「全方位戦略」を唱えながらEVだけは拒絶するトヨタはオワコン?【陰謀論に全振り】

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こんばんは、@kojisaitojpです。予想通り(?)日本のメディアでは全く報道されていませんが、このようなお寒い事実が明らかになりました。

トヨタに関しては以前も記事にしたように「EVを優遇する政策を改めるようにロビー活動」を行っていましたがので私がこのニュースを聞いても全く驚きませんが、まさか「大統領選挙無効」を主張する勢力を支持していた、しかも献金は2021年1月6日のトランプ派による議会襲撃以降も続けていたという点が驚きです。

「政治献金なんてどこの会社もやってるだろ!」と批判してくる人が現れるのは百も承知で取り上げています(笑)。

問題はそこではなくトヨタという企業が「SDGs」というものを理解しているのかという点です。

そこで今日はトヨタがアメリカで行っていたお寒い活動を確認した上で、このような行為がグローバルにどのくらい負の影響をもたらすのか考えてみます。

トヨタがEV化を阻止するために民主主義を否定する勢力を支援することは適切なのか?

アメリカ大統領選挙
「政治の話なんかしないでEVの話をしろ」と言われる方もいるかもしれませんが、「こういう車は売ってもOK」「こういう車は売っちゃダメ」というのを決めるのは「法律」ですし、その法律を決めるのは「議会」です。

「こういう車は売っちゃダメ」と2025年から内燃機関車の販売を禁止するノルウェーにしろ、2030年から同じように禁止するイギリスにしても「法律」として制定されています。

昨日も言いましたが2035年からゼロエミッション車以外の販売を禁止する方向のカリフォルニア州の場合は、現在は「州知事の命令(州の中では大統領令並の権限ですが)」にとどまっていて、カリフォルニア州の法律としてはまだ制定されていません。

「法律」になってしまえば正式決定なのでそこへもって行くようにロビー活動を行う勢力と阻止しようとロビー活動をやる勢力がせめぎ合いになるのはどこの国でも見られる光景です。

そういう意味では各国政府(アメリカの場合は州政府にも)に働きかけを行うのは当然の企業活動です。

ですので「政治献金」自体が悪いとは私も全く思っていません。

内燃機関車(エンジン搭載車)」の販売の是非を巡ってEVを推進したい勢力とEV化を阻止したい勢力が政治家に献金して自社に都合の良い方向に持っていこうという活動自体は正当なものです。

ですが今回トヨタがお寒いのは、「1/6の議会襲撃事件以降会社イメージの悪化を恐れた多くのアメリカ企業が撤退して行く中で最後の最後まで『大統領選挙無効』を唱える勢力に加勢し続けていた」という点です。

実際にトヨタ自身も別に「トランプ政権続投」に全振りしていたわけではなく、一応は民主党政権の誕生も想定して両方に献金していたこともわかっており、これ自体は何も悪いことではありません。

とはいえ「大統領選挙無効」のようなある種のトンデモ理論、陰謀論にアメリカのどの企業よりも献金していたという事実による会社イメージの大幅な悪化という面で世の中に与えるマイナスのイメージは計り知れないと思います。

引用した記事の中にもあるように2021年1月6日のトランプ支持者と思われる集団による米国議会襲撃以降は「大統領選挙無効」を主張する議員への献金をやめる企業が大半だったようです。

そんな中で最後の最後まで「大統領選挙無効」を唱える共和党勢力に献金を続けて、気がついたらアメリカのどの企業よりも献金額が膨れ上がったのがトヨタです。

「バイデン政権が誕生してアメリカがEV中心にシフトするのがそんなに怖かったのかな」という感想です(笑)。

EVだけを除外した「全方位戦略」がトヨタの本音?

トヨタ「BZ4X」
見出しを見ただけで「BZ4Xも発売するんだからトヨタはEVもきちんとやるに決まってるだろ!」と怒る人もいることでしょう。

確かに私も先日「BZ4X」については取り上げたので、トヨタが曲がりなりにもEVを発売する気なのはわかっています。

ですが既に「BZ4X」に関しても問題点が指摘されており、

  • EV専用と言われる「E-TNGAプラットフォーム」が2015年製
  • 相変わらずトヨタのディーラーに充電器設置の動きがない
  • バッテリーの調達も外部依存(CATLかBYDか)

プラットフォームが古すぎではないか?という指摘はこちらの記事でもされています。

2015年というとテスラがようやく初代のモデルSの販売が軌道に乗り始めた頃、フォルクスワーゲンに至ってはディーゼル不正の真っ最中で最初のEVである「e-ゴルフ」を出すか出さないかくらいの時期です。

