こんばんは、@kojisaitojpです。この記事やツイートに問題があるわけではないのですが、そもそも世の中一般に「電気自動車(EV)」の定義を理解しているのかなと、ふと思いました。
日本もようやくガソリン車を減らす方向に一歩。ただ、日本が強みを持つハイブリッド車(HV)の販売は続けられるもようです。欧米ではHVも禁止する動きが進んでおり、 電気自動車(EV)シフトが加速すれば、日本勢は取り残されることに。https://t.co/vp7PVFRJrZ
— Dai Igarashi 五十嵐大介 (@dai_igarashi) December 4, 2020
実はこのツイートに出てくる「ハイブリッド車」というのが「プラグインハイブリッド車」まで含むニュアンスで発言しているのかがはっきりしません。
「電気自動車」と「プラグインハイブリッド車」の区別、更には「ハイブリッド車」と「燃料電池車(水素自動車など)」の違いがはっきり理解できているでしょうか?
急な思いつきで電気自動車についての記事を書き始めましたが、元々車に詳しい自分であればともかく、車のことを全く知らない人が見ると区別がつかないなと思いました。
そして「電気自動車」と「ハイブリッド」の線引きをわざと曖昧になっている今の日本の状況が、日本の車メーカーのセコい思惑を感じる部分ですので、少し語ります。
そもそも「電気自動車(EV)」の定義とは?
まず日本で一般にエコカーと呼ばれるものの定義をそれぞれ整理します。
電気自動車(EV)→動力が全て電気の車(充電オンリー)
プラグインハイブリッド→充電式の電力とガソリンエンジンを併用(電気のみの走行も可能)
ハイブリッド→バッテリーとガソリンエンジンを併用(バッテリーは走行中に充電)
燃料電池車→近年だと水素燃料自動車(FCV)のように燃料電池を使って発電することでモーターを動かす
EVを名乗るのであれば「完全電気自動車」である必要があります。プラグインハイブリッド車(PHEV)のように電力とガソリンエンジンを併用する自動車のことを電気自動車(EV)に含める国と含めない国があることは案外知られていません。
特にハイブリッド車の技術が非常に高い日本ではこの二つを「電気自動車(EV)」と呼ぶ傾向がああります。
これもマスコミの情報操作の一つです。
地上波のテレビや新聞などを見ると「トヨタ」「日産」「ホンダ」などのCMを必ず見ますよね。ネットでもYahooなどを開くと自動車メーカーの広告があるでしょ?
広告(スポンサー)としてテレビ局にお金を注入することで、「ウチに不利な報道をするなよ」という猛烈な圧力になります。
実際に、例えばトヨタがCMを出している番組の中でタレントがトヨタの悪口なんて言おうものなら芸能界から消されます(笑)。CMに入る際に「トイレはCMの間に」と言っただけで芸能界から消されたタレントも過去にはいます。
以前お話ししたように、自動車ジャーナリストも圧力を受けて、日本の車メーカーの利害に反することを言いません。レビュー見ても外車だけやたらと辛口なのもその現れです。
ちなみに「PHV」と言われることもありますが、これはプリウスにはトヨタが勝手に名付けただけですので、世界ではPHPV(プラグインハイブリッド)と呼ばれます。世界でPHVと言っても通用する用語ではありません。
日本の報道が恐ろしいのは、このようにメーカーが勝手に名乗っているだけの用語をあたかも世界で通用するかのように語るところです。
知らないうちに車メーカーにとって都合の良いように情報を刷り込まれてしまう可能性があります。
「ハイブリッド車」と「プラグインハイブリッド車」は違う?
紛らわしいですが「ハイブリッド車」と言った時に、上記のように充電機能があり、ガソリンエンジンがメインでありながら電気のみでの走行も可能な「プラグインハイブリット」と動力の大半はガソリンエンジンでそれをアシストするためのバッテリーを搭載しただけの「ハイブリッド」は混同しないようにする必要があります。
車に詳しくないとどちらのタイプも何となく「ハイブリッド」と誤って表記をすることにもつながります。
ですが現時点で電気自動車化を進めている国でも許容されるのは、電気単独での走行も可能な「プラグインハイブリッド」と完全電気自動車のみであることを把握しておかないと後で困ったことになる可能性があります。
日本の車メーカーから「広告」という形で資金供給を受けているマスコミが意図的に混同するような扱いをしてくることが多いので気をつけなければいけません。
「内燃機関(エンジン)」のある車自体が禁止になる国も?
