IONIQ5に続いてIONIQ6を発表したヒュンダイの先進性とは?【EVのスペックも充電も】
こんばんは、@kojisaitojpです。現時点で「世界最高のEV(スペックだけではなく使いやすさという意味でも)」と言っても過言ではないテスラ・モデル3に挑戦できそうなEVがヒュンダイから2022年に登場しそうです。
The #IONIQ6 sedan will be released 2022. pic.twitter.com/oDS7O8psrK
— Larson Hyundai (@LarsonHyundai) May 11, 2021
私のブログでは「かなりのハイスペック」として何度か紹介してきたヒュンダイ「IONIQ5」がまもなくアメリカ・ヨーロッパで納車が開始されますが、このタイミングでヒュンダイが今度はセダンタイプのEVである「IONIQ6」を2022年に発売するとの情報が出てきました。
なお「IONIQ5」については以前紹介した記事がありますのでこちらをご参照ください。
ヒュンダイ「Ioniq5」が電気自動車(BEV)戦線に登場【モデルY・ID.4・アリアとガチバトル】
昨日のワールドプレミアにおいてヒュンダイ「Ioniq5」の具体的詳細が明らかになりましたが、電気自動車(BEV)の、それもSUVタイプの市場において「モデルY」「ID.4」「アリア」と互角に戦えるスペックの高い電気自動車を出してきました。特に「リビングルーム」と呼ばれるEVの特性を生かした室内空間は必見です。
ヒュンダイ「Ioniq5」が驚異のスペック?【電気自動車も韓国に負ける?】
ヒュンダイが2021年に販売予定の「Iconiq5」の情報がリークされましたが、航続距離、急速充電などスペック面でフォルクワーゲンや日産を凌駕するほどのハイスペックです。スマホにしろ液晶テレビにしろ韓国メーカーとの競争に負けた日本企業は電気自動車でも負けるのでしょうか?今のやる気のない状況を見ると否定できない危機です。
テスラが「モデルY」、フォルクスワーゲンが「ID.4」、日産が「アリア」と各社が全精力をかけた質の高いCUV(クロスオーバーユーティリティヴィークル)の争いでも互角以上に戦えると私が評価したのが「Ioni5」でしたが、今後はミッドサイズのセダンでの勝負になりますのでターゲットはテスラの「モデル3」です。
今日はそんな強烈なポテンシャルを秘めている可能性が高いと思われるヒュンダイ「Ioniq6」について解説します。
目次
EV化する市場で生き残りをかけたヒュンダイのEV化戦略
まずはヒュンダイの話をすると毎度の話になりますが、ヒュンダイと傘下の起亜の世界シェアについては触れないわけにはいきません。
日本だとなぜか「ヒュンダイwww」的に日本メーカーより下に見ている人が特に年齢層が上の世代ほど多いように思われますが、「ヒュンダイ・起亜グループ」の世界シェアは5位です。
これは2019年のランキングですが「現代自動車グループ」は世界5位、アメリカのフォードや日本だとホンダより格上の存在です。
今回の「IONIQ6」も「IONIQ5」同様にヒュンダイが開発した電気自動車専用のプラットホーム「E-GMP」を使用しており、「IONIQ5」と同様にEV専用設計のメリットを生かした広くて自由度のあるレイアウトの車内になることは確実です。
なおヒュンダイは「KONA EV」までバッテリーの供給を受けていたLGエナジーソリューションズとは袂を分かち、「IONIQ」シリーズでは同じ韓国のSKイノベーションのものを採用することが決定しています。
先日取り上げたヒュンダイ「KONA EV」の発火案件が関連しているかは不明ですが。
「IONIQ5」と並んで驚異的な「IONIQ6」のスペック
まだワールドプレミアを行ったわけでは無いので詳細なスペックは不明ですが、現時点で明らかになっている「Prophecy」というコンセプトモデルからある程度の予想ができます。
現時点で噂されているスペックは、
- 300マイル(480キロ)以上の航続距離
- 76.2kWhの大容量バッテリーを使用
- シングルモーターとデュアルモーターを用意
- V2Xに対応(By-directional charging control unit)
となっています。基本的なEVとしてのスペックは先に発売する「IONIQ5」と大きな変更点はありません。噂レベルでは「自動運転レベル3」に対応する可能性があるという新情報はありますが。
まだコンセプトカーレベルの画像だからでしょうが、運転席にハンドルがない(横のレバーのようなものがハンドル代わり?)ところからも自動運転レベル3以上のものになる可能性を感じさせます。
「By-directional charging control unit」というのは「V2L(Vehicle to Load)」とも言いますが、電気自動車に貯められている電力を出力できる、例えばキャンプなどに行った際に家電製品に接続すれば電力供給を受けられるなど出力にも対応するということです。
現時点では噂レベルですが「IONIQ6」の場合は「Vehicle to Vehicle」という、EVからEVへの電力供給も可能になるようです。
ブースターケーブル使ったことあればわかるはずだけどバッテリーは素人同士で供給できるけど、ガソリンでそれやったら命はないぞ。
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 13, 2021
Twitterで私がこの話をしたきっかけは某インフルエンサーがYouTubeで「山奥などでガソリンは保管して置けるけどバッテリーはそうはいかないでしょ」的にEVを否定する動画をアップしていたことでした。
こんな動画を掲載して再生数を増やすのもの不愉快なのでアップもしたく無いところですが、元の発言を引用しないのもアンフェアなので一応置いておきます。