それから世界の各社が最新の技術を結集させてEVを開発している中で一時代前のプラットフォームで勝負できるの?という単純な疑問です。

また後者の2点に関しては以前から指摘していることですが、今も日本国内のトヨタディーラーを見る限り充電器が設置されているお店はごく一部です。しかも24時間対応の日産や三菱とは違い、18:00-19:00のディーラーが閉店する時間以降は使えませんので、ユーザーの利便性という意味では著しく劣るのが現実です。

バッテリーも同様でパナソニックと協業の「プライムプラネットエナジーソリューション」の増産こそ発表しているものの「2030年までに電動車800万台(うちEVは200万台程度)を賄うバッテリー供給量には程遠い状態です。

これについては以前解説した記事がありますのでよろしければご参照ください。パナソニックとの協業に税金が投入されても焼け石に水なことがわかります。

となるとやはり中国メーカーに頼らざるを得ないわけで、「BZ4X」のオフィシャルサプライヤーに「BYD」が名を連ねていることからもそれは予想できます。

トヨタ「BZ4X」のサプライヤー

このようにEVに関して「どこまでやる気あるの?」という疑念だらけの状態で冒頭に挙げたような「大統領選挙無効」「バイデン政権誕生阻止」を掲げる共和党勢力を最後の最後まで支援していたとなれば「ああやっぱりEVやりたくないからそういう行動してたのね」と予想できてしまいます。

本当に全方位戦略なのであればEVもやるけどハイブリッドもPHEVもやる、その上でFCEV(水素燃料電池車)もやるし水素エンジンの開発もやると各分野で戦える車種を用意すべきです。

ところがトヨタのEV戦略を見る限りとてもじゃないけどテスラやフォルクスワーゲンなどと戦える態勢が整っているようには見えません。

状況が不利なEVに極力シフトしたくないから、EV化を政策のトップに掲げるバイデン政権の誕生は阻止したかったんだろうなと考えるのが自然です。

トヨタの行動はEVや脱炭素にとどまらないSDGsとESG投資からオワコン扱い?

と状況証拠を元にトヨタの政治献金の意図を探ってみましたが、確かに一企業の行動(自社が不利なEVで勝負したくない)としては理にかなっているとは言えるでしょう。

しかし先ほども言ったように問題は「2021年1月6日のトランプ派による議会襲撃」の後も「大統領選挙の無効」を主張する勢力を支援したという点です。

SDGSという単語が流行する前から「企業の社会的責任(CSR)」という意味で「企業=金儲けのためなら何やってもいい」ではなく「企業が公共性に与える影響」を考えた上で行動することが求められていました。

ツイッター上などでは日々言ってますが、私が定義する「加齢臭」という単語は別に実年齢の問題ではなく「とっくに時代遅れになった価値観を今も通用すると信じてる頭の凝り固まった人」という意味です。

不思議なことに「脱炭素」とか「EV化」を猛烈に批判する人ほど「SDGs」で唱えられているような「ジェンダー平等を実現しよう」とか「人や国の不平等をなくそう」のような価値観にも猛反発している傾向が強いです。

SDGsの定義
SDGsの定義

以前も扱いましたが「夫婦別姓なんてけしからん」とか「職場に女がいるとスムーズに仕事ができない」のような時代錯誤な価値観丸出しの経営者や役員のいる企業というのも「持続可能ではない会社」とみなされます。

「何で女性の役員なんか増やす必要があるんだ?」「男が育児休暇?ふざけるな!」とか言ってる会社の上司とか日本だと結構普通に見かけますが、この時点でもう論外です。

と手厳しく批判していると「脱炭素とか男女平等を金儲けに利用してる」と反発してくるパターンはもう見慣れた光景ですが、「金儲けして何が悪いの?」というのが私の見解です。

世界の価値観がESG投資・SDGsへと向いているわけですから素直にそれに合わせることで投資マネーを呼び込むことが経済成長につながるというのが以前も解説した通りです。

話はトランプ氏の話やトヨタの話からは脱線しましたが、議会を襲撃するような「議会制民主主義を破壊するような勢力」を支持する共和党の議員へ政治献金をしていたという事実は、売り上げのかなりの割合を占める北米市場で計り知れないほどのイメージダウンにつながることでしょう。

なんていうと「綺麗事だ」と批判されるかもしれませんが、「トヨタってそういう会社なんだ」というイメージを北米市場の消費者や世界の投資マネーに与えてしまったことは後々響いてくると私は予想しています。

大昔もアメリカでトヨタの不買運動が起きたことがありますが、あの時は「品質の良いトヨタ車への僻み」が原因でしたが今回は性質が違います。

日本国内に関してはマスコミを抑えていますので騒ぎになる可能性は低いかと思いますが、日本人と世界の認識のギャップを広げるだけの結果になると思います。

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