お腹を抱える女性たち

子宮摘出で更年期障害になることはない

女性ならではの婦人科系疾患においては、子宮摘出手術を受ける場合があります。
様々な治療を続けてきても改善が見られない場合や、子宮の摘出しか選択肢が無い場合など、その状況は個人によって異なります。

女性にとって象徴的な子宮を失う事は大きな出来事であり、心身共に負担がかかります。
他の臓器とは異なり喪失感も大きくなりがちです。
その中でも特に心配されるのが、子宮を摘出する事によって身体に大きな影響がないかどうかでしょう。

実際に子宮を摘出する事によって更年期状態となり、更年期障害を発症すると思っている人が多いようです。
ところがこれは間違った認識であり、手術で子宮を摘出しても卵巣が残されていれば、女性ホルモンの分泌は正常に行われるため、更年期障害で苦しむような事はありません。

女性の子宮というものは、子供を育む部屋のようなものであり、摘出したとしても残された卵巣の働きに問題が無ければ、女性ホルモンの分泌はきちんと成されます。
ただし子宮が無いため、子宮内膜が剥がれ落ちる月経としての出血が起こらないという状況にはなります。
子宮筋腫や子宮がんなどによって、やむを得ずに子宮摘出をする場合であっても、卵巣を残すかどうかでその後の身体の状態は変わります。
子宮と共に卵巣摘出をした場合などは、やはり女性ホルモンの分泌が無くなる事により閉経状態となるため、更年期障害が起きる可能性があります。

逆に卵巣を残した場合は更年期障害の心配は低くなりますが、実際に経験者によると、子宮摘出の喪失感が大きい人は術後に気持ちが塞ぎ込みがちになり、うつ状態に陥る事もあるようです。
つまり子宮喪失のストレスによって心身共に体調に不具合が生じる場合があるという事です。

しかしこれは更年期障害との関係性は無く個人差があるものと考えられています。
その他にも長期的に見ると、子宮摘出による弊害として骨盤臓器不全や尿、肛門失禁、便秘に腸機能不全などのリスクが示されていますが、これらも更年期障害による症状とは異なります。

卵巣摘出の場合は更年期障害発症のリスクがある

更年期障害という意味で考えれば、子宮よりも卵巣摘出の場合の方が女性ホルモンとの関係性が高いため、影響が大きいです。
つまり卵巣からのエストロゲンの濃度が低下する事によってホルモン環境が激しく変化するという事です。

女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下する事によって起こる更年期障害はこの状態と同じであるため、若くして卵巣摘出した場合は、年齢に関係無くホルモン分泌が崩れる事によって更年期障害を発症する可能性があります。
子宮のみの摘出の場合に起こり得る、骨盤臓器不全や腸機能不全に排尿、排便の不具合などの機能的な不全とは異なります。
女性ホルモンによって司られていた機能に影響を及ぼし、様々な更年期障害の症状を起こさせるのが卵巣摘出の難しいところです。

婦人科系の疾患の状況に応じて、卵巣を残すか摘出するかが決められるものですが、患者さんのその後の生活も考えながら判断されるため、患者さん自身でも、卵巣摘出によって起こりやすい更年期障害の影響を理解する必要があります。
婦人科系疾患は、女性ホルモンのバランスが崩れる事によって様々な疾患を生じさせ、その結果によっては病状の経過によって子宮摘出や卵巣摘出が行われます。
患者さん自身は、手術による摘出という行為に対して不安を持つものですが、きちんとそれによって術後どのような状況になるのか、更年期障害が起こるのかを理解する事も大切です。

女性にしか理解出来ない婦人科系の疾患は、女性だからこそ理解すべきものであり、冷静に状況を認識して術後の影響などの確認を自分自身でも行うべきです。
もちろん医師による説明は頭に叩き込み、事前に状況を理解しておけば、術後にどのような状態になったとしても、慌てる事なく冷静に対処する事が出来るようになるからです。