は2020年5月の82.7%から63.7%と継続して下落しています。
もちろんこの数字に対して「まだ半分以上占めてるんだからEVなんて普及していない」と言うのは自由ですが、毎月毎月シェアが落ちています。
フランスの場合は2030年から内燃機関車のパリ市内への乗り入れが禁止予定ですので、乗りたければもう一回ガソリン車という選択肢は否定されるものではありません。ゆえに「今回はガソリン車」という選択肢を選ぶフランス人も一定数いると思います。
車種別は出ていませんが、本国プジョーの「e-208」とルノー「Zoe」が首位争い、続くのがルノーの「トゥインゴZE」フィアット「500e」と本国フランス勢とコンパクトカーが強いのは従来のガソリン車の時代と同じです。
ただしフォルクスワーゲンの台数も増えているようでID.4が本格的に納車され始めているのも影響しているようです。
2021年5月のスウェーデンの電動化率と売れ筋のEVは?
さてノルウェーの隣のスウェーデンですが、BEVが16.2%、PHEVが22.8%で合計の電動化率が39.1%と2020年5月の21.5%からほぼ2倍です。
特に前年と比較してBEVの比率が5.2%から3倍以上と急激に伸びてきています。
この背景にあるのが私のブログでも取り上げたことですがスウェーデンが本国である「ボルボの全車EV化」です。2030年からは日本市場も含めて全ての市場で販売する車をEV(もちろんBEV)にする方向で、徐々にPHEVの生産を減らしてBEVに切り替えていくという方針が影響を与えてそうです。
ボルボの「全車電気自動車化(BEV)」とOTAアップデートの衝撃とは?【対照的なガラパゴス日本】
今度はスウェーデンのボルボが2030年からの「全車電気自動車化(BEV)」を発表しました。オンライン販売に切り替えながらも「サブスク形式」という独自の販売方法で既存のディーラー網を残す方向で(雇用を維持する方向で)電気自動車化するという北欧らしい電気自動車への対応方法を発表したボルボの戦略について解説します。
車種別で見るとフォルクスワーゲンのID.4、テスラ・モデル3、起亜のNiroEVが上位ですので、これはヨーロッパ諸国の一般的な傾向と同じです。
「Polestar」や「XC40-Recharge」もランクインしているのがスウェーデンらしいところです。
日本がノルウェーになれなくてもスウェーデンのようなEV化なら可能
最近だとヨーロッパの統計を取り上げても「ヨーロッパなんて所詮ハイブリッドで勝てないからEVに舵を切った」などと見下したような批判が飛んでくるのですが、全く参考にならないわけでもないです。
PHEVが先行して徐々にBEVへというスウェーデンパターンなら日本も可能なはず。
Sweden Continues Electric Vehicle Progress In May With 39.1% Share https://t.co/5yYNJ9qgo5 @cleantechnicaより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) June 3, 2021
先ほどもスウェーデンを取り上げましたが、スウェーデンは元々BEVよりもPHEVの比率が高かった国です。
これはスウェーデンが本国であるボルボが昨年途中まではPHEVを中心に売っていた事情が影響しています。
BEVよりPHEVの方が好まれている国がBEVの比率を上げるきっかけになったのがボルボの「2030年までに全車EV化」の発表です。実際にその後BEVの「XC-40Recharge」が発売され、サブスク形式で話題を集めた「C-40」も今年秋には発売されます。
自国の有力メーカーが全車EV化を発表するというのはそのくらいのインパクト(アメリカでもフォードの「F-150 lightening」はバイデン大統領からのアシストも加わって予約殺到です)があります。
日本でもホンダが先日2040年までの全車EV化を発表しましたが、昨日軽自動車規格のEVの話題でも取り上げた日産・三菱辺りにも続いて欲しいところです。
仮にトヨタにEVを本気で売る気がなかったとしても徐々に外堀は埋まっていきます。
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