アウディ「e-Tron GT」とフォルクスワーゲン「ID.6」の詳細を紹介【日本メーカーには作れない?】
おはようございます、@kojisaitojpです。「またか」というのが正直な感想ですが、悲惨なデータが出ています。
2020年の市場別のプラグイン車のシェアが発表。
「日本では、プラグイン車の販売は実際には28%減少しましたが、プラグイン車の市場はとにかくマイナーであるため、ほとんど問題になりませんでした。」
Global Plugin Vehicle Sales Up 43% In 2020, European Sales Up 137% https://t.co/vS4pKAIADJ pic.twitter.com/1Q7OB44GfL
— 🌸八重さくら🌸 (@yaesakura2019) February 9, 2021
2019年と2020年で世界的には電気自動車の販売台数が43%アップ、ヨーロッパに至っては137%アップと前年比で2倍以上の急増です。
日本はどうだったのでしょう?というのが引用したツイートの内容で、世界の主要国で唯一電気自動車の販売が減少(それも28%)しています…。
電気自動車に関する「先進国」でもなく現在進行中の「発展途上国」でも「後進国」でもなく「逆走国」「発展阻害国」ぶりが見事に発揮されています(笑)。
当然ですが、統計は「プラグインハイブリッド」と「(完全)電気自動車」のみのものです。充電できないハイブリッドは入っていません。「ハイブリッドが含まれないのは汚い、セコイ」と思われるのであれば以前書いた記事をご参照ください。
EV(BEV)とPHEV、PHVとハイブリッド(HV)って何が違うの?【定義を巡る権力闘争?】
世界標準のような定義が確立していないのもあり、電気自動車を巡る単語の定義が曖昧に使われることがあります。EV(BEV)とPHEV、PHVとハイブリッド(HV)のそれぞれの違いを明らかにしつつ、今日は「言葉の定義」が日本・ヨーロッパ・中国・アメリカの権力闘争につながるという電気自動車を巡る重要な側面について解説します。
この数年で一気にガラパゴス化が進んでしまった日本ですが、そんな遅れている国のことなど誰も気にせず世界は電気自動車化へ一直線です。来年の統計ではバイデン政権に代わり、一気に電気自動車化を進める計画のアメリカも大幅に台数を伸ばしてくるものと思われます。
今日は最も急速に電気自動車化を進めているヨーロッパで昨夜発表されたアウディ「e-Tron GT」と中国から情報が漏れてきたフォルクスワーゲンの「ID.6」について取り上げてみます。
目次
「テスラ・モデルS」や「ポルシェ・タイカン」に対抗できるスペックの「アウディ e-Tron GT」
早速ですが、昨夜のワールドプレミアで発表されたアウディの「e-Tron GT」について語ります。情報源が英語のみなので、もし読み違えがあった時は勘弁してください。後日訂正しますので。
そのスペックですがグレードは「e-Tron GTクアトロ」と「RS e-Tron GT」の2種類があり、
- 搭載バッテリー容量は93.4kWh(ネット値は85kWh)のものと
- 航続距離(WLTP)が472〜488キロ(EPAで400キロ前後の予想)
- 0-100mの加速が3.3〜4.1秒(ブースト使用時は2.5秒)
- 最大充電出力が270kWh(22分くらいで5-80%の急速充電が可能?)
価格は99900ドル〜107100ドルが「e-Tron GTクアトロ」、「RS e-Tron GT」が139900ドルと新型のテスラ「モデルSプラッド」とほぼ同等です。
同じフォルクスワーゲングループで比較すると「e-Tron GTクアトロ」が「タイカン4S」、「RS e-Tron GT」が「タイカンターボ」とほぼ同等、アウディの方が若干高いくらいの水準です。
なおポルシェ「タイカン」と今回の「e-Tron GT」は同じプラットフォームを使用しています。
サイズ的には全長が4.96m、全幅が1.96m、高さが1.41mとポルシェ「タイカン」とほぼ同じサイズです。
ちなみに自動運転機能についてはテスラには搭載されていますが、アウディとポルシェにはまだありません。
パワートレインは、「クアトロ」を名乗っていることからもわかるように前後それぞれに1基ずつモーターを備え(AWD)、リア側は2速トランスミッションを介して駆動します。
「トルク寄りのショートレシオと、アウトバーンなど高速走行寄りのロングレシオの2速で、ブースト時以外の通常走行の時は2速発進」になるようです。
また先日「e-Tron」や「タイカン」について説明した時と同様に最大充電出力が270kWhとテスラをしのぐ出力で、100キロの充電ならたったの5分、10-90%の充電も約22分で完了すると航続距離こそはテスラに及びませんが、充電出力の大きさから来る急速充電の速さで補っています。
内装についてはサステナブルであることが最優先されているのでトリムにレザーを一切用いず、多様なリサイクル素材を用いながら、スポーティかつコンフォートな空間に仕立てられているということです。
