こんばんは、@kojisaitojpです。ちょっと前から「テスラの株価がトヨタの時価総額を超えた」ということが車業界のみならず投資の世界でも話題になっています。
米テスラ、S&P500に採用 指数連動型ファンドが大量買いへ
株価指数の算出を手掛けるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、S&P総合500種<.SPX>銘柄に米電気自動車(EV)大手テスラ
ちなみにS&P500というのはアメリカの株価全体の状況を現す指数で、2004年に創業の歴史の浅い会社がここに組み込まれることは快挙です。
とはいえ今のアメリカの株価はバブル化してますので、別にトヨタの時価総額を超えたからといって企業価値も上回ったとは全く思ってません。ここをやたら強調して「トヨタもオワコン」とか言ってるYouTuberやブロガーがいたらそれはそれで胡散臭いです(笑)。
今日の話題ではありませんが、ニューヨーク「ダウ」をアメリカの株価全体の指数と勘違いしている人が多いですが、「ダウ=アメリカ株」のように言っている投資家は嘘つきですので信じなくて良いです。その人がビットコインなどの仮想通貨も買い煽ってたらほぼ詐欺師確定です(笑)。
さてそれは本題ではありませんが、テスラの株価が勢いよく上がってきたのは事実です。しかし実際に車の販売台数で見ればトヨタはテスラの30倍売ってます。
車メーカーとして見ればまだまだ序列は「トヨタ>テスラ」です。
しかしテスラには普通の車メーカーではできないとてつもないことを実現しようという野望があります。これが実現すればトヨタなんかとはスケールの違うグローバル企業になる可能性を秘めています。
今日はそんなテスラの「野望」について解説します。
ただの車メーカーでは無い「テスラ」
2004年に創業してわずか10数年でトヨタを超える時価総額の企業に登り詰めたテスラの創業者イーロン・マスクですが、彼の構想だと電気自動車以外にも「スペースX」と呼ばれるロケットの開発をして人類が火星に移住できるようにするとか、「ハイパーループ」と呼ばれる地下を走る時速1200キロ(リニアモーターカーの2倍)で走る電車の構想など、かなり無理のあるプロジェクトもブチ上げてはいます。さすがに全てが成功することはないでしょう。
ですが振り返って2004年の時点で、PayPalという金融の経験しかないイーロン・マスクが「今から15年でトヨタの時価総額を抜く車メーカーを作ってやる」と宣言しても誰も信じなかったでしょう。
そんな荒唐無稽なことが一つでも実現しているわけですから、何が起こるかわからないというのが正直なところです。
私が生きている残り30年〜40年位の間に「ちょっと火星に旅行してきます」なんてブログ記事を書く日が来ないとは言い切れないです。
あるいは「ハイパールーフ」が実現すれば新幹線もリニアモーターカーも論外で、「東京→大阪」が30分、「東京→札幌」が1時間弱で行けるようになり、コロナで苦境に陥っている航空業界も粉砕されるかもしれません。
実は電力事業がテスラの武器?
さてそんな荒唐無稽なテスラが電気自動車以外で既に実現している大きな事業が「電力」です。
イギリスで『テスラ』が電力会社としての事業開始を準備 | EVsmartブログ
電気自動車メーカーのテスラは、Megapackなど太陽光を使ったバッテリー事業にも注力しています。イギリスで電力事業者となるべく申請がされたとのニュースが報じられました。
電気自動車に対して「電気自動車に充電するための電力が火力発電だとエコじゃない」と幼稚な反論をしている日本のアンチ電気自動車の人々を嘲笑うかのように「じゃあ太陽光発電で全部賄ってやるよ」というイーロン・マスクの高笑いが聞こえてきそうです。
実際に電力事業までは行かなくても日本でも「パワーウォール」という蓄電池が100万円前後の激安プライスで提供が始まっており、自宅に太陽光パネルなどを設置している家であれば、このパワーウォールに電力を貯めて、車の充電ができますし、非常用の電源として災害で停電になった際などには活用できるなどのメリットがあります。
自宅の電力を全て賄った上で、電気自動車の充電もできるようになる日はそれほど遠くありません。こうなると発電に関しての問題も解決します。
私もテスラのホームページを見ていて、東京ではマンション暮らしだから無理だけど、実家の札幌に帰ったらパワーウオールと太陽光パネル設置してテスラに乗る生活ができるかもと一瞬興奮しました(笑)。まぁ北海道は「雪どうするの?」という別の問題もありますが。
このようにユーザーに夢を与え続けるのがイーロン・マスクの魅力なんだろうなと思います。ただ車に乗るのではなく、その先のライフスタイルまで想像させるという。
発想を転換させればいいだけの話です。
またガソリン車が約10万点なのに対し電気自動車は約8000点と圧倒的に少ない(これはユーザーからすると整備が簡単、故障が少ないというメリット)ことから日本では「部品メーカーや下請けが潰れる」とこれまた反発を受けるのが電気自動車ですが、例えばテスラのように太陽光発電にも力を入れればある程度雇用の穴埋めになるのではと思ったりもします。
