なぜ電気自動車を日本の車メーカーは嫌がるのか?【既得権益?】

さてここのところ特集している「電気自動車」の話にまた戻りますが、こんなツイートを見かけました。

個人的にコロナ以降の世界の特徴として「自国のこと意外に視野が広がらなくなる」というのがあると思っています。

ガソリンエンジンを絶賛するようなツイートや記事ももはや世界の流れの中では無力、自分の国ではガソリンエンジンでまだまだ行けるぞ的に思っていても、世界の流れは電気自動車化一択。

世界トップクラスの技術力だからこそできる日本の「プラグインハイブリッド」自体もすでにイギリスなどでは2035年以降には販売禁止になる流れ(イギリスがやれば必ず追随する国が現れます)にはもう逆らえないとこの前の記事でも言いましたが、認めたくなくてもそれが世界の現実です。

私は内心電気自動車だろうがハイブリッドだろうがエコだから、地球に優しいから推進しようなどとはこれっぽっちも思っていません。またハイブリッド車の技術は日本が世界のトップで、アメリカやヨーロッパ、中国などが日本に勝てないから電気自動車の流れを作っているというのも十分理解しています。

ですが自国でしか売れないものをいくら「世界最高の技術」と絶賛しても、世界の流れがこっちに向かないのであれば無用の長物です。

にもかかわらず日本では相変わらず電気自動車を批判する記事ばかり。

今日はその原因について考えてみます。

日本型「エコシステム(既得権益)」でがんじがらめの日本の車メーカー

部品数も多く(ガソリン車は約10万点に対し電気自動車は約3万点)、開発年数もかかるのがガソリン車の特徴です。トヨタが一台辺りの開発期間が平均8年なのに対し、テスラはたったの3年です。現状我々が直接絡む機会がない中国の電気自動車専門メーカーであればもっと早いかもしれません。

研究開発部門、部品を作る工場、販売するディーラー網など膨大な設備と人員が必要なのがこれまでの自動車産業です。

例えば日本で最大の自動車メーカの一つであるトヨタが電気自動車に舵を切るということは、これまで抱えていた部品メーカーやディーラーなどの自動車整備工場、更には下請け企業を大幅に削減することになります。

    ちなみにトヨタ自動車の他に、「トヨタグループ」として豊田自動織機(ここがトヨタの発祥)、愛知製鋼、ジェイテクト、トヨタ車体、豊田通商、アイシン精機、デンソー、トヨタ紡績、東和不動産、豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本、豊田合成、日野自動車、ダイハツ工業、トヨタホーム、トヨタ自動車九州があります。

    トラックなどで有名な日野自動車、軽自動車などで人気のダイハツ工業辺りは単体で見ても、誰もが知っている大企業です。

    しかもこの中ではトヨタと関係なしに独立でも勝負できる大企業も含まれており、例えばデンソーは部品メーカーで世界2位、売上高で5兆円以上の規模です。

    オートマなどで有名なアイシン精機も今ではヨーロッパなどで多くの車メーカーにオートマチックトランスミッションを提供しており(実はこのおかげでオートマが貧弱という欧州車の欠点が解消されています)、こちらも誰もが知っている大企業です。

そして当然ですが、これらの子会社にはそれぞれの子会社に部品などを納入する中小の部品メーカーなどがあり、その下請け、更にその下請けと、トヨタと関連が少しでもある企業という条件で探すと無数の中小企業が出てきます。

電気自動車化に踏み切ると、これらの膨大なグループ企業全体を大幅に縮小する必要が出てきます。

これが「既得権益」のようになって、電気自動車化を阻止していると見ることもできます。

トヨタを例に挙げましたが、別に他の自動車メーカーでも一緒です。

街中にも「自動車整備工場」という抵抗勢力が

関連企業だけではありません。世の中には車メーカーと直接関係ない「自動車整備工場(多くは中古車屋と兼業)」が無数にあります。

実はこれらの自動車整備工場も車メーカーにとっては良いお客さんです。というのも車検や故障などで自動車を整備する度にトヨタや日産、ホンダなどに部品を発注してくれます。また街中の整備工場で原因がわからないような故障であれば、ディーラーに持ち込んでコンピューター診断をしてもらうこともありますので、ディーラーではない街中の整備工場も実は車メーカーと密接な関わりがあります。

ここにこれまでのように整備士の熟練した技術が不要となる「電気自動車」が入ってくるとどうなるでしょうか?

