電気自動車化(BEV化)するライドシェアはロボタクシーに進化?【Uber・Lyft・Grabなど】
こんばんは、@kojisaitojpです。最近はあまり名前を聞かなくなっていたアメリカの企業の名前が流れてきました。
Uberも佐川同様に大手ではなくベンチャーと開発。
Arrival partners with Uber to design an EV for ride-share drivers https://t.co/TsIZlbfIYv @electrekcoより— saito koji@次の海外旅行の前にEV購入? (@kojisaitojp) May 4, 2021
以前であればテスラ以上に「既得権益と真っ向勝負」という意気込みが感じられ、実際に世界各国で政府の規制やタクシー会社とバトルを繰り広げていたUberですが、最近は日本だとUbereatsのブラックな労働環境などが話題になったりもしたように、「労働者の権利を守らない企業」という扱いを受けることも多いです。
Uber、米カリフォルニア州で値上げ 運転手の待遇改善
【シリコンバレー=白石武志】ウーバーテクノロジーズやドアダッシュなどの米配車・料理宅配大手がカリフォルニア州でサービスを値上げした。2020年11月の住民投票で承認された法案で各社が約束していた運転手の待遇改善を果たすため。値上げ幅は最大1回2ドル(約206円)になる地域もあるが、消費者への周知はほとんどなく市民団体は反発する。ウーバーは20年12月中旬、カリフォルニア州内の利用者を対象に「運
それでもカリフォルニア州では「ギグワーカー(ネットで単発の仕事を請け負う労働者)にも法定最低賃金以上の給与や社会保障費を払うこと」が義務付けられ、Uberのドライバーの待遇が改善されたようです。
今日はそんなUber社がEV化にあたって新興ベンチャー企業とEVを共同で開発するという日本でもどっかで聞いたことのあるニュースと、ライドシェアが今も違法扱いで導入されない日本市場が今後の「EV化→完全自動運転」の流れにどう対応を迫られるのかについて考えてみます。
目次
Uberも佐川急便も新興ベンチャーと共同でEVを設計するのはなぜ?
さて冒頭で引用したニュースですが、Uber社が自社でライドシェアに使用する車両のEV化(イギリスでは2025年、EUとアメリカでは2030年と発表)をするにあたってイギリス・ロンドンに本社があるスタートアップ企業の「Arrival社」と共同で開発するとの発表です。
日本に住んでいると「あれ?似たようなニュースあったよな?」とEVの情報に敏感な方であればすぐに気づきます。
はい、「佐川急便が日本のベンチャー企業とEVを開発」という先日のニュースがそれです。誤解のないように言っておきますが、「佐川急便と日本のベンチャーが開発したものを中国メーカーが製造するファブレス方式」ですのでこれは立派な日本の車です。
「ファブレス方式」を理解できない頓珍漢な自動車ジャーナリストが「中国のEVガー」と早速批判していますが、それを言い出すと「じゃあ中国で製造しているiPhoneって中国ブランドなの?」という話になります。
佐川の話は今日の本題ではないので、詳細は以前書いた記事をご参照ください。
佐川急便が商用車を中国製EVにする衝撃とは?【日産(三菱)以外は終了?】
佐川急便が配送用の軽規格のEVを日本のベンチャーが企画し、中国メーカーが生産したものを導入するという衝撃の発表がありました。しかもこの中国メーカーは「Wuling HongGuang Mini EV」を販売する「広西汽車集団」です。日本市場への中国メーカーの進出が始まったことに日本メーカーは危機感を持つ必要があります。
偶然のようにも見えますが日本の佐川急便にしてもアメリカのUberにしても新興のベンチャー企業に自社で使用するEVを発注しています。
「日本のメーカー何やってるんだ?」という声をあげるならUberに対しても「何でアメリカのメーカー使わないんだ?」と声をあげないとアンフェアです。
このように旧来のメーカーに発注しないで新興ベンチャーに発注するというのが私から見ると「これがEVの時代だな」「旧来のメーカーだと高いんだろうな」と予想ができてしまいます。
まず電気自動車(BEV)になったことによりエンジンの開発が不要であることから旧来の自動車メーカー以外でも製造が可能になります。
佐川急便であれば運送用、Uberであれば今回の車両はライドシェア用ですが、それぞれの目的に応じて使いやすい設計になっていますが、こういう好みに合わせた設計というのはコストがかかるので旧来の車メーカーが嫌がる傾向があります。
だから比較的低コストで生産に応じてくれるベンチャー企業を使うという流れが今後も広がっていきそうです。
例えばUberとArrivalの件で出てくる車両の写真を見ると、「助手席が折りたたみになっていて乗車人数などに応じた使い分け」をしやすい仕様になっています。
車両の外観はまだ発表されていませんので不明ですが、今回は運転席があるつまりドライバーがいることが前提のようですので、他社で開発が進む自動運転車両のような箱型にはならずセダンタイプで出す可能性もありそうです。
予定では2023年後半からの生産開始で、先ほども言ったイギリス・ロンドンの「2025年以降タクシーはEV化」に間に合わせる計画のようです。
既存メーカーのEVを使う選択肢もあり?
ちなみに運転席とインフォテイメントシステムが「テスラ・モデル3っぽい」と思いませんか?