一生懸命テスラの足を引っ張る日本のジャーナリスト
日本の自動車ジャーナリストが立場上日本のメーカーを褒めざるを得ない事情はこの前お話ししましたが、電気自動車という次世代の自動車規格争いで大きく遅れを取っているトヨタの現状を無視して相変わらずテキトーな記事を買いています。
「トヨタ超えの株価」でも、テスラが世界一になれない理由
アメリカの電気自動車メーカー、テスラ社はその勢いに乗り自動車市場で存在感をますます大きくしている。日本メーカーは対抗できるのか? 経済評論家の渡邉哲也氏が分析。
試しに「テスラ トヨタ」というキーワードでGoogleで検索すると「トヨタはテスラのはるか上を行く」のようなトヨタの提灯持ちのような気持ち悪い記事がたくさん出てきます。
まぁ私もトヨタが劣っていると言いたいのではなく、「せっかく世界トップクラスの技術を持っていながら、このままだと電気自動車の覇権争いでテスラとか中国のメーカーに負けるよ」と言いたいだけで、こういう記事のような「技術があるからトヨタが勝つ」的な話をされてもうんざりするところです。
トヨタ中間決算での豊田章男社長の発言に「テスラを理解していない」という指摘 | EVsmartブログ
トヨタ自動車の『第2四半期決算説明会』に豊田章男社長が出席。質疑応答でテスラを評した発言について、アメリカの『CleanTechnica』が「トヨタの社長はテスラとその使命を理解していない」と指摘しています。どういうこと […]
まぁ、社長がまだテスラを格下だとバカにしてるわけですから、ナメてますよね。
社長の言っていることとは逆に、将来トヨタがテスラの下請けとしてテスラ車を生産する光景が見られるかもしれません。
もちろん「日本オワコン」を望んでいる胡散臭いインフルエンサーたちとは私は違うので、日本の基幹産業である自動車がそのようになられても困るのですが、今のまま電気自動車で世界の覇権をテスラに握られてしまえばテスラの傘下に入る日本の車メーカーが出現する可能性は全然あります。
社長の言葉とは反対に「テスラのレシピをトヨタのシェフとキッチンが料理する」、トヨタがテスラの下請けになるような日が来ないとも限りません。
10数年前にiPhoneをAppleが発売した時に、「そんな携帯電話じゃ…」と嘲笑していた日本の家電メーカーのように没落して欲しくはないですが、このままでは非常に危険です。
大昔の高度経済成長期には「いつかはクラウン」なんて流行語があったように、経済発展する日本でマイカーを持てる新しいライフスタイルという夢を売ったのがトヨタだったのですが…。
今や図体だけデカくなって既得権益を守る会社に変貌してしまったようです。
余程頑張らないと日本の車メーカーがオワコン?
自動運転できないとか、安全性がどうたらこうたら、走行距離が云々かんぬんとあらゆる方面から電気自動車の悪口が聞こえてきますが、残念なことにヨーロッパ市場、中国市場はもう電気自動車化に舵を切っていますし、バイデン政権の誕生によりテスラの本国アメリカも電気自動車化に踏み切ることは間違いなさそうです。
もう世界標準になってしまっている規格に対し「ハイブリッドの方が優秀」「水素燃料自動車の方が優秀」といくら高性能をアピールしたところで、世界のシェアを取れない限り負け犬の遠吠えです。
もちろんそのような抵抗勢力の存在は、ディーゼルエンジンの不正後に急激に電気自動車に切り替えを推進したフォルクスワーゲンも同様で、電気自動車化によって部品が少なくなり労働者も削減せざるを得ないがゆえ、労働組合から猛反発を食らってCEOが追放されそうですが、それでもこの先次から次へと電気自動車をリリースします。
電気自動車シフトに気迫示すフォルクスワーゲンCEO
独フォルクスワーゲン(VW)は、電気自動車(EV)時代に向け懸命に改革を進める。グループCEOディース氏の前には、複雑な社内統治やソフトを巡るテック大手との戦いが立ちはだかる。だが同氏はEVで利益を上げる未来を見据え、VWは前進していると主張する。
どこの国でもある程度の痛みを伴いながら改革をしようとしているわけで、今の既得権益の構図を守ってガラパゴス化して滅亡しようとは思ってないわけです。
ですがこのままだとガラケーの時同様に日本でしか通用しない「ハイブリッド」と「水素燃料自動車」に固執してガラパゴス自動車になってしまうのでしょうか?
ちなみに韓国嫌いの方は顔をしかめるでしょうが、トヨタの次に水素自動車を推し進めているのは韓国のヒュンダイですから、ヒュンダイと組んで戦うという道は辛うじて残されていますが。世界シェアで2位のトヨタと5位のヒュンダイが組めばまだワンチャン可能性はあるかもしれませんが、まぁプライドが許さないでしょうが。
世界の自動車販売台数の半分を占める中国市場が電気自動車一直線ですから状況は絶望的です。
新しい技術、それも世界の標準になろうとしている技術にイチャモンをつけても、流れは変えられません。
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