まぁそもそも「ガソリンを保管」って時点で爆発する危険性(ガソリンは揮発性が高いので素人は絶対に触ってはいけないもの)を無視していて「頭大丈夫?」と言いたくなるレベルの話でしたけど(笑)。
「バッテリーの保管ができない」ってのも意味不明で仮に充電したバッテリーを放置しておいてもそんなに簡単に放電しない、電気が来ない山奥でも太陽光パネルなどを用意すればいつでも発電して充電できるなどの点を無視していて正直お笑いだったのですが、何十万人とチャンネル登録者を持っているインフルエンサーがこのようなテキトーな発言をすると真に受ける人が出てきて厄介だなと思いました。
話を「IONIQ6」に戻しますが、「Vehicle to Vehicle」が実装されれば「EVからEVへの充電」が可能になります。
電気自動車をどうしても否定したい方々が今でも持ち出す「雪道で立ち往生した時にガソリンは運べるけど電力は」というレベルの低い批判にも「バッテリーの残っているEVからバッテリーが減ったEVに充電」できればあっさり解決です。
寒さに強いのが「電気自動車」と「再生可能エネルギー」?【日本では逆走中】
2021年2月19日現在、テキサス州でこれまで想定しなかった寒波が襲来し、送電線が凍結するなどの理由で州の大部分が停電に見舞われています。そんな中でテスラの太陽光発電とパワーウォール(蓄電池)を装備した家庭では非常時の電源として機能し、寒さに凍えずに済んでいます。このことが示唆することを日本の文脈でも考えてみます。
ブースターケーブルで100Vバッテリーを起動させたことがあればお分かりかと思いますが、電力の供給はガソリンの供給と違い素人でもできる安全なものです。
「まだくだらないこと言ってる」とEVに言いがかりのような批判をしている方々を見るといつも思うのですが、そんな誹謗中傷のような批判もEVは軽く乗り越えていきます。
噂の充電ステーションも驚異のヒュンダイ
また以前も取り上げましたが、ヒュンダイは超高速の充電ステーションを自社で設置しています。
ヒュンダイの急速充電ステーションがカッコ良すぎる。1箇所に8基あり、他のメーカーの車でも使えるが、ヒュンダイの車は予約可能かつ割安で使えるそうだ。車によって充電プラグの差し込む場所が違うから、丸いのが回って充電器がちょうど良い位置で降りてくる。
トヨタに求めるのはこういうのだよ。 pic.twitter.com/yHqWxRafve
— Konan Tower M3 (@konantower) May 7, 2021
800Vの高圧のおかげかIONIQ5では10%-80%の充電が18分で可能になるという驚異のスペックを披露しましたが、IONIQ6でも同様のパフォーマンスを発揮することは間違いないようです。
近未来をイメージさせるデザイン性の高い充電ステーションでこの辺からも「以前の韓国メーカーのイメージと違ってデザイン面も進化している」というべきでしょう。
この辺りも従来の韓国メーカーに対する意識を変えなければならないところです。
日本の「e-MobilityPower」の新しい充電器であればデザイン面でも勝負できるかと思いますが、従来のチャデモ充電器だと話にならないレベルです。
ヒュンダイが2022年から日本市場に再上陸と言われていますが、「IONIQ5」や「IONIQ6」に乗れるようになったとしても日本国内でこの充電ステーションが設置されることは期待できないのが残念です。
せめてヒュンダイのディーラーにだけでも設置して欲しいなと期待するのは私だけでしょうか?
トヨタに期待するよりヒュンダイに期待すべき?
年齢層によって反応は分かれますが若い層になるほど「日本では昔はパナソニックの携帯電話が一番売れてたんだよ」とか「ソニーやシャープの液晶テレビが世界でトップクラスだったんだよ」とか言われても「???」となるかもしれません。
まぁわざと携帯電話と液晶テレビを出したのですが、今や日本メーカーはソニーが辛うじて世界で戦えているのを除くと世界シェアでは圏外です。
代わりに携帯電話(スマホ)でも液晶テレビでも世界シェアトップにのぼりつめたのは韓国の「サムソン」です。
EV化が進んでいくと同じことが自動車業界でも起きて、数十年後の子供に「昔はトヨタがヒュンダイより世界で売れてたんだよ」と言っても「嘘だ」と言われるようになるかもしれません。
ヒュンダイこそ韓国に偏見がない若い層を狙って販売戦略立てて欲しいな。
— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 11, 2021
私は以前の記事でも「日本メーカーの販売戦略が高齢者しか見ていない」ことを問題にし、「このままだと若い層のシェアを中国メーカーに奪われるよ」と言いましたが、ヒュンダイも日本勢からシェアを奪うメーカーの一つになるかもしれません。
「インスタ映え」する中国メーカーのEVマーケティング?【若い女性もターゲット】
中国で売れているEVの主な購買層が若い女性であることは日本では知られていません。ファッションや化粧品を彷彿とさせるおしゃれな広告を用いて「宏光MINIEV」や「Ora R1 BlackCat(黒猫)」などが大ヒットにつながっている秘密と旧態依然のおじさん層にしかアプローチできない日本メーカーとの違いを考えます。
実際に「IONIQ」シリーズのイメージキャラクターにBTSを起用していることからもわかるようにヒュンダイは比較的若い層をターゲットにした販売戦略を立てているようです。
若い層になるほど韓国に対するネガティブなイメージを持っている人数が減っている印象ですので、今後日本市場に再上陸して「EVに乗ってみたい」と思う若者のシェアを日本勢から奪っていく可能性が大いにあります。
「自動車に限っては韓国なんかに負けるわけがない」とたかをくくっているのは実は高齢者だけかもしれないなと思うのが、私がヒュンダイの「IONIQ」シリーズを見ていて感じることです。
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