ヨーロッパは「エンジンそのものを否定」の方向です。ドイツでは2030年、イギリスでは2035年、フランスでは2040年を目標に「内燃機関(要はエンジン)」のある車の販売を禁止する方向で動いています。ドイツとフランスは具体的な年数は未定ですが、イギリスでは2035年以降に「内燃機関」のある車の販売が禁止されることが決まり、ハイブリッド車もNGとなります。
一番最速なのはノルウェーで2025年以降は「内燃機関」のある車の販売が禁止になる予定です。すでに車の中に占める電気自動車の割合が80%を超えています。
現在の排気ガス規制で言えば、確かにプラグインハイブリッド車を主力にしても、ヨーロッパの厳しい二酸化炭素の排出規制を日本の車メーカーはクリアできるくらい優秀です。
ですがそもそも「エンジンを積んでいる車は全て禁止(要は完全電気自動車のみOK)」になってしまえば、問答無用でアウトです。
先ほども言ったようにイギリスでは内燃機関(エンジン)を積んだ車は全面禁止になることが決まっています。
イギリスは2035年にエンジン車販売禁止! ハイブリッド車も! それって実現可能なのだろうか? イギリスの現在のEV販売比率はわずか2.7%なのに|Motor-Fan[モーターファン]
2020年2月4日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は11月に開催される国連気候変動会議(COP26)の関連イベントで、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンを搭載した乗用車とバンの販売を禁止する期日を5年前倒し、2035年にすると発表した。果たしてこれは実現可能な計画なのだろうか?
プラグインハイブリッドの販売を続けるために、ホンダがジョンソン政権にかなりの圧力をかけたようですが、失敗したらしいです。
この記事は「実現可能なの?(どうせできないでしょ的なニュアンス)」という嫌味な言い方をしてますが、この言い方自体が日本の自動車メーカーの意向を受けて書いているのは明らかです。
ヨーロッパでは徐々に内燃機関(エンジン)がある車の居場所がなくなっています。
次に中国が2035年目標と言っている「電気自動車化」には今のところ「プラグインハイブリッド車」も含まれていて、日本のプラグインハイブリッド車を売れるように今の時点ではなっています。
でも中国が日本の肩を持ってくれると思いますか?
「プラグインハイブリッド」などを中国の自動車メーカーも作っている場合であれば、その可能性もあったかもしれません。
しかし自国の自動車産業のほとんどが電気自動車(EV)専門である中国の事情を考えると、ある日突然プラグインハイブリッドやハイブリッドの販売も禁止することで、自国の電気自動車を保護する方向に向いてくる可能性は非常に高いです。
国のトップの決断で一瞬でルールが変わる国ですから。
このままでは日本の車メーカーに不利なように世界の流れが動いていまう可能性が高い危機的な状況であることをどのくらい理解できているでしょうか?
「フォルクスワーゲンはディーゼルで失敗したから、中国は日本のハイブリッドに勝てないから電気電気言ってるだけだろ?」「技術は日本がトップなんだから負けるわけない」などという強がりが色々な方面から聞こえてきます。
おそらくそのような主張は正しいでしょう。
でも主張が正しいからまかり通るというのが「世界標準」ではありません。ここが抜けているのが日本人の痛いところです。
実際に世界の流れは「内燃機関(エンジン)」の消滅の方向で、徐々にハイブリッドやプラグインハイブリッドも排除、エンジンはないものの水素燃料自動車については無視というのが現実です。
完全な「電気自動車」が世界の主流になる未来
電気自動車化の流れに逆行して、日本ではプラグインハイブリッド・ハイブリッド・燃料電池車に進みそうなことを以前から「車もガラパゴス化」と私も危惧していますが、とりあえず「税制」という面では完全電気自動車を買いたくなる方向で議論されているようです。
【独自】エコカー減税、新車の7割…来年度は対象割合を維持 : 経済 : ニュース
政府・与党は4日、2021年度税制改正で、環境性能の高い自動車が対象になる「エコカー減税」について、燃費基準が厳しくなった後も、現在と同様に新車の7割程度を免税か減税の対象とする方針を固めた。販売への影響を抑える狙いが
どうやら先日の記事で私が危惧していた「電気自動車(EV)は増税」という最悪のパターンは避けられるようです。
自動車業界が日本の基幹産業の一つなのもあり、マスコミ、マスコミに広告を出して情報操作を行う車メーカー、政治家・官僚・部品メーカーや整備工場など、ガソリンエンジンの車があることで成り立っている業界としては何が何でも完全電気自動車化することは避けたい、それゆえにプラグインハイブリッド車や燃料電池車を中心に既得権益を維持しようと必死になっていますが、そんな国内の状況に配慮して世界の流れに逆行するような政策を推し進めれば、近い将来に行き詰まることは誰が見ても明らかだと思うのですが。
ですのでとりあえずのところは電気自動車購入に関する補助金が倍増、これまでのエコカー減税が維持(自動車取得税・自動車重量税・自動車税)が減免となる税制が続けば、電気自動車を購入する方向に国民の意識が向くようになります。
完全電気自動車が世界の主流となることはほぼ間違い無いのですから、マスコミの情報操作などに振り回されてプラグインハイブリッド車などにうっかり手を出してしまわないように気をつけるべきではないでしょうか。
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