この設計はよく「テスラのパクリ企業」と揶揄されることもあるXpengなども積極的に導入していますが、どうやら現在のEVではこの設計がベストのようです。
私も以前の記事でテスラ車は「モデル3」「モデルX」「モデルS」とカーシェアで試乗しましたが、エアサスによる快適さや運転していての安定感などはモデルXとモデルSの方が上だなと思いましたが、唯一タッチスクリーンについてはモデル3の方が全然使いやすいと思いました。
「テスラ・モデル3」をカーシェアして日光まで行った話【チャデモ充電もお試し】
「テスラ・モデル3」にカーシェアで試乗することができたので感想をアップします。日光までの1泊2日の旅行なのでオートパイロットやサモン、チャデモを使った充電、ディスプレイでYouTube視聴などモデルSの時以上に試しましたので体験記をアップします。国内メーカーはテスラとどう戦えるのか?という疑問も同時にわいてきました。
となると「じゃあ新型のモデルS買えよ」と言われそうですが、さすがに予算的に無理です(笑)。
中古でモデルSかモデルXを買うと旧型の縦置きのタッチスクリーンでちょっと使いにくい面もありますがこのくらいは我慢して買うか、若干乗り心地に不満があってもタッチスクリーンの使いやすさが最強の新車でモデル3を買うかという選択をいずれ迫られることになります。
ちなみにそういう面で見るとこの前「悪くないEV」と評価したホンダeは非常に使いにくいガラパゴスなタッチスクリーンに感じます(笑)。
思い付きで夜中に「ホンダe」をカーシェアして都内を走った話【価格以外は合格?】
ふと思いついたので近所のホンダディーラーに置いてあった「ホンダe」をカーシェアで借りてみました。テスラ車などと比べて小型で取り回しのしやすい車体は魅力的で、運転の仕方次第では航続距離も伸ばすことができそうなので悪くはないのですが価格が高すぎるのがネックです。2040年の全車EV化へ向けてこの経験を生かして欲しいです。
話を戻しますが、もしUber社が「テスラ・モデル3」を自社の車両として導入するとなると今回の新興ベンチャーの何倍ものコストがかかることは明らかです。
Tesla Model 3 taxis drive NY's approval for more all-electric yellow cabshttps://t.co/AHvARrDfYk by @Writer_01001101
— TESLARATI (@Teslarati) May 4, 2021
とはいえ2035年からのガソリン車禁止に備えてニューヨーク市ではタクシーの車両を「テスラ・モデル3」に置き換えようという方向で動いていますので会社によって対応は分かれていますが。
車両を発注する会社の立場で考えれば自社の予算や必要な車両の規模に応じて旧来の車メーカーのものを使用するか、ベンチャー企業などと共同で開発してコストを削減する方向で行くか以前より選びやすくなっているのはEV化の特徴でもあります。
ライドシェアも「EV化→自動運転化(ロボタクシー)」するとどうなる?
日本の場合ライドシェアが認められない関係でUberについてはライドシェアよりも(一応タクシー会社と提携でやってはいますが)「UberEats」の方が知名度を得てしまったのでややこしいですが、海外によく行く方であればご存知の通り、Uberはライドシェアが元々の本業で「そのついでに食べ物も運んだら?」という感じで派生して誕生したのがUberEatsです。
私も海外へ行った際には(最後に行ったのが2019年なので徐々に遠い過去になってきています)Uberがある国ではUberを、Uber社が事業を売却した東南アジアではGrabを使用し、普通のタクシーを使うことはまずありません。
スマホで過去の履歴を探るとこのようにアメリカやインドで私がUberを使用した履歴がたくさん出てきます。実際にタクシーより安い、タクシーのように英語などの外国語で口頭で行き先を説明する必要がない(スマホアプリに住所や建物名を入力すればOKなので楽)のは大きなメリットです。
今回のUber社の車両の場合はまだドライバーが乗ることが前提で考えられている設計ですが、そう遠くない将来に「完全自動運転」の運転手のいないタクシーになるとむしろ「スマホアプリに目的地や住所を入力」するスタイルが当たり前になります。
- 内燃機関車(エンジン搭載車)→電気自動車(BEV)に切り替わるのが第一段階
- EV化の後には「完全自動運転」による無人タクシーへ切り替わるのが第二段階
日本の場合困ったことに今になっても「EV化すべきか否か?」とか「EVは日本には馴染まない」などのEV化そのものに抵抗するような記事などもマスコミで多く見られますが、第一段階の議論は中国やヨーロッパではEV化で解決済み、アメリカもEV化を推進するバイデン政権となった時点でほぼ確定の状況です。
現在世界の主要国で議論になるのは「いつから自動運転(レベル4)を認めるのか?」という点です。
例えば中国のファーウェイ(現在はスマホより自動運転に注力)が先日公表した自動運転(レベル4なので責任もドライバーではなくシステムに)が既にこの水準です。
日本より間違いなくカオスであると思われる中国の道路(他の車の割り込みや自転車の飛び出しなど)でも既に対応できる水準まできています。
実は中国・ヨーロッパ・アメリカでは既に「EV化はほぼ確定で次の段階の自動運転の導入」にメインテーマが移っています。
ライドシェアに関しては既存のタクシー業界への配慮なのか「白タク営業は認められない」と既得権益を優先する対応を取った日本政府と国土交通省ですが、「完全自動運転のロボタクシー」についてはどうするのでしょうか?
- そもそもロボタクシーを認めるのか?
- 認めるとしたら旧来のタクシー会社だけではなく新規でロボタクシーをやりたい業者を認めるのか?
完全自動運転が人間が運転するより事故が少ないとなると自動運転を認めない理由は無くなります。
その時にAIが運転する「ロボタクシー」も旧来のタクシー会社の既得権益に含めてしまうのか、それとも車両の整備をしっかり行うなどの条件をクリアすればタクシー会社以外にも解禁するのかはが日本の「モビリティ」の未来を決めると言ってもおおげさではありません。
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