航続距離については472〜488キロ(EPAだと400キロ前後)とテスラ「モデルS」には遠く及びませんが、ヨーロッパ車の場合は航続距離よりも急速充電の充実度で勝負するパターン(それだけヨーロッパでは充電インフラが充実しているということ)なので、充電網さえしっかりしていれば気にするレベルではありません。
しかもポルシェ「タイカン」がカタログ値の航続距離より走れるという声が出ていますので、同じプラットフォームの「e-Tron GT」もカタログ値以上のパフォーマンスを発揮する可能性もあります。
とはいえ急速充電については日本の「チャデモ」というガラパゴス規格に合わせられると出力が落ちてしまう可能性がありますので日本仕様のスペックが気になるところではあります。
ポルシェが自社で充電網を日本国内でも整備するとのことですので、アウディもディーラーに期待したいところです。アウディに加えてポルシェの充電設備も使えるようなればベストです。
まもなく中国で生産開始の「ID.6」
フォルクスワーゲン「ID.6」についての情報はフォルクスワーゲン側からの発表ではありません。今回の情報は、中国政府に「新モデルの生産と販売」の許可を得るために出された申請から漏れてきたものです。
先日も「中国産のID.4が買えるかも」的な話をしたように、フォルクスワーゲンは中国で生産を行なっています。今回の情報はこちらから漏れてきました。
具体的なスペックについては不明ですが、リークされた画像を見ての通り、7人乗りの本格派のSUVというのは日本で最も人気が出そうな「ミニバン」に近いものです。
現在発売中の電気自動車で7人乗りが可能なのは「テスラ・モデルY」だけなのですが、モデルYの場合は3列目はオプションですし、デザイン的にかなり狭くなってしまうというデメリットがありました。
ですのでフォルクスワーゲンが実質上初の本格的な7人乗りの電気自動車を発売すると言うこともできます。
こんな感じの電気自動車を日本のメーカーが発売すれば爆発的に売れるでしょうし、日本の電気自動車化のきっかけとなる可能性があります。
やればできるのにやらないのか、それともやる「能力がない」からやらないのかは不明ですが、日本メーカーがあ〜でもないこ〜でもないと電気自動車の悪口ばかり言っている間に世界の流れが遥か遠くに行ってしまっています。
「陰謀論」ではなく公表された事実からアウディやフォルクスワーゲンの先進性を見る
某メーカーが渾身の力を込めて開発した電気自動車がこれです。
別の某メーカーが(やりたくないけど渋々)開発した電気自動車がこれです。
「日本メーカが本気を出せばいつでも電気自動車なんか作れる」と豪語していて、いざ出てきた電気自動車のこの2台です。。。
「C+Pod」は論外なのでいちいち触れませんが、「MX-30」も外観や内装こそは立派なものの、先日も言ったように肝心のバッテリー容量が小さいことからくる航続距離の短さ、バッテリー温度管理に問題があるようで寒くなるとパフォーマンスが落ちるなど既に欠陥が指摘されています。
片やヨーロッパではフォルクスワーゲンにしろアウディにしろ(同じグループではありますが)、今日述べたようなハイスペックな、あるいは多目的に使える便利な電気自動車を発売、あるいは今年か遅くても来年には発売できるくらいの状態です。
新型プリウス 2022年にEVとして登場。
とかが本当なら、とても嬉しいよ??😢
航続距離JC08換算で500km=EPA換算で約370kmなら素晴らしいよ!?
トヨタディーラーで100kWh〜150kWhの急速充電器が設置されるなら、とても喜ばしいことだよ!!?けど現実はC+なんだよね😭https://t.co/CS5aj4xarK
— タツ (@ritten_JBN) February 7, 2021
「トヨタは実はこっそりEVの開発を行なっているはずだ」という思い込みからこのような噂が出てくるのですが、明確な根拠もないのに「〜はずだ」と勝手に決めつけるのは、現在一部で困った人たちを生み出している「陰謀論」と同じ類の寒い話になります。
もちろん何か具体的な情報が出てくれば私も考えを変えますが、現状「C+Pod」とレクサスでしか電気自動車を開発できていない事実から推測するに、トヨタに高性能の電気自動車を開発する能力は現時点ではないと予想します。
そんな噂レベルの話ではなく本日の「e-Tron GT」や「ID.6」などの開発が公表されているフォルクスワーゲン、先日取り上げたような驚異のスペックの「モデルS」と「モデルX」のモデルチェンジを発表したテスラのように具体的な話も出ないメーカーには期待できません。
「モデルX」や「サイバートラック」などテスラの今後を紹介【今日は電気自動車の話題で】
先日はテスラ・モデルSのモデルチェンジに触れましたが、字数の都合で触れられなかったモデルXやサイバートラック、電動トラックのSemiについて紹介します。日本メーカーが低スペックのEVを出して失笑される中で、乗用車のみならずピックアップトラックや大型トレーラーの電動化も進めるテスラの今後について自動車の面で紹介します。
日本の現実として突きつけられているのは、冒頭に引用したような「世界の主要国で唯一電気自動車の販売台数が減っている」という残念な事実だけです。
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