街中の中古車店などでも車の整備にこれまでのように人員をさく必要がなくなります。

  • 部品点数がエンジン車約10万点に対し、電気自動車は約8000点
  • オイル交換不要など消耗品が少ない

私のように年間2〜3万キロは車に乗っているユーザーからすると「オイル交換不要」と言われるだけで、整備にかかるコストが大幅に減るというメリットを感じます(外車で5000キロごとにエンジンオイルを交換しないのは自殺行為です)。

この前もエンジンから異音がするので、整備に出したのですが、たまたまある部品を交換するだけの数千円の修理代で済みましたが、最悪の場合「スロットルボディ」という部品の交換になり、数十万の修理代がかかるところところでしたので冷や汗ものでした。

日産リーフ試乗

「電気自動車だったらこういうトラブルと無縁なのに」とますますテスラへの購買意欲が湧いてしまいましたが(笑)。先日の試乗の記事でも書きましたが、、テスラ買う予算が足りなければ日産リーフでも十分快適だなと思いましたし。

このような電気自動車のメリットは、実は車メーカーや中古車店、整備工場にとっては「儲からない」というデメリットにもなるということです。

私も経験がありますが、エンジン以外の故障、例えばエアコンやカーナビの故障の場合、極端に言えば街中の電気屋でも修理ができます。実際に車の中でも電装品の修理専門のお店もあります。

となるとエンジンの整備が不要になることになって割を食う人々が街中の自動車整備工場にもいるわけです。同時に売る部品の数が少なくなるから車メーカーや部品メーカも困るという。

電気自動車が主流になれば極論を言えばテスラが既にやっているようにオンラインで完結する自動車販売も可能になる可能性が高いです。

というわけでここにも「抵抗勢力」が誕生するわけです。

既得権益をクラッシュさせることはプラスです

結局のところ「電気自動車」を一生懸命批判する人が「どういう立場から語っているのか?」という視点で見ると色々な問題が見えてきます。

もはや電気自動車が中心、プラグインハイブリッドも含めたエンジンを持っている車自体が世界各国から必要とされなくなってきている流れをどうしても直視したくないようです。

ヨーロッパ、中国、アメリカが電気自動車中心にシフトしたら、世界の市場の大半を持っていかれてしまうという現実を見たくない、だからこそ日本国内だけでも必死で「内燃機関(エンジン)」を維持しようとしている、既得権益にしがみつく「抵抗勢力」に見えてしまいます。

実際に「反抵抗勢力」の象徴のようなこの人は、電気自動車に対してこのような見解です。

「内燃機関(エンジン)」を「参入障壁」と捉えているのが彼らしいなと思いましたが、ユーザー目線で見てもエンジンという「ブラックボックス」のような存在があることで理由が不明確な高額な修理代を請求されても「仕方ない」と思って払ってしまいがちです。

私のようなひねくれ者であれば「エンジンのどこがどう変なの?」と聞きまくった上で、「この部品とこの部品はネットで注文した方が安いから自分が用意する」「この部品は中古パーツでも良くないですか?」と主張する客ですので、店には結構ウザがられます。

「外車ってのはカネかかるものなんだよ!」
「うちのお客さんで中古パーツ使ったお客さんは一人もいない」

などとディーラーのスタッフを半ギレさせたことは何回もありますが、冷静さをなくしてる時点で向こうの負けですよね(笑)。

他にもこっちが素人でわからないと思って「持ち込みの部品だと安全性が保証できないから修理できませんよ」とテキトーな嘘をついてきたスタッフもいましたね。同じ部品メーカーから仕入れているくせにお前らが仕入れると品質良くなるのかよと内心思いましたが(笑)。

自動車の部品はディーラーや街中の自動車整備工場経由で部品メーカーに発注すると、ネットで直接注文したのに比べて中間マージンが発生して割高になるというだけの話なのですが、品質の問題にすり替えるというレベルの低い対応をされたことも何回もあります。

私がこれまで乗ってきたルノー・シトロエン・ジャガー・フォルクスワーゲンなどの外車の場合、輸入代理店まで中に入るので更に部品代が上がってしまいます。

まぁ彼らからすると普通のユーザーが主張しないことを主張して、修理代を安くしようとする客はウザいのでしょう。意地でもディーラーの要求通りの修理をさせてぼったくってやるという気合いを感じたこともあります(笑)。

ですが電気自動車が主流になればこのように意地でもぼったくろう既得権益にしがみつくディーラーも